Cisco Nexus 5000 シリーズ

ロスレス 10 ギガビット イーサネット:SAN と LAN の統合を実現する統合インフラストラクチャ

ホワイト ペーパー





ロスレス 10 ギガビット イーサネット:SAN と LAN の統合を実現する統合インフラストラクチャ



イントロダクション

企業がビジネス戦略を実現するために、また戦略の変更にも対応できるように、企業にとって IT はますます重要な存在になってきています。そのような中、企業の IT インフラストラクチャにはこれまで以上に強力かつ俊敏であることと、優れたコスト効率が求められています。今日の企業は、システムがいつでも利用できること、どこからでもアクセスできること、そして絶えず変化するビジネス ニーズに迅速かつ円滑に対応できることを必要としています。

これらの目的をエンタープライズ データセンターが果たすには、既存のリソースの利用効率を高め、運用を高速化し、俊敏性を向上させることが必要です。具体的には、データセンターは次のような課題に対処する必要があります。

  • 資産の利用効率を向上させる。資本コストを削減する、または支出を先送りするため。
  • 電力供給と冷却のためのエネルギー消費を削減する。コストを削減すると共に、環境への配慮という事業方針に合わせるため。
  • インフラストラクチャとアプリケーションの市場投入までの時間を短縮する。
  • データおよびリソースをリアルタイムで利用できるようにする。現在および将来のビジネス ニーズに応じた柔軟な配置を可能にするため。

これらの課題に対処するには、進化するビジネス アプリケーションをより効率的にサポートできるように、単一のネットワーク インフラストラクチャを構築して従来のサーバ、ストレージ、およびネットワークの運用を統合する必要があります。このドキュメントでは、シスコと NetApp が提案するユニファイド ファブリック ソリューションについて説明します。また、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)とネイティブ ファイバ チャネルのパフォーマンスの比較も行います。

今日のストレージ ネットワーク

大規模データセンターの多くは、ファイバ チャネルを使用することにより、SAN と呼ばれる独立した専用のストレージ ネットワークを導入しています。ファイバ チャネル SAN は、ホスト バス アダプタ(HBA)とスイッチで構成される専用の高速ネットワークを介して、サーバと共有ブロック ストレージ システムを接続します。それによって形成されたストレージ ネットワークを使用して、サーバとストレージは通信が可能になります。また、複数の通信経路が確立されることで、冗長性が強化され、パフォーマンスが向上し、ストレージのアベイラビリティが確保されます。従来、SAN では、ANSI 標準 X3.230-1994(ISO 14165-1)に規定されている物理実装とシグナリングを使用するファイバ チャネル プロトコルが採用されていました。ファイバ チャネルは、光ファイバ、同軸銅ケーブル、ツイストペア銅ケーブルを使用して、スイッチ間リンク(ISL)を介して 1、2、4、および 10 ギガビット(Gb)、最近では 8 および 20 Gb の速度で SAN データを伝送します。ファイバ チャネルはポイントツーポイント、スイッチド、およびループの各モードで動作します。広く使用されているのはスイッチド モードです。

ファイバ チャネルのコストと複雑さから、多くの中堅・中小企業(SMB)は SAN の導入に踏み切れませんでした。状況が変わったのは 2003 年に IETE で承認された iSCSI(Small Computer System over IP)プロトコルに基づく SAN が発表されてからです。通常、iSCSI SAN では、ネットワーク インターフェイス カード(NIC)、iSCSI ソフトウェア ドライバ、およびイーサネット スイッチを、分離されたネットワークで使用します。主要なオペレーティング システムのディストリビューションには iSCSI ドライバが同梱されています。iSCSI のパフォーマンスを向上させるには、イーサネット NIC を TCP/IP オフロード エンジンと共に展開して、TCP/IP の処理に必要な CPU を抑制します。iSCSI は標準の SCSI コマンド セットと IP ネットワークを使用するので、相互運用に関する知識は蓄積されており、その方法も単純です。これまでのところ、iSCSI SAN のほとんどは 1 ギガビット イーサネットの速度で動作しています。ただし、現在では 10 ギガビット イーサネットの NIC、スイッチ、およびストレージ システムが出回るようになっており、価格の下落が進むにつれて 10 ギガビット イーサネット ソリューションの導入が広がると考えられます。

