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企業向けプライベート クラウド コンピューティング:高使用率のニーズを満たして急速な変化に対応

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企業向けプライベート クラウド コンピューティング:高使用率のニーズを満たして急速な変化に対応



概要


企業のデータセンターは、深刻な課題に直面しています。データセンターのアプリケーション数とデータ量が急激な増加を続ける一方で、IT 部門では、縦割り組織になりがちななか、なんとか既存のインフラストラクチャ上で、ユーザ向けサービスに必要なリソースを提供し、今日のニーズに対応しようと奮闘しています。

このようにサイロ(縦割り)化されたアプローチは、長年にわたり、新しいビジネスの要求に合わせて柔軟に対応することを阻んできました。既存のサイロでは、アプリケーションのワークロードは物理資産と強く結び付けられています。こうした密結合モデルのままユーザ ニーズに対応しようとすると、サーバやストレージ デバイスの急増に加え、付随コストや保守のオーバーヘッドの発生を招くことになります。

一方で、今日 IT に投入されている金額のうち、ビジネスで直接的な利益を生み出しているのはほんのわずかな額に過ぎません。予算の約 70% が運用に費やされており、ビジネスの差別化に投入されている予算はわずか 30% にとどまっています。データセンターにおける IT 資産の耐久年数は約 5 年であるため、IT 投資の大半は、さまざまなインフラストラクチャのアップグレードや、冗長性や障害回復の確保に費やされています。その割合は IT コストの約 60 〜 80% にものぼりますが、必ずしもこれらが最適なビジネス価値の醸成や技術革新につながるわけではありません。さらに、新規 IT プロジェクトの 投資回収(ROI)には、9 〜 18 か月かかります。

そのため、多くの IT 部門では、よりよいサービスをより速くというユーザ ニーズを満たしてビジネスの俊敏性を確立するよりも、現行のデータセンターを維持・運用することに重点を置かざるをえなくなっています。

今必要とされているのは、Service-Level Agreement(SLA; サービス レベル契約)に基づいて、新しいサービスをコスト効率の高い方法で迅速にプロビジョニングできるスケーラビリティ、柔軟性、透過性を兼ね備え、IT の要件やポリシーに対応し、高使用率のニーズを満たして変化に動的に対応しながら、セキュリティや高パフォーマンスを実現するソリューションです。

クラウド コンピューティングはこうした課題に対応するソリューションであり、シスコの製品ポートフォリオを使用すれば、企業はすぐにもクラウド コンピューティング ソリューションへの移行を開始できます。

企業クラウド コンピューティング モデル


クラウド コンピューティングは、非効率性、高コスト、継続的なサポートや保守の問題などの IT サイロが抱える課題を解決し、ユーザの高まるサービスに対する要求に応える方法の 1 つとして提案されています。トランザクション データや高パフォーマンスなファイル共有アプリケーションは、現在、企業のデータセンター内で最適に処理されていますが、その一方でクラウド コンピューティングが提示しているのは、日々増大するインターネット データに対する処理能力です。このインターネット データの増加は、リッチ Web アプリケーションやオンライン サービス、大規模なデータ処理ジョブ、デジタル メディアの作成とその後のグローバルな配信などによるものです。

さらに、多くの業界アナリストや企業が、クラウド コンピューティングの可能性を認めています。2008 年の IDC 社の調査によれば、2008 〜 2012 年のクラウド コンピューティング サービスへの総支出は 160 億から 420 億米ドル増加し、Compound Annual Growth Rate(CAGR; 年平均成長率)が 27% となることが見込まれています。クラウド サービスは、現在の IT に対する投資の 5 倍のスピードで成長すると予測されています。

クラウド コンピューティング モデル採用の障壁

お客様は、クラウド コンピューティングの利点を認めているものの、コストや柔軟性について懸念を抱いています。特に、セキュリティ、既存のアプリケーションとの互換性、既存のアプリケーションからクラウドへの移行パスの欠如、選択の自由度、社内リソースと社外リソースの連携、ポリシーベースの管理での SLA の欠如、および相互運用性に不安を持っています。

幸い、コンピューティング、ネットワーク、仮想化、ストレージ リソースなどを活用したクラウド コンピューティング アプローチによって、それらの課題は解決できます。シスコは、プライベート クラウドというエンタープライズ クラウド コンピューティングを実現する独自のアプローチによって、企業がマルチテナントのクラウド コンピューティング ソリューションの第一歩を踏み出すお手伝いをいたします。

