IPv6 ルーティング:OSPFv3
Open Shortest Path First バージョン 3(OSPFv3)は、IPv6 と IPv4 ユニキャスト アドレス ファミリ(AF)をサポートする IPv4 および IPv6 リンクステート ルーティング プロトコルです。
IPv6 ルーティング:OSPFv3 の前提条件
-
ご使用の IPv6 ネットワークに対する OSPFv3 ネットワーク戦略と計画を完成させます。たとえば、複数のエリアが必要かどうかを決定します。
-
IPv6 ユニキャスト ルーティングをイネーブルにする。
-
インターフェイスで IPv6 をイネーブルにします。
IPv6 ルーティング:OSPFv3 の制約事項
OSPF バージョン 2 for IPv4 および OSPFv3 を使用してデュアルスタック IP ネットワークを実行している場合、OSPFv3 のイネーブル化に使用するコマンドのデフォルトを変更する際は、注意してください。これらのデフォルトを変更すると、OSPFv3 ネットワークに悪影響を及ぼすことがあります。
IPv6 ルーティングについて:OSPFv3
OSPFv3 の機能
OSPFv3 は、IPv4 および IPv6 のルーティング プロトコルです。これは、ディスタンスベクトル プロトコルではなく、リンクステート プロトコルです。リンクを、ネットワーキング デバイス上のインターフェイスとして考えます。リンクステート プロトコルは、送信元マシンと宛先マシンを接続するリンクの状態に基づいて、ルーティングの決定を行います。リンク ステートは、インターフェイスと、その隣接ネットワーキング デバイスとの関係を説明するものです。インターフェイス情報には、インターフェイスの IPv6 プレフィックス、ネットワーク マスク、接続先のネットワークのタイプ、そのネットワークに接続されているデバイスなどが含まれます。この情報は、さまざまなタイプのリンクステート アドバタイズメント(LSA)で伝播されます。
デバイスの LSA データの集まりは、リンクステート データベースに格納されます。ダイクストラ アルゴリズムが採用されている場合、データベースの内容に基づいて OSPF ルーティング テーブルが作成されます。データベースとルーティング テーブルの違いは、データベースにはすべての raw データが含まれており、ルーティング テーブルには特定のデバイス インターフェイス ポートを介した既知の宛先への最短パスのリストが含まれていることです。
OSPFv3 は、RFC 5340 に説明されているように、IPv6 および IPv4 ユニキャスト AF をサポートしています。
OSPFv3 と OSPF バージョン 2 の比較
OSPF バージョン 3 の大部分は、OSPF バージョン 2 と同じです。RFC 5340 に説明されているように、OSPFv3 では、OSPF バージョン 2 が拡張され、IPv6 ルーティング プレフィックスと、より大きなサイズの IPv6 アドレスに対するサポートが提供されています。
OSPFv3 では、ルーティング プロセスを明示的に作成する必要はありません。インターフェイスで OSPFv3 をイネーブルにすると、ルーティング プロセス(およびその関連設定)が作成されます。
OSPFv3 では、各インターフェイスはインターフェイス コンフィギュレーション モードでコマンドを使用してイネーブルにする必要があります。この機能は、デバイス コンフィギュレーション モードを使用してインターフェイスが間接的にイネーブルになる OSPF バージョン 2 とは異なります。
ノンブロードキャスト マルチアクセス(NBMA)インターフェイスを OSPFv3 で使用する場合、ネイバーのリストを使用してデバイスを手動で設定する必要があります。隣接デバイスはデバイス ID で識別されます。
IPv6 では、インターフェイスの多数のアドレス プレフィックスを設定できます。OSPFv3 では、デフォルトで、1 つのインターフェイス上のすべてのアドレス プレフィックスが組み込まれます。OSPFv3 にインポートするアドレス プレフィックスを選択することはできません。1 つのインターフェイス上のすべてのアドレス プレフィックスがインポートされるか、1 つのインターフェイス上のアドレス プレフィックスがインポートされないかのいずれかです。
OSPF バージョン 2 とは異なり、OSPFv3 の複数のインスタンスを 1 つのリンク上で実行できます。
OSPF では、自動的にループバック インターフェイスが他よりも優先されます。また、すべてのループバック インターフェイスの中で最も高位の IP アドレスが選択されます。ループバック インターフェイスが存在しない場合、デバイス内で最も高位の IP アドレスが選択されます。特定のインターフェイスを使用するように OSPF に指示することはできません。
OSPFv3 の LSA タイプ
次に、それぞれ用途の異なる LSA タイプを示します。
-
