RIP の設定

この章では、Cisco NX-OS スイッチでの Routing Information Protocol(RIP)の設定方法について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

RIP 情報

このセクションは、次のトピックで構成されています。

RIP の概要

RIP はユーザ データグラム プロトコル(UDP)データ パケットを使用して、小規模なインターネットワークでルーティング情報を交換します。RIPv2 は IPv4 をサポートしています。RIPv2 は RIPv2 プロトコルがサポートするオプションの認証機能を使用します(「RIPv2 の認証」の項を参照)。

RIP では次の 2 種類のメッセージを使用します。

  • 要求:他の RIP 対応ルータからのルート アップデートを要求するためにマルチキャスト アドレス 224.0.0.9 に送信されます。

  • 応答:デフォルトでは 30 秒間隔で送信されます(「RIP 設定の検証」の項を参照)。ルータも、要求メッセージの受信後に応答メッセージを送信します。応答メッセージには、RIP ルート テーブル全体が含まれます。RIP ルーティング テーブルが 1 つの応答パケットに収まらない場合、RIP は 1 つの要求に対して複数の応答パケットを送信します。

RIP はルーティング メトリックとして、ホップ カウントを使用します。ホップ カウントは、パケットが宛先に到達するまでに、通過できるルータの数です。直接接続されたネットワークのメトリックは 1 です。到達不能なネットワークのメトリックは 16 です。RIP はこのようにメトリックの範囲が小さいので、大規模なネットワークに適したルーティング プロトコルではありません。

RIPv2 認証

RIP メッセージに認証を設定して、ネットワークでの不正な、または無効なルーティング更新を防止できます。Cisco NX-OS は簡易パスワードまたは MD5 認証ダイジェストをサポートしています。

認証キーのキーチェーン管理を使用することによって、インターフェイスごとに RIP 認証を設定できます。キーチェーン管理によって、MD5 認証ダイジェストまたは単純テキスト パスワード認証で使用される認証キーの変更を制御できます。キー チェーンの作成の詳細については、Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS セキュリティ構成ガイドを参照してください。

MD5 認証ダイジェストを使用するには、ローカル ルータとすべてのリモート RIP ネイバーが共有するパスワードを設定します。Cisco NX-OS は、そのメッセージ自体と暗号化されたパスワードに基づいて MD5 一方向メッセージ ダイジェストを作成し、このダイジェストを RIP メッセージ(要求または応答)とともに送信します。受信側の RIP ネイバーは、同じ暗号パスワードを使用して、ダイジェストを検証します。メッセージが変更されていない場合は、計算が一致し、RIP メッセージは有効と見なされます。

MD5 認証ダイジェストの場合はさらに、ネットワークでメッセージが再送されないように、各 RIP メッセージにシーケンス番号が組み込まれます。

Split Horizon

スプリット ホライズンを使用すると、ルートを学習したインターフェイスから RIP がルートをアドバタイズしないようにできます。

スプリット ホライズンは、RIP アップデートおよびクエリー パケットの送信を制御する方法です。インターフェイスでスプリット ホライズンをイネーブルにすると、Cisco NX-OS は、このインターフェイスから学習された宛先への更新パケットを送信しません。この方法でアップデート パケットを制御すると、ルーティング ループの発生する可能性が小さくなります。

ポイズン リバースを指定してスプリット ホライズンを使用すると、ルートを学習したインターフェイス経由では到達不能であると RIP が学習したルートをアドバタイズするように、インターフェイスを設定できます。下の図に、ポイズン リバースをイネーブルにしてスプリット ホライズンを指定した、RIP ネットワークの例を示します。

図 1. スプリット ホライズン ポイズン リバースを指定した RIP

ルータ C はルート X について学習し、そのルートをルータ B にアドバタイズします。ルータ B はルート X をルータ A にアドバタイズしますが、ルート X の到達不能アップデートをルータ C に送り返します。

