Cisco Catalyst 6500 シリーズ

Catalyst 6500 Sup2T システムの QOS アーキテクチャ

ホワイト ペーパー





Catalyst 6500 Sup2T システムの QOS アーキテクチャ



要約


このドキュメントでは、Policy Feature Card 4(PFC4)エンジン が搭載された Catalyst 6500 スイッチで使用可能な Quality of Service(QoS)機能について説明します。また、QoS の実装例もいくつか提示します。このドキュメントは、ホワイト ペーパー『Understanding Quality of Service on the Catalyst 6500 Switch』(http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/switches/ps5718/ps708/white_paper_c11_538840.html)[英語] に記載されている概念や用語に基づいて作成されています。

このドキュメントの内容は、このドキュメントの発行時に販売中のハードウェアに重点を置いたものであり、設定ガイドではありません。このドキュメントに記載されている設定例は、Catalyst 6500 のハードウェアおよびソフトウェアの QoS 機能をわかりやすく説明することを目的としたものです。QoS コマンドの構文については、Catalyst 6500 の設定およびコマンドに関するガイド
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/lan/cat6000/index.htm)[英語] を参照してください。



目次


1. 概要

2. PFC 4 ベース システムの新しい QoS 機能

3. Supervisor 2T システムにおける QoS のハードウェア サポート

   3.1 PFC 4

   3.2 サポートされているインターフェイスのタイプ

   3.3 PFC4 ベースのラインカードのバッファ、キュー、しきい値

   3.4 ラインカード ポート ASIC のキュー構造

      3.4.1 10 ギガビット イーサネット ラインカード(WS-X6908-10G および WS-X6816-10G)

      3.4.2 40 ギガビット イーサネット ラインカード(WS-X6904-40GE)

4. PFC4 システムの QoS 処理

5. QoS TCAM

6. PFC4 ハードウェアによるシリアル QoS モデル

7. C3PL でのユニファイド ポリシーの設定

   7.1 デフォルトの QoS 動作の変更点

   7.2 ポート レベル QoS のデフォルトの状態

   7.3 ポート入力 CoS とキュー マッピング

   7.4 設定用の CLI

8. PFC4 の入力マップとポートの信頼状態

9. レイヤ 3 パケットのレイヤ 2 分類

   9.1 レイヤ 3 トラフィックのレイヤ 2 分類の使用例

   9.2 設定

10. IPv4/IPv6 分類機能の拡張

11. マーキング

   11.1 マーキングの使用例

12. ポリシング

   12.1 分散ポリサー

      12.1.1 分散ポリシングの使用例

      12.1.2 設定

   12.2 マイクロフロー ポリサー

      12.2.1 パケットベースとバイトベースのポリシング

13. IP トンネルの QoS

   13.1 PFC4 による内側ヘッダーのマーキング機能

      13.1.1 IP トンネル QoS の使用例

      13.1.2 設定

   13.2 MPLS Over GRE トンネル

14. MPLS QoS

   14.1 IP-to-IP トラフィックと IP-to-Tag トラフィックの判別機能

      14.1.1 MPLS QoS の使用例

   14.2 パフォーマンスの向上

15. マルチキャスト QoS

16. 付録 1


1. 概要


Policy Feature Card 4(PFC4)は、Cisco Catalyst 6500 スイッチ用の次世代フォワーディング エンジンです。前世代の Policy Feature Card 3(PFC3)に比べて性能も機能も大きく改善されています。たとえば、分散ポリシングのサポート、テーブルの拡張による QoS ポリシー数の拡大、IPv4 と IPv6 の分類機能の強化、パケット モードとバイト モードのポリシングのサポートなどが実現しました。また、QoS 設定用のプラットフォーム独立型インターフェイスである Cisco Common Classification Policy Language(C3PL)のサポートも重要な機能拡張です。これで、Cisco Catalyst 6500 に C3PL を使用できるようになりました。

2. PFC 4 ベース システムの新しい QoS 機能


PFC3 と同様に、PFC4 も 2 つの ASIC コンポーネントで構成されています。1 つは、フレーム解析とレイヤ 2 スイッチングを実行する ASIC です。もう 1 つの ASIC は、IPv4/IPv6 ルーティング、MPLS のラベル スイッチングおよびインポジション/ディスポジション、アクセス コントロール リスト、QoS ポリシー、NetFlow などの動作を実行します。

PFC4 ベースのシステムがサポートする新しい QoS 機能は次のとおりです。

  • ハードウェアでのシリアル化 QoS モデル
  • 入力と出力の処理の分離
  • PFC4/DFC4(Distributed Forwarding Card 4)でのポート信頼状態と CoS の定義
  • 最大 256,000 の QoS TCAM エントリ
  • レイヤ 3 パケットのレイヤ 2 分類
  • IPv4 分類機能の強化(パケットの長さ、存続時間、オプション)
  • IPv6 分類機能の強化(拡張ヘッダーとフロー ラベル)
  • 入力/出力での集約ポリサー/マイクロフロー ポリサー
  • パケット モードとバイト モードのポリシング
  • ポリシング結果の精度の向上(低ポリシング レートでも)
  • 入力/出力の分散ポリシング
  • Cisco Common Classification Policy Language(C3PL)ベースのコマンドライン インターフェイス(CLI)

これらの機能を詳しく説明する前に、まずハードウェアの概要を紹介します。

3. Supervisor 2T システムにおける QoS のハードウェア サポート


3.1 PFC 4

PFC4 がサポートしている QoS 関連の新機能は次のとおりです。

  • 入力方向と出力方向の両方でのマイクロフロー ポリサー
  • マイクロフロー ポリサーのレート設定精度の向上
  • 分散ポリサー(ハードウェアで 4,000)
  • レイヤ 2 トラフィックに対するハードウェアでのコントロール プレーン ポリシング ポリシー機能の向上(例外時に照合可能)
図 1 Supervisor 2T の Policy Feature Card 4

図 1 Supervisor 2T の Policy Feature Card 4


  • 発信パケットの Differentiated Services Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)を書き換えずに内部/廃棄クラスのマークダウンが可能
  • バイトベースおよびパケットベースのポリシング(PFC 3 はバイトのみ)
  • IP トンネルに QoS ポリシーを設定可能
  • 入力の VPLS トラフィックのマーキングが可能
  • 入力キューと出力キューに共通のポリシーを設定可能
  • MPLS のパフォーマンスの向上(出力インターフェイスに対する IP ポリシーの設定でパケットの再循環が生じない)
  • プロバイダー エッジ(PE)の出力インターフェイスで MPLS パイプ モード QoS モデルをサポート

PFC4 と PFC3 のポリシング機能の比較を表 1 に示します。

表 1 PFC4 と PFC3 のポリシング機能の相違点

ポリシング機能 PFC3 システム PFC4 システム
集約ポリサー 1,000 16,000
方向 両方 両方
設定 1023 1023
精度 3 〜 5% 以下 最大(0.1%、1 kbps)
分散 不可 可(最大 4095 の分散ポリサーをサポート)
マイクロフロー
ポリサー
256,000 512,000/1,000,000(非 XL PFC か XL PFC かによる)
方向 入力 両方
設定 63 127
精度 3 〜 5% 以下 最大(0.1%、1 kbps)


