レイヤ 3 仮想化の設定

この章では、レイヤ 3 仮想化の設定手順について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

レイヤ 3 仮想化

このセクションは、次のトピックで構成されています。

レイヤ 3 仮想化の概要

Cisco NX-OS は、仮想ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスをサポートしています。各 VRF には、IPv4 に対応するユニキャスト ルート テーブルを備えた、独立したアドレス空間が 1 つずつあり、他の VRF と無関係にルーティングを決定できます。

ルータごとに、デフォルト VRF および管理 VRF があります。すべてのレイヤ 3 インターフェイスおよびルーティング プロトコルは、ユーザが別の VRF に割り当てない限り、デフォルト VRF に存在します。mgmt0 インターフェイスは、管理 VRF 内に存在します。スイッチは、VRF-Lite 機能を使用して、カスタマー エッジ(CE)スイッチで複数の VRF をサポートします。VRF-Lite によって、サービス プロバイダーは 1 つのインターフェイスを使用して、重複する IP アドレスを持つ複数のバーチャル プライベート ネットワーク(VPN)をサポートできます。


(注)  


スイッチでは、VPN のサポートのためにマルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)が使用されません。


VRF およびルーティング

すべてのユニキャストおよびマルチキャスト ルーティング プロトコルは VRF をサポートします。VRF でルーティング プロトコルを設定する場合は、同じルーティング プロトコル インスタンスの別の VRF のルーティング パラメータに依存しないルーティング パラメータをその VRF に設定します。

VRF にインターフェイスおよびルーティング プロトコルを割り当てることによって、仮想レイヤ 3 ネットワークを作成できます。インターフェイスが存在する VRF は 1 つだけです。次の図は、1 つの物理ネットワークが 2 つの VRF からなる 2 つの仮想ネットワークに分割されている例を示しています。ルータ Z、A、および B は、VRF Red にあり、1 つのアドレス ドメインを形成しています。これらのルータは、ルータ C が含まれないルート アップデートを共有します。ルータ C は別の VRF で設定されているからです。

図 1. ネットワーク内の VRF

デフォルトで、着信インターフェイスの VRF を使用して、ルート検索に使用するルーティング テーブルを選択します。ルート ポリシーを設定すると、この動作を変更し、Cisco NX-OS が着信パケットに使用する VRF を設定できます。

VRF は VRF 間のルート リーク(インポートまたはエクスポート)をサポートします。いくつかの制限が、VRF-Lite のルート リークに適用されます。詳細については、VRF ルート リーキングの注意事項および制約事項のセクションを参照してください。

VRF-Lite

VRF-Lite の機能によって、サービス プロバイダーは、VPN 間で重複した IP アドレスを使用できる複数の VPN をサポートできます。VRF-Lite は入力インターフェイスを使用して異なる VPN のルートを区別し、各 VRF に 1 つまたは複数のレイヤ 3 インターフェイスを対応付けて仮想パケット転送テーブルを形成します。VRF のインターフェイスは、イーサネット ポートなどの物理インターフェイス、または VLAN SVI などの論理インターフェイスにすることができますが、レイヤ 3 インターフェイスは、一度に複数の VRF に属することはできません。


(注)  


VRF-Lite の実装では、マルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)および MPLS コントロール プレーンはサポートされません。



(注)  


VRF-Lite インターフェイスは、レイヤ 3 インターフェイスである必要があります。


VRF 認識サービス

Cisco NX-OS アーキテクチャの基本的な特徴として、すべての IP ベースの機能が VRF を認識することがあげられます。

次の VRF 認識サービスは、特定の VRF を選択することにより、リモート サーバへの接続や、選択した VRF に基づいた情報のフィルタリングを可能にします。

  • AAA:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS セキュリティ構成ガイド』を参照してください。

  • Call Home:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS システム管理構成ガイド』を参照してください。

  • HSRP:詳細については、「HSRP の構成」の章を参照してください。

  • HTTP:詳細については、『Cisco Nexus 3548 Series NX-OS 基本構成ガイド』を参照してください。

  • ライセンス:詳細については、Cisco NX-OS ライセンス ガイドを参照してください。

  • NTP:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS システム管理構成ガイド』を参照してください。