デバイス LSA(タイプ 1):エリアへのデバイスのリンクのリンク ステートとコストが説明されます。これらの LSA は、エリア内でのみフラッディングされます。この LSA は、デバイスがエリア境界ルータ(ABR)か自律システム境界ルータ(ASBR)か、およびそのルータが仮想リンクの一端であるかどうかを示します。また、タイプ 1 の LSA は、スタブ ネットワークへのアドバタイズにも使用されます。OSPFv3 では、これらの LSA はアドレス情報を持たず、ネットワークプロトコルに依存しません。OSPFv3 では、デバイス インターフェイス情報は複数のデバイス LSA 間で拡散されます。受信者は、SPF 計算の実行時に、特定のデバイスから発信されたすべてのデバイス LSA を連結する必要があります。
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ネットワーク LSA(タイプ 2):ネットワークに接続されているすべてのデバイスのリンクステートおよびコスト情報が説明されます。この LSA は、ネットワーク内のすべてのリンクステートおよびコスト情報を集約したものです。指定デバイスだけがこの情報を追跡し、ネットワーク LSA を生成できます。OSPFv3 では、ネットワーク LSA はアドレス情報を持たず、ネットワーク プロトコルに依存しません。
-
ABR のエリア間プレフィックス LSA(タイプ 3):他のエリア内のデバイス(エリア間ルート)に内部ネットワークがアドバタイズされます。タイプ 3 の LSA は、単一のネットワークを表すことも、1 つのアドバタイズメントとして集約された一連のネットワークを表すこともあります。サマリー LSA を生成するのは ABR だけです。OSPFv3 では、これらの LSA のアドレスは address, mask ではなく prefix, prefix length で表されます。デフォルト ルートは、長さが 0 のプレフィックスとして表現されます。
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ASBR のエリア間デバイス LSA(タイプ 4):ASBR のロケーションがアドバタイズされます。外部ネットワークにアクセスしようとするデバイスは、これらのアドバタイズメントを使用して、ネクスト ホップへのベスト パスを決定します。タイプ 4 LSA は、ASBR の代わりに ABR により生成されます。
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自律システム外部 LSA(タイプ 5):別の自律システムからルートを再配布します。通常は別のルーティング プロトコルから OSPFv3 に再配布します。OSPFv3 では、これらの LSA のアドレスは address , mask ではなく、prefix 、prefix length で表されます。デフォルト ルートは、長さが 0 のプレフィックスとして表現されます。
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リンク LSA(タイプ 8):ローカルリンク フラッディング スコープを持ちます。関連付けられているリンクを越えてフラッディングされることはありません。リンク LSA は、リンクに接続されている他のすべてのデバイスに対してデバイスのリンクローカル アドレスを提供し、リンクに接続されている他のデバイスに、そのリンクに関連付けるプレフィックスのリストを通知します。また、デバイスが Options ビットの集まりをアサートして、リンクの起点となるネットワーク LSA と関連付けできるようにします。
-
エリア内プレフィックス LSA(タイプ 9):デバイスは、デバイスまたは中継ネットワークごとに、それぞれ固有のリンクステート ID を持つ複数のエリア内プレフィックス LSA を発信できます。各エリア内プレフィックス LSA のリンクステート ID は、デバイス LSA またはネットワーク LSA との関連性を表し、スタブ ネットワークおよび中継ネットワークのプレフィックスを含んでいます。
新しく定義された LSA のほとんどすべてに、アドレス プレフィックスが存在します。プレフィックスは、PrefixLength、PrefixOptions、および Address Prefix の 3 つのフィールドで表現されます。OSPFv3 では、これらの LSA のアドレスは address , mask ではなく、prefix 、prefix length で表されます。デフォルト ルートは、長さが 0 のプレフィックスとして表現されます。タイプ 3 およびタイプ 9 LSA は、すべてのプレフィックス(サブネット)情報を伝送します。これは、OSPFv2 ではデバイス LSA およびネットワーク LSA に含まれます。特定の LSA(デバイス LSA、ネットワーク LSA、エリア間デバイス LSA、およびリンク LSA)の Options フィールドは、OSPFv3 をサポートするために 24 ビットに拡張されています。
OSPFv3 では、エリア間プレフィックス LSA、エリア間デバイス LSA、および自律システム外部 LSA のリンクステート ID の機能は、リンクステート データベースの個々の部分を識別することだけです。OSPF バージョン 2 ではリンクステート ID で表されたアドレスまたはデバイス ID はすべて、OSPFv3 では LSA の本体で伝送されます。
