この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
デバイスおよびアプリケーションは、Differentiated Services Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)マーキングを使用して、IP コミュニケーションのサービス品質(QoS)を示します。たとえば、デスクトップ ビデオ エンドポイントはビデオ メディア ストリーム用にマルチメディア会議 AF41 マーキングを使用できますが、一方で高画質ビデオ ルーム システムはリアルタイム インタラクティブ CS4 マーキングを使用できます。アプリケーションが同じタイプのアプリケーションとの間で IP コミュニケーションを送受信している場合、DSCP マーキングは対称的であり、各アプリケーションが送受信する IP コミュニケーションの QoS 処理は同一です。ただし、アプリケーションが異なるタイプのアプリケーションとの間でメディアを送受信すると、DSCP マーキングは非対称となり、各アプリケーションが送受信する IP コミュニケーションの QoS 処理において一貫性が失われる場合があります。たとえば、ビデオ ルーム システムがデスクトップ ビデオ エンドポイントから受信するビデオ メディア ストリームの QoS 処理が、ビデオ ルーム システムの期待される品質をサポートするには不十分な場合があります。
デバイスおよびアプリケーションは、確立されたセッションの間、十分な帯域幅が使用できるようにするため、コール アドミッション制御(CAC)に従います。確立されたセッションによって使用されている帯域幅は、セッションの開始と終了の時点で更新されます。使用可能な帯域幅を超えた新しいセッションの確立試行はブロックされます。異なるタイプのデバイスおよびアプリケーションの場合、使用可能な帯域幅の量は独立して追跡できます。たとえば、帯域幅の独立トラッキングは、デスクトップ ビデオ エンドポイントと高画質ビデオ ルーム システムがビデオ メディア ストリームを送受信するために使用できます。
同じタイプのデバイスとアプリケーションが通信を送受信している場合は、各方向で同じタイプの帯域幅控除が実行されます。ただし、異なるタイプのデバイスやアプリケーションが通信を送受信している場合は、各方向で異なるタイプの帯域幅控除が実行されます。さらに、帯域幅控除は通常、量は対称で、設計によって IP ネットワークの通常の動作を反映します。その結果、異なるタイプのデバイスとアプリケーションが通信を送受信している場合、総帯域幅控除は最大で実際に使用されているネットワーク帯域幅量の 2 倍に達することがあります。帯域幅アカウンティングにおけるこの不一致によって、新しいセッションの確立試行が不必要にブロックされる場合があります。
フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能を使用すると、より有利な CAC および QoS 処理を受けるアプリケーションを優先するように帯域幅アカウンティングの不一致を調整するビデオ プロモーション ポリシーを設定できます。たとえば、デスクトップ ビデオ エンドポイントと高画質ビデオ ルーム システム間のセッションがビデオ ルーム システムを優先するように調整された場合、その後、調整はデスクトップ ビデオ エンドポイントのプロモーションと見なされます。
調整が異なるタイプのデバイスとアプリケーションの間で有効になると、帯域幅は調整によって優先されるアプリケーション タイプの分のみ控除されます。このタイプのセッションを許容するために十分な帯域幅が使用可能な場合、調整によって優先されないタイプのデバイスまたはアプリケーションは、使用している DSCP マーキングを、調整によって優先されるタイプのデバイスまたはアプリケーションで使用される DSCP マーキングに変更するように指示されます。たとえば、デスクトップ ビデオ エンドポイントが高画質ビデオ ルーム システムとのセッションでプロモートされると、帯域幅アカウンティングは、デスクトップ ビデオ エンドポイントがビデオ ルーム システムと同じタイプのアプリケーションであるかのように動作します。デスクトップ ビデオ エンドポイントは、DSCP マーキングを、ビデオ ルーム システムが使用している DSCP マーキングに変更するように指示されます。QoS 処理は双方向で一貫しており、帯域幅はビデオ ルーム システムと同じタイプのデバイスとアプリケーション間のセッション分が控除されます。デスクトップ ビデオ エンドポイントと同じタイプのデバイスとアプリケーション間のセッション分の帯域幅は控除されません。
フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能を有効にすると、Unified Communications Manager は動的にデスクトップ ビデオ デバイスに、それぞれのネゴシエートされたメディア ストリームの DSCP マーキングを示すトラフィック クラス ラベルを通知します。
リリース 11.0(1) を使用すると、SIP プロファイル内のサービス品質(QoS)の設定をカスタマイズし、ユーザに適用できます。[SIP プロファイル設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウは、次の QoS 設定で拡張されています。
SIP プロファイル内のオーディオとビデオ コール用 DSCP 値を設定し、そのプロファイルを使用する SIP 電話に適用できます。[SIP プロファイル設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウには、次のタイプのコール用にカスタム DSCP の設定が含まれています。
営業チームや CEO など、大半の従業員よりも QoS の優先順位の高い設定を必要とする一団が社内にいる場合、SIP プロファイル設定を使用して、これらのユーザのカスタム DSCP 値を設定できます。SIP プロファイル内の設定は、対応するクラス全体のサービス パラメータ設定を上書きします。