データセンターの相互接続形式として 3 番目に多いのが、ネットワーク接続ストレージ(NAS)です。NAS は、ストレージを TCP/IP ネットワークに接続するサーバから構成され、この TCP/IP 上で Microsoft CIFS(Common Internet File System)または UNIX NFS(Network File System)のいずれかのプロトコルを使用することで、ユーザはストレージにアクセスできます。一般的な NAS の用途は、ファイル サーバ、ファイル共有、ホーム ディレクトリ、ソフトウェア開発や電子設計自動化といったテクニカルなアプリケーション、データベース ストレージ、グリッド コンピューティングなどです。iSCSI SAN はブロックレベルでデータにアクセスでき(ディスク ドライブを使用)、NAS はファイルレベルでデータにアクセスできます(ファイルを提供)。

インフラストラクチャ統合の要件

今日、多くの企業は LAN 用と SAN 用のネットワーク インフラストラクチャを並行して運用しており、そのスイッチもホスト バス アダプタも別々です。ファイバ チャネル SAN の場合、各サーバに 1 つ以上の HBA を購入する必要があるので、多額の機器コストがかかります。ミッション クリティカルなアプリケーションの場合(ときにはそれ以外でも)、多くの企業は接続を冗長化しているので、さらにコストがかさみます。ファイバ チャネル SAN の場合は、図 1 に示すように、LAN 環境と SAN 環境で別々のネットワークを運用する必要があります。

図 1 今日の多くのデータセンターは LAN と SAN に別々のネットワークを使用しており、サーバには別々のスイッチとネットワーク アダプタが装着されている。このトポロジでは専用のファイバ チャネル インフラストラクチャが必要。

図 1 今日の多くのデータセンターは LAN と SAN に別々のネットワークを使用しており、サーバには別々のスイッチとネットワーク アダプタが装着されている。このトポロジでは専用のファイバ チャネル インフラストラクチャが必要。


このような分離したネットワークには、ネットワーク インターフェイス、ケーブル、およびスイッチ ポートが数多く必要であり、要求されるサポートも複雑になるため、追加のコストが必要になります。ネットワーク アダプタが増えるもう 1 つの要因は、サーバ仮想化です。VMware などによって提供されるサーバ仮想化には、LAN、SAN、ハイパーバイザ管理、および仮想インフラストラクチャ サービスのトラフィックを伝送するために、複数のアダプタが必要です。

時間が経過して環境が拡大するにつれて、そのコストも増大します。現在特に注目を浴びているのは、サーバ環境とネットワークのサーバ アクセス レイヤという 2 つの領域です。サーバ環境は規模が大きく、サーバ数が数百あるいは数千にも及ぶため、小さな変更が非常に大きな影響をもたらすことがあります。

ロスレス 10 ギガビット イーサネット:統合インフラストラクチャ

ストレージ ネットワークは 2 つのカテゴリに分類できます。1 つは IP ベースのトラフィックを使用するストレージで、iSCSI、NAS、iFCP(Internet Fibre Control Protocol)、FCIP(Fibre Channel over IP)がこれに該当します。もう 1 つはファイバ チャネル ベースのストレージです。IP ベースのトラフィックを使用するストレージでは、基盤となるプロトコルに TCP/IP を使用するので、LAN と同じインフラストラクチャ上に展開できます。ファイバ チャネル ベースのストレージには、独立したネットワーク インフラストラクチャが必要です。これは、資本コスト(CapEx)と運用コスト(OpEx)が膨らむほか、ネットワーク リソースの利用効率低下にもつながります。

理想は、統合ネットワークがこれらの異なるストレージ ネットワーク モデルの共存をサポートしつつ、既存のデータセンター環境にもたらされるリスクや中断を最小限にするために、管理面では妥協しないことです。幸い、FCoE の発展によってイーサネットがユニファイド ファブリックにおける一般的な伝送手段になり、このようなインフラストラクチャ統合が可能になりました。FCoE は新しいテクノロジーであり、その地位を高めつつある標準です。図 2 に示すように、ネイティブ ファイバ チャネル フレームをイーサネット パケットにカプセル化することで、イーサネット ファブリック上でファイバ チャネル トラフィックの伝送を可能にします。