デフォルトでは、スプリット ホライズンはすべてのインターフェイスでイネーブルになっています。

ルートのフィルタリング

RIP 対応インターフェイス上でルート ポリシーを設定すると、RIP アップデートをフィルタリングできます。Cisco NX-OS は、ルート ポリシーで許可されたルートだけを使用して、ルート テーブルをアップデートします。

ルート集約

指定したインターフェイスに複数のサマリー集約アドレスを設定できます。ルート集約を使用すると、固有性の強い一連のアドレスをすべての固有アドレスを代表する 1 つのアドレスに置き換えることによって、ルート テーブルを簡素化できます。たとえば、10.1.1.0/24、10.1.2.0/24、および 10.1.3.0/24 というアドレスを 1 つの集約アドレス 10.1.0.0/16 に置き換えることができます。

RIP はルーティング テーブルに含まれている固有性の強いルートが多いほど、固有性の強いルートの最大メトリックと同じメトリックのインターフェイスからのサマリー アドレスをアドバタイズします。


(注)  


Cisco NX-OS は、自動ルート集約をサポートしていません。


ルートの再配布

RIP を使用すると、スタティック ルートや他のプロトコルからのルートを再配布できます。再配布を設定するには、ルート ポリシーを使用して、RIP に渡すルートを制御します。ルート ポリシーを使用すると、宛先、送信元プロトコル、ルート タイプ、ルート タグなどの属性に基づいて、ルートをフィルタリングできます。詳細については、ルート ポリシー マネージャの構成のセクションを参照してください。

RIP ルーティング ドメインにルートを再配布しても、デフォルトでは Cisco NX-OS がそのつど、RIP ルーティング ドメインにデフォルト ルートを再配布することはありません。RIP にデフォルト ルートを生成し、ルート ポリシーでそのルートを制御できます。

RIP にインポートされたすべてのルートに使用する、デフォルトのメトリックも設定できます。

ロード バランシング

ロード バランシングを使用すると、ルータは、宛先アドレスから等距離内にあるすべてのルータのネットワーク ポートにトラフィックを分散できます。ロード バランシングは、ネットワーク セグメントの使用率を向上させ、有効ネットワーク帯域幅を増加させます。

Cisco NX-OS は、等コスト マルチパス(ECMP)機能をサポートします。RIP ルート テーブルおよびユニキャスト RIB の等コスト パスは最大 32 です。これらのパスの一部または全部でトラフィックのロード バランシングが行われるように、RIP を設定できます。

仮想化のサポート

Cisco NX-OSは、同一システム上で動作する複数の RIP プロトコル インスタンスをサポートします。RIP は仮想ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスをサポートします。

デフォルトでは、特に別の VRF を設定しない限り、Cisco NX-OS はユーザーをデフォルトの VRF に配置します。

RIP の前提条件

RIP を使用するには、次の前提条件を満たしている必要があります。

  • RIP 機能がイネーブルになっていることを確認します(RIP 機能の有効化のセクションを参照)。

RIP に関する注意事項と制約事項

RIP には、次の注意事項および制限事項があります。

  • Cisco NX-OS では、RIPv1 はサポートされていません。Cisco NX-OS は、RIPv1 パケットを受信すると、メッセージを記録してパケットをドロップします。

  • Cisco NX-OS は、RIPv1 ルータとの隣接関係を確立しません。

RIP のデフォルト設定

次の表に、RIP パラメータのデフォルト設定を示します。

表 1. デフォルトの RIP パラメータ

パラメータ

デフォルト

ロード バランシングを行う最大パス数

16

RIP 機能

ディセーブル

スプリット ホライズン

有効(Enabled)

RIP の設定


(注)  


Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能に対応する Cisco NX-OS コマンドは通常使用する Cisco IOS コマンドと異なる場合があるので注意してください。


RIP 機能のイネーブル化

RIP を設定する前に、RIP 機能をイネーブルにする必要があります。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. feature rip
  3. (任意) show feature
  4. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

feature rip

例:

switch(config)# feature rip

RIP 機能を有効にします。

ステップ 3

(任意) show feature

例:

switch(config)# show feature
(任意)

