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この章では、発信側の正規化機能について説明します。発信側の正規化によって、発信者番号の表示を国際標準化国番号などのプレフィックスを含むグローバル化されたバージョンに再形式化したり、発信者番号を着信側の電話に表示するローカライズ版にローカライズしたりできます。
発信側の正規化によって、電話番号のグローバル化とローカライズが可能になるため、電話に適切な表現で発信側が表示されます。発信側の正規化は、一部の電話のダイヤル機能を拡張し、コールが複数の地理的場所にルーティングされたときのコールバック機能を改善します。この機能によって、グローバル発信者番号をローカライズされた番号にマッピングできるため、電話は電話の通話履歴ディレクトリ内の電話番号を変更することなく、コールバックできます。
Cisco Unified CM の管理で [発信者番号タイプ(Calling Party Number Type)] とプレフィックスを設定することで、着信側の電話に表示する発信者電話番号を、(国際国番号などのプレフィックスを含むグローバル化バージョンに)再フォーマットするように Cisco Unified Communications Manager を設定できます。それによって、世界中のどこからでもその番号をダイヤルできます。
Cisco Unified Communications Manager は、[発信者番号タイプ(Calling Party Number Type)] の値とともにルート パターンやトランスレーション パターンなどのさまざまな番号パターンを使用して、電話番号をグローバル化できます。たとえば、Cisco Unified Communications Manager は、サブスクライバ発信者番号タイプのローカライズされたドイツの電話番号 069XXXXXXX を、ドイツの国番号と都市コードを含む +49 40 69XXXXXXX にグローバル化するように設定できます。
複数の地理的場所にルーティングされるコールの場合、各ルーティング パスに適用される異なるトランスレーション設定によって、発信者番号は各コール パスで一意にグローバル化できます。Cisco Unified Communications Manager では、電話でローカライズされた発信者番号を電話画面に表示し、グローバル化された番号を電話の通話履歴ディレクトリに表示するように設定することもできます。電話ユーザがコールを発信する前に、電話の通話履歴ディレクトリのエントリを編集する必要がないようにするため、グローバル発信者番号をそのローカル バージョンにマッピングします。
発信者番号の最終表示用に、発信者番号タイプ(国内、国際、サブスクライバ、不明)ごとに発信側トランスフォーメーション パターンを設定し、そのコールの発信者番号タイプに固有のストリップ桁数とプレフィックスの手順を適用できます。これによって、Cisco Unified Communications Manager は、着信側の電話に表示される発信者番号が不要な国コードや国際アクセス コードを含まないローカライズされた番号となるように、発信者番号を再フォーマットできます。
たとえば、PSTN から到着した着信番号が、グローバル化された番号 +49 40 69XXXXXXX で(+49 が国番号、40 が都市コードを表す)、発信者番号タイプがサブスクライバであるとします。Cisco Unified Communications Manager には、国番号、都市コードを取り除き、プレフィックス 0 を追加する手順とともに、発信側のトランスフォーメーション パターンを設定できます。手順が適用された後、発信者番号はダイヤルされた電話に 069XXXXXXX として表示されます。
電話ユーザがコールを発信する前に、電話の通話履歴ディレクトリのエントリを編集する必要がないようにするため、ルート パターンと着信側トランスフォーメーション パターンを使用して、グローバル発信者番号をローカライズされたバージョンにマッピングできます。これによって、着信側がコールを返す場合に、Cisco Unified Communications Manager は確実に正しいゲートウェイにコールをルーティングできます。
グローバル発信者番号のマッピングによって、コールバック機能が改善され、着信側は電話の通話履歴ディレクトリ内の電話番号を変更する必要なく、コールバックできます。
発信側の標準化を設定する前に、Cisco Unified Serviceability で Cisco CallManager サービスをアクティブにしてください。詳細については、『Cisco Unified Serviceability Administration Guide』を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager に発信者番号タイプを判別させるには、想定するコールに一致する [発信者番号タイプ(Calling Party Number Type)] 値を割り当てるパターンを設定します。次の設定ウィンドウでパターンを作成して適用できます。