図 2 FCoE パケットでは、ファイバ チャネル ペイロードがイーサネット ヘッダー内にカプセル化されている。

図 2 FCoE パケットでは、ファイバ チャネル ペイロードがイーサネット ヘッダー内にカプセル化されている。


この方法により、ファイバ チャネル フレームのネイティブの形式が維持され、FCoE トラフィックはファイバ チャネル ファブリックからはファイバ チャネル トラフィックとして認識されます。この特性から、移行後も既存の環境の運用、セキュリティ、トラフィック管理の各属性を変更する必要はありません。また、ファイバ チャネルの専門知識や装置への投資も有効に活用されます。

FCoE によって、LAN と SAN は共通のインフラストラクチャ上で統合されます。これにより、複数の物理コンポーネントを統合し、サーバ I/O アダプタやケーブルを減らすことができます。また、サーバ I/O アダプタの統合によって電力と冷却のコストが削減され、不要なスイッチング インフラストラクチャをなくすことができます。イーサネット上でファイバ チャネルを伝送する機能が登場したことで、ストレージ用の共通インフラストラクチャが整いました。それがロスレス 10 ギガビット イーサネットです。

ロスレス 10 ギガビット イーサネットを使用する理由は次のとおりです。イーサネットは最も普及したテクノロジーです。イーサネットが成功した理由としては、単純で、トラブルシューティングが容易であり、スケーラビリティに優れ、帯域幅の継続的な拡大に対応でき、互換性を維持しながら機能拡張が可能なことが挙げられます。さらに、マルチコア プロセッサを搭載したマルチソケット サーバの急速な普及、サーバあたりの I/O 帯域幅の拡大につながる仮想サーバ展開の増加、現在のビジネス アプリケーションによる需要の増加、および SAN/LAN トラフィック統合の要件により、10 ギガビット イーサネットは、ストレージだけでなく統合ネットワークにとっての共通インフラストラクチャになります。

ユニファイド ファブリック上で SAN トラフィックを統合するにあたって、前提条件となるのがロスレス イーサネットです。Data Center Ethernet と総称されるネットワーク テクノロジーによって、イーサネット ファブリックはロスレス伝送をサポートし、SAN トラフィックの伝送に適したファブリックになります。この一連の新しい標準では、単一のインターフェイス上のトラフィックに対する優先順位付けがより適切なものになるだけでなく、輻輳の軽減のためにネットワーク上のトラフィックをシェーピングする高度な手段が提供されます。Data Center Ethernet を導入すると、データセンター内のさまざまな I/O トラフィックを単一の相互接続テクノロジーに統合できるようになります。DCE の機能については、次のセクションで詳しく説明します。

Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチ

Cisco Nexus™ 5000 シリーズ スイッチ(図 3)は、Cisco® データセンター スイッチ ポートフォリオに含まれるデバイスです。これによって、データセンターのユニファイド ファブリックを実現できます。このユニファイド ファブリックは、LAN、SAN、およびサーバ クラスタリング トラフィックを並行して処理するための運用特性を備えています。さらに、Cisco Nexus 5000 シリーズのカットスルー設計アーキテクチャにより、ポート間の遅延はパケット サイズにかかわらず一貫して 3.2 ミリ秒に保たれます。Cisco Nexus 5000 シリーズは、ハイパフォーマンス ライン レート 10 ギガビット イーサネットのスループット特性と低遅延の組み合わせにより、ストレージ ネットワークの効率とパフォーマンスを格段に向上させます。Cisco Nexus 5000 シリーズがユニファイド ファブリック上で統合の対象とするハイパフォーマンス コンピューティング アプリケーションでは、低遅延と低ジッタは不可欠の要件です。

図 3 Cisco Nexus 5020 ユニファイド ファブリック スイッチ

図 3 Cisco Nexus 5020 ユニファイド ファブリック スイッチ


データセンター内の複数のネットワークをただ 1 つのネットワークに統合することで、資本コストおよび運用コストの大幅な削減が促進されます。また、データセンター内のどのサーバにも常にどこからでも I/O が可能であることも同じく重要であり、データセンターのサービス能力、柔軟性、および復元力を著しく向上させます。