SIP コールのオーディオ ストリームとビデオ ストリームに対して、個々に UDP ポート範囲を設定できます。通常、ビデオにはオーディオよりもかなり多くの帯域幅が必要であるため、メディアのタイプごとに専用のポート範囲を使用することで、ネットワーク帯域幅の管理を簡素化できます。また、オーディオ ストリームが広帯域幅のビデオ ストリームから分離された専用チャネルを持つことを保証することにより、オーディオ ストリームの劣化を防ぐことができます。
SIP ファイルの [メディア ポート範囲(Media Port Ranges)] フィールドを設定すれば、この設定を [オーディオとビデオに個別のポート範囲(Separate Port Ranges for Audio and Video)] に適用できます。SIP プロファイルを電話に関連付けて、設定を電話に適用できます。
柔軟な DSCP とビデオ プロモーション機能では、設定するビデオ プロモーション ポリシーに基づいて、コールごとにその DSCP をマークするために、トラフィック クラス ラベル(TCL)を使用して動的に SIP エンドポイントに指示します。TCL はメディアごとに定義された SIP Session Description Protocol(SDP)属性であるため、TCL と 関連する DSCP マーキングは、ビデオ コールのオーディオ メディア回線とビデオ メディア回線とによって異なります。ビデオ コールのオーディオ ストリームとビデオ ストリームに対して、さまざまな DSCP マーキングを選択できます。
ネットワークの DSCP 値とビデオ プロモーション ポリシーを設定するには、次のタスクを実行します。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
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ステップ 1 | フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション ポリシーの設定 | 異なるタイプのビデオを処理するビデオ プロモーション ポリシーを設定します。 |
ステップ 2 | ユーザのカスタム QoS ポリシーの設定 | 社内の他のユーザよりも高いプライオリティを必要とするユーザがあれば、オーディオおよびビデオ ストリームのカスタム DSCP 値が含まれている SIP プロファイルを設定します。たとえば、社内に高い優先度を必要とする電話営業チームや CEO がいれば、そのユーザの電話にカスタマイズした SIP プロファイルを適用できます。 |
異なるビデオのタイプを処理するようにビデオ プロモーションのポリシーを設定するには、次の手順に従います。
(注) | サービス パラメータの詳細については、パラメータ名をクリックするか、[サービス パラメータの設定(Service Parameter Configuration)] ウィンドウに表示されている疑問符(?)アイコンをクリックしてください。 |
パラメータ |
説明 |
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クラスタ全体のパラメータ(システム - QoS)(Clusterwide Parameters (System - QoS)) |
サービス パラメータのこのセクションには、音声通話、ビデオ コール、ビデオ コールの音声部分、テレプレゼンス コール、テレプレゼンス コールの音声部分の DSCP を含め、広範な音声およびビデオ コール タイプのクラスタ全体の DSCP 値が含まれます。 シスコのサポート エンジニアから指示がないかぎり、これらのパラメータはデフォルト値のままにしておくことを強くお勧めします。 |
クラスタ全体のパラメータ(コール アドミッション制御)(Clusterwide Parameters (Call Admission Control)) |
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ビデオ コール QoS マーキング ポリシー(Video Call QoS Marking Policy) |
このパラメータでは、デスクトップ ビデオ エンドポイントと Cisco TelePresence イマーシブ ビデオ エンドポイント間の帯域幅割り当ての不一致を調整し、イマーシブ エンドポイントを優先する [イマーシブにプロモートする(Promote to Immersive)] ポリシーを設定できます。プロモーションが実行されると、音声およびビデオの帯域幅はイマーシブ帯域幅ポート割り当てから予約されます。[イマーシブにプロモートする(Promote to Immersive)] ポリシーは、イマーシブ ビデオ デバイスとフレキシブル DSCP マーキングをサポートするデスクトップ ビデオ デバイス間のコールに対してのみ有効です。 |
クラスタ全体のパラメータ(システム - 場所と地域)(Clusterwide Parameters (System - Location and Region)) |
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地域内のデフォルトの最大イマーシブ ビデオ コール ビット レート(オーディオ含む)(Default Intraregion Max Immersive Video Call Bit Rate (Includes Audio)) |
このパラメータは、地域自体の地域との関係について、[地域の設定(Region Configuration)] ウィンドウで [システム デフォルトを使用する(Use System Default)] オプションが [最大イマーシブ ビデオ コール ビット レート(Max Immersive Video Call Bit Rate)] として選択されている場合に、特定地域内の各イマーシブ ビデオ コールのデフォルトの最大合計ビット レートを指定します。 |