(注) | 発信者番号のトランスレーションは、元の発信者を使用する場合のみ機能します。転送番号への変更は、転送ヘッダーにのみ影響を及ぼします。SIP トランクの章の設定を確認し、SIP トランク自体に転送ヘッダーを追加します。 |
発信側の正規化のプレフィックスおよび削除桁数ルールは、Cisco Unified Communications Manager でさまざまな方法で適用できます。たとえば、デバイス プール、ルート パターン、トランスレーション パターン、ハント パイロット、ゲートウェイ、およびトランクに桁数の変換を適用できます。桁数の変換を適用する方法は、ダイヤル プラン、デバイス、およびトランクの導入方法に応じて変わります。詳細については、ダイヤル プラン、ルート パターン、トランスレーション パターン、およびトランスフォーメーション パターンに関連するトピックを参照してください。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 | Cisco Unified Communications Manager で発信者番号タイプを決定する場合は、パターンを作成して、予測されるコールと一致する発信者番号タイプを設定します。次の設定ウィンドウで、パターンを作成して適用できます。 | |
ステップ 2 | 発信側番号のグローバル化 | PSTN を介した着信コールについては、発信者番号をグローバル化する設定を実行します。 |
ステップ 3 | コーリング サーチ スペースの設定 | パーティションとコーリング サーチ スペースを設定します。 |
ステップ 4 | 発信側トランスフォーメーション パターンの作成 | 発信者番号をグローバル化またはローカライズされたバージョンに変換して各パターンをパーティションに割り当てる、発呼側トランスフォーメーション パターンを作成します。 |
ステップ 5 | コーリング サーチ スペースへの発信側トランスフォーメーション パターンの適用 | デバイス プール、ゲートウェイ、トランクなどのデバイスに発着信側トランスフォーメーション CSS を適用します。 |
PSTN 経由で到達する着信コールの場合は、発信者番号をグローバル化する設定を行います。発信者番号をグローバル化し、それをデバイス プールまたは個々のデバイスに適用する設定できます。また、クラスタ全体に、発信者番号の正規化設定を適用するサービス パラメータを設定できます。
発信者番号をグローバル化するには、次の手順を実行します。
コーリング サーチ スペースを設定して発信側の正規化機能を処理する場合は、次の手順を使用します。
発信側の正規化機能を処理するために発信側トランスフォーメーション パターンを設定している場合、次の手順を使用します。
デバイス プール、ゲートウェイ、トランクなどのデバイスに、着信する発信側トランスフォーメーション CSS を割り当てます。
ステップ 1 | [Cisco Unified CM の管理(Cisco Unified CM Administration)] で、発信側トランスフォーメーションを適用するデバイスに該当する設定ウィンドウを選択します。 | ||
ステップ 2 | 発信者番号をローカライズするには、[コーリング サーチ スペース(Calling Search Space)] ドロップダウン リスト ボックスで、適用する発信側トランスレーション パターンを含む CSS を選択します。
| ||
ステップ 3 | 発信者番号をグローバル化するには、[着信の発信者番号設定(Incoming Calling Party Settings)] セクションで、適用する発信側トランスレーション パターンを含むコーリング サーチ スペースを選択します。 |
次のサービス パラメータは、電話、MGCP ゲートウェイ、または H.323 ゲートウェイの基盤となるクラスタ全体に適用できます。特定のデバイスでクラスタ全体のパラメータが使用されるようにするには、デバイス設定のプレフィックスをデフォルトの : に設定する必要があります。
次の表に、プレフィックスとストリップの桁数の設定例と、発信者番号の表示を変換するためにこれらの値をどのように使用できるかを示します。サービス パラメータの設定では、コロンの後の番号が発信者番号の先頭から取り除く桁数を表し、コロンの前の数字は発信者番号の先頭に追加されるプレフィックスを表します。
元の発信者番号 |
[サービスパラメータ値(Service Parameter Value)] |
説明 |
最終的な発信者番号 |
---|---|---|---|
04423452345 |
+:1 |
先頭 1 桁を取り除き、プレフィックスとして + を追加します |
+4423452345 |
04423452345 |
:2 |
先頭 2 桁を取り除きます |
423452345 |
552345 |
+1:6 |
先頭 6 桁を取り除き、プレフィックスとして +1 を追加します |
+1 |
552345 |
+1:8 |
使用可能な桁数より多くの桁数が取り除かれるため、最終的な番号は空白になります |
|
552345 |
123 |
プレフィックスとして 123 を追加します |
123552345 |
空白 |
+1:2 |
発信者番号が空白の場合、プレフィックスは適用されません |
空白 |
0442345 |
:26 |
発信者番号の正規化で取り除くことができる桁数は、24 桁のみです |