ユニファイド ファブリックを実現する上で重要な要素の 1 つが、Data Center Ethernet(または Converged Enhanced Ethernet)と呼ばれるイーサネット拡張です。これは、Cisco Nexus 5000 シリーズでサポートされています。Cisco Data Center Ethernet は、オープン標準のイーサネット拡張機能をベースとするアーキテクチャです。データセンターにおけるイーサネットのネットワーキングと管理の能力を高めるように設計されています。Cisco Data Center Ethernet によってイーサネットはロスレス トランスポートへと進化します。これにより、ユニファイド ファブリックで I/O 統合が促進されるほか、ネットワーク全体で輻輳を管理できるようになります。また、レイヤ 2 でのマルチパス化によってバイセクション帯域幅が増大します。

現在は、別々の相互接続テクノロジーが、別々のアプリケーションから、別々のトラフィックを伝送しています。Data Center Ethernet を導入すると、データセンター内のデータ転送要求を単一の相互接続テクノロジーに統合できるようになります。Cisco Data Center Ethernet の特徴となっている主なイーサネット拡張は次のとおりです。

  • 優先度フロー制御(PFC):1 つの物理リンクに最大で 8 つのユーザ優先度を定義できます。優先度ごとに独自の論理レーンが存在し、他のレーンに影響を及ぼすことなく各レーンを個別に一時停止することができます。この機能により、ロスレス伝送を必要とするサービス クラスのポーズ フレームを、他のトラフィックに影響を与えずに送信することができます。たとえば、FCoE トラフィックは PFC を使用してロスレス伝送パスを作成します。これによってロスレス 10 ギガビット イーサネットが実現します。
  • 拡張伝送選択(ETS):必要に応じてトラフィックに適切な優先順位および遅延を付与するために(たとえば、ストレージ トラフィックの帯域幅要件が満たされるように)、トラフィック クラスの違いに応じて帯域幅を割り当てます。このメカニズムは、割り当てられた帯域幅がアイドルの場合にその帯域幅を他のトラフィック クラスが使用することができる柔軟性を備えており、ネットワーク リソース全体の効率的な利用に役立ちます。
  • DCBX(Data Center Bridging Exchange):この管理プロトコルを使用してネットワーク上のピア デバイスの機能を直接検出することにより、Data Center Ethernet が従来のイーサネットと透過的にやり取りすることが可能になります。たとえば、エッジ スイッチは、DCBX によって Data Center Ethernet クラウドの範囲とそのピアの関連機能を検出することで、それらの機能との通信方法を判断することができます。また、デバイスは、DCBX によって、異なるデバイス間のコンフィギュレーション パラメータ(ユーザ優先度など)の互換性を検証したり、必要に応じてそれらのパラメータをピアに送信することができます。
  • 輻輳通知:この通知は、輻輳が発生した場合に、アップストリームのネットワーク デバイスと通信して、輻輳の原因となっているトラフィックをシェーピングするために特定の伝送を抑制するように指示します。このシェーピングでは、輻輳をネットワークのエッジに封じ込め、ネットワークのコアから遠ざけることによって、輻輳が全体的なネットワーク パフォーマンスに及ぼす影響を制限するように計算されます。
  • レイヤ 2 マルチパス化(L2MP)は、現在のレイヤ 2 ネットワークの欠点、つまり最短パスとマルチパス等コスト転送を実行できないこと、およびスパニング ツリー プロトコルには大規模レイヤ 2 ドメインを構築できるだけのスケーラビリティがないことに対処する機能です。大規模レイヤ 2 ドメインを構築するための中心的な要件は、仮想マシンのモビリティです。L2MP が提供するコントロール プレーン(IS-IS [Intermediate-System-to-Intermediate-System] プロトコルに基づく)およびフォワーディング プレーンによって、最短パスおよび等コスト マルチパス(ECMP)転送が可能になり、大規模レイヤ 2 ドメインを構築できるようになります。