ネットワーク LSA およびリンク LSA のリンクステート ID は常に、説明されているリンク上の送信元デバイスのインターフェイス ID となります。このため、ネットワーク LSA およびリンク LSA は、サイズ制限ができない LSA だけになりました。ネットワーク LSA は、リンクに接続されているすべてのデバイスをリストする必要があります。リンク LSA は、リンクのデバイスのアドレス プレフィックスのすべてをリストする必要があります。
OSPFv3 の NBMA
NBMA ネットワークでは、指定ルータ(DR)または Backup DR(BDR)が LSA フラッディングを実行します。ポイントツーポイントネットワークでは、フラッディングはインターフェイスからネイバーに直接送信されるだけです。
共通セグメントを共有するデバイス(2 つのインターフェイス間のレイヤ 2 リンク)は、そのセグメント上でネイバー同士となります。OSPFv3 は、Hello プロトコルを使用して、各インターフェイスから定期的に hello パケットを送信します。デバイスがネイバーの Hello パケット内に自身がリストされていることを認識すると、それらのルータはネイバー同士となります。2 つのデバイスがネイバーになると、データベースの交換や同期化を行うことができるようになります。これにより、隣接が作成されます。すべてのネイバー デバイスが隣接関係を持っているわけではありません。
ポイントツーポイント ネットワークおよびポイントツーマルチポイント ネットワーク上では、ソフトウェアによってルーティング アップデートがすぐ隣のネイバーにフラッディングされます。DR も BDR もないため、すべてのルーティング情報が各ネットワーキング デバイスにフラッディングされます。
ブロードキャストまたは NBMA セグメント上でのみ、OSPFv3 は、1 つのデバイスを DR に、もう 1 つのデバイスを BDR に選択することで、セグメント上で交換される情報量を最小化します。このため、セグメント上のデバイスには、情報交換のための中央接続ポイントがあります。各デバイスは、セグメント上の他の各デバイスとルーティング アップデートを交換するのではなく、DR および BDR と情報を交換します。DR および BDR は、情報を他のデバイスに中継します。
ソフトウェアによってセグメント上の各デバイスの優先度が確認され、DR および BDR となるデバイスが決定されます。最も高い優先度のデバイスが DR として選択されます。優先度が同じ場合、よりの高位デバイス ID を持つルータが優先されます。DR が選択されると、BDR も同様の方法で選択されます。優先度が 0 に設定されているデバイスは、DR または BDR になる資格がありません。
OSPFv3 で NBMA を使用する場合は、自動的にネイバーを検出できません。NBMA インターフェイスで、インターフェイス コンフィギュレーション モードを使用して、手動でネイバーを設定する必要があります。
OSPFv3 でのロード バランシング
デバイスは、複数のルーティング プロセス(またはルーティング プロトコル)を使用して特定のネットワークへの複数のルートを認識すると、最短のアドミニストレーティブ ディスタンスを持つルートをルーティング テーブルにインストールします。同じアドミニストレーティブ ディスタンスを持つ同じルーティング プロセスを介して認識された多数のルートから、1 つのルートを選択する必要があることもあります。この場合、デバイスはその宛先へのコスト(またはメトリック)が最も小さいパスを選択します。各ルーティング プロセスはコストをそれぞれの方法で計算します。コストは、ロード バランシングを実現するために処理が必要なこともあります。
OSPFv3 では、次の方法でロード バランシングが自動的に実行されます。OSPFv3 により、複数のインターフェイスを通って宛先に到達できること、および各パスのコストが同じであることが検出された場合は、ルーティング テーブルに各パスがインストールされます。同じ宛先へのパスの数は、maximum-paths コマンドを指定しないかぎり制限されません。デフォルトの最大パスは 32 です。有効範囲は 1 ~ 32 です。
OSPFv3 にインポートされるアドレス
OSPFv3 が実行されているインターフェイスで指定されているアドレス セットを OSPFv3 にインポートする場合、特定のアドレスを選択してインポートすることはできません。すべてのアドレスがインポートされるか、いずれのアドレスもインポートされないかのどちらかです。
OSPFv3 のカスタマイゼーション
ネットワークに合わせて OSPFv3 をカスタマイズできますが、多くの場合、その必要はありません。OSPFv3 のデフォルトは、ほとんどのカスタマーや機能の要件を満たすように設定されています。デフォルトを変更する必要がある場合は、IPv6 コマンド リファレンスを参照して、適切な構文を確認してください。
注意 |
デフォルトを変更する際は、注意してください。デフォルトを変更すると、OSPFv3 ネットワークに悪影響を及ぼすことがあります。 |
OSPFv3 コスト計算
コスト コンポーネントは急速に変更される可能性があるため、変更量を低減してネットワーク全体の変動を小さくする必要があることがあります。次の 2 番目の表の S2、S3、および S4 の推奨値は、ネットワークの変更率を抑えるためのネットワーク シミュレーションに基づいています。S1 の推奨値は 0 です。この変数がルート コスト計算から除外されるようにするためです。