  • RADIUS:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS セキュリティ構成ガイド』を参照してください。

  • Ping と Traceroute :詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS 基本構成ガイド』を参照してください。

  • SSH:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ基本構成ガイド』を参照してください。

  • SNMP:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS システム管理構成ガイド』を参照してください。

  • Syslog:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS システム管理構成ガイド』を参照してください。

  • TACACS+:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS セキュリティ構成ガイド』を参照してください。

  • TFTP:詳細については、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS 基本構成ガイド』を参照してください。

  • VRRP:詳細については、「VRRP の構成」の章を参照してください。

各サービスで VRF サポートを設定する方法の詳細については、各サービスに対応したCisco Nexus 3548 スイッチ構成ガイドを参照してください。

Reachability

到達可能性は、サービスを提供するサーバに到達するために必要なルーティング情報がどの VRF にあるかを示します。たとえば、管理 VRF で到達可能な SNMP サーバを設定できます。ルータにサーバ アドレスを設定する場合は、サーバに到達するために Cisco NX-OS が使用すべき VRF も設定します。

次の図は、管理 VRF を介して到達可能な SNMP サーバを示しています。SNMP サーバ ホスト 192.0.2.1 には管理 VRF を使用するように、ルータ A を設定します。

図 2. サービス VRF の到達可能性

フィルタリング

フィルタリングにより、VRF に基づいて VRF 認識サービスに渡される情報のタイプを制限できます。たとえば、Syslog サーバが特定の VRF をサポートするように設定できます。次の図は、それぞれが 1 つの VRF をサポートしている 2 つの syslog サーバーを示しています。syslog サーバ A は VRF Red で設定されているので、Cisco NX-OS は VRF Red で生成されたシステム メッセージだけを syslog サーバ A に送信します。

図 3. サービス VRF のフィルタリング

到達可能性とフィルタリングの組み合わせ

VRF 認識サービスの到達可能性とフィルタリングを組み合わせることができます。サービスに接続するために Cisco NX-OS が使用する VRF とともに、そのサービスがサポートする VRF も設定できます。デフォルト VRF でサービスを設定する場合は、任意で、すべての VRF をサポートするようにサービスを設定できます。

次の図は、管理 VRF を介して到達可能な SNMP サーバを示しています。たとえば、SNMP サーバが VRF Red からの SNMP 通知だけをサポートするように設定できます。

図 4. サービス VRF の到達可能性とフィルタリング

VRF の注意事項と制約事項

VRF には VRF Lite のシナリオにおいて次の設定の注意事項と制約事項があります:

  • インターフェイスを既存の VRF のメンバにすると、Cisco NX-OS はあらゆるレイヤ 3 設定を削除します。VRF にインターフェイスを追加したあとで、すべてのレイヤ 3 パラメータを設定する必要があります。

  • 管理 VRF に mgmt0 インターフェイスを追加し、そのあとで mgmt0 の IP アドレスおよびその他のパラメータを設定します。

  • VRF が存在しないうちに VRF のインターフェイスを設定した場合は、VRF を作成するまで、そのインターフェイスは運用上のダウンになります。

  • Cisco NX-OS はデフォルトで、デフォルトと管理 VRF を作成します。mgmt0 は管理 VRF のメンバにする必要があります。

  • write erase boot コマンドを実行しても、管理 VRF の設定は削除されません。まず write erase command コマンド、それから write erase boot コマンドを使用する必要があります。

VRF-Lite の注意事項と制限事項

VRF-lite には、次の注意事項と制限事項があります。

  • VRF-lite を備えたスイッチは、各 VRF に対してそれぞれ、グローバル ルーティング テーブルとは異なる IP ルーティング テーブルを持ちます。

  • VRF-lite が異なる VRF テーブルを使用するため、同じ IP アドレスを再利用できます。別々の VPN では IP アドレスの重複が許可されます。

  • VRF-Lite では、一部の MPLS-VRF 機能(ラベル交換、LDP の隣接関係、またはラベル付きパケット)がサポートされていません。

  • 複数の仮想レイヤ 3 インターフェイスを VRF-lite スイッチに接続できます。

  • スイッチでは、物理ポートか VLAN SVI、またはその両方の組み合わせを使用して、VRF を設定できます。SVI は、アクセス ポートまたはトランク ポートで接続できます。