有効および無効にされた機能を表示します。

ステップ 4

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

no feature rip コマンドを使用して、RIP 機能をディセーブルにし、関連するコンフィギュレーションをすべて削除します。

コマンド

目的

no feature rip

例:

switch(config)# no feature rip

RIP 機能をディセーブルにして、関連するすべての設定を削除します。

RIP インスタンスの作成

RIP インスタンスを作成し、そのインスタンスのアドレス ファミリを設定できます。

始める前に

DHCP 機能が有効になっていることを確認します。RIP 機能の有効化のセクションを参照してください。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. router rip instance-tag
  3. address-family ipv4 unicast
  4. (任意) show ip rip [ instance instance-tag ] [ vrf vrf-name ]
  5. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

router rip instance-tag

例:

switch(config)# router RIP Enterprise
switch(config-router)#

instance-tag 値 を設定して、新しい RIP インスタンスを作成します。

ステップ 3

address-family ipv4 unicast

例:

switch(config-router)# address-family ipv4 unicast
switch(config-router-af)#

この RIP インスタンスのアドレス ファミリを設定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

(任意) show ip rip [ instance instance-tag ] [ vrf vrf-name ]

例:

switch(config-router-af)# show ip rip
(任意)

すべての RIP インスタンスの RIP 要約情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

RIP インスタンスおよび関連するすべての設定を削除する場合は、no router rip コマンドを使用します。

コマンド

目的

no router rip instance-tag

例:

switch(config)# no router rip Enterprise

RIP インスタンスおよび関連するすべての設定を削除します。


(注)  


インターフェイス モードで設定した RIP コマンドを削除することも必要です。


アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードでは、RIP に次のオプション パラメータを設定できます。

コマンド

目的

distance value

例:

switch(config-router-af)# distance 30

RIP のアドミニストレーティブ ディスタンスを設定します。範囲は 1 ~ 255 です。デフォルトは 120 です。「アドミニストレーティブ ディスタンス」のセクションを参照してください。

maximum-paths number

例:

switch(config-router-af)# maximum-paths 6

RIP がルート テーブルで維持する等コスト パスの最大数を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 32 です。デフォルトは 16 です。

次に、IPv4 に対応する RIP インスタンスを作成し、ロード バランシングのための等コスト パス数を設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# router rip Enterprise
switch(config-router)# address-family ipv4 unicast
switch(config-router-af)# max-paths 10
switch(config-router-af)# copy running-config startup-config

RIP インスタンスの再起動

RIP インスタンスの再起動が可能です。再起動すると、インスタンスのすべてのネイバーが消去されます。

RIP インスタンスを再起動し、関連付けられたすべてのネイバーを削除するには、次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

restart rip instance-tag

例:

switch(config)# restart rip Enterprise

RIP インスタンスを再起動し、すべてのネイバーを削除します。

インターフェイスでの RIP の設定

RIP インスタンスにインターフェイスを追加できます。

始める前に

RIP 機能がイネーブルになっていることを確認します(RIP 機能のイネーブル化を参照してください)。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. interface interface-type slot/port
  3. no switchport
  4. ip router rip instance-tag
  5. (任意) show ip rip [ instance instance-tag ] interface [ interface-type slot/port ] [ vrf vrf-name ] [ detail ]
  6. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

interface interface-type slot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 3

no switchport

例:

switch(config-if)# no switchport

そのインターフェイスを、レイヤ 3 ルーテッド インターフェイスとして設定します。

ステップ 4

ip router rip instance-tag

例:

switch(config-if)# ip router rip Enterprise

このインターフェイスを RIP インスタンスに関連付けます。

ステップ 5

(任意) show ip rip [ instance instance-tag ] interface [ interface-type slot/port ] [ vrf vrf-name ] [ detail ]

例:

switch(config-if)# show ip rip Enterprise tethernet 1/2
(任意)