3.2 サポートされているインターフェイスのタイプ

PFC3 は、ポート単位または VLAN 単位で機能を提供します。PFC4 は、さらに、ポート/VLAN またはポートと VLAN の組み合わせを論理インターフェイス(LIF)にマッピングする機能があります。つまり、ポート、VLAN、またはポートと VLAN の組み合わせに対する転送サービスや機能を、内部(オペレーティング システムに対する)構造として提供しているのです。この機能によって、ポート レベル、VLAN レベル、そしてポートと VLAN の組み合わせレベルで、より細かくプロパティや機能を関連付けることができます。PFC3 と PFC4 のハードウェア インターフェイス機能の相違点を表 2 にまとめます。

表 2 PFC3 と PFC4 のハードウェア インターフェイス機能の相違点

機能 PFC3 PFC4
物理ポートの最大数 2,000 10,000
ルーテッド インターフェイスの最大数 4,000 128,000
L3 サブインターフェイスの最大数 4,000 128,000
SVI の最大数 4,000 16,000
トンネル インターフェイスの数 2,000 128,000
グローバル VLAN マップ なし あり


3.3 PFC4 ベースのラインカードのバッファ、キュー、しきい値

バッファは、スイッチ内でのフォワーディング決定処理の実行中など、ポートの送信レートに物理媒体が追いつかないためにパケットをキューに入れる際のフレーム保管場所として使用されます。スイッチで QoS が有効になっていると、ポートのバッファは 1 つ以上のキューに分割され、各キューには 1 つまたは複数のドロップしきい値が関連付けられます。スイッチは、バッファ内の複数のキューの組み合わせや、各キューに関連付けられたドロップしきい値に応じ、輻輳時にインテリジェントな判断を実行します。ジッタや遅延の変動に弱いトラフィック、たとえば VoIP パケットなどは、伝送優先度の高いキューに移し、比較的重要性の低いパケットや影響を受けにくいパケットはバッファに保管したりドロップするといったことが可能です。

ポート単位のキュー数とバッファ容量は、ラインカード モジュールや、モジュールで使用されているポート ASIC によって異なります。Supervisor 2T、69xx および 68xx ラインカード モジュールの QoS キューとバッファ構造を、表 3 にまとめます。この表には、各 Catalyst 6500 シリーズ イーサネット モジュールについて、次の内容が示されています。

  • ポートあたりの総バッファ サイズ(総バッファ サイズ)
  • ポートあたりの総受信バッファ サイズ(Rx バッファ サイズ)
  • ポートあたりの総送信バッファ サイズ(Tx バッファ サイズ)
  • ポートの受信キューおよびドロップしきい値構造(Rx ポート タイプ)
  • ポートの送信キューおよびドロップしきい値構造(Tx ポート タイプ)
  • QoS 有効時におけるキューあたりのデフォルト受信バッファ サイズ(Rx キュー サイズ)
  • QoS 有効時におけるキューあたりのデフォルト送信バッファ サイズ(Tx キュー サイズ)

表では、ポートの個々のキューとしきい値を、簡単な見出しで示しています。これらは、厳密なプライオリティ キュー(指定されている場合)の数、標準キューの数、そして各標準キュー内のテールドロップまたは Weighted Random Early Detection(WRED; 重み付けランダム早期検出)しきい値の数です。たとえば、1p7q4t の送信キューは、厳密なプライオリティ キュー 1 つ、標準キュー 7 つ、各キューの WRED ドロップしきい値 4 つを含み、Deficit Weighted Round Robin(DWRR)と Shaped Round Robin(SRR)の両方をサポートしていることを表しています。同様に、8q4t の受信キューは、厳密なプライオリティ キューがなく、標準キューが 8 つあり、各キューに 4 つのテールドロップしきい値があることを示しています。

表 3 PFC4 ベースのラインカードのバッファ、キュー、しきい値

モジュールの
モデル名
モジュールの説明 総バッファ サイズ Rx
バッファ サイズ
Tx
バッファ サイズ
Rx ポート タイプ Tx ポート タイプ Rx キュー
サイズ
Tx キュー
サイズ
スーパーバイザ モジュール
VS-S2T-10G-XL
Supervisor 2T 10 Gb アップリンク ポート(10 G 専用モード) 191.8 MB 104.2 MB 87.6 MB 8q4t 1p7q4t Q8-20.8 MB
Q7-0 MB
Q6-0 MB
Q5-0 MB
Q4-0 MB
Q3-0 MB
Q2-0 MB
Q1-83.4 MB
SP-13.9 MB
Q7-0 MB
Q6-0 MB
Q5-0 MB
Q4-0 MB
Q3-13.0 MB
Q2-17.3 MB
Q1-43.4 MB
Supervisor 2T 10 Gb アップリンク ポート 191.8 MB 104.2 MB 87.6 MB 2q4t 1p3q4t、DWRR、SRR Q2-20.8 MB
Q1-83.4 MB
SP-13.9 MB
Q3-13.0 MB
Q2-17.3 MB
Q1-43.4 MB
Supervisor 2T Gb アップリンク ポート 17.7 MB 9.6 MB 8.1 MB 2q4t 1p3q4t、DWRR、SRR Q2-1.9 MB
Q1-7.7 MB
SP-1.2 MB
Q3-1.2 MB
Q2-1.6 MB
Q1-4.1 MB
WS-X6908-10G 10 Gb イーサネット ラインカード 191.8 MB 104.2 MB 87.6 MB 8q4t 1p7q4t Q8-20.8 MB
Q7-0 MB
Q6-0 MB
Q5-0 MB
Q4-0 MB
Q3-0 MB
Q2-0 MB
Q1-83.4 MB
SP-13.9 MB
Q7-0 MB
Q6-0 MB
Q5-0 MB
Q4-0 MB
Q3-13.0 MB
Q2-17.3 MB
Q1-43.4 MB
WS-X6816-10G 10 Gb イーサネット 16 ポート ラインカード
(オーバーサブスクリプション モード)
91 MB 1 MB 90 MB 1p7q2t 1p7q4t
10 Gb イーサネット 16 ポート ラインカード(パフォーマンス モード) 199 MB 109 MB 90 MB 8q4t 1p7q4t
WS-X6904-40G 40 Gb イーサネット ラインカード(40 G モード) 93 MB 5 MB 88 MB 1p7q4t 1p7q4t
WRR、DWRR、SRR*
SP-640 KB
Q7-640 KB
Q6-640 KB
Q5-640 KB
Q4-640 KB
Q3-640 KB
Q2-640 KB
Q1-640 KB
SP-11 MB
Q7-11 MB
Q6-11 MB
Q5-11 MB
Q4-11 MB
Q3-11 MB
Q2-11 MB
Q1-11 MB
WS-X6904-40G(10G モード) 40 Gb イーサネット ラインカード(10 G モード) 22.25 MB 1.25 MB 21 MB 8q4t 1p7q4t
WRR
DWRR、SRR*
Q8- 160 KB
Q7-160 KB
Q6-160 KB
Q5-160 KB
Q4-160 KB
Q3-160 KB
Q2-160 KB
Q1-160 KB
Q8-2.65 MB
Q7-2.65 MB
Q6-2.65 MB
Q5-2.65 MB
Q4-2.65 MB
Q3-2.65 MB
Q2-2.65 MB
Q1-2.65 MB


