オブジェクト トラッキングの設定

この章では、Cisco NX-OS スイッチ上でオブジェクト トラッキングを設定する方法について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

オブジェクト トラッキングについて

オブジェクト トラッキングを使用すると、インターフェイス ライン プロトコル ステート、IP ルーティング、ルート到達可能性などの、スイッチ上の特定のオブジェクトをトラッキングし、トラッキング対象オブジェクトのステートが変化したときに対処できます。この機能により、ネットワークのアベイラビリティが向上し、オブジェクトがダウンした場合のリカバリ時間が短縮されます。

オブジェクト トラッキングの概要

オブジェクト トラッキング機能を使用すると、トラッキング対象オブジェクトを作成できます。複数のクライアントでこのオブジェクトを使用し、トラッキング対象オブジェクトが変化したときのクライアント動作を変更できます。複数のクライアントがそれぞれの関心をトラッキング プロセスに登録し、同じオブジェクトをトラッキングし、オブジェクトのステートが変化したときに異なるアクションを実行します。

クライアントには次の機能が含まれます。

  • ホットスタンバイ冗長プロトコル(HSRP)

  • 仮想ルータ冗長プロトコル(VRRP)

  • Embedded Event Manager(EEM)

オブジェクト トラッキングは、トラッキング対象オブジェクトのステータスをモニタし、変更があった場合は関係クライアントに伝えます。各トラッキング対象オブジェクトは、一意の番号で識別します。クライアントはこの番号を使用して、トラッキング対象オブジェクトのステートが変化したときに実行するアクションを設定できます。

Cisco NX-OS がトラッキングするオブジェクト タイプは、次のとおりです。

  • インターフェイス ライン プロトコル ステート:ライン プロトコル ステートがアップまたはダウンかどうかをトラッキングします。

  • インターフェイス IP ルーティング ステート:インターフェイスに IPv4 アドレスが設定されていて、IPv4 ルーティングがイネーブルでアクティブかどうかをトラッキングします。

  • IP ルート到達可能性:IPv4 ルートが存在していて、ローカル スイッチから到達可能かどうかをトラッキングします。

たとえば、HSRP を設定すると、冗長ルータの 1 つをネットワークの他の部分に接続するインターフェイスのライン プロトコルをトラッキングできます。そのリンクがダウンした場合、影響のある HSRP ルータのプライオリティを変更できます。

オブジェクト トラッキング リスト

オブジェクト トラッキング リストを使用すると、複数のオブジェクトのステートをまとめてトラッキングできます。オブジェクト トラッキング リストは次の機能をサポートします。

  • ブール「and」機能:トラッキング リスト オブジェクトがアップになるには、トラッキング リスト内に定義された各オブジェクトがアップ状態である必要があります。

  • ブール「or」機能:トラッキング対象オブジェクトがアップになるには、トラッキング リスト内に定義された少なくとも 1 つのオブジェクトがアップ状態である必要があります。

  • しきい値パーセンテージ:トラッキング対象リストに含まれるアップ オブジェクトのパーセンテージが、アップ状態になるトラッキング リストの設定されたアップしきい値を上回っている必要があります。トラッキング対象リストに含まれるダウン オブジェクトのパーセンテージが設定されたトラッキング リストのダウンしきい値を上回っている場合、トラッキング対象リストはダウンとしてマークされます。

  • しきい値の重み:トラッキング対象リスト内の各オブジェクトに重み値を割り当て、トラッキング リストに重みしきい値を割り当てます。すべてのアップ オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストの重みアップしきい値を超えている場合、トラッキング リストはアップ状態になります。すべてのダウン オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストの重みダウンしきい値を超えている場合、トラッキング リストはダウン状態になります。

トラックリストの詳細については、「ブール式によるオブジェクトトラックリストの設定」を参照してください。

仮想化のサポート

オブジェクト トラッキングは仮想ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスをサポートします。デフォルトでは、特に別の VRF を設定しない限り、Cisco NX-OS はユーザーをデフォルトの VRF に配置します。Cisco NX-OS はデフォルトで、デフォルト VRF のオブジェクトのルート到達可能ステートをトラッキングします。別の VRF のオブジェクトをトラッキングする場合は、オブジェクトをその VRF のメンバとして設定する必要があります(「デフォルト以外の VRF に対してオブジェクト トラッキングを設定する」の項を参照)。