全体的なリンク コストは次の表の式を使用して計算されます。
次の表に、OSPFv3 コスト計算で使用される記号を定義します。
コスト コンポーネント |
コンポーネント定義 |
---|---|
OC |
デフォルトの OSPFv3 コスト。参照帯域幅から reference_bw / (MDR*1000) を使用して計算します。ここでは、eference_bw=10^8 です。 |
A ~ D |
ラジオ固有のデータベースのさまざまな式。0 ~ 64,000 の範囲の結果が生成されます。 |
A |
CDR 関連および MDR 関連の式: (2^16 * (100 – (CDR * 100 / MDR)))/100 |
B |
リソース関連の式: ((100 – RESOURCES)^3 * 2^16 / 10^6) |
C |
ラジオにより報告される遅延。報告される時点で、すでに 0 ~ 64,000 の範囲です(LATENCY)。 |
D |
RLF 関連の式: ((100 – RLF) * 2^16)/100 |
S1 ~ S4 |
CLI から入力されるスカラ重み付け係数。これらのスカラは、A ~ D により計算された値を縮小します。 あるコンポーネントに対し、0 の値は 0~ 64,000 の全範囲を無効にし、100 の値は有効にします。 |
各ネットワークには固有の特性があり、実際のネットワーク パフォーマンスを最適化するには、それぞれに異なる設定が必要です。したがって、これらが OSPFv3 ネットワークを最適化するための開始点としての推奨値です。次の表に、OSPFv3 コスト メトリックの推奨値のリストを示します。
設定 |
メトリックの説明 |
デフォルト値 |
推奨値 |
---|---|---|---|
S1 |
ipv6 ospf dynamic weight throughout |
100 |
0 |
S2 |
ipv6 ospf dynamic weight resources |
100 |
29 |
S3 |
ipv6 ospf dynamic weight latency |
100 |
29 |
S4 |
ipv6 ospf dynamic weight L2 factor |
100 |
29 |
次のリストで示すように、この式を使用してデフォルトのパス コストが計算されています。これらの値が使用しているネットワークに適していない場合は、独自のパス コストの計算方法を使用できます。
-
56-kbps シリアル リンク:デフォルトのコストは 1785 です。
-
64-kbps シリアル リンク:デフォルトのコストは 1562 です。
-
T1(1.544-Mbps シリアル リンク):デフォルトのコストは 64 です。
-
E1(2.048-Mbps シリアル リンク):デフォルトのコストは 48 です。
-
4-Mbps トークン リング:デフォルトのコストは 25 です。
-
イーサネット:デフォルトのコストは 10 です。
-
16-Mbps トークン リング:デフォルトのコストは 6 です。
-
FDDI:デフォルトのコストは 1 です。
-
X25:デフォルトのコストは 5208 です。
-
非同期:デフォルトのコストは 10,000 です。
-
ATM:デフォルトのコストは 1 です。
OSPFv3 の強制的な SPF
clear ipv6 ospf コマンドとともに process キーワードが使用される場合、OSPFv3 データベースのクリアおよび再入力の後に、SPF アルゴリズムが実行されます。force-spf キーワードを clear ipv6 ospf コマンドで使用すると、SPF アルゴリズムが実行される前に OSPFv3 データベースはクリアされません。
OSPFv3 でのロード バランシングの設定方法
OSPFv3 デバイス プロセスの設定
ステップ 3 を完了し、OSPFv3 ルータ コンフィギュレーション モードを開始したら、必要に応じてこの作業の以降のステップを任意に設定して、OSPFv3 デバイス コンフィギュレーションを実行します。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router ospfv3 [process-id ] 例:
|
IPv4 または IPv6 アドレス ファミリのルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
area area-ID [default-cost | nssa | stub ] 例:
|
OSPFv3 エリアを設定します。 |
ステップ 5 |
auto-cost reference-bandwidth Mbps 例:
|
IPv4 OSPFv3 プロセスで、インターフェイスのメトリックを計算する際に OSPFv3 で使用される基準値を制御します。 |
ステップ 6 |