クラウド コンピューティングを選ぶ理由


Gartner Group によれば、クラウド コンピューティングは、オープンで柔軟、事前設計され、標準化、仮想化、および高度に自動化された、安全性と信頼性の高いインフラストラクチャ ユーティリティとして定義されています。

シスコはこの定義をさらに絞り込み、クラウド コンピューティングを、基盤となるインフラストラクチャから切り離して抽象化したリソースやサービスを、マルチテナント環境で規模に合わせてオンデマンドで提供するモデルとして定義しています。オンデマンド、スケーラビリティという特長に加え、クラウド コンピューティングは企業に次の利点を提供します。

  • 地域やその他の要素に基づいたポリシーベースの管理機能を搭載したグローバル配信機能
  • 一貫したインフラストラクチャ、ポリシーベースの自動化、信頼性の高いマルチテナント運用による運用効率の向上
  • クラウド ネイティブの統合サービス管理インターフェイス
  • 自動化されたデータ ポリシーの適用によるコンプライアンスの実現
  • 低コストのコンピューティング

出発点はそれぞれ異なり、最適な方向性やコンピューティング モデルの議論は続いているものの、多くの企業はクラウド コンピューティングに向けて急速に進化しています。たとえば、一部のパブリック クラウド コンピューティングの支持者は、ソフトウェアやハードウェアの所有や IT 管理者の雇用をやめ、IT アプリケーション、プラットフォーム、インフラストラクチャ、サービスの専門プロバイダーを使用するよう勧めています。そうした立場は、Wikipedia に掲載された当初のクラウド コンピューティングの定義でも以下のように強調されていました。

「クラウド コンピューティング(「クラウド」)とは、インターネットをベースとして開発された、コンピュータ テクノロジーの利用形態(「コンピューティング」)である。動的に拡張可能なコンピューティング スタイルであり、多くの場合、仮想リソースはインターネット上のサービスとして提供される。ユーザはサポートされている「クラウド内」のテクノロジー インフラストラクチャの知識、専門知識、管理が不要である」

これに対し、長年 IT インフラストラクチャの構築に携わってきた人々は異論を唱えています。信頼性、セキュリティ、SLA、相互運用性は、企業内のさまざまなクラウド コンピューティングの成功を左右するだけに、そうした人々の懸念を解消する必要があります。

社内クラウド

既存の IT インフラストラクチャへの投資を最大限に活用したいと考える企業は、多くの場合、まずは社内のクラウド化から始めます。社内クラウドは、クラウド コンピューティングの概念(オンデマンド リソース、従量制、無限のスケーラビリティ)を、サービスを使用する企業が所有するリソースに適用したものです。クラウド コンピューティング機能で既存のインフラストラクチャを強化することにより、スケール メリットに加え、既存のアプリケーションと新しい Web ベースのアプリケーションの両方に対応すると同時に、セキュリティとコンプライアンスを実現できます。

社外クラウド

現在の代表的なクラウドは、通常、社外のホスト型モデルを指します。このような社外クラウド(パブリック クラウド)は、クラウド コンピューティングの特長(セルフサービス、従量制、オンデマンド プロビジョニング、無限のスケーラビリティ)を備えた IT リソースやサービスの販売という形で提供されます。社外クラウドには Web ブラウザや API 経由でアクセスし、ほぼ無制限の容量がオンデマンドかつ従量制で提供されますが、顧客による管理は制限されています。社外クラウドには、たとえば次のようなものがあります。

  • Software as a Service(SaaS; サービスとしてのソフトウェア)。アプリケーション サービスが、加入契約に基づいてネットワーク上で提供されます(例:Salesforce.com)。
  • Platform as a Service(PaaS; サービスとしてのプラットフォーム)。ソフトウェア開発のフレームワークとコンポーネントが、従量制でネットワーク上で提供されます(例:Google Apps)。
  • Infrastructure as a Service(IaaS; サービスとしてのインフラストラクチャ)。コンピューティング、ネットワーク、ストレージ サービスが、従量制でネットワーク上で提供されます(例:Amazon EC2)。

社外クラウドを提供する多くのサードパーティ ベンダーが需要の増加を実感しているものの、機密性の高いミッションクリティカルなアプリケーションがサードパーティによってホストされるインフラストラクチャに対して、企業から懸念の声が上がっています。企業はセキュリティやサービス レベルの保証、コンプライアンス管理を必要としていますが、パブリック クラウドでは、そうした必須機能はベンダーによって管理されます。