  • レイヤ 3 TCAM リソースは、すべての VRF 間で共有されます。各 VRF が十分な CAM 領域を持つようにするには、maximum routes コマンドを使用します。

  • すべての VRF でサポートされるルートの総数は、TCAM の容量によって制限されます。

  • VRF-lite は、BGP、RIP、スタティック ルーティングをサポートします。

  • VRF-lite では、EIGRP はサポートされません。

  • VRF-Lite は、パケット スイッチング レートに影響しません。

  • マルチキャストを同時に同一のレイヤ 3 インターフェイス上に設定することはできません。

VRF ルート リークの注意事項と制約事項

VRF ルート リークには次の注意事項と制約事項があります。

  • ルート リークはデフォルト以外の 2 つの VRF 間でサポートされます。また、デフォルト VRF と任意の他の VRF 間でもサポートされます。

  • デフォルト VRF へのルート リークは、グローバル VRF であるため使用できません。

  • 指定した IP アドレスにマッチするルート マップのフィルタを使用して、特定のルートに対してルート リークを制限できます。

  • デフォルトでは、リークできる IP プレフィックスの最大数は 1000 ルートに設定されています。この数値は 0 から 1000 までの任意の値に設定できます。

  • VRF ルート リークには Enterprise ライセンスが必要で、BGP をイネーブルにする必要があります。

デフォルト設定

次の表に、VRF パラメータのデフォルト設定値を示します。

表 1. デフォルトの VRF パラメータ

パラメータ

デフォルト

設定されている VRF

デフォルト、管理

ルーティング コンテキスト

デフォルト VRF

VRF の設定


(注)  


Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能に対応する Cisco NX-OS コマンドは通常使用する Cisco IOS コマンドと異なる場合があるので注意してください。


VRF の作成

スイッチに VRF を作成できます。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. vrf context name
  3. ip route { ip-prefix | ip-addr ip-mask } {[ next-hop | nh-prefix ] | [ interface next-hop | nh-prefix ]} [ tag tag-value [ pref ]
  4. (任意) show vrf [ vrf-name ]
  5. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

vrf context name

例:

switch(config)# vrf definition Enterprise
switch(config-vrf)#

新しい VRF を作成し、VRF 設定モードを開始します。name には最大 32 文字の英数字を使用できます。大文字と小文字は区別されます。

ステップ 3

ip route { ip-prefix | ip-addr ip-mask } {[ next-hop | nh-prefix ] | [ interface next-hop | nh-prefix ]} [ tag tag-value [ pref ]

例:

switch(config-vrf)# ip route 192.0.2.0/8 ethernet 1/2 192.0.2.4

スタティック ルートおよびこのスタティック ルート用のインターフェイスを設定します。任意でネクスト ホップ アドレスを設定できます。preference 値で管理上の距離を設定します。範囲は 1 ~ 255 です。デフォルトは 1 です。

ステップ 4

(任意) show vrf [ vrf-name ]

例:

switch(config-vrf)# show vrf Enterprise
(任意)

VRF 情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

VRF および関連する設定を削除するには、no vrf context コマンドを使用します。

コマンド

目的

no vrf context name

例:

switch(config)# no vrf context Enterprise

VRF および関連するすべての設定を削除します。

グローバル設定モードで使用できるコマンドはすべて、VRF 設定モードでも使用できます。

次に、VRF を作成し、VRF にスタティック ルートを追加する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# vrf context Enterprise
switch(config-vrf)# ip route 192.0.2.0/8 ethernet 1/2
switch(config-vrf)# exit
switch(config)# copy running-config startup-config