Catalyst 6500 イーサネット ラインカードのバッファとキューの詳細については、こちらをご覧ください。
http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/switches/ps5718/ps708/prod_white_paper09186a0080131086.html [英語]

3.4 ラインカード ポート ASIC のキュー構造

PFC4 ベースのラインカード(WS-X6816-10G、WS-6908-10G、WS-6904-40G)は、Supervisor 2T 専用のカードです。旧世代のスーパーバイザには使用できません。以降では、これらの新しい PFC4 ベース ラインカードの QoS 機能について詳しく説明します。

3.4.1 10 ギガビット イーサネット ラインカード(WS-X6908-10G および WS-X6816-10G)

6908 は、1:1 オーバーサブスクリプションの 8 ポート 10 Gb イーサネット ラインカードです。出荷時から DFC4 が搭載されています。このモジュールは、スイッチング ファブリックへ接続に合計 80 Gb の帯域幅を使用できます。また、ワイヤスピードで、すべてのポートで Cisco Trusted Security(CTS)とレイヤ 2 暗号化(IEEE 802.1ae 標準)をサポートしています。

図 2 WS-X6908-10G ラインカード

図 2 WS-X6908-10G ラインカード


図 3 WS-X6816-10G ラインカード

図 3 WS-X6816-10G ラインカード


WS-6816-10G ラインカードは、オーバーサブスクリプション比が 4:1、スイッチング ファブリックへの接続帯域幅が 40 Gb です。2 つの動作モード(パフォーマンス モードとオーバーサブスクリプション モード)に対応しています。

このラインカードをパフォーマンス モードに設定した場合、ポートがポート グループに分類され、4 つの物理ポートで 1 つのポート グループが構成されます。重要なのは、ポート グループの最初のポートだけが有効になるという点です。これによって、そのポートのバッファリングと QoS 機能が強化されます。ポート グループ内の他の 3 つのポートは管理上のシャットダウン状態になります。

デフォルトの動作モードであるオーバー サブスクリプション モードの場合、16 個のポートすべてが稼働しますが、オーバーサブスクリプション状態になります。この両ラインカードの QoS 仕様を次の表に示します。

表 4 PFC4 ベース 10 G ラインカードのポート ASIC のキュー構造

WS-X6708-10 G WS-X6816-10 G
10 GE ポートの数 8 16
ラインカード内のポート ASIC の数 8 16
ポート ASIC あたりの物理ポートの数 1 1
各ポートの送信(Tx)キュー構造 1p7q4t 1p7q4t
各ポートの受信(Rx)キュー構造 8q4t 1p7q4t
(オーバーサブスクリプション モード)
8q4t
(パフォーマンス モード)
受信の厳密なプライオリティ キュー なし あり
(オーバーサブスクリプション モード)
なし
(パフォーマンス モード)
送信の厳密なプライオリティ キュー あり あり
ポート レベルのシェーピング機能 なし なし


いずれのラインカードを使用する場合も、シャーシに Supervisor 2T が搭載されている必要があります。

3.4.2 40 ギガビット イーサネット ラインカード(WS-X6904-40GE)

このラインカードは、DFC4 搭載済みで出荷され、スロットあたりの使用可能な帯域幅は 80 Gbps(4 × 40 G または 16 × 10 G)です。40 G と 10 G のいずれのモードでも、オーバーサブスクリプション比は 2:1 になります。SFP+ と FourX のアダプタを使用した 10 G インターフェイスをサポートしています。いずれのモードでも、すべてのポートがワイヤスピードで Cisco Trusted Security(CTS)とレイヤ 2 暗号化 IEEE 802.1ae に対応しています。このライン カードは、ポートレベルのシェーピングに対応可能ですが、この機能は、ポスト FCS ソフトウェア リリースでサポートされます。このラインカードの QoS 仕様を次の表に示します。

図 4 WS-X6904-40G ラインカード:40 G または 10 G モードで動作可能

図 4 WS-X6904-40G ラインカード:40 G または 10 G モードで動作可能


表 5 PFC4 ベース 40 G ラインカードのポート ASIC のキュー構造

WS-X6904-40 G
(40 G モード)
WS-X6904-40 G
(10 G モード)
40 GE ポートの数 4 0
10 GE ポートの数 0 16
ラインカード内のポート ASIC の数 2 2
ポート ASIC あたりの物理ポートの数 2 8
ポートあたりの送信キュー構造 1p7q4t 1p7q4t
ポートあたりの受信キュー構造 1p7q4t 8q4t
受信(Rx)の厳密なプライオリティ キュー あり なし
送信(Tx)の厳密なプライオリティ キュー あり あり
ポート レベルのシェーピング機能 あり(出力のみ) あり(出力のみ)


このラインカードを使用するには、シャーシに Supervisor 2T が搭載されている必要があります。

4. PFC4 システムの QoS 処理


PFC4 ベース ラインカードの QoS 処理は、3 段階に分けて考えることができます。各段階の処理はシステム内の異なる場所で発生します。3 つの処理段階は次のとおりです。

図 5 PFC4 ベースのラインカードの QoS 処理

図 5 PFC4 ベースのラインカードの QoS 処理

  1. 入力方向の QoS はラインカードの入力ポートで実行されます。実行される機能は、入力キューのスケジューリングや輻輳回避などです。
  2. PFC4 の QoS 機能は、ポート信頼状態、マーキング、分類、QoS ACL、ポリシングなどです。
  3. 出力方向の QoS はラインカードの出力ポートで実行されます。キューのスケジューリングや輻輳回避、さらに一部のラインカードではシェーピングも実行されます。

5. QoS TCAM


PFC3 では、QoS と ACL の機能に、それぞれ 32 K をサポートする個別の Ternary Content Addressable Memory(TCAM)が使用されます。PFC4 は、バンクを柔軟に使用できる単一の TCAM で、QoS と ACL の両機能に対応できるようになっています。PFC4(XL)モードと PFC4(非 XL)モードの TCAM サイズの違いを表 6 に示します。

表 6 PFC4 の QoS 用 TCAM リソースの差異

リソース PFC3/PFC3XL PFC4 PFC4-XL
QoS TCAM 32 K 16 K(デフォルト) 64 K(デフォルト)
セキュリティACL TCAM 32 K 48 K(デフォルト) 192 K(デフォルト)