インターフェイスの RIP 情報を表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、RIP インスタンスにインターフェイス ethernet 1/2 を追加する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)# no switchport
switch(config-if)# ip router rip Enterprise
switch(config)# copy running-config startup-config

RIP インスタンスの再起動

RIP インスタンスの再起動が可能です。再起動すると、インスタンスのすべてのネイバーが消去されます。

RIP インスタンスを再起動し、関連付けられたすべてのネイバーを削除するには、次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

restart rip instance-tag

例:

switch(config)# restart rip Enterprise

RIP インスタンスを再起動し、すべてのネイバーを削除します。

インターフェイスでの RIP の設定

RIP インスタンスにインターフェイスを追加できます。

始める前に

RIP 機能がイネーブルになっていることを確認します(RIP 機能のイネーブル化を参照してください)。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. interface interface-type slot/port
  3. no switchport
  4. ip router rip instance-tag
  5. (任意) show ip rip [ instance instance-tag ] interface [ interface-type slot/port ] [ vrf vrf-name ] [ detail ]
  6. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

interface interface-type slot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 3

no switchport

例:

switch(config-if)# no switchport

そのインターフェイスを、レイヤ 3 ルーテッド インターフェイスとして設定します。

ステップ 4

ip router rip instance-tag

例:

switch(config-if)# ip router rip Enterprise

このインターフェイスを RIP インスタンスに関連付けます。

ステップ 5

(任意) show ip rip [ instance instance-tag ] interface [ interface-type slot/port ] [ vrf vrf-name ] [ detail ]

例:

switch(config-if)# show ip rip Enterprise tethernet 1/2
(任意)

インターフェイスの RIP 情報を表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、RIP インスタンスにインターフェイス ethernet 1/2 を追加する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)# no switchport
switch(config-if)# ip router rip Enterprise
switch(config)# copy running-config startup-config

RIP 認証の設定

始める前に

RIP 機能がイネーブルになっていることを確認します(RIP 機能の有効化を参照)。

認証をイネーブルにする前に、必要に応じてキーチェーンを設定します。キーチェーン実装の詳細については、Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS セキュリティ構成ガイドを参照してください。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. interface interface-type slot/port
  3. no switchport
  4. ip rip authentication mode { text | md5 }
  5. ip rip authentication key-chain key
  6. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

interface interface-type slot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 3

no switchport

例:

switch(config-if)# no switchport

そのインターフェイスを、レイヤ 3 ルーテッド インターフェイスとして設定します。

ステップ 4

ip rip authentication mode { text | md5 }

例:

switch(config-if)# ip rip authentication mode md5

クリアテキストまたは MD5 認証ダイジェストとして、このインターフェイスにおける RIP 認証タイプを設定します。

ステップ 5

ip rip authentication key-chain key

例:

switch(config-if)# ip rip authentication keychain RIPKey

このインターフェイス上で RIP に使用する認証キーを設定します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、キーチェーンを作成し、RIP インターフェイス上で MD5 認証を設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# key chain RIPKey
switch(config)# key-string myrip
switch(config)# accept-lifetime 00:00:00 Jan 01 2000 infinite
switch(config)# send-lifetime 00:00:00 Jan 01 2000 infinite
switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)# no switchport
switch(config-if)# ip rip authentication mode md5
switch(config-if)# ip rip authentication keychain RIPKey
switch(config-if)# copy running-config startup-config

パッシブ インターフェイスの設定

インターフェイスを受動モードに設定することによって、ルートを受信するが、ルート アップデートの送信は行わないように RIP インターフェイスを設定できます。

受動モードで RIP インターフェイスを設定するには、インターフェイス設定モードで次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

ip rip passive-interface

switch(config-if)# ip rip passive-interface

インターフェイスを受動モードに設定します。

ポイズン リバースを指定したスプリット ホライズンの設定

インターフェイスの設定でポイズン リバースをイネーブルにすると、RIP が学習したルートについて、ルートを学習したインターフェイス経由では到達不能であることをアドバタイズできます。