詳細については、「レイヤ 3 仮想化の設定」を参照してください。

オブジェクト トラッキングに関する注意事項と制約事項

オブジェクト トラッキング設定時の注意事項および制約事項は、次のとおりです。

  • 最大 500 のトラッキング対象オブジェクトをサポートします。

  • イーサネット、サブインターフェイス、トンネル、ポート チャネル、ループバック インターフェイス、および VLAN インターフェイスをサポートします。

  • HSRP グループごとに 1 つのトラッキング対象オブジェクトをサポートします。

オブジェクト トラッキングのデフォルト設定

下の表に、オブジェクト トラッキング パラメータのデフォルト設定を示します。

表 1. デフォルトのオブジェクト トラッキング パラメータ

パラメータ

デフォルト

Tracked Object VRF

デフォルト VRF のメンバ

オブジェクト トラッキングの設定


(注)  


Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能に対応する Cisco NX-OS コマンドは通常使用する Cisco IOS コマンドと異なる場合があるので注意してください。


インターフェイスに対するオブジェクト トラッキングの設定

インターフェイスのライン プロトコルまたは IPv4 ルーティングの状態をトラッキングするように Cisco NX-OS を設定できます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track object-id interface interface-type number { ip routing | line-protocol }

例:

switch(config)# track 1 interface ethernet 1/2 line-protocol
switch(config-track#

インターフェイスのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。

ステップ 3

(任意) show track [ object-id ]

例:

switch(config-track)# show track 1
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 4

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

Ethernet 1/2 上でライン プロトコル ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 1 interface ethernet 1/2 line-protocol
switch(config-track)# copy running-config startup-config

Ethernet 1/2 上で IPv4 ルーティング ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 2 interface ethernet 1/2 ip routing
switch(config-track)# copy running-config startup-config

ルート到達可能性に対するオブジェクト トラッキングの設定

IP ルートの存在および到達可能性をトラッキングするように Cisco NX-OS を設定できます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track object-id ip route prefix/length reachability

例:

switch(config)# track 2 ip route 192.0.2.0/8 reachability
switch(config-track)#

ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IP のプレフィックス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。

ステップ 3

(任意) show track [ object-id ]

例:

switch(config-track)# show track 1
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 4

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、デフォルト VRF で IPv4 ルートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 4 ip route 192.0.2.0/8 reachability
switch(config-track)# copy running-config startup-config

ブール式を含むオブジェクト トラッキング リストの設定

複数のトラッキング対象オブジェクトを含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。ブール式では、「and」または「or」演算子を使用して 2 種類の演算を実行できます。たとえば、「and」演算子を使用して 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、「アップ」は両方のインターフェイスがアップであることを意味し、「ダウン」はどちらかのインターフェイスがダウンであることを意味します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track track-number list boolean { and | or }

例:

switch(config)# track 1 list boolean and
switch(config-track#

トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング設定モードを開始します。トラッキング対象リストのステートがブール式に基づいて決まることを指定します。キーワードは次のとおりです。

  • and :すべてのオブジェクトがアップである場合にリストがアップになり、1 つ以上のオブジェクトがダウンの場合にリストがダウンになることを指定します。たとえば 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、アップは両方のインターフェイスがアップ状態であることを表し、ダウンはいずれかのインターフェイスがダウン状態であることを表します。

  • or :少なくとも 1 つのオブジェクトがアップであればリストがアップになるように指定します。たとえば 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、アップはいずれか一方のインターフェイスがアップ状態であることを意味し、ダウンは両方のインターフェイスがダウン状態であることを意味します。

track-number の範囲は 1 ~ 500 です。

ステップ 3

object object-id [ not ]

例:

switch(config-track)# object 10

トラッキング リストにトラッキング対象オブジェクトを追加します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。オプションの not キーワードを指定すると、トラッキング対象オブジェクトのステートが否定されます。

(注)  

 

例では、オブジェクト 10 がアップのときに、トラッキング対象リストがオブジェクト 10 をダウンとして検出します。

ステップ 4

(任意) show track

例:

switch(config-track)# show track
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、複数のオブジェクトを含むトラッキング リストをブール「and」で設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list boolean and
switch(config-track)# object 10
switch(config-track)# object 20 not

パーセンテージしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストの設定

パーセンテージしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。トラッキング リストがアップ状態になるには、アップ オブジェクトのパーセンテージがトラッキング リストに設定されたパーセントしきい値を超えている必要があります。たとえば、追跡対象リストに 3 つのオブジェクトが含まれており、アップしきい値を 60 % に設定した場合は、2 つのオブジェクト(全オブジェクトの 66 %)がアップ状態になるまで、追跡リストがアップ状態になりません。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track track-number list threshold percentage

例:

switch(config)# track 1 list threshold percentage
switch(config-track#

トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング設定モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値パーセントに基づいて決まることを指定します。

track-number の範囲は 1 ~ 500 です。

ステップ 3

threshold percentage up up-value down down-value

例:

switch(config-track)# threshold percentage up 70 down 30

トラッキング対象リストのしきい値パーセントを設定します。指定できる範囲は 0 ~ 100% です。

ステップ 4

(任意) object [ object-id ]

例:

switch(config-track)# object 10
(任意)

トラッキング リストにトラッキング対象オブジェクトを追加します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。

ステップ 5

(任意) show track

例:

switch(config-track)# show track
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、アップしきい値が 70 % でダウンしきい値が 30 % の追跡リストを設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list threshold percentage
switch(config-track)# threshold percentage up 70 down 30
switch(config-track)# object 10
switch(config-track)# object 20
switch(config-track)# object 30

重みしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストの設定

重みしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。トラッキング リストがアップ ステートになるには、アップ オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストに設定されたアップ重みしきい値を超えている必要があります。たとえば、トラッキング対象リストに重み値がデフォルトの 10 である 3 つのオブジェクトがあり、アップしきい値を 15 に設定した場合、トラッキング リストがアップ状態になるには、2 つのオブジェクトがアップ状態になる(重み値の合計が 20 になる)必要があります。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track track-number list threshold weight

例:

switch(config)# track 1 list threshold weight
switch(config-track#

トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング設定モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値重みに基づいて決まることを指定します。

track-number の範囲は 1 ~ 500 です。

ステップ 3

threshold weight up up-value down down-value

例:

switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10

トラッキング対象リストのしきい値重みを設定します。指定できる範囲は 1 ~ 255 です。

ステップ 4

object object-id weight value

例:

switch(config-track)# object 10 weight 15

トラッキング リストにトラッキング対象オブジェクトを追加します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。value の範囲は 1 ~ 255 です。デフォルトの重み値は 10 です。

ステップ 5

(任意) show track

例:

switch(config-track)# show track 
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、トラッキング リストのアップ重みしきい値を 30、ダウンしきい値を 10 にそれぞれ設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list threshold weight
switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10
switch(config-track)# object 10 weight 15
switch(config-track)# object 20 weight 15
switch(config-track)# object 30
 

この例では、オブジェクト 10 とオブジェクト 20 がアップの場合にトラッキング リストがアップになり、3 つのオブジェクトがすべてダウンの場合にトラッキング リストがダウンになります。

オブジェクト トラッキングの遅延の設定

トラッキング対象オブジェクトまたはオブジェクト トラッキング リストに対して、オブジェクトまたはリストがステートの変化を開始したときに適用する遅延を設定できます。トラッキング対象オブジェクトまたはトラッキング リストは、ステートの変化が発生したときに遅延タイマーを開始しますが、遅延タイマーが切れるまでステートの変化を認識しません。遅延タイマーが切れると、Cisco NX-OS は再びオブジェクトのステートを確認し、オブジェクトまたはリストが現在も変更されたステートのままだった場合にだけステートの変化を記録します。オブジェクト トラッキングは遅延タイマーが切れる前の中間的なステートの変化を無視します。

たとえば、インターフェイス ライン プロトコルのトラッキング対象オブジェクトがアップ ステートであり、ダウン遅延が 20 秒に設定されている場合は、ライン プロトコルがダウンになると遅延タイマーが開始します。20 秒後にライン プロトコルがダウンになっていなければ、このオブジェクトはダウン ステートになりません。

トラッキング対象オブジェクトまたはトラッキング リストには、独立したアップ遅延とダウン遅延を設定できます。遅延を削除すると、オブジェクト トラッキングからアップ遅延とダウン遅延の両方が削除されます。

遅延は任意の時点で変更できます。オブジェクトまたはリストがトリガーされたイベントから遅延タイマーをすでにカウントしている場合は、次のようにして新しい遅延が計算されます。

