Rackspace Cloud への ASA 仮想 の導入

Rackspace Cloud に ASA 仮想 を導入できます。


重要


9.13(1) 以降では、サポートされているすべての ASA 仮想 vCPU/メモリ構成ですべての ASA 仮想 ライセンスを使用できるようになりました。これにより、ASA 仮想 を使用しているお客様は、さまざまな VM リソースフットプリントで実行できるようになります。


概要

Rackspace は、あらゆる主要なパブリックおよびプライベートクラウド テクノロジーにわたる専門知識とマネージドサービスを提供するリーディングプロバイダです。Rackspace Cloud は、ユーティリティ コンピューティング ベースで課金が行われるクラウドコンピューティング製品およびサービスのセットです。

Rackspace Cloud で ASA 仮想 for Rackspace を仮想アプライアンスとして導入できます。この章では、単一インスタンスの ASA 仮想 アプライアンスをインストールして構成する方法について説明します。

Rackspace Cloud のインスタンスタイプは、フレーバと呼ばれます。フレーバという用語は、RAM サイズ、vCPU、ネットワークスループット(RXTX ファクタ)、ディスク容量から成るサーバーの組み合わせを指します。次の表に、ASA 仮想 の導入に適した Rackspace フレーバを示します。

表 1. Rackspace でサポートされるフレーバ

フレーバ

属性

総帯域幅

vCPU

メモリ(GB)

汎用 1-2

2

2

400 Mbps

汎用 1-4

4

4

800 Mbps

汎用 1-8

8

8

1.6 Gbps

コンピューティング 1-4

2

3.75

312.5 Mbps

コンピューティング 1-8

4

7.5

625 Mbps

コンピューティング 1-15

8

15

1.3 Gbps

メモリ 1-15

2

15

625 Mbps

メモリ 1-15

4

30

1.3 Gbps

メモリ 1-15

8

60

2.5 Gbps

Rackspace のフレーバについて

Rackspace 仮想クラウドサーバーのフレーバは、次のクラスに分類されます。

  • 汎用 v1

    • 汎用ワークロードから高パフォーマンスの Web サイトまで、さまざまなユースケースに役立ちます。

    • vCPU はオーバーサブスクライブされ、「バースト可能」です。つまり、物理ホスト上のクラウドサーバーに割り当てられる vCPU の数は、物理 CPU スレッドの数よりも多くなります。

  • コンピューティング v1

    • Web サーバー、アプリケーションサーバー、およびその他の CPU 集約型のワークロード向けに最適化されています。

    • vCPU は「予約済み」です。つまり、物理ホスト上のクラウドサーバーに割り当てられる vCPU の数は、そのホスト上の物理 CPU スレッドの数よりも多くなることはありません。

  • メモリ v1

    • メモリ集約型のワークロードに推奨されます。

  • I/O v1

    • 高速ディスク I/O のメリットを得やすい高パフォーマンスのアプリケーションおよびデータベースに最適です。

前提条件

  • Rackspace アカウントを作成します。

    すべての Rackspace Public Cloud アカウントは、デフォルトで Managed Infrastructure サービスレベルに設定されます。クラウドコントロールパネル内で Managed Operations サービスレベルにアップグレードできます。クラウドコントロールパネルの上部で、アカウントのユーザー名をクリックし、[Upgrade Service Level] を選択します。

  • ASA 仮想 へのライセンス付与。ASA 仮想 にライセンスを付与するまでは、100 回の接続と 100 Kbps のスループットのみが許可される縮退モードで実行されます。「ASA 仮想 のライセンス」を参照してください。

  • インターフェイスの要件:

    • 管理インターフェイス

    • 内部および外部インターフェイス

    • (任意)追加のサブネット(DMZ)

  • 通信パス:

    • 管理インターフェイス:ASDM に ASA 仮想 を接続するために使用され、トラフィックの通過には使用できません。

    • 内部インターフェイス(必須):内部ホストに ASA 仮想 を接続するために使用されます。

    • 外部インターフェイス(必須):ASA 仮想 をパブリック ネットワークに接続するために使用されます。

    • DMZ インターフェイス(任意):DMZ ネットワークに ASA 仮想 を接続するために使用されます。

  • ASA および ASA 仮想 システムの互換性と要件については、Cisco Secure Firewall ASA の互換性 [英語] を参照してください。

Rackspace Cloud ネットワーク

クラウド構成には、必要に応じて接続された複数の種類のネットワークを含めることができます。クラウドサーバーのネットワーキング機能は、多くの場合、他のネットワークと同じ方法で管理できます。ASA 仮想 の導入では、主に、Rackspace Cloud の次の 3 種類の仮想ネットワークと情報を交換します。