インターフェイス上で、ポイズン リバースを指定してスプリット ホライズンを設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

ip rip poison-reverse

switch(config-if)# ip rip poison-reverse

ポイズン リバースを指定してスプリット ホライズンをイネーブルにします。ポイズン リバースを指定したスプリット ホライズンは、デフォルトでディセーブルです。

ルート集約の設定

ルーティング テーブルでサマリー アドレスによって表されるサマリ アドレスを作成できます。Cisco NX-OS は、固有性の強いすべてのルートの中でメトリックが最小のサマリー アドレス メトリックをアドバタイズします。

インターフェイス上でサマリー アドレスを設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

ip rip summary-address ip-prefix/mask-len

switch(config-if)# ip router rip summary-address 192.0.2.0/24

IPv4 アドレスに対応する、RIP 用のサマリー アドレスを設定します。

ルートの再配布の設定

別のルーティング プロトコルからのルーティング情報を受け入れて、RIP ネットワークを通じてその情報を再配布するように、RIP を設定できます。再配布されたルートを任意で、デフォルト ルートとして割り当てることができます。

始める前に

RIP 機能がイネーブルになっていることを確認します(RIP 機能の有効化を参照)。

再配布を設定する前に、ルート マップを設定します。ルート マップの設定の詳細については、「ルート マップの設定 」セクションを参照してください。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. router rip instance-tag
  3. address-family ipv4 unicast
  4. bgp {direct as | eigrp | {ospf | ospfv3 | rip | static | route-map} instance-tag | } redistributemap-name
  5. (任意) default-information originate [ always ] [ route-map map-name ]
  6. (任意) default-metric value
  7. (任意) show ip rip route [ ip-prefix [ longer-prefixes | shorter-prefixes ] [ vrf vrf-name] [summary ]
  8. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

router rip instance-tag

例:

switch(config)# router RIP Enterprise
switch(config-router)#

instance-tag 値 を設定して、新しい RIP インスタンスを作成します。

ステップ 3

address-family ipv4 unicast

例:

switch(config-router)# address-family ipv4 unicast
switch(config-router-af)#

この RIP インスタンスのアドレス ファミリを設定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

bgp {direct as | eigrp | {ospf | ospfv3 | rip | static | route-map} instance-tag | } redistributemap-name

例:

switch(config-router-af)# redistribute eigrp 201 route-map RIPmap

他のプロトコルからのルートを RIP に再配布します。ルート マップの設定の詳細については、ルート マップの設定のセクションを参照してください。

ステップ 5

(任意) default-information originate [ always ] [ route-map map-name ]

例:

switch(config-router-af)# default-information originate always
(任意)

RIP にデフォルト ルートを生成し、必要に応じてルート マップにより制御します。

ステップ 6

(任意) default-metric value

例:

switch(config-router-af)# default-metric 10
(任意)

再配布されたすべてのルートにデフォルト メトリックを設定します。有効な範囲は 1 ~ 15 です。デフォルトは 1 です。

ステップ 7

(任意) show ip rip route [ ip-prefix [ longer-prefixes | shorter-prefixes ] [ vrf vrf-name] [summary ]

例:

switch(config-router-af)# show ip rip route
(任意)

RIP のルートを表示します。

ステップ 8

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、EIGRP を RIP に再配布する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# router rip Enterprise
switch(config-router)# address-family ipv4 unicast
switch(config-router-af)# redistribute eigrp 201 route-map RIPmap
switch(config-router-af)# copy running-config startup-config

仮想化の設定

複数の VRF を作成できます。また、各 VRF で同じ RIP インスタンスを使用することも、複数の RIP インスタンスを使用することも可能です。VRF に RIP インターフェイスを割り当てます。


(注)  


インターフェイスの VRF を設定した後に、インターフェイスの他のすべてのパラメータを設定します。インターフェイスの VRF を設定すると、そのインターフェイスのすべての設定が削除されます。