インターフェイスへの VRF メンバーシップの割当て

インターフェイスを VRF のメンバにできます。

始める前に

VRF 用のインターフェイスを設定したあとで、インターフェイスに IP アドレスを割り当てます。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. interface interface-type slot/port
  3. vrf member vrf-name
  4. ip address ip-prefix/length
  5. show vrf vrf-name interface interface-type number
  6. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

interface interface-type slot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 3

vrf member vrf-name

例:

switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF

このインターフェイスを VRF に追加します。

ステップ 4

ip address ip-prefix/length

例:

switch(config-if)# ip address 192.0.2.1/16

このインターフェイスの IP アドレスを設定します。このステップは、このインターフェイスを VRF に割り当てたあとに行う必要があります。

ステップ 5

show vrf vrf-name interface interface-type number

例:

switch(config-vrf)# show vrf Enterprise interface ethernet 1/2

VRF 情報を表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、VRF にインターフェイスを追加する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF
switch(config-if)# ip address 192.0.2.1/16
switch(config-if)# copy running-config startup-config

ルーティング プロトコル用の VRF パラメータの設定

1 つまたは複数の VRF にルーティング プロトコルを関連付けることができます。ルーティング プロトコルに関する VRF の設定については、該当する章を参照してください。ここでは、詳細な設定手順の例として、OSPFv2 プロトコルを使用します。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. router ospf instance-tag
  3. vrf vrf-name
  4. (任意) maximum-paths paths
  5. interface interface-typeslot/port
  6. vrf member vrf-name
  7. ip address ip-prefix/length
  8. ip router ospf instance-tag area area-id
  9. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

router ospf instance-tag

例:

switch(config-vrf)# router ospf 201
switch(config-router)#

新規 OSPFv2 インスタンスを作成して、設定済みのインスタンス タグを割り当てます。

ステップ 3

vrf vrf-name

例:

switch(config-router)# vrf RemoteOfficeVRF
switch(config-router-vrf)#

VRF 設定モードを開始します。

ステップ 4

(任意) maximum-paths paths

例:

switch(config-router-vrf)# maximum-paths 4
(任意)

この VRF のルート テーブル内の宛先への、同じ OSPFv2 パスの最大数を設定します。ロード バランシングに使用されます。

ステップ 5

interface interface-typeslot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 6

vrf member vrf-name

例:

switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF

このインターフェイスを VRF に追加します。

ステップ 7

ip address ip-prefix/length

例:

switch(config-if)# ip address 192.0.2.1/16

このインターフェイスの IP アドレスを設定します。このステップは、このインターフェイスを VRF に割り当てたあとに行う必要があります。

ステップ 8

ip router ospf instance-tag area area-id

例:

switch(config-if)# ip router ospf 201 area 0

このインターフェイスを OSPFv2 インスタンスおよび設定エリアに割り当てます。

ステップ 9

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次に、VRF を作成して、その VRF にインターフェイスを追加する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# vrf context RemoteOfficeVRF
switch(config-vrf)# exit
switch(config)# router ospf 201
switch(config-router)# vrf RemoteOfficeVRF
switch(config-router-vrf)# maximum-paths 4
switch(config-router-vrf)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF
switch(config-if)# ip address 192.0.2.1/16
switch(config-if)# ip router ospf 201 area 0
switch(config-if)# exit
switch(config)# copy running-config startup-config

VRF 認識サービスの設定

VRF 認識サービスの到達可能性とフィルタリングを設定できます。VRF 用サービスの設定手順を扱っている、該当する章またはコンフィギュレーション ガイドへのリンクについては、VRF 認識サービスのセクションを参照してください。ここでは、サービスの詳細な設定手順の例として、SNMP および IP ドメイン リストを使用します。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. snmp-server host ip-address [ filter_vrf vrf-name ] [ use-vrf vrf-name ]
  3. vrf context vrf-name
  4. ip domain-list domain-name [ all-vrfs ][ use-vrf vrf-name ]
  5. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

コンフィギュレーション モードに入ります。

ステップ 2

snmp-server host ip-address [ filter_vrf vrf-name ] [ use-vrf vrf-name ]

例:

switch(config)# snmp-server host 192.0.2.1 use-vrf Red
switch(config-vrf)#

グローバル SNMP サーバを設定し、サービスに到達するために Cisco NX-OS が使用する VRF を設定します。選択した VRF からこのサーバへの情報をフィルタリングするには、filter-vrf キーワードを使用します。