プライベート クラウドへの進化


社外クラウドとは異なり、プライベート クラウドは、セルフサービス、従量制、オンデマンド プロビジョニング、無限のスケーラビリティなど、クラウド コンピューティングの特性を持ち合わせた企業が管理する IT インフラストラクチャ サービスであるため、信頼性という重要なメリットが得られます。

最初は、ほとんどのプライベート クラウドがほぼ完全に内部リソースのみで構成されます。プライベート クラウドでは、社外と社内のクラウド リソースを組み合わせてアプリケーション システムのニーズに対応します。リソースの組み合わせは、統合管理によって企業が完全に自社で管理でき、臨機応変に変更できます。

プライベート クラウドを使用すれば、企業はプロセスを社内外で実行して、プライベート クラウドを作業負荷のコントロール ポイントとして構築できます。プライベート クラウドでは、統合管理ツールとユーザ中心のビューを使用して管理できるため、IT 部門は社内リソースと社外リソースのいずれか、または両方を使用するかどうかをリアルタイムで最適な判断を下してユーザのサービス ニーズに対応できます。

プライベート クラウドはハイブリッド クラウドとは異なります。ハイブリッド クラウドでは、社外クラウド機能(ベンダーが管理)と社内クラウド機能(自社管理)を併用して、アプリケーション システムのニーズに対応します。プライベート クラウドでは、使用する社内外のリソースを企業が選択し、管理します。

そのため、プライベート クラウドでは、「何も所有しない」パブリック クラウド コンピューティングの「すべて書き換え」の影響はなくなります。また、必要に応じてクラウド サービスの組み合わせを変更できるなど、企業が社内クラウドに求める信頼性の高い管理を実現します。

プライベート クラウド コンピューティングによって、新しいビジネス アプリケーションの導入や容量の増強を迅速に行って俊敏性を向上できるため、サイロを排除し、スケール メリットでコストを削減して新たなメリットを開拓できます。中でも最大の利点は、アプリケーションや情報への既存投資を保護する明確で論理的な経路が提供され、各ステップで直接的な価値が提供されて次のステップにつながる基盤が構築される点です。

プライベート クラウド コンピューティングへの移行


現在、データセンターやデスクトップの仮想化によって、プライベート クラウドへの移行が始まっています。この移行は、図 1 に示すように 3 つのステージで構成されています。

図 1 企業のマルチテナント クラウド ソリューションへの移行

図 1 企業のマルチテナント クラウド ソリューションへの移行
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第 1 ステージ:統合と仮想化


企業のクラウド コンピューティングへの移行は、データセンターの仮想化とサーバ、ストレージ、ネットワーク リソースの統合、アーキテクチャ(設備の割り当てや設計を含む)とプロセスの両方を慎重に計画して、冗長性と無駄なスペースや機器を削減することから始まります。シスコ CEO の John Chambers は、「ユニファイド ファブリックを使用したプラットフォーム ベースの仮想化によって、クライアント、サーバ、データセンター、ネットワーク、ストレージなどの IT リソースのグローバル化が促進される」と述べています。

仮想化テクノロジーは、データセンター リソースすべての抽象化と集約を可能にします。このことによりデータセンター リソースは、統合された論理リソースへと転換され、アプリケーションの全ロードで共有できることになります。仮想化により、物理 IT インフラストラクチャと、それがホストしているアプリケーションやサービスとが分離されるため、ツールやプロセスで処理されるシステム管理の生産性に影響を与えることなく、効率性と柔軟性を向上できます。

統合アプリケーションは、仮想化に不可欠です。統合を通じて、合理化と集中管理が可能な標準化されたリソースの共有プールを作成することにより、IT 部門は分散されたリソースを再び管理下に置くことができます。すでに IT 部門の多くは、VMware の仮想化テクノロジーを使用して、複数のアプリケーションを 1 台の物理サーバで実行することにより、使用率の低いコンピューティング リソースを統合しています。アナリストによれば、仮想化を第 1 起動オプションとして実行する新規サーバの割合は、2012 年までに 90% 近くまで増加するとみられています。

お客様の多くは、サーバの仮想化をサーバの統合にとどまらず、柔軟性の向上、サービスのプロビジョニングの高速化、計画的なダウンタイムや予定外のダウンタイムの削減をも目的として使用しています。また、スケーラブルな SAN に統合することで、拡大するストレージ リソースを再び管理下に置くためのプロジェクトに着手しています。

サーバの仮想化はほんの手始めにすぎず、ネットワークやストレージにも拡大する必要があります。サーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化によって、アプリケーションとデータのモビリティを、同一データセンター内の複数のサーバやストレージ アレイ間(すでに実稼働環境に実装中)だけでなく、複数のデータセンターやネットワーク間で実現できます。