Cisco Nexus 5000 シリーズによって実現されるユニファイド ネットワーク ファブリックは、企業のビジネス上の優先事項に合わせて IT 資産を配置するのに役立ち、その効果は次のようなビジネス上の利点として現れます。表 1 は、その利点をまとめたものです。

表 1 Cisco Nexus 5000 シリーズの利点

利点 説明
総所有コスト(TCO)の削減 Cisco Nexus 5000 シリーズは、LAN、ストレージ、およびサーバ クラスタ トラフィックのためのユニファイド ファブリックをイーサネットを介して実現します。それまでばらばらに利用されていたリソースがこのユニファイド ファブリックによって統合され、利用効率が高まります。必要のないスイッチング インフラストラクチャが排除されるため、サーバ I/O アダプタおよびケーブルの数が最大 50% 削減され、電力供給と冷却のコストも大きく低下します。
投資保護 ユニファイド ファブリックへの転換は、ビジネス面および技術面における必然的要因の登場と共に少しずつ進んでいきます。Cisco Nexus 5000 シリーズが提供する FCoE によって実現するユニファイド ファブリックは、この転換が進行する間も、企業のファイバ チャネルのインフラストラクチャへの既存の投資を保護します。Cisco Nexus 5000 シリーズは、イーサネット ネットワークとファイバ チャネル ネットワークの両方のアーキテクチャ、管理、運用のベスト プラクティスを守りながらユニファイド ファブリックの利点をすぐに活用できるように設計されています。
ビジネスの俊敏性の向上 Cisco Nexus 5000 シリーズは Cisco VN-Link をサポートしているため、セキュリティ ポリシー、Quality Of Service(QoS)、全体的パフォーマンスなどのプロビジョニング済みのネットワーク サービスはそのままで、アプリケーションをネットワーク内で移動させることができます。その結果、ネットワーク特性を維持したまま、CPU 利用率や熱負荷などの要因に基づいてアプリケーションを移動することが容易になります。サーバ仮想化と Cisco Nexus 5000 シリーズの仮想マシン最適化サービスの組み合わせによって実現する、動的かつ柔軟なアプリケーション インフラストラクチャの迅速なプロビジョニングを通して、IT 部門は変化するビジネス ニーズにすばやく対応できるようになります。
ビジネスの復元力の強化 Cisco Nexus 5000 シリーズは、特定のハードウェアおよびオペレーティング システムを使用してコンポーネント レベルおよびシステム レベルの運用継続性を実現するように設計されています。


NetApp ユニファイド ストレージ ソリューション

NetApp FAS システムは、データセンター内のストレージ統合エンジンとして機能し、ファイバ チャネル、FCoE、iSCSI、NAS など複数のネットワーク プロトコルを同時にサポートできます。IT 部門は NetApp のテクノロジーを使用してストレージ環境を統合および簡素化することができます。NetApp のユニファイド ストレージ システム設計とシスコのユニファイド ファブリック設計を組み合わせることで、幅広いサーバ接続に対応するストレージとネットワークの統合型ソリューションを展開できます(図 4)。

図 4  NetApp FAS システムによるファイバ チャネル、IP SAN、および NAS ストレージの統合

図 4 NetApp FAS システムによるファイバ チャネル、IP SAN、および NAS ストレージの統合


FCoE と Cisco Nexus 5000 シリーズに関するパフォーマンス分析

サーバ(FCoE イニシエータ)と NetApp ストレージ システム(FCoE ターゲット)の両方でネイティブ FCoE がサポートされるため、Cisco Nexus 5000 シリーズが実現するユニファイド ファブリックで SAN と LAN を統合することによって、ストレージ環境に問題が発生することはありません。ユニファイド ファブリックがロスレスで動作し、ストレージ トラフィックの容量が保証されることで、ストレージ I/O が保護され、クリティカルなデータセンター要件を満たすために必要な容量と低遅延が確保されます。

2 つの環境を試験的に比較します(図 5)。一方は LAN とファイバ チャネル SAN が分離されている従来型の構成、もう一方はユニファイド ファブリックの FCoE 機能を使用する構成です。サーバからストレージ環境へのアクセスに関しては、応答時間、スループット、および 1 秒あたりの I/O 操作数(IOPS)が同じでした。