ステップ 3

vrf context vrf-name

例:

switch(config)# vrf context Blue
switch(config-vrf)#

新しい VRF を作成します。

ステップ 4

ip domain-list domain-name [ all-vrfs ][ use-vrf vrf-name ]

例:

switch(config-vrf)# ip domain-list List all-vrfs use-vrf Blue
switch(config-vrf)#

VRF でドメイン リストを設定し、必要に応じて、リスト内のドメイン名に到達するために Cisco NX-OS が使用する VRF を設定します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

この設定変更を保存します。

次の例は、VRF Red 上の到達可能な SNMP ホスト 192.0.2.1 に、すべての VRF の SNMP 情報を送信する方法を示しています。

switch# configure terminal
switch(config)# snmp-server host 192.0.2.1 for-all-vrfs use-vrf Red
switch(config)# copy running-config startup-config

次に、VRF Red で到達可能な SNMP ホスト 192.0.2.12 に対して、VRF Blue の SNMP 情報をフィルタリングする例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# vrf definition Blue
switch(config-vrf)# snmp-server host 192.0.2.12 use-vrf Red
switch(config)# copy running-config startup-config

VRF スコープの設定

すべての EXEC コマンド(show コマンドなど)には、対応する VRF スコープを設定できます。VRF スコープを設定すると、EXEC コマンド出力のスコープが設定された VRF に自動的に限定されます。このスコープは、一部の EXEC コマンドで使用できる VRF キーワードによって上書きできます。

VRF スコープを設定するには、EXEC モードで次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

routing-context vrf vrf-name

例:

switch# routing-context vrf red

switch%red#

すべての EXEC コマンドに対応するルーティング コンテキストを設定します。デフォルトのルーティング コンテキストはデフォルト VRF です。

デフォルトの VRF スコープに戻すには、EXEC モードで次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

routing-context vrf default

例:

switch%red# routing-context vrf default

switch#

デフォルトのルーティング コンテキストを設定します。

VRF の設定の確認

VRF の設定情報を表示するには、次のいずれかの作業を行います。

コマンド

目的

show vrf [vrf-name]

すべてまたは 1 つの VRF の情報を表示します。

show vrf [vrf-name] detail

すべてまたは 1 つの VRF の詳細情報を表示します。

show vrf [vrf-name] [interface interface-type slot/port]

インターフェイスの VRF ステータスを表示します。

VRF の設定例

次に、VRF Red を設定して、その VRF に SNMP サーバを追加し、VRF Red に OSPF インスタンスを追加する例を示します。


vrf context Red
    snmp-server host 192.0.2.12 use-vrf Red
    router ospf 201
    interface ethernet 1/2
    vrf member Red
    ip address 192.0.2.1/16
    ip router ospf 201 area 0

次に、VRF Red および Blue を設定し、各 VRF に OSPF インスタンスを追加して、各 OSPF インスタンスの SNMP コンテキストを作成する例を示します。


vrf context Red
vrf context Blue

feature ospf
    router ospf Lab
    vrf Red
    router ospf Production
    vrf Blue

interface ethernet 1/2
    vrf member Red
    ip address 192.0.2.1/16
    ip router ospf Lab area 0
    no shutdown

interface ethernet 10/2
    vrf member Blue
    ip address 192.0.2.1/16
    ip router ospf Production area 0
    no shutdown

snmp-server user admin network-admin auth md5 nbv-12345
    snmp-server community public ro

snmp-server context lab instance Lab vrf Red
    snmp-server context production instance Production vrf Blue
    Use the SNMP context lab to access the OSPF-MIB values for the OSPF instance Lab in VRF Red in the previous example.