Cisco Unified Communications Manager では、この設定は許可されません |
次の表は、発信側の正規化機能と連携動作する機能について説明しています。
機能 |
データのやり取り |
---|---|
転送コール(Transferred Calls) |
転送機能がミッドコール更新に依存しており、発信側の正規化は各コール ホップの初期コール セットアップ時に実行されるため、一部の転送されたコールのシナリオでは発信側の正規化がサポートされていない場合があります。以下に、発信側の正規化が転送のためにどのように動作するかについて、一例を示します。 内線番号が 12345 で電話番号が 972 500 2345 の電話 A が、内線番号が 54321 で電話番号が 972 500 4321 の電話 B にコールを発信します。電話 B では、発信者番号 12345 が表示されますが、電話 B はそのコールをサンノゼのゲートウェイ経由で電話 C に転送します。初期転送時に、電話 C には発信者番号 972 500 4321 が表示されますが、転送の完了後は、電話 C には 12345 として電話 A の発信者番号が表示されます。 |
転送されたコール |
転送されたコールは、発信者番号のグローバリゼーションとローカリゼーションをサポートします。たとえば、電話 F の発信者が PSTN 経由でダラスの電話 G にコールを発信しますが、電話 G はサンノゼの電話 H にコールを転送します。着信したダラスのゲートウェイでは、555-5555/Subscriber として発信者番号が表示されますが、コールはサンノゼのゲートウェイに転送されます。ダラスからの発信コールは、972 555 5555 として表示されます。着信したサンノゼのゲートウェイでは、+1 がプレフィックスとして付加され、電話 F には発信者番号として +1 972 555 5555 が表示されます。 |
コール詳細レコード |
発信側の正規化が CDR レコードと連携動作する方法の詳細については、『Cisco Unified Communications Manager Call Detail Records Administration Guide』を参照してください。 |
Cisco Unified Communications Manager Assistant |
発信側の正規化機能が設定されている場合、Cisco Unified Communications Manager Assistant はローカライズされたコールとグローバル化されたコールを自動的にサポートします。Cisco Unified Communications Manager Assistant は、ユーザ インターフェイスにローカライズされた発信者番号を表示できます。また、マネージャ宛ての着信コールでは、フィルタ パターンに一致する場合に、Cisco Unified Communications Manager Assistant はローカライズされた発信者番号とグローバル化された発信者番号を表示できます。Cisco Unified Communications Manager Assistant の設定方法の詳細については、『Feature Configuration Guide for Cisco Unified Communications Manager』を参照してください。http://www.cisco.com/c/en/us/support/unified-communications/unified-communications-manager-callmanager/products-installation-and-configuration-guides-list.html |
Cisco Unity Connection |
Cisco Unity Connection は、国際番号用エスケープ文字(+)をサポートしていません。そのため、ボイス メッセージング機能が予期したとおり動作するように、Cisco Unity Connection へのコールに + が含まれていないことを確認する必要があります。 Cisco Unity Connection を予期したとおりに動作させるために、このアプリケーションをデバイスとして扱い、+ がこのボイスメッセージング アプリケーションに送信されないようにする発信側トランスフォーメーションを設定します。Cisco Unity Connection サーバが北米ベースのダイヤル プランを使用する場合は、Cisco Unity Connection が発信者番号を受信する前に、発信者番号を NANP 形式にローカライズします。発信側トランスフォーメーション オプションは、ボイス メッセージング ポートの Cisco Unified Communications Manager の管理には存在しないため、必ず、ボイスメッセージング ポートに関連付けられたデバイス プールに発信者番号トランスフォーメーションを設定してください。発信者番号をローカライズするには、ボイスメッセージング アプリケーションが、ライブ応答などの特定の機能の番号を簡単にリダイヤルできるように、アクセス コードのプレフィックスを追加することも検討します。たとえば、+12225551234 を 912225551234 に変換できます。さらに、国際番号 +4423453456 を国際番号用エスケープ コードを含めて 90114423453456 に変換できます。 |