図 5  Cisco Nexus 5000 シリーズを介するネイティブ FCoE とネイティブ ファイバ チャネルのテスト トポロジ比較

図 5 Cisco Nexus 5000 シリーズを介するネイティブ FCoE とネイティブ ファイバ チャネルのテスト トポロジ比較


図 6 に示すように、FCoE 環境の読み書き操作のスループット パフォーマンスは、ファイバ チャネル環境と同じです。

図 6  FCoE の読み書き操作のスループット パフォーマンスがネイティブ ファイバ チャネルと同じであることを示すテスト結果

図 6 FCoE の読み書き操作のスループット パフォーマンスがネイティブ ファイバ チャネルと同じであることを示すテスト結果


この結果からわかるのは、サーバやアプリケーションから見たストレージ システムの I/O のエンドツーエンドの動作は、統合されたユニファイド I/O 環境とスタンドアロン ファイバ チャネル構成では差がないということです。これは、エンドポイント、サーバ、およびファイラが、どちらの場合も同じブロック読み書き操作を行っていることを考えれば理解できます。唯一の違いは、FCoE ではファイバ チャネル通信がユニファイド スイッチング ファブリックを介して伝送されることです。

現世代の FCoE 向け統合型ネットワーク アダプタ(CNA)は、最大 4 Gbps のファイバ チャネル トラフィックをサポートしています。現在出荷されている CNA の HBA ドライバとハードウェアは、4 Gbps ファイバ チャネル HBA のものと同じです。次世代の CNA では、8 Gbps ファイバ チャネル標準がサポートされます。

テスト環境

図 5 と図 6 にテスト環境の物理トポロジを示します。同等の比較を行うために、ファイバ チャネル ネットワークはシングル ホップ(サーバとファイラを同じスイッチに接続)に制限しました。

ストレージ トラフィックの生成と測定には、NetApp の SIO(Simulated IO)ワークロード ジェネレータを使用しました。このツールの詳細については、http://partners.netapp.com/go/techontap/tot-march2006/0306tot_monthlytoolSIO.html を参照してください。

表 2 にテスト環境の概要を示します。

表 2 テスト環境

  ハードウェア バージョン ソフトウェア バージョン
ユニファイド I/O スイッチ Cisco Nexus 5020 スイッチ 4.0(0)N1(1a)
ストレージ システム NetApp 6070 ONTAP 7.3.1
ギガビット イーサネット スイッチ Cisco Catalyst® 4948 スイッチ 12.2(46)SG
ファイバ チャネル スイッチ Cisco MDS 9513 マルチレイヤ ディレクタ 3.2(2c)
サーバ HP DL585、Opteron CPU × 4、32 GB DRAM LINUX
CNA QLogic QLE8042 4.3.1


Cisco Nexus 5000 シリーズと NetApp ユニファイド ストレージ ソリューションを使用するユニファイド ファブリックの展開モデル

ユニファイド ネットワークへの転換は、最適な効果を確保しつつ業務の中断が少なくなるように、既存の環境の中で段階的に実施することができます。初期段階ではアクセス レイヤを対象にし、Cisco Nexus 5000 シリーズ ユニファイド アクセス レイヤ スイッチの導入により、LAN トラフィック、IP ベースのストレージ トラフィック、およびファイバ チャネル ベースのストレージ トラフィックのためのユニファイド ファブリックを提供します。ユニファイド ファブリックでは、当然の選択として 10 ギガビット イーサネットが共通インフラストラクチャになります。

図 7 に示す展開シナリオでは、Cisco Nexus 5000 シリーズはユニファイド ファブリックとして使用されており、LAN と SAN をアクセス レイヤで統合します。また、NetApp FAS はストレージ統合エンジンとして使用されており、ファイバ チャネルと IP SAN および NAS を同時にサポートします。ユニファイド ストレージとファブリック インフラストラクチャにより、このソリューションでは必要なポイントの数を減らすことができ、取得コストと運用コストが削減されます。

図 7 シスコと NetApp によるユニファイド ネットワーク ソリューション。Cisco Nexus 5000 シリーズは LAN と SAN をアクセス レイヤで統合するユニファイド ファブリックを提供し、NetApp FAS はユニファイド ストレージを提供する。