  • PublicNet:クラウドサーバー、クラウドロードバランサ、ネットワークアプライアンスなどのクラウド インフラストラクチャ コンポーネントをインターネットに接続します。

    • PublicNet を使用して、ASA 仮想 をインターネットに接続します。

    • ASA 仮想 は、Management0/0 インターフェイスを介してこのネットワークに接続します。

    • PublicNet は、IPv4 と IPv6 のデュアルスタックです。PublicNet を使用してサーバーを作成すると、そのサーバーはデフォルトで IPv4 アドレスと IPv6 アドレスを受け取ります。

  • ServiceNet:各 Rackspace クラウドリージョン内の IPv4 専用の内部マルチテナントネットワーク。

    • ServiceNet は、構成内のサーバー間でトラフィック(East-West トラフィック)を伝送するように最適化されます。

    • クラウドファイル、クラウドロードバランサ、クラウドデータベース、クラウドバックアップなどのリージョン別サービスへの無料アクセスをサーバーに提供します。

    • ネットワーク 10.176.0.0/12 および 10.208.0.0/12 は ServiceNet 用に予約されています。ServiceNet 接続を備えるサーバーは、これらのネットワークのいずれかの IP アドレスを使用してプロビジョニングされます。

    • ASA 仮想 は、Gigabit0/0 インターフェイスを介してこのネットワークに接続します。

  • プライベート Cloud Networks:Cloud Networks を使用すると、クラウドで分離された安全なネットワークを作成および管理できます。

    • これらのネットワークは単一のテナントであり、ネットワークトポロジ、IP アドレッシング(IPv4 または IPv6)、および接続するクラウドサーバーを完全に制御できます。

    • Cloud Networks はリージョンを対象範囲とし、特定のリージョン内の任意のクラウドサーバーに接続できます。

    • API を介して、または Rackspace Cloud コントロールパネルを使用して、Cloud Networks を作成および管理できます。

      ASA 仮想 は、Gigabit0/1 ~ Gigabit0/8 のインターフェイスを介してこれらのネットワークに接続します。

Rackspace の第 0 日の構成

Rackspace Cloud に VM を展開すると、Rackspace のプロビジョニング情報を持つファイルを含む CD-ROM デバイスが VM に接続されます。プロビジョニング情報には次の項目があります。

  • ホスト名

  • 必要なインターフェイスの IP アドレス

  • スタティック IP ルート

  • ユーザー名とパスワード(オプションの SSH 公開キー)

  • DNS サーバー

  • NTP サーバー

これらのファイルは初期展開時に読み込まれ、ASA の構成が生成されます。

ASA 仮想 ホスト名

デフォルトでは、ASA 仮想 ホスト名は、ASA 仮想 の構築を開始するときにクラウドサーバーに割り当てる名前です。


hostname rackspace-asav

ASA ホスト名構成では、RFC 1034 および 1101 に準拠するホスト名のみ使用できます。
  • 先頭と末尾が文字または数字である必要があります。

  • 内側の文字は、文字、数字、またはハイフンである必要があります。


(注)  


ASA 仮想 では、これらのルールに準拠するように、元のクラウドサーバー名にできるだけ近い名前にクラウドサーバー名が変更されます。クラウドサーバー名の先頭と末尾に特殊文字がある場合はそれを削除し、ルールに準拠しない内側の文字をハイフンに置き換えます。

たとえば、クラウドサーバーの名前が ASAv-9.13.1.200 の場合、ホスト名は ASAv-9-13-1-200 になります。


Interfaces

インターフェイスは次のように設定されます。

  • Management0/0

    • PublicNet に接続されているため、「outside」という名前が付けられます。

    • Rackspace は、IPv4 と IPv6 の両方のパブリックアドレスを PublicNet インターフェイスに割り当てます。

  • Gigabit0/0

    • ServiceNet に接続されているため、「management」という名前が付けられます。

    • Rackspace は、Rackspace リージョンの ServiceNet サブネットから IPv4 アドレスを割り当てます。

  • Gigabit0/1 〜 Gigabit0/8

    • プライベート Cloud Networks に接続されているため、「inside」、「inside02」、「inside03」などの名前が付けられます。

    • Rackspace は、Cloud Networks サブネットから IP アドレスを割り当てます。

3 つのインターフェイスを持つ ASA 仮想 のインターフェイス構成は次のようになります。


interface GigabitEthernet0/0
 nameif management
 security-level 0
 ip address 10.176.5.71 255.255.192.0 
!
interface GigabitEthernet0/1
 nameif inside
 security-level 100
 ip address 172.19.219.7 255.255.255.0 
!
interface Management0/0
 nameif outside
 security-level 0
 ip address 162.209.103.109 255.255.255.0 
 ipv6 address 2001:4802:7800:1:be76:4eff:fe20:1763/64