default {area area-ID [range ipv6-prefix | virtual-link router-id ]} [default-information originate [always | metric | metric-type | route-map ] | distance | distribute-list prefix-list prefix-list-name {in | out } [interface ] | maximum-paths paths | redistribute protocol | summary-prefix ipv6-prefix ] 例:
|
OSPFv3 パラメータをデフォルト値に戻します。 |
ステップ 7 |
ignore lsa mospf 例:
|
デバイスが LSA タイプ 6 Multicast OSPFv3 パケットを受信した場合の syslog メッセージの送信を抑制します(LSA タイプ 6 Multicast OSPFv3 はサポートされていません)。 |
ステップ 8 |
interface-id snmp-if-index 例:
|
IPv4 および IPv6 の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)MIB-II インターフェイス インデックス(ifIndex)ID 番号を使用して OSPFv3 インターフェイスを設定します。 |
ステップ 9 |
log-adjacency-changes [detail ] 例:
|
OSPFv3 ネイバーが起動または停止したときに、デバイスが syslog メッセージを送信するように設定します。 |
ステップ 10 |
passive-interface [default | interface-type interface-number ] 例:
|
IPv4 OSPFv3 プロセスを使用しているときに、インターフェイスのルーティング アップデートの送信を抑制します。 |
ステップ 11 |
queue-depth {hello | update } {queue-size | unlimited } 例:
|
IPv4 OSPFv3 プロセスのキューに保持できる着信パケット数を設定します。 |
ステップ 12 |
router-id router-id 例:
|
固定ルータ ID を使用するには、次のコマンドを入力します。 |
OSPFv3 への NBMA インターフェイスの設定
NBMA インターフェイスを使用するように、ネットワークの OSPFv3 をカスタマイズできます。OSPFv3 では、NBMA インターフェイス上でネイバーを自動的に検出できません。NBMA インターフェイスで、インターフェイス コンフィギュレーション モードを使用して、手動でネイバーを設定する必要があります。
始める前に
NBMA インターフェイスを設定する前に、次の作業を実行する必要があります。
-
ネットワークを NBMA ネットワークとして設定する。
-
各ネイバーを識別する。
(注) |
|
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
interface type number 例: |
インターフェイスのタイプと番号を指定し、デバイスをインターフェイス コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 4 |
ipv6 enable 例:
|
インターフェイス上で IPv6 を有効にします。 |
ステップ 5 |
ipv6 ospf neighbor ipv6-address [ priority number ] [poll-interval seconds ] [ cost number ] [database-filter all out ] 例:
|
OSPFv3 ネイバー デバイスを設定します。 |
SPF 計算の強制実行
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
clear ospfv3 [process-id ] force-spf 例:
|
OSPFv3 プロセスに対して SPF 計算を実行します。
|
ステップ 3 |
clear ospfv3 [process-id ] process 例:
|
OSPFv3 プロセスをリセットします。
|
ステップ 4 |
clear ospfv3 [process-id ] redistribution 例:
|
OSPFv3 ルート再配布をクリアします。
|
ステップ 5 |
clear ipv6 ospf [process-id ] {process | force-spf | redistribution} 例:
|
OSPFv3 ルーティング プロセス ID に基づいて OSPFv3 状態をクリアし、SPF アルゴリズムを強制的に開始します。
|
OSPFv3 の設定と動作の確認
この作業は任意です。また、これらのコマンドは、必要に応じて任意の順序で入力できます。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] border-routers 例:
|
ABR および ASBR への内部 OSPFv3 ルーティング テーブル エントリを表示します。 |
ステップ 3 |