始める前に

RIP 機能がイネーブルになっていることを確認します(RIP 機能の有効化を参照)。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. vrf vrf-name
  3. exit
  4. router rip instance-tag
  5. vrf context vrf-name
  6. (任意) address-family ipv4 unicast
  7. (任意) bgp {direct as | eigrp | {ospf | ospfv3 | rip | static | route-map} instance-tag | } redistributemap-name
  8. interface ethernet slot/port
  9. no switchport
  10. vrf member vrf-name
  11. ip address ip-prefix/length
  12. ip router rip instance-tag
  13. (任意) show ip rip route [ ip-prefix [ longer-prefixes | shorter-prefixes ] [ vrf vrf-name] [summary ]
  14. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

vrf vrf-name

例:

switch(config)# vrf RemoteOfficeVRF
switch(config-vrf)#

新しい VRF を作成します。

ステップ 3

exit

例:

switch(config-vrf)# exit
switch(config)#

VRF設定モードを終了します。

ステップ 4

router rip instance-tag

例:

switch(config)# router RIP Enterprise
switch(config-router)#

instance-tag 値 を設定して、新しい RIP インスタンスを作成します。

ステップ 5

vrf context vrf-name

例:

switch(config)# vrf context RemoteOfficeVRF
switch(config-vrf)#

新しい VRF を作成し、VRF 設定モードを開始します。

ステップ 6

(任意) address-family ipv4 unicast

例:

switch(config-router)# address-family ipv4 unicast
switch(config-router-af)#
(任意)

この RIP インスタンスの VRF アドレス ファミリを設定します。

ステップ 7

(任意) bgp {direct as | eigrp | {ospf | ospfv3 | rip | static | route-map} instance-tag | } redistributemap-name

例:

switch(config-router-af)# redistribute eigrp 201 route-map RIPmap
(任意)

他のプロトコルからのルートを RIP に再配布します。ルート マップの設定の詳細については、ルート マップの設定のセクションを参照してください。

ステップ 8

interface ethernet slot/port

例:

switch(config-router-vrf-af)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 9

no switchport

例:

switch(config-if)# no switchport

そのインターフェイスを、レイヤ 3 ルーテッド インターフェイスとして設定します。

ステップ 10

vrf member vrf-name

例:

switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF

このインターフェイスを VRF に追加します。

ステップ 11

ip address ip-prefix/length

例:

switch(config-if)# ip address 192.0.2.1/16

このインターフェイスの IP アドレスを設定します。このステップは、このインターフェイスを VRF に割り当てたあとに行う必要があります。

ステップ 12

ip router rip instance-tag

例:

switch(config-if)# ip router rip Enterprise

このインターフェイスを RIP インスタンスに関連付けます。

ステップ 13

(任意) show ip rip route [ ip-prefix [ longer-prefixes | shorter-prefixes ] [ vrf vrf-name] [summary ]

例:

switch(config-router-af)# show ip rip route
(任意)

RIP のルートを表示します。

ステップ 14

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、VRF を作成して、その VRF にインターフェイスを追加する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# vrf context RemoteOfficeVRF
switch(config-vrf)# exit
switch(config)# router rip Enterprise
switch(config-router)# vrf RemoteOfficeVRF
switch(config-router-vrf)# address-family ipv4 unicast
switch(config-router-vrf-af)# redistribute eigrp 201 route-map RIPmap
switch(config-router-vrf-af)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)# no switchport
switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF
switch(config-if)# ip address 192.0.2.1/16
switch(config-if)# ip router rip Enterprise
switch(config-if)# copy running-config startup-config

RIP の調整

ネットワーク要件に適合するように RIP を調整できます。RIP では複数のタイマーを使用して、ルーティング アップデート間隔、ルートが無効になるまでの時間の長さ、およびその他のパラメータを決定します。これらのタイマーを調整すると、インターネットワークのニーズに適合するように、ルーティング プロトコルのパフォーマンスを調整できます。


(注)  