リージョン間のデフォルトの最大イマーシブ ビデオ コール ビット レート(オーディオ含む)(Default Interregion Max Video Call Bit Rate (Includes Audio)) |
このパラメータは、地域と他の地域との関係について、[地域の設定(Region Configuration)] ウィンドウで [システム デフォルトを使用する(Use System Default)] オプションが [最大イマーシブ ビデオ コール ビット レート(Max Immersive Video Call Bit Rate)] として選択されている場合に、特定地域と別の地域間での各イマーシブ ビデオ コールのデフォルトの最大合計ビット レートを指定します。 |
イマーシブ ビデオ コールにビデオ帯域幅プールを使用する(Use Video BandwidthPool for Immersive Video Calls) |
このパラメータは、Unified Communications Manager がイマーシブ ビデオ コール用にデスクトップ ビデオ帯域幅プールからの帯域幅を予約するかどうかを指定します。 |
ユーザの Quality of Service(QoS)ポリシーをセットアップするには、次のタスクを実行します。社内の一部ユーザに、他のユーザと異なる QoS 要件を使用する場合、カスタム ポリシーを適用する場合があります。たとえば、電話営業担当者または CEO です。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 | SIP プロファイルのカスタム QoS の設定 | オーディオ ストリームおよびビデオ ストリーム向けにカスタマイズされた DSCP 値と UDP ポート範囲を使用して SIP プロファイルを設定します。 |
ステップ 2 | 電話機へのカスタム QoS ポリシーの適用 | 電話に SIP プロファイルを適用します。SIP プロファイルの DSCP 設定は、DSCP のクラスタ全体のサービス パラメータ 設定よりも優先されます。 |
この SIP プロファイルを使用する電話のカスタム DSCP 値と UDP ポート範囲を設定します。次の設定を使用して、ネットワーク内の特定の電話およびユーザに適用できるカスタマイズ QoS ポリシーを設定できます。従業員や CEO などの企業内の特定のユーザに、特定の QoS 設定を適用するには、次のように行います。
DSCP 値や、音声およびビデオ メディアの UDP ポート範囲などのカスタマイズされた QoS 設定を含む SIP プロファイルを適用するには、次の手順を使用します。この SIP プロファイルを電話機に適用すると、電話機は SIP プロファイルのカスタム設定を使用します。
Device |
データのやり取り |
---|---|
SIP クラスタ間トランク |
フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能は、SIP クラスタ間トランクを介してサポートされます。 |
Skinny Client Control Protocol(SCCP)デバイス |
フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能は、SCCP デバイス向けにサポートされています。 |
パススルー MTP |
パススルー MTP がコールに挿入されている場合、Unified Communications Manager は、最初にビデオ ストリーム用にパケットを出力したエンドポイント デバイスから予期される DSCP マーキングでパケットをマークするように、MTP に通知します。コールの 2 つのエンドポイントが異なる DSCP マーキング(Cisco TelePresence イマーシブ ビデオ エンドポイントとビデオ プロモーションのないデスクトップ ビデオ エンドポイント)を使用する場合、MTP は各ストリーム方向で DSCP マーキングを維持します。 |
制約事項 |
説明 |
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トランクおよびゲートウェイ |
フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能は、H.323 トランクおよび Media Gateway Control Protocol(MGCP)ゲートウェイではサポートされません。 |
Multilevel Precedence and Preemption |
シスコは フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能を Multilevel Precedence and Preemption(MLPP)サービス コールと一緒に使用することは推奨しません。MLPP サービス機能が必要な場合、[実体験ビデオ通話(Immersive Video Calls)] サービス パラメータで、[ビデオ通話 QoS マーキング ポリシー(Video Call QoS Marking Policy)] と [ビデオ帯域幅プールを使用(Use Video BandwidthPool)] をそれぞれのデフォルト値に設定することをお勧めします。[実体験ビデオ通話(Immersive Video Calls)] サービス パラメータで、[ビデオ通話 QoS マーキング ポリシー(Video Call QoS Marking Policy)] と [ビデオ帯域幅プールを使用(Use Video BandwidthPool)] をデフォルト値に設定すると、Unified Communications Manager とエンドポイントがメディア パケットに対して MLPP DSCP マーキングを使用します。 |
SIP ビデオ エンドポイント |
フレキシブル DSCP マーキングおよびビデオ プロモーション機能は、デスクトップ SIP ビデオ エンドポイントのサポートによって異なります。現在、Cisco DX650 シリーズの SIP 電話のみが、必要なエンドポイントのサポートを提供しています。 |