6. PFC4 ハードウェアによるシリアル QoS モデル


PFC3 では、決定に複数のサイクルを要するため、フォワーディング プロセス全体に遅延が生じるという制約がありました。PFC4 では、こうした決定処理の多くが単一のパスで実行されます。ただし、レイヤ 2 とレイヤ 3 のコンポーネントを段階的に通過するプロセスが使用されています。レイヤ 3 と QoS の機能を実行するコンポーネントは、パイプライン方式で実装され、パイプラインの各ステージでそれぞれ固有のタスクが実行されます。物理パイプラインは、入力フォワーディング エンジン(IFE)と出力フォワーディング エンジン(OFE)という 2 つの論理パイプラインで構成されています。

図 6 IFE と OFE のプロセス

図 6 IFE と OFE のプロセス
※画像をクリックすると、大きな画面で表示されますpopup_icon

  • IFE は、入力分類、QoS、ACL、入力 NetFlow、FIB フォワーディング、RPF チェックを実行します。
  • OFE は、隣接関係のルックアップ、出力分類、出力 NetFlow、書き換え命令の生成を実行します。

IFE と OFE は同じハードウェア内で実行される別個の 2 つのプロセスです。PFC4 のアーキテクチャでは、フォワーディング エンジンを通じ、入力と出力のポリシング メカニズムを単一のパスで実現できるようになっています

(PFC4 ハードウェアの詳細については、『Cisco Catalyst 6500 Supervisor 2T Architecture』のホワイト ペーパーを参照してください)。

7. C3PL でのユニファイド ポリシーの設定


Cisco Common Classification Policy Language(C3PL)は、Modular QoS CLI(MQC)に類似しており、ポリシー マップの適用アクションの対象となるトラフィックをクラス マップで特定します。C3PL は、シスコ プラットフォーム全体の QoS 設定をサポートし、QoS を設定するための、プラットフォームに依存しないインターフェイスを提供します。

図 7 C3PL でのユニファイド ポリシーの設定

図 7 C3PL でのユニファイド ポリシーの設定


PFC3 ベースの Catalyst 6500 システムの Modular Quality of Services(MQC)コンプライアンスは、ポート ASIC でのキューイングの実装とは異なり、マーキングとポリシングに限定されています。キューイングの設定によって、着信トラフィックを特定のキューにマッピングすることが可能であり、信頼状態や、グローバル マップなどの他の機能も使用可能になります。これは、プラットフォーム固有のコマンドライン インターフェイス(CLI)を通じて設定できます。PFC4 ベースの Supervisor 2T システムでは、C3PL をサポートすることで、このような制約が排除されています。C3PL は、マーキング、ポリシング、キューイング用のポリシー主導型 CLI 構文です。

7.1 デフォルトの QoS 動作の変更点

Supervisor 2T が導入される以前は、単一のグローバル コマンドで QoS の有効、無効を設定し、このコマンドが PFC レベルとポート レベルの両方に適用されていました。PFC4 システムの QoS では、PFC レベルのデフォルト QoS の動作が大きく変わっています。PFC4 では、デフォルトで QoS が有効になります。QoS を有効または無効にするグローバル コマンド オプションはポート レベルに対するものだけです。主な変更点をまとめると次のようになります。

  • QoS を有効にするためにグローバル CLI は必要ありません。
  • インターフェイスに対する QoS は常に、関連付けられているサービス ポリシーによって定義されます。
  • デフォルトでは、パケット通過時に、L2 パケットまたは L2 に分類された L3 パケットの DSCP、EXP、CoS はいずれも変更されません。
  • サービス ポリシーのマーキングはポートの信頼状態に依存しません。
  • ポートの状態は、デフォルトではマーキングに影響しません。

PFC3 ベースの mls qos グローバル コマンドは、auto qos default グローバル コマンドに置き換えられました。このコマンドは、ポート レベルで QoS を有効にする場合にだけ使用し、PFC レベルでは使用しません。

7.2 ポート レベル QoS のデフォルトの状態

前のセクションでも述べましたが、PFC4 のグローバル QoS コマンドは、PFC レベルでの QoS の制御には使用できません。デフォルトでは、ポート レベルの QoS は無効になっています。ポート レベルの入力キューのスケジューリングと輻輳回避は CoS ベースで実行されます。

図 8 PFC4 のデフォルトのポート QoS 状態

図 8 PFC4 のデフォルトのポート QoS 状態


ポートが信頼されていて、Dot1Q トランク ポートでない場合にも、デフォルトのポート CoS が使用されます。

7.3 ポート入力 CoS とキュー マッピング

ポートがデフォルト QoS モードの場合、スイッチに入るフレームは、入力 CoS 値に基づいて、厳密なプライオリティ キューまたは標準キューに振り分けられます。

図 9 PFC4 のデフォルトのポート入力 CoS とキュー マッピング

図 9 PFC4 のデフォルトのポート入力 CoS とキュー マッピング


厳密なプライオリティ キューがある場合、CoS 値が 5 のフレームがこのキューに入ります。他のフレームはすべて標準キューになります。標準キューには、ドロップしきい値が設定され、キューがしきい値を超過した場合にドロップできる CoS パケットはこのドロップしきい値によって決まります。

7.4 設定用の CLI

システムの QoS 状態は次のコマンドで識別できます。

    6513E.SUP2T.SA.1#show auto qos default 
    "auto qos default" is configured
     Earl qos Enabled port qos Enabled queueing-only No
    6513E.SUP2T.SA.1#
    6513E.SUP2T.SA.1#conf t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    6513E.SUP2T.SA.1(config)#no auto qos defa
    6513E.SUP2T.SA.1(config)#no auto qos default 
    6513E.SUP2T.SA.1(config)#end
    6513E.SUP2T.SA.1#
    6513E.SUP2T.SA.1#show auto qos default 
    "auto qos default" is not configured
     Earl qos Enabled port qos Disabled queueing-only No
    6513E.SUP2T.SA.1#

ポート レベルのキューイングなどの QoS 状態は次の CLI を使用して取得できます。

    6513E.SUP2T.SA.1#show queueing interface Gig1/24
    Interface GigabitEthernet1/24 queueing strategy:  Weighted Round-Robin
    
      Port QoS is enabled globally
      Queueing on Gi1/24: Tx Enabled Rx Enabled
    
    Trust boundary disabled
    
      Trust state: trust DSCP
      Trust state in queueing: trust COS
      Extend trust state: not trusted [COS = 0]
      Default COS is 0
        Queueing Mode In Tx direction: mode-cos
        Transmit queues [type = 1p3q8t]:
        Queue Id    Scheduling  Num of thresholds
        -----------------------------------------
           01         WRR                 08
           02         WRR                 08
           03         WRR                 08
           04         Priority            01
              