ネットワーク上のすべての RIP 対応ルータで、RIP タイマーに同じ値を設定する必要があります。


RIP を調整するには、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードで次のオプション コマンドを使用します。

コマンド

目的

timers basic update timeout holddown garbage-collection

例:

switch(config-router-af)# timers basic 40 120 120 100

RIP タイマーを秒数で設定します。パラメータは次のとおりです。

  • update:指定できる範囲は 5 ~任意の正の整数。デフォルトは 30 です。

  • timeout:ルートの無効を宣言するまでに、 Cisco NX-OS が待機する時間。タイムアウト インターバルが終了するまでに、このルートのアップデート情報を Cisco NX-OS が受信しなかった場合、Cisco NX-OS はルートの無効を宣言します。指定できる範囲は 1 ~任意の正の整数です。デフォルトは 180 です。

  • holddown:無効ルートに関するよりよいルート情報を Cisco NX-OS が無視する時間。指定できる範囲は 0 ~任意の正の整数です。デフォルトは 180 です。

  • garbage-collection:Cisco NX-OS がルートを無効として表示してから、Cisco NX-OS がそのルートをルーティング テーブルから削除するまでの時間。指定できる範囲は 1 ~任意の正の整数です。デフォルトは 120 です。

RIP を調整するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のオプション コマンドを使用します。

コマンド

目的

ip rip metric-offset value

switch(config-if)# ip rip metric-offset 10

このインターフェイスで受信する各ルータのメトリックに値を追加します。有効な範囲は 1 ~ 15 です。デフォルトは 1 です。

ip rip route-filter {prefix-list list-name | route-map map-name | [ in | out ]}

switch(config-if)# ip rip route-filter route-map InputMap in

着信または発信 RIP アップデートをフィルタリングするための、ルート マップを指定します。

RIP の設定の確認

RIP の設定情報を表示するには、次のいずれかの作業を行います。

コマンド

目的

show ip rip instance [instance-tag] [vrf vrf-name]

RIP インスタンスの状態を表示します。

show ip rip [instance instance-tag] interface slot/port detail [vrf vrf-name]

インターフェイスの RIP ステータスを表示します。

show ip rip [instance instance-tag] neighbor [interface-type number] [vrf vrf-name]

RIP ネイバー テーブルを表示します。

show ip rip [instance instance-tag] route [ip-prefix/lengh [longer-prefixes | shorter--prefixes]] [summary] [vrf vrf-name]

RIP ルート テーブルを表示します。

show running-configuration rip

現在実行中の RIP コンフィギュレーションを表示します。

RIP 統計情報の表示

RIP 統計情報設定表示するには、次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

show ip rip [instance instance-tag] policy statistics redistribute { bgp as | direct | { eigrp | ospf | ospfv3 | rip } instance-tag | static} [vrf vrf-name]

RIP ポリシー ステータスを表示します。

show ip rip [instance instance-tag] statistics interface-type number] [vrf vrf-name]

RIP の統計情報を表示します。

clear ip rip policy コマンドを使用して、ポリシー統計情報をクリアします。

clear ip rip statistics コマンドを使用して、RIP 統計情報をクリアします。

RIP の設定例

VRF で Enterprise RIP インスタンスを作成し、その RIP インスタンスにイーサネット インターフェイス 1/2 を追加する例を示します。さらに、enthernet interface 1/2 の認証を設定し、この RIP ドメインに EIGRP を再配布します。

vrf context NewVRF

!

feature rip

router rip Enterprise

vrf NewVRF

address-family ip unicast

redistribute eigrp 201 route-map RIPmap

max-paths 10

!

interface ethernet 1/2

no switchport

vrf NewVRF

ip address 192.0.2.1/16

ip router rip Enterprise

ip rip authentication mode md5

ip rip authentication keychain RIPKey

その他の参考資料

RIP の実装に関連する詳細情報については、次の項を参照してください。

標準

標準

タイトル

この機能でサポートされる新規の標準または変更された標準はありません。また、既存の標準のサポートは変更されていません。