  • 新しい設定値が古い設定値より小さい場合は、新しい値でタイマーが開始します。

  • 新しい設定値が古い設定値より大きい場合は、新しい設定値から現在のタイマーのカウントダウンを引き、古い設定値を引いたものがタイマーになります。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track object- id { parameters }

例:

switch(config)# track 2 ip route 192.0.2.0/8 reachability
switch(config-track)#

ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IP のプレフィックス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。

ステップ 3

track track-number list{ parameters }

例:

switch(config)# track 1 list threshold weight
switch(config-track#

トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング設定モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値重みに基づいて決まることを指定します。

track-number の範囲は 1 ~ 500 です。

ステップ 4

delay { up up-time [down down-time ] | down down-time [ up up-time]}

例:

switch(config-track)# delay up 20 down 30

オブジェクトの遅延タイマーを設定します。指定できる範囲は 0 ~ 180 秒です。

ステップ 5

(任意) show track

例:

switch(config-track)# show track 
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、遅延タイマーを使用する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 2 ip route 209.165.201.0/8 reachability
switch(config-track)# delay up 20 down 30
switch(config-track)# copy running-config startup-config

次に、トラッキング リストのアップ重みしきい値を 30、ダウンしきい値を 10 にそれぞれ設定し、遅延タイマーを使用する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list threshold weight
switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10
switch(config-track)# object 10 weight 15
switch(config-track)# object 20 weight 15
switch(config-track)# object 30
switch(config-track)# delay up 20 down 30

次に、インターフェイスがシャットダウンする前後の show track コマンドの出力に表示された遅延タイマーの例を示します。

switch(config-track)# show track
Track 1
Interface loopback1 Line Protocol
Line Protocol is UP
1 changes, last change 00:00:13
Delay down 10 secs
 
switch(config-track)# interface loopback 1
switch(config-if)# shutdown
switch(config-if)# show track
Track 1
Interface loopback1 Line Protocol
Line Protocol is delayed DOWN (8 secs remaining)<------- delay timer counting down
1 changes, last change 00:00:22
Delay down 10 secs

非デフォルト VRF に対するオブジェクト トラッキングの設定

特定の VRF でオブジェクトをトラッキングするように Cisco NX-OS を設定できます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

track object-id ip route prefix/length reachability

例:

switch(config)# track 2 ip route 192.0.2.0/8 reachability
switch(config-track)#

ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IP のプレフィックス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。

ステップ 3

vrf member vrf-name

例:

switch(config-track)# vrf member Red

設定されたオブジェクトのトラッキングに使用する VRF を設定します。

ステップ 4

(任意) show track [ object-id ]

例:

switch(config-track)# show track 3
(任意)

オブジェクトのトラッキング情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-track)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、VRF Red を使用して、そのオブジェクトの到達可能性情報を調べる例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 2 ip route 209.165.201.0/8 reachability
switch(config-track)# vrf member Red
switch(config-track)# copy running-config startup-config

次に、トラッキング対象オブジェクト 2 を変更して、VRF Red の代わりに VRF Blue を使用してこのオブジェクトの到達可能性情報を調べるようにする例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# track 2
switch(config-track)# vrf member Blue
switch(config-track)# copy running-config startup-config

オブジェクト トラッキングの設定の確認

オブジェクト トラッキングの設定情報を表示するには、次のいずれかの作業を行います。

コマンド

目的

show track [ object-id ] [ brief ]

1 つまたは複数のオブジェクトについて、オブジェクト トラッキング情報を表示します。

show track [ object-id ] interface [brief ]

インターフェイスベースのオブジェクト トラッキング情報を表示します。

show track [ object-id ] ip-route [brief ]

IPv4 ルートベースのオブジェクト トラッキング情報を表示します。

オブジェクト トラッキングの設定例

次の例は、ルート到達可能性に対してオブジェクト トラッキングを設定し、VRF Red を使用してルートの到達可能性情報を調べる方法を示しています。

switch# configure terminal
switch(config)# track 2 ip route 209.165.201.0/8 reachability
switch(config-track)# vrf member Red
switch(config-track)# copy running-config startup-config
 

その他の参考資料

オブジェクト トラッキングの実装に関連する詳細情報については、次の項を参照してください。

標準

標準

タイトル

この機能でサポートされる新規の標準または変更された標準はありません。また、既存の標準のサポートは変更されていません。