        WRR bandwidth ratios:  100[queue 1] 150[queue 2] 200[queue 3] 
        queue-limit ratios:     50[queue 1]  20[queue 2]  15[queue 3]  15[Pri Queue]
    
        queue tail-drop-thresholds
        --------------------------
        1     70[1] 100[2] 100[3] 100[4] 100[5] 100[6] 100[7] 100[8] 
        2     70[1] 100[2] 100[3] 100[4] 100[5] 100[6] 100[7] 100[8] 
        3     100[1] 100[2] 100[3] 100[4] 100[5] 100[6] 100[7] 100[8] 
    
        queue random-detect-min-thresholds
        ----------------------------------
          1    40[1] 70[2] 70[3] 70[4] 70[5] 70[6] 70[7] 70[8] 
          2    40[1] 70[2] 70[3] 70[4] 70[5] 70[6] 70[7] 70[8] 
          3    70[1] 70[2] 70[3] 70[4] 70[5] 70[6] 70[7] 70[8] 
    
        queue random-detect-max-thresholds
        ----------------------------------
          1    70[1] 100[2] 100[3] 100[4] 100[5] 100[6] 100[7] 100[8] 
          2    70[1] 100[2] 100[3] 100[4] 100[5] 100[6] 100[7] 100[8] 
          3    100[1] 100[2] 100[3] 100[4] 100[5] 100[6] 100[7] 100[8] 
    
        WRED disabled queues:    
    
        queue thresh cos-map
        ---------------------------------------
        1     1      0 
        1     2      1 
        1     3      
        1     4      
        1     5      
        1     6      
        1     7      
        1     8      
        2     1      2 
        2     2      3 4 
        2     3      
        2     4      
        2     5      
        2     6      
        2     7      
        2     8      
        3     1      6 7 
        3     2      
        3     3      
        3     4      
        3     5      
        3     6      
        3     7      
        3     8      
        4     1      5 
    
        Queueing Mode In Rx direction: mode-cos
        Receive queues [type = 1q8t]:
        Queue Id    Scheduling  Num of thresholds
        -----------------------------------------
           01         WRR                 08
    
        WRR bandwidth ratios:  100[queue 1] 
        queue-limit ratios:    100[queue 1] 
    
        queue tail-drop-thresholds
        --------------------------
        1     50[1] 50[2] 60[3] 60[4] 80[5] 80[6] 100[7] 100[8] 
    
        queue thresh cos-map
        ---------------------------------------
        1     1      0 
        1     2      
        1     3      1 2 3 4 
        1     4      
        1     5      6 7 
        1     6      
        1     7      5 
        1     8      
              
    
      Packets dropped on Transmit:
        BPDU packets:  0
    
        queue              dropped  [cos-map]
        ---------------------------------------------
    
        1                        0  [0 1 ]
        2                        0  [2 3 4 ]
        3                        0  [6 7 ]
        4                        0  [5 ]
    
      Packets dropped on Receive:
        BPDU packets:  0
    
        queue              dropped  [cos-map]
        ---------------------------------------------
        1                        0  [0 1 2 3 4 6 7 5 ]
    6513E.SUP2T.SA.1#
    6513E.SUP2T.SA.1#

PFC4 ベースのシステムで変更された CLI の詳細については、付録 1 の表を参照してください。

8. PFC4 の入力マップとポートの信頼状態


PFC4 システムでは、ポートの信頼状態は、ポート ASIC ではなく、PFC4/DFC4 で定義されるようになりました。レイヤ 3 フォワーディング ロジックによって、パケット 処理のパイプライン全体を通過するパケットに 6 ビットの廃棄クラス値が割り当てられます。

図 10 PFC4 の入力マップ

図 10 PFC4 の入力マップ


図 11 に示されているとおり、PFC4 に維持されている入力マップに基づいて、各フレームの CoS、IP precedence、EXP、DSCP の各値が対応する廃棄値にマッピングされます。

9. レイヤ 3 パケットのレイヤ 2 分類


PFC4 には、レイヤ 2 情報に基づいてレイヤ 3 パケットを分類する新しい機能があります。このようなパケットは、レイヤ 2 インターフェイスに到達していなくても、MAC アドレスとの照合によって分類が決定されます。この機能によって次のことが可能になります。

  • 入力と出力の制御の分離
  • レイヤ 2 またはレイヤ 3 NetFlow 作成の制御
  • 明示的な DSCP マーキング コマンドで書き換えられない限り、デフォルトでレイヤ 2 分類 IP パケットの DSCP を維持
  • ポート単位のオプションによる VLAN ベースのパケット分類設定の選択
図 11 レイヤ 2 での レイヤ 3 パケットの分類

図 11 レイヤ 2 での レイヤ 3 パケットの分類


PFC3 システムでは、MAC アクセス リストの機能が使用されるのは、非 IP トラフィックに対してだけです。レイヤ 2 MAC 情報に基づいてレイヤ 3 トラフィックのポリシングを行う機能がないためです。PFC4 システムでは、この制約が排除され、レイヤ 2 情報を使用したクラス マップを IP トラフィックに適用できます。

9.1 レイヤ 3 トラフィックのレイヤ 2 分類の使用例

完全なレイヤ 2 ネットワークのプロバイダー エッジでレイヤ 3 トラフィックを分類する場合、次のいずれかのレイヤ 2 要素に基づいて分類することを検討します。

  • レイヤ 3 トラフィックの着信 CoS の照合
  • Q-in-Q トラフィックの外部 VLAN の照合
  • Q-in-Q トラフィックの内部 VLAN の照合
  • Q-in-Q トラフィックの内部 Dot1Q CoS の照合
  • Layer 2 宛先不明トラフィックの照合
  • ARP トラフィックの照合
  • BPDU トラフィックの照合

9.2 設定

    SUP2T(config-if)#mac packet-classify ?
      input   classify L3 packets as layer2 on input
    output    classify L3 packets as layer2 on output
    
    SUP2T(config)#class-map match-all [Name]
    SUP2T(config-cmap)# match cos 5
    
    Sup2T(config)#mac packet-classify use outer-vlan ?
      in   Apply to Ingress mac acl
      out  Apply to egress mac acl
    Sup2T(config)#mac access-list extended [Name]
    Sup2T(config-ext-macl)#permit any any ce_vlan [ID]
    
    SUP2T(config-if)#mac packet-classify use ce_cos ?
      input  User inner cos for classification in ingress direction

Layer 2 宛先不明トラフィックの照合

    SUP2T(config)#class-map match-all [Name]
    SUP2T(config-cmap)# match l2 miss

ARP の照合

    SUP2T(config)#arp access-list test
    SUP2T(config-arp-nacl)#permit ip any mac ?
      H.H.H  Senders MAC address (and mask)
      any    Any MAC address
      host   Single Sender host

BPDU の分類

    SUP2T(config)# mac packet-classify bpdu

10. IPv4/IPv6 分類機能の拡張


PFC4 システムでは、IPv4 および IPv6 のパケットを、パケット長、存続時間(TTL)、ヘッダーの多様なフィールドに基づいて、分類できるようになりました。IPv6 パケットは、フロー ラベルと拡張ヘッダーを使用して分類できます。

11. マーキング


PFC4 では、C3PL への対応など、QoS マーキングについても大きく改善されています。主な変更点は次のとおりです。

  • PFC QoS を有効にするためにグローバル CLI は必要ありません。
  • C3PL table-map 構文を使用して QoS グローバル マップを定義します。
  • ポートの状態に関係なく、デフォルトで DSCP が維持されます。
  • ポートの状態に関係なく、デフォルトでレイヤ 2 パケットの CoS が維持されます。
  • ポートの信頼状態に関する dscp/precedence コマンドが廃止されました。