show ospfv3 [process-id [area-id ]] [address-family ] database [database-summary | internal | external [ipv6-prefix ] [link-state-id ] | grace | inter-area prefix [ipv6-prefix | link-state-id ] | inter-area router [destination-router-id | link-state-id ] | link [interface interface-name | link-state-id ] | network [link-state-id ] | nssa-external [ipv6-prefix ] [link-state-id ] | prefix [ref-lsa {router | network } | link-state-id ] | promiscuous | router [link-state-id ] | unknown [{area | as | link } [link-state-id ]] [adv-router router-id ] [self-originate ] 例:
|
特定のデバイスの OSPFv3 データベースに関する情報のリストを表示します。 |
ステップ 4 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] events [generic | interface | lsa | neighbor | reverse | rib | spf ] 例:
|
OSPFv3 イベントについての詳細情報を表示します。 |
ステップ 5 |
show ospfv3 [process-id ] [area-id ] [address-family ] flood-list interface-type interface-number 例:
|
インターフェイス上でのフラッディングを待機している OSPFv3 LSA のリストを表示します。 |
ステップ 6 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] graceful-restart 例:
|
OSPFv3 グレースフル リスタートの情報を表示します。 |
ステップ 7 |
show ospfv3 [process-id ] [area-id ] [address-family ] interface [type number ] [brief ] 例:
|
OSPFv3 関連のインターフェイス情報を表示します。 |
ステップ 8 |
show ospfv3 [process-id ] [area-id ] [address-family ] neighbor [interface-type interface-number ] [neighbor-id ] [detail ] 例:
|
OSPFv3 ネイバー情報をインターフェイスごとに表示します。 |
ステップ 9 |
show ospfv3 [process-id ] [area-id ] [address-family ] request-list [neighbor ] [interface ] [interface-neighbor ] 例:
|
デバイスで要求されるすべての LSA のリストを表示します。 |
ステップ 10 |
show ospfv3 [process-id ] [area-id ] [address-family ] retransmission-list [neighbor ] [interface ] [interface-neighbor ] 例:
|
再送信を待機しているすべての LSA のリストを表示します。 |
ステップ 11 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] statistic [detail ] 例:
|
OSPFv3 SPF 計算の統計情報を表示します。 |
ステップ 12 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] summary-prefix 例:
|
OSPFv3 プロセスで設定されているサマリー アドレスのすべての再配布情報のリストを表示します。 |
ステップ 13 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] timers rate-limit 例:
|
レート リミット キュー内のすべての LSA を表示します。 |
ステップ 14 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] traffic [interface-type interface-number ] 例:
|
OSPFv3 トラフィック統計情報を表示します。 |
ステップ 15 |
show ospfv3 [process-id ] [address-family ] virtual-links 例:
|
OSPFv3 仮想リンクのパラメータと現在の状態を表示します。 |
OSPFv3 でのロード バランシングの設定例
例:OSPFv3 デバイス プロセスの設定
Device# show ospfv3 database
OSPFv3 Device with ID (172.16.4.4) (Process ID 1)
Device Link States (Area 0)