図 7 シスコと NetApp によるユニファイド ネットワーク ソリューション。Cisco Nexus 5000 シリーズは LAN と SAN をアクセス レイヤで統合するユニファイド ファブリックを提供し、NetApp FAS はユニファイド ストレージを提供する。


図 8 に示す展開シナリオでは、アクセス レイヤでのユニファイド ファブリック用に Cisco Nexus 5000 シリーズを使用してアクセス レイヤ スイッチを統合します。この環境には、2 つの並行した LAN とファイバ チャネル SAN インフラストラクチャがあります。サーバから SAN および LAN への I/O には、統合型ネットワーク アダプタ(CNA)と呼ばれる 1 つの 10 ギガビット NIC が使用されます。この統合ネットワークにより、必要なアダプタ数が減り、ケーブルが大幅に省略され、必要なアクセス レイヤ スイッチ数が減ることから、コスト効率が向上します。

図 8 今日のデータセンターは LAN と SAN で別々のネットワークを使用し、サーバには別々のスイッチとネットワーク アダプタが装着されている。ユニファイド ファブリック データセンターは、サーバに装着された CNA とユニファイド ファブリック スイッチとしての Cisco Nexus 5000 シリーズを導入することで、アクセス レイヤで統合された LAN と SAN を使用する。

図 8 今日のデータセンターは LAN と SAN で別々のネットワークを使用し、サーバには別々のスイッチとネットワーク アダプタが装着されている。ユニファイド ファブリック データセンターは、サーバに装着された CNA とユニファイド ファブリック スイッチとしての Cisco Nexus 5000 シリーズを導入することで、アクセス レイヤで統合された LAN と SAN を使用する。


まとめ

今日のデータセンターでは、LAN、SAN、サーバどうしのプロセス間通信(IPC)システムといったさまざまなネットワークのトラフィックを転送するために、異なる相互接続テクノロジーに基づいた複数のネットワークが展開されています。このため、エンタープライズ データセンターの一般的なサーバは、独立したさまざまなネットワークへの接続に対応した複数のインターフェイスを備えています。運用の複雑さとコストを削減するという、どの IT 部門にとっても普遍的な命題が課せられた状態で、さまざまなアプリケーションのデータ転送ニーズに応えるために複数の相互接続テクノロジーを管理するのは、業務やテクノロジーの実態として最適とは言えなくなりました。イーサネットの速度に関する最近の進展(10 Gbps イーサネットはすでに実用化されており、40 および 100 Gbps イーサネットは開発中)により、イーサネットはデータセンターの統合に使用するテクノロジーとして魅力的な選択肢になっています。さらに、イーサネットの新しい拡張と FCoE の登場により、さまざまなストレージ ソリューションと、従来の相互に切り離されていたネットワークを、同じインフラストラクチャに統合することができます。NetApp ユニファイド ストレージにアクセスするために Cisco Nexus 5000 シリーズを使用した場合、FCoE のパフォーマンスはネイティブ ファイバ チャネルと変わらないというテスト結果が出ています。

シスコと NetApp は、ユニファイド ネットワーク ソリューションを導入するお客様を共同で支援します。NetApp のイーサネット ベースのストレージ システムは、統合的なマルチプロトコル アーキテクチャを通じて、ストレージの統合を実現します。そして Cisco Nexus 5000 シリーズ ユニファイド ファブリックは、LAN、ストレージ、ハイパフォーマンス低遅延トラフィックを同一インフラストラクチャ上で一体化させ、新しい標準テクノロジーに基づいて、統合型イーサネット ファブリック上で無損失データ伝送を実現します。

NetApp について

NetApp は、革新的なストレージとデータ管理ソリューションを構築し、ビジネス革新を加速し、優れたコスト効率を実現します。世界中の企業がさらなる革新をより早く実現できるように支援する NetApp の姿勢については、http://www.netapp.com を参照してください。

関連情報

Cisco Nexus 5000 シリーズとユニファイド ファブリック ソリューションの詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/nexus5000/ を参照してください。
NetApp のユニファイド ストレージ ソリューションの詳細については、http://www.netapp.com/us/products/protocols(英語)を参照してください。