PFC3 ベースのシステムでは、パケットの優先順位付けによって IP パケットが書き換えられました。これが DSCP です。PFC4 には、IP パケットを書き換えずにパケットに優先順位を付ける機能があります。DSCP の透過性はポリシー クラス単位で制御できます。

11.1 マーキングの使用例

入力時に特定の廃棄クラスが設定されているパケットを、出力時には廃棄クラスに分類したくないという場合もあります。このような場合は、match dscp と match discard-class の両方のコマンドを設定します。PFC4 システムでは、match dscp を使用して着信パケットの DSCP に基づく分類を実行し、分類のための書き換え後に、match discard-class で廃棄クラスを適用することが可能です。

12. ポリシング


12.1 分散ポリサー

分散ポリシングは、複数の DFC4 ラインカードのポリサーを設定して、ひとまとまりのインターフェイス グループが受信する集約トラフィック全体にレート制限を適用する新しい PFC4 の機能です。旧世代の PFC システムはこの機能に対応していなかったため、特定のラインカードが受信するトラフィックに個別にレート制限を適用する必要がありました。図 12 に示されているとおり、分散ポリシングは、あるクラスタに属すひとまとまりのインターフェイスにレート制限を適用したい場合に適した機能です。たとえば、VLAN やイーサ チャネルのメンバー ポートがさまざまな PFC ベース ラインカードに分散している場合などに使用できます。

システム内の各ポリサーは、それぞれ独立してトラフィックの計測を実行するとともに、他のポリサーとの同期機能も備えています。そのため、どの PFC4 のポリサーも、システムのすべての PFC 4 を通じてそのクラスタに着信する全トラフィックを効果的に把握できます。

図 12 PFC4 ベース システムの分散ポリサー

図 12 PFC4 ベース システムの分散ポリサー


分散ポリサーは、次の 2 セットのバケットおよびしきい値を維持しています。

  • グローバルのカウントおよびしきい値 − すべての PFC4 の集約トラフィックが対象
  • ローカルのカウントおよびしきい値 − ポリシングが実行されていないローカル トラフィックが対象

ポリシングはグローバルとローカルのバケット カウントを使用して決定されます。これらの 2 つのカウントの合計がグローバルしきい値を超えると、各 PFC4 ベース ラインカードのポリサーが個別にポリサー アクションを適用します。

分散ポリシングには、システムの各 PFC4 で使用可能な 16 K の集約ポリサーのうち、最初の 4 K が使用されます。分散ポリシングには 2 つのモードがあります。

  • ストリクト モードでは、ポリシー マップは 4k の分散ポリサー領域内で完全に適合しないと、インターフェイスで拒否されます。
  • ルーズ モードでは、ポリシー マップは、拒否されませんが、分散 ポリサー領域以外にインストールされ、PFC3 として動作します。

12.1.1 分散ポリシングの使用例

分散ポリシングは次のような場合に使用できます。

  1. 特定の VLAN のトラフィックが複数のラインカードに広がり、それにレート制限を行う必要がある場合
  2. ポート チャネルのメンバーが複数のラインカードに分散していて、そのポート チャネルにレート制限ポリシーを適用する場合
  3. 異なるラインカード上のインターフェイスのトラフィックに対して、クラスタとしてまとめてポリシングを実行する必要がある場合(特に、1 つの共有/集約ポリサーが 複数の PFC ベース ラインカードに分散している場合)

12.1.2 設定

分散ポリシングはデフォルトでは無効になっていますが、グローバル コマンドで有効または無効にできるので、柔軟な設定が可能です。分散ポリサーの最大数は 4,000 です。VLAN またはポート チャネルに、もっと多くのポリサーが設定されている場合、4,000 を超えたポリサーには分散機能は適用されず、PFC3 と同様に動作します。

分散ポリシングをグローバルに無効にする場合

Cat6500(config)#no platform qos police distributed strict | loose

分散ポリシングをグローバルに有効にする場合

Cat6500(config)#platform qos police distributed

分散ポリサーの状態は次のコマンドで取得できます。

    6513E.SUP2T.SA.1#show platform qos 
      QoS is enabled globally
      Port QoS is disabled globally
      QoS serial policing mode enabled globally
       Distributed Policing is Loose enabled
       Secondary PUPs are enabled
      QoS 10g-only mode supported: Yes [Current mode: Off]
    
    
    
     ----- Module [3] -----
    Counter   IFE Pkts     IFE Bytes    OFE Pkts     OFE Bytes
    -----------------------------------------------------------
    Policing Drops 0              0              0          0            
    Policing Forwards 718139331      75135381110    718203413  75162822588  
    Police-hi Actions (Lvl3) 0              0              0          0            
    Police-lo Actions (Lvl2) 0              0              0          0            
    Aggregate Drops 0              0              0          0            
    Aggregate Forwards 718139342      75135382034    718203424  75162823512  
    Aggregate Exceeds-Hi 0              0              0          0            
    Aggregate Exceeds-Lo 0              0              0          0            
    NF Drops 0              0              0          0            
    NF Forwards 0              0              0          0            
    NF Exceeds 0              0              0          0            
    
                         TOS Changes 0             
                         TC Changes 0             
                         EXP Changes 0             
                         COS Changes 250238        
                         Tunnel Decaps 0             
                         Tunnel Encaps 0             

12.2 マイクロフロー ポリサー

マイクロフロー ポリシングは、トラフィックの制御とアカウンティングのみに使用されます。集約ポリシングと同様に、そのポリサーに関連付けられているポートに着信するすべてのフローがポリシングによって設定レートに制限されます。PFC4 は、PFC3 と比較して 2 倍の数のマイクロフロー ポリサーをサポートし、出力にマイクロフロー ポリシングを実行する機能も備えています。PFC3 と PFC4 の機能の主な違いを表 7 にまとめて示します。

表 7 PFC3 と PFC4 のマイクロフロー ポリサー機能の相違点

機能 PFC4 PFC3
マイクロフロー ポリサーの数 1,000,000(入力 + 出力) 128,000/256,000
(非 XL ベースと XL ベースの PFC3)
マイクロフロー ポリサーの設定数 128 64
出力マイクロフロー ポリシング あり なし
共有 NetFlow とマイクロフロー ポリシング あり なし


PFC4 では、サポートするマイクロフロー ポリサー数が拡大されたほか、マイクロフロー ポリシングと分散ポリシングのポリサーの設定精度も改善され、0.1 パーセントになっています (PFC3 では、3 〜 5 パーセント)。この精度は、低ポリシング レートでも維持されます。

12.2.1 パケットベースとバイトベースのポリシング

Supervisor 2T を含め、PFC4 ベースのラインカードは、パケットベースまたはバイトベースのポリシングを実行するよう設定できるようになりました。PFC3 ベースのカードはバイトベースのポリシングしかサポートしていませんでした。