スタティック ルート

Rackspace は、次のスタティック IP ルートをプロビジョニングします。

  • PublicNet インターフェイス(outside)経由のデフォルト IPv4 ルート。

  • PublicNet インターフェイス経由のデフォルト IPv6 ルート。

  • ServiceNet インターフェイス(management)上のインフラストラクチャ サブネット ルート。


route outside 0.0.0.0 0.0.0.0 104.130.24.1 1
ipv6 route outside ::/0 fe80::def
route management 10.176.0.0 255.240.0.0 10.176.0.1 1
route management 10.208.0.0 255.240.0.0 10.176.0.1 1

ログイン クレデンシャル

Rackspace によって作成されたパスワードを使用して、「admin」という名前のユーザーが作成されます。Rackspace 公開キーを使用してクラウドサーバーが展開されている場合、ユーザー「admin」の公開キーが作成されます。


username admin password <admin_password> privilege 15
username admin attributes
 ssh authentication publickey <public_key>

day0 SSH 構成:

  • PublicNet インターフェイス(outside)経由の SSH が IPv4 と IPv6 に対して有効になります。

  • ServiceNet インターフェイス(management)経由の SSH が IPv4 に対して有効になります。

  • Rackspace の要求に応じて、より強力なキー交換グループを設定します。


aaa authentication ssh console LOCAL
ssh 0 0 management
ssh 0 0 outside
ssh ::0/0 outside
ssh version 2
ssh key-exchange group dh-group14-sha1

DNS と NTP

Rackspace は、DNS と NTP に使用される 2 つの IPv4 サービスアドレスを提供します。


dns domain-lookup outside
dns server-group DefaultDNS
 name-server 69.20.0.164 
 name-server 69.20.0.196

ntp server 69.20.0.164
ntp server 69.20.0.196

ASA 仮想 の導入

Rackspace Cloud で ASA 仮想 を仮想アプライアンスとして導入できます。この手順では、単一インスタンスの ASA 仮想 アプライアンスをインストールする方法を示します。

始める前に

ホスト名の要件、インターフェイスのプロビジョニング、ネットワーク情報など、ASA 仮想 の導入を成功させるために Rackspace Cloud で有効にする構成パラメータの説明については、Rackspace の第 0 日の構成のトピックを参照してください。

手順


ステップ 1

Rackspace mycloud ポータルで、[SERVERS] > [CREATE RESOURCES] > [Cloud Server] に移動します。

ステップ 2

[Create Server] ページの [Server Details] で次のように入力します。

  1. [サーバー名(Server Name)] フィールドに ASA 仮想 マシンの名前を入力します。

  2. [Region] ドロップダウンリストからリージョンを選択します。

ステップ 3

[Image] で、[Linux/Appliances] > [ASAv] > [Version] を選択します。

(注)  

 

通常、新しい ASA 仮想 を導入する場合は、サポートされている最新バージョンを選択します。

ステップ 4

[Flavor] で、リソースのニーズに合った [Flavor Class] を選択します。適切な VM のリストについては、表 1を参照してください。

重要

 

9.13(1) 以降は、ASA 仮想 の最小メモリ要件は 2GB です。1 つ以上の vCPU を使用して ASA 仮想 を導入する場合、ASA 仮想 の最小メモリ要件は 4GB です。

ステップ 5

(オプション)[Advanced Options] で、SSH キーを設定します。

Rackspace Cloud の SSH キーの詳細については、「Managing access with SSH keys」を参照してください。

ステップ 6

ASA 仮想 の該当する [推奨のインストール(Recommended Installs)] および [項目別のチャージ(Itemized Charges)] を確認し、[サーバーの作成(Create Server)] をクリックします。

root 管理者のパスワードが表示されます。パスワードをコピーし、ダイアログを閉じます。

ステップ 7

サーバーを作成すると、サーバーの詳細ページが表示されます。サーバーのステータスがアクティブになるまで待ちます。通常、これには数分かかります。


次のタスク

  • ASA 仮想 に接続します。

  • SSH を介して入力できる CLI コマンドを使用するか、または ASDM を使用して、設定を続行します。ASDM にアクセスする手順については、「ASDM の開始」を参照してください。