ADV Device Age Seq# Fragment ID Link count Bits
172.16.4.4 239 0x80000003 0 1 B
172.16.6.6 239 0x80000003 0 1 B
Inter Area Prefix Link States (Area 0)
ADV Device Age Seq# Prefix
172.16.4.4 249 0x80000001 FEC0:3344::/32
172.16.4.4 219 0x80000001 FEC0:3366::/32
172.16.6.6 247 0x80000001 FEC0:3366::/32
172.16.6.6 193 0x80000001 FEC0:3344::/32
172.16.6.6 82 0x80000001 FEC0::/32
Inter Area Device Link States (Area 0)
ADV Device Age Seq# Link ID Dest DevID
172.16.4.4 219 0x80000001 50529027 172.16.3.3
172.16.6.6 193 0x80000001 50529027 172.16.3.3
Link (Type-8) Link States (Area 0)
ADV Device Age Seq# Link ID Interface
172.16.4.4 242 0x80000002 14 PO4/0
172.16.6.6 252 0x80000002 14 PO4/0
Intra Area Prefix Link States (Area 0)
ADV Device Age Seq# Link ID Ref-lstype Ref-LSID
172.16.4.4 242 0x80000002 0 0x2001 0
172.16.6.6 252 0x80000002 0 0x2001 0
Device# show ospfv3 neighbor
OSPFv3 Device with ID (10.1.1.1) (Process ID 42)
Neighbor ID Pri State Dead Time Interface ID Interface
10.4.4.4 1 FULL/ - 00:00:39 12 vm1
OSPFv3 Device with ID (10.2.1.1) (Process ID 100)
Neighbor ID Pri State Dead Time Interface ID Interface
10.5.4.4 1 FULL/ - 00:00:35 12 vm1
例:NBMA インターフェイスの設定
次に、IPv6 アドレスが FE80::A8BB:CCFF:FE00:C01 の OSPFv3 のネイバー デバイスを設定する例を示します。
ipv6 enable
ipv6 ospf neighbor FE80::A8BB:CCFF:FE00:C0
例:SPF 設定の強制実行
次に、SPF をトリガーして、SPF を再実行し、ルーティング テーブルに値を再入力する例を示します。
clear ipv6 ospf force-spf
その他の参考資料
関連資料
関連項目 |
マニュアル タイトル |
---|---|
IPv6 アドレッシングと接続 |
『IPv6 Configuration Guide』 |
Cisco IOS コマンド |
|
IPv6 コマンド |
|
Cisco IOS IPv6 機能 |
|
IPv6 ルーティング:OSPFv3 |
『Configuring OSPF module』 |
標準および RFC
標準/RFC |
タイトル |
---|---|
IPv6 に関する RFC |
IPv6 RFCs |
MIB
MIB |
MIB のリンク |
---|---|
選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、およびフィーチャ セットに関する MIB を探してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
シスコのテクニカル サポート
説明 |
リンク |
---|---|
★枠で囲まれた Technical Assistance の場合★右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。これらのリソースは、ソフトウェアをインストールして設定したり、シスコの製品やテクノロジーに関する技術的問題を解決したりするために使用してください。この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
IPv6 ルーティング:OSPFv3 の機能情報
次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
機能名 |
リリース |
機能情報 |
---|---|---|
IPv6 ルーティング:OSPFv3 |
Cisco IOS リリース 15.2(6)E |
OSPF バージョン 3 for IPv6 では、OSPF バージョン 2 が拡張され、IPv6 ルーティング プレフィックスと、より大きなサイズの IPv6 アドレスに対するサポートが提供されています。 |