パケットベースのポリサーの設定

6513E.SUP2T.SA.1(config-pmap-c)#police rate < 7-10,000,000,000 > pps burst < 1-2000000> packets peak-rate < 7-10,000,000,000> pps peak-burst < 1-2000000> packets conform-action … etc

バイトベースのポリサー

6513E.SUP2T.SA.1(config-pmap-c)#police rate <7-10,000,000,000 > bps burst <1-512000000> bytes peak-rate <7-10,000,000,000> bps peak-burst <1-512000000> bytes conform-action … etc

13. IP トンネルの QoS


13.1 PFC4 による内側ヘッダーのマーキング機能

分類やマーキングを実行するには IP トンネル パケットの内側と外側のヘッダーを区別する必要があります。これは QoS を難しくする要因となっています。また、トンネル パケットのフォワーディングに再循環が必要になることも問題です。アドレス ルックアップの最初のパスでは、パケットの宛先または送信元に基づき、トンネルが特定されます。2 回目のパス ルックアップでは、カプセル化(トンネル化)パケットの実際の出力インターフェイスが特定されます。

PFC3 には、カプセル化する際にトンネル パケットの内側ヘッダーにマーキングする機能はありません。PFC4 では、この制限が排除され、外側と内側の両方のヘッダーへのマーキング、または外側ヘッダーのみのマーキングを実行する機能が追加されました。

図 13 と図 14 に示されているように、PFC4 システムはトンネル トラフィックに対して次の 2 つの動作モードをサポートしています。

  • Diff-serv 均一モード
  • Diff-serv パイプ モード

PFC3 もこれらの動作モードをサポートしていましたが、トンネル インターフェイスでこれらのモードをサポートするのは PFC4 だけです。さらに、PFC4 は、トンネル インターフェイスの信頼状態に対する制御機能も改善されています。再循環後のビットはポート ASIC から抽出されなくなりました。

図 13 Diff Serv 均一モード

図 13 Diff Serv 均一モード


図 14 Diff Serv パイプ モード

図 14 Diff Serv パイプ モード


入力 QoS ポリシーが適用されない場合、PFC4 のデフォルト モードは均一モードですが、PFC3 のデフォルト モードはパイプ モードです。

13.1.1 IP トンネル QoS の使用例

PFC4 のこの新機能は、均一トンネル モードまたはパイプ トンネル モードで IP トンネル インターフェイス内のパケットのマーキングを制御したい場合に使用できます。

13.1.2 設定

QoS のポリシーと設定は、PFC3 と PFC4 の間で大きな違いはありませんが、PFC4 ではポリシー クラスに基づいて新しいアクションを設定できる点が異なります。これにより、外側と内側のヘッダーまたは外側ヘッダーに基づいてマーキングを実行できます。

内側ヘッダーに基づくマーキング

    SUP2T(config)#policy-map [Name]
    SUP2T(config-pmap)#class class-default
    SUP2T(config-pmap-c)#set dscp [Value]

外側ヘッダーに基づくマーキング

    SUP2T(config)#policy-map [Name]
    SUP2T(config-pmap)#class class-default
      SUP2T(config-pmap-c)#set dscp tunnel [Value]

サービス ポリシーに関連付けられているトンネル インターフェイスの例

    Sup2T#show run interface g6/1
    Building configuration...
    
    Current configuration : 117 bytes
    !
    interface GigabitEthernet6/1
     ip address 3.0.0.2 255.0.0.0
     service-policy input interface-ingress-policy
     service-policy output interface-egress-policy
    end
    
    Sup2T#show run interface Tunnel0
    Building configuration...
    
    Current configuration : 168 bytes
    !
    interface Tunnel0
     ip address 5.0.0.2 255.0.0.0
     tunnel source GigabitEthernet6/1
     tunnel destination 4.0.0.2
     service-policy input tunnel-ingress-policy
     service-policy output tunnel-egress-policy
    end

13.2 MPLS Over GRE トンネル

MPLSoGRE パケットのハードウェア スイッチングを有効にするためには、入力ラインカードで PFC へのフォワーディング前に IP GRE カプセル化を解除し、出力ラインカードで出力タグ パケットに IP GRE カプセル化を追加する必要があります。PFC3 は、ネイティブでは MPLS over GRE をサポートしていないため、Sup 720 PFC3 スーパーバイザは GRE カプセル化とその解除動作を実行する WAN ラインカードを使用することで、この機能をサポートしています。

PFC4 は、ハードウェアでネイティブに MPLSoGRE をサポートしているので、WAN モジュールは必要ありません。PFC4 は、MPLS ラベルのプッシュ/スワップとその後の IPv4 トンネルでの GRE カプセル化を単一パスで処理します。GRE カプセル化後、レイヤ 2 MAC の書き換えのためにパケットが再循環します。GRE カプセル化の解除では、最初のパスで GRE ヘッダーが削除され、その後の処理のためにパケットの再循環が必要となります。

MPLS over GRE トンネルはデフォルトではパイプ モードで動作します。明示的に均一モード ポリシーが指定されている場合は、外側のトンネル ヘッダーの DSCP と内側の MPLS EXP ビットの両方のマーキングが実行されます。

14. MPLS QoS

旧世代の PFC は、包括的な MPLS 機能と、MPLS パケットに対する QoS をサポートしています。PFC3 ベースのシステムは MPLS パイプ モードをサポートし、EXP マーキングも実行できます。

  • IP to MPLS パケットについては、IP DSCP を出力 EXP 値にマッピングすることが可能であり、オプションとして EXP 値を上書きすることもできます。
  • MPLS パケットについては、パケットの EXP を内側の DSCP にマッピングすることができるので、通常の QoS マーキングおよびポリシングのロジックを適用できます。
  • MPLS-to-IP については、元の IP パケットの IP DSCP に、EXP の CoS 値を伝播するオプションがあります。

ただし、これらの動作を実行できるのは、出力側の PE だけです。PFC4 では、新しい機能により、このような制約が克服されています。

14.1 IP-to-IP トラフィックと IP-to-Tag トラフィックの判別機

PFC3 とは異なり、PFC4 には入力時に IP-to-IP トラフィックと IP-to-MPLS トラフィックを区別する機能があります。そのため、PFC4 は、入力側と出力側の両方の PE で、IP-to-MPLS トラフィックに対する MPLS EXP マーキングを実行できます。この機能によって、IP-to-IP パケットに対する入力パイプ ポリシーも必要なくなります。PFC3 にはこの機能がないため、MPLS パイプ モードと EXP マーキングの実行をサポートしていても、トンネル インターフェイスの入力側 PE でしか使用できませんでした。

14.1.1 MPLS QoS の使用例

サービス プロバイダーが MPLS クラウドに実装した QoS と、顧客の IP ポリシーに基づく QoS が異なるシナリオでは、DSCP を維持したまま MPLS ネットワークで IP パケットをトンネリングする必要がある場合に、PFC4 の MPLS QoS 機能を使用できます。