次に、デフォルト以外の 2 つの VRF 間、およびデフォルト VRF からデフォルト以外の VRF にルート リークを設定する例を示します。

feature bgp
    vrf context Green
    ip route 33.33.33.33/32 35.35.1.254
    address-family ipv4 unicast
    route-target import 3:3
    route-target export 2:2
    export map test
    import map test
    import vrf default map test
    interface Ethernet1/7
    vrf member Green
    ip address 35.35.1.2/24
    vrf context Shared

ip route 44.44.44.44/32 45.45.1.254
    address-family ipv4 unicast
    route-target import 1:1
    route-target import 2:2
    route-target export 3:3
    export map test
    import map test
    import vrf default map test
    interface Ethernet1/11
    vrf member Shared
    ip address 45.45.1.2/24
    router bgp 100
    address-family ipv4 unicast
    redistribute static route-map test
    vrf Green
    address-family ipv4 unicast
    redistribute static route-map test
    vrf Shared
    address-family ipv4 unicast
    redistribute static route-map test

ip prefix-list test seq 5 permit 0.0.0.0/0 le 32
    route-map test permit 10
    match ip address prefix-list test
    ip route 100.100.100.100/32 55.55.55.1    

nexus# show ip route vrf all
    IP Route Table for VRF "default"
    '*' denotes best ucast next-hop
    '**' denotes best mcast next-hop
    '[x/y]' denotes [preference/metric]
    '%<string>' in via output denotes VRF <string>
    55.55.55.0/24, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 55.55.55.5, Lo0, [0/0], 00:07:59, direct
    55.55.55.5/32, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 55.55.55.5, Lo0, [0/0], 00:07:59, local
    100.100.100.100/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 55.55.55.1, [1/0], 00:07:42, static

IP Route Table for VRF "management"
    '*' denotes best ucast next-hop
    '**' denotes best mcast next-hop
    '[x/y]' denotes [preference/metric]
    '%<string>' in via output denotes VRF <string>
    0.0.0.0/0, ubest/mbest: 1/0
    *via 10.29.176.1, [1/0], 12:53:54, static
    10.29.176.0/24, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 10.29.176.233, mgmt0, [0/0], 13:11:57, direct
    10.29.176.233/32, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 10.29.176.233, mgmt0, [0/0], 13:11:57, local

IP Route Table for VRF "Green"
    '*' denotes best ucast next-hop
    '**' denotes best mcast next-hop
    '[x/y]' denotes [preference/metric]
    '%<string>' in via output denotes VRF <string>
    33.33.33.33/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 35.35.1.254, [1/0], 00:23:44, static
    35.35.1.0/24, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 35.35.1.2, Eth1/7, [0/0], 00:26:46, direct
    35.35.1.2/32, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 35.35.1.2, Eth1/7, [0/0], 00:26:46, local
    44.44.44.44/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 45.45.1.254%Shared, [20/0], 00:12:08, bgp-100, external, tag 100
    100.100.100.100/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 55.55.55.1%default, [20/0], 00:07:41, bgp-100, external, tag 100

IP Route Table for VRF "Shared"
    '*' denotes best ucast next-hop
    '**' denotes best mcast next-hop
    '[x/y]' denotes [preference/metric]
    '%<string>' in via output denotes VRF <string>
    33.33.33.33/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 35.35.1.254%Green, [20/0], 00:12:34, bgp-100, external, tag 100
    44.44.44.44/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 45.45.1.254, [1/0], 00:23:16, static
    45.45.1.0/24, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 45.45.1.2, Eth1/11, [0/0], 00:25:53, direct
    45.45.1.2/32, ubest/mbest: 1/0, attached
    *via 45.45.1.2, Eth1/11, [0/0], 00:25:53, local
    100.100.100.100/32, ubest/mbest: 1/0
    *via 55.55.55.1%default, [20/0], 00:07:41, bgp-100, external, tag 100
nexus(config)#

その他の参考資料

仮想化の実装に関連する詳細情報については、次の項を参照してください。

標準

標準

タイトル

この機能でサポートされる新規の標準または変更された標準はありません。また、既存の標準のサポートは変更されていません。

VRF 機能の履歴

次の表に、この機能のリリースの履歴を示します。

表 2. VRF 機能の履歴

機能名

リリース

機能情報

VRF

5.0(3)A1(1)

この機能が導入されました。

VRF ルート リーク

6.0(2)A1(1)

この機能が導入されました。