デバイス モビリティ |
ローミング デバイス プールの発信側トランスフォーメーション CSS は、電話の設定ウィンドウの [デバイス プールの発信側トランスフォーメーション CSS を使用(Use Device Pool Calling Party Transformation CSS)] チェックボックスがオフのままの場合でも、同じデバイス モビリティ グループ内でローミングしている電話のデバイスレベルの設定をオーバーライドします。 次の例は、発信側の正規化が、現在サンノゼ内でローミングしており、ダラスをホームの場所としている電話のデバイス モビリティとどのように連携動作するかを示しています。 電話がサンノゼ内でローミングしている場合、コールはダラス内の 972 500 1212 <National> から PSTN を経由します。着信したサンノゼのゲートウェイで、発信者番号はグローバル形式の + 1 408 500 1212 に変換されます。現在サンノゼ内にある電話では、発信者番号は 1 972 500 1212 として表示されます。 電話がサンノゼ内でローミングしている場合、コールはサンノゼの 7 桁のダイヤリング エリアの 500 1212 <Subscriber> から PSTN を経由します。着信したサンノゼのゲートウェイで、発信者番号はグローバル形式の + 1 408 500 1212 に変換されます。現在サンノゼ内にある電話では、発信者番号が 9 500 1212 として表示されます。 |
次の表に、Calling Party Normalization 機能が特定の機能に持つ制約事項と、Cisco Unified Communications Manager のシステム コンポーネントを示します。
機能 |
制約事項 |
---|---|
共有回線 |
共有回線を表示する発信側番号は、Cisco Unified Communications Manager のコール制御イベントのシーケンスに依存します。共有回線上で不適切にローカライズされた発信者番号が表示されることを避けるには、特に共有回線が地理的に異なる場所で発生する場合、同じ回線を共有するさまざまなデバイスで同じ発呼側トランスフォーメーション CSS を設定してください。 |
SIP トランクと MGCP ゲートウェイ |
SIP トランクと MGCP ゲートウェイは、コールへの国際エスケープ文字(+)の送信をサポートします。H.323 ゲートウェイは + をサポートしていません。QSIG トランクは、+ の送信を試みません。+ をサポートするゲートウェイを通じた発信コールでは、Cisco Unified Communications Manager が + とダイヤル番号をゲートウェイに送信できます。+ をサポートしないゲートウェイからの発信コールでは、Cisco Unified Communications Manager がコール情報をゲートウェイに送信したときに、国際エスケープ文字 + は削除されます。 |
SIP |
SIP は番号タイプをサポートしないため、SIP トランク経由のコールは、発信側番号の種類が不明(Unknown)である [着信番号(Incoming Number)] 設定のみをサポートします。 |
QSIG |
QSIG 設定は通常、同一のダイヤル プランをサポートします。QSIG を使用している場合、番号やプレフィックスの変換は、機能のインタラクションの問題を引き起こす可能性があります。 |
[発呼側トランスフォーメーションCSS(Calling Party Transformation CSS)] |
発信者番号をローカライズするには、デバイスは番号分析を使用してトランスフォーメーションを適用する必要があります。[発呼側トランスフォーメーション CSS(Calling Party Transformation CSS)] を [なし(None)] に設定した場合、変換は一致せず、適用されません。[発呼側トランスフォーメーションパターン(Calling Party Transformation Pattern)] は、必ず、ルーティングに使用されていない Null 以外のパーティションに設定してください。 |
T1-CAS ポートと FXO ポート |
発呼側トランスフォーメーション CSS(Calling Party Transformation CSS)設定は、ゲートウェイ上の T1-CAS と FXO ポートには適用されません。 |
Cisco Unity Connection |
Cisco Unity Connection は、国際エスケープ文字(+)をサポートしていません。従って、ボイス メッセージング機能が期待どおりに動作するように、Cisco Unity Connection へのコールに + が含まれていないことを確認する必要があります。 Cisco Unity Connection の詳細については、http://www.cisco.com/c/en/us/products/unified-communications/unity-connection/index.html をご覧ください。 |