14.2 パフォーマンスの向上

PFC3 では、出力インターフェイスに IP ポリシーが設定されていると、パケットの再循環が発生します。PFC4 にはこのような制約がないため、パフォーマンスの向上が可能です。

15. マルチキャスト QoS

入力 QoS では、PFC4 のマルチキャスト動作は PFC3 の動作と同様です。PFC4 は、出力レプリケーション モードで出力ポリシングを実行するハードウェア機能を備えていますが、これには制約がいくつかあります。

  • 出力 QoS では、ブリッジド マルチキャスト パケットの出力ポリシングとマーキングはサポートされないため、マルチキャスト パケットに対する EARL8 の機能は制限されます。
  • 出力レプリケーションが有効な状態では、出力ポリシングはサポートされません。

16. 付録 1


PFC3 から PFC4 への移行に伴い変更が必要となるコマンドの概要を表 8、9、10 に示します。「状態」列の文字が表す意味は次のとおりです。

R:維持され、新しい CLI に変換される。

I:無視される。

P:段階的に廃止されるために、一時的に「プラットフォーム」CLI に変換される。

表 8 Cat6500 固有のグローバル CLI のコマンド移行の概要

PFC3 のコマンド 状態 PFC4 への移行の NVGEN とアクション PFC4 の動作に関する備考
mls qos P auto qos default
mls qos trust の移行アクションで、既存の PFC3 の設定のインジケータとして使用されます。
キューイング ポリシーが適用されないポートに対してデフォルトのキューイングが自動設定されます。Earl のポリシング/マーキングに直接的な影響はありません。
ブートアップ時または設定コピー時に mls qos が見つかると、移行アクションがトリガーされます。
no mls qos I 無視されます。 PFC4 プラットフォームへの影響はありません。
mls qos queueing-only R platform qos queueing-only キューイングの動作は auto qos default と同じです。ポリシング/マーキングおよび DSCP/CoS の書き換えが無効になります。
no mls qos rewrite ip dscp P no platform qos rewrite ip dscp PFC3 と同じ動作です。PFC4 の書き換え制御はクラス単位とは限りません。
mls qos marking ignore port-trust I PFC3 のポート信頼状態に関するコマンドが無視される可能性を示すインジケータとして使用されます。 PFC4 のマーキングでは、デフォルトでポート信頼状態は無視されます。
mls qos marking statistics R platform qos marking statistics 動作は PFC3 と同じです。
mls qos police serial I 無視されます。 PFC4 では常にシリアル モードです。
mls qos police redirected I 無視されます。 リダイレクトされたパケットの入力ポリシングは常に有効です。
RP へのパケットの出力ポリシングは、CPP の場合を除いて、常に無効です。
サービス カードにリダイレクトされるパケットの出力ポリシングは、該当する出力 VLAN に対するポリシーで制御されます。
mls qos map R table-map PFC3 と同じ動作です。一部の dscp マップ名は廃棄クラス マップ名に自動的に変換されます。
mls qos aggregate-policer R platform qos aggregate-policer 動作は PFC3 と同じです。
mls qos protocol R platform qos protocol 動作は PFC3 と同じです。
mls qos statistics-export R platform qos statistics-export 動作は PFC3 と同じです。
mac packet-classify use vlan I N/A PFC4 MAC ACL では、VLAN フィールドは常に有効です。
mls qos gre input uniform-mode (ST2) I N/A 均一モードはデフォルトであり、C3PL によって入力ポリシー クラス単位で制御されます。
mls mpls input uniform-mode (ST2) I N/A 均一モードはデフォルトであり、C3PL によって入力ポリシー クラス単位で制御されます。


表 9 Cat6k 固有のインターフェイス CLI のコマンド移行の概要

PFC3 のコマンド 状態 PFC4 への移行の NVGEN とアクション PFC4 の動作に関する備考
mls qos trust cos R platform qos trust cos 最初の入力廃棄クラスは COS からマッピングされます。パケットの DSCP は書き換えされません。
PFC4 の相違点
ポートベース モードでは、ポート(入力)ポリシーがある場合、ポートの trust cos は無視されます。
VLAN ベース モードでは、デフォルトでも、VLAN ポリシーの場合でも、ポートの trust cos は無視されます。
mls qos trust dscp I N/A PFC4 および C3PL のデフォルトの動作です。
mls qos trust precedence I N/A 処理は mls qos trust dscp と同じです。着信 DSCP の下位 3 ビットはゼロではありません。
no mls qos trust R platform qos trust none remark mls qos があれば、trust none に変換され、なければ無視されます。VLAN ベース モードでは無視されます。
mls qos trust extend R platform qos trust extend 動作は PFC3 と同じです。
mls qos trust device R platform qos trust device 動作は PFC3 と同じです。
mls qos mpls trust experimental R platform qos mpls trust experimental 動作は PFC3 と同じです。
mls qos vlan-based R platform qos vlan-based 動作は PFC3 と同じです。
mls qos dscp-mutation R platform qos dscp-mutation 動作は PFC3 と同じです。
mls qos exp-mutation R platform qos exp-mutation 動作は PFC3 と同じです。
mls qos statistics-export R platform qos statistics-export 動作は PFC3 と同じです。
mls qos bridged I N/A マイクロフロー ポリシングの有無に応じて、NetFlow プロファイルごとに内部で有効または無効に自動設定されます。
mac packet-classify R mac packet-classify input mac packet-classify input と同等のコマンドです。
mls qos loopback R platform qos loopback 動作は PFC3 と同じです。
mls qos queueing mode R platform qos queueing mode PFC3 と同じ動作です。C3 LC ではサポートされていません。
mls qos cos R platform qos cos 動作は PFC3 と同じです。
wrr-queue R wrr-queue PFC3 と同じ動作です。C3 LC ではサポートされていません。
rcv-queue R rcv-queue PFC3 と同じ動作です。C3 LC ではサポートされていません。
pri-queue R pri-queue PFC3 と同じ動作です。C3 LC ではサポートされていません。
mls qos channel-consistency R platform qos channel consistency auto qos default で有効になります。将来的には、メンバー ポートの入力と出力のキューイング ポリシーは同一になります。


表 10 Cat6k 固有のポリシー マップ コマンドの移行の概要

PFC3 のコマンド 状態 PFC4 への移行の NVGEN とアクション PFC4 の動作に関する備考
trust dscp R trust dscp PFC4 および C3PL のデフォルトの動作です。
trust precedence R trust precedence 処理は trust dscp と同じです。着信 DSCP の下位 3 ビットはゼロではありません。
trust cos R trust cos PFC4 の相違点
ポート CoS の上書きが設定されていなければ、常に着信の 802.1q CoS が使用されます。ユーザへの警告:police と同等のアクションでは set dscp cos または set-dscp-cos-transmit を使用してください。
no trust I N/A パケットの QoS はデフォルトで維持されます。
police {exceed| violate} policed-dscp R police… {exceed| violate} policed-dscp C3PL 構文の一部として維持されます。
police flow R police flow \ C3PL 構文の一部として維持されます。
police aggregate R police aggregate C3PL 構文の一部として維持されます。