CPU 使用率とレポート

CPU 使用率レポートには、指定された時間内に使用された CPU の割合の要約が表示されます。通常、コアはピーク時以外には合計 CPU 容量の約 30 ~ 40% で動作し、ピーク時は約 60 ~ 70% の容量で動作します。

ASA Virtual の vCPU 使用率

ASA Virtual の vCPU 使用率には、データパス、制御ポイント、および外部プロセスで使用されている vCPU の量が表示されます。

Rackspace で報告される vCPU 使用率には、ASA Virtual の使用率に加えて、次のものが含まれます。

  • ASA Virtual アイドル時間

  • ASA Virtual マシンに使用された %SYS オーバーヘッド

  • vSwitch、vNIC および pNIC の間を移動するパケットのオーバーヘッド。このオーバーヘッドは非常に大きくなる場合があります。

CPU 使用率の例

CPU 使用率の統計情報を表示するには、show cpu usage コマンドを使用します。

Ciscoasa#show cpu usage

CPU 使用率:5秒間で 1%、1 分間で 2%、5 分間で 1%

報告された vCPU の使用率が大幅に異なる例を次に示します。

  • ASA Virtual レポート:40%

  • DP:35%

  • 外部プロセス:5%

  • ASA(ASA Virtual レポート):40%

  • ASA アイドル ポーリング:10%

  • オーバーヘッド:45%

オーバーヘッドは、ハイパーバイザ機能の実行、および vSwitch を使用した NIC と vNIC の間のパケット転送に使用されています。

Rackspace CPU 使用率レポート

使用可能なクラウドサーバーの CPU、RAM、およびディスク容量の構成情報の表示に加えて、ディスク、I/O、およびネットワーク情報も表示できます。この情報を使用して、ニーズに適したクラウドサーバーを決定してください。コマンドライン nova クライアントまたは Cloud Control Panel インターフェイスを使用して、使用可能なサーバーを表示できます。

コマンドラインで、次のコマンドを実行します。

nova flavor-list

使用可能なすべてのサーバー構成が表示されます。リストには、次の情報が含まれています。

  • ID:サーバー構成 ID

  • 名前:RAM サイズとパフォーマンスタイプでラベル付けされた構成名

  • Memory_MB:構成の RAM の量

  • ディスク:GB 単位のディスクサイズ(汎用クラウドサーバーの場合、システムディスクのサイズ)

  • エフェメラル:データディスクのサイズ

  • スワップ:スワップ領域のサイズ

  • VCPU:構成に関連付けられた仮想 CPU の数

  • RXTX_Factor:サーバーに接続された PublicNet ポート、ServiceNet ポート、および分離されたネットワーク(クラウドネットワーク)に割り当てられる帯域幅の量(Mbps 単位)

  • Is_Public:未使用

ASA Virtual と Rackspace のグラフ

ASA Virtual と Rackspace の間には CPU % の数値に違いがあります。

  • Rackspace グラフの数値は ASA Virtual の数値よりも常に大きくなります。

  • Rackspace ではこの値は「%CPU usage」と呼ばれ、ASA Virtual ではこの値は「%CPU utilization」と呼ばれます。

用語「%CPU utilization」と「%CPU usage」は別のものを意味しています。

  • CPU utilization は、物理 CPU の統計情報を提供します。

  • CPU usage は CPU のハイパースレッディングに基づいた論理 CPU の統計情報を提供します。しかし、1 つの vCPU のみが使用されるため、ハイパースレッディングは動作しません。

Rackspace では「%CPU usage」は次のように計算されます。

アクティブに使用された仮想 CPU の量。使用可能な CPU の合計に対する割合として指定されます。

この計算は、ホストから見た CPU 使用率であり、ゲスト オペレーティング システムから見た CPU 使用率ではありません。また、これは仮想マシンで使用可能なすべての仮想 CPU の平均 CPU 使用率になります。

たとえば、1 個の仮想 CPU を搭載した 1 つの仮想マシンが、4 個の物理 CPU を搭載した 1 台のホストで実行されており、その CPU 使用率が 100% の場合、仮想マシンは、1 個の物理 CPU をすべて使用しています。仮想 CPU の使用率は、「MHz 単位の使用率 / 仮想 CPU の数 x コア周波数」として計算されます。