1 つのプールにリソースを仮想化および集約すれば、運用の効率性、柔軟性、信頼性を向上できます。サーバ、ストレージ、ネットワークを仮想化する直接の動機がリソース使用率の向上と導入コストや運用コストの削減であっても、最終的な目標は、アプリケーションとインフラストラクチャとの間に抽象化を導入して IT をサービスとして管理することです。

クラウド コンピューティングへの移行を検討している企業は、まずは自社構築型の社内クラウドから始めて、仮想化を統合や自動化に利用できます。

第 2 ステージ:自動化と仮想化の最適化


第 2 ステージでは、企業は基盤となるインフラストラクチャの管理から、アプリケーション ユーザの要件に基づいたサービス レベルの管理への移行が必要です。たとえば、アプリケーションの最小許容遅延や可用性レベルなどの要素を管理するとします。企業は IT の中枢に自動化を、エンド ユーザにセルフサービスを実装して、反復的な管理手順を実行する業務から IT 部門を解放し、エンド ユーザが必要なリソースを迅速に入手できるようにする必要があります。

このステージでは、仮想化によって IT リソースを最適化し、IT の俊敏性を向上することにより、サービスの市場投入時間を短縮します。IT インフラストラクチャは自動化され、重要な IT プロセスが動的で信頼性の高いポリシーによって管理されるように、IT インフラストラクチャが変換されます。自動化によって、データセンターの実行時の操作に必要な手作業が体系的に排除されます。

最も頻繁に実装される代表的な自動化は、プロビジョニングの自動化です。高度な自動化では、以下の機能により運用コストが削減されます。

  • コンピューティング リソースのオンデマンドの再割り当て
  • 容量要求への実行時の対応
  • トラブル チケットへの対応の自動化(または一般的な自動応答シナリオではトラブル チケットを排除)
  • 統合システム管理および測定

ただし、最終的な目標は、ユーティリティ コンピューティング モデルの構築によって、運用とビジネス ニーズを一致させることです。

クラウド サービスの構築にあたっては、自動化機能に加え、セルフサービスと計測(割り当てリソースのコストに関するフィードバック)機能が提供されます。セルフサービスと計測機能を備えたこのコンピューティング モデルは、ユーティリティに類似しています。同じようにプライベート クラウドは、データとコストを企業が制御および管理することで、コンピューティング能力をユーティリティ コンピューティングへと転換する技術的な戦略であるといえます。

セルフサービスと計測機能は、ユーザ エクスペリエンスの管理と拡張を簡易化したエンド ユーザとビジネス ユニットにとって革新的な機能です。リソースの使用者と、コア ビジネスの要件やイニシアチブに応じてリソースの取得や割り当てを行うプロセスとの間を仲介するものはありません。リソースの使用者がサービス要求を行うため、IT はゲートキーパーではなくオンデマンド サービスとなります。オンデマンド サービスへの移行に伴い、ユーザがその時々で必要なリソースのみに対してコストを支払うようになるため、コストが大幅に削減されます。

こうしたコストの変化によるビジネス上のメリットは甚大です。たとえば、プライベート クラウドによってハードウェアやプロビジョニングが不要になったため、ある大手製薬会社では、コンピューティング能力を使用して以前は 1 つの薬の治験にかかっていたコストよりもはるかに少ないコストで複数の薬の治験を実施できるようになりました。その結果、この企業では、研究と製品開発の実施方法の見直しが可能になり、市場投入時間が大幅に短縮されました。

セルフサービスと計測機能がエンド ユーザとビジネス ユニットにとって革新的なプライベート クラウドの機能である一方で、完全に仮想化されたマルチテナント環境でサービスを継続的に提供し、特にデータセンター環境から外部に送信される情報やサービスなどのセキュリティを確保することが、企業の IT 管理者にとっては不可欠です。

プライベート クラウド ユーティリティ モデルはそうしたニーズや要件に対応できるため、IT リソースを 1 つのクラウド オペレーティング システムや管理プラットフォームにプールすることによって、企業はリソースを拡張できます。これにより、数十から数千ものアプリケーションやサービスをどこからでもサポートでき、大規模のコンピューティング処理を対象とした新しいアーキテクチャの構築が可能になります。

第 3 ステージ:連携


ユーザがインターネットを経由して、オンデマンドでユーティリティ モデルの IT 機能の取得、割り当て、プロビジョニングを実行できるセルフサービスと計測機能を備えたオープンな競争市場を創出するには、連携が必要です。

連携とは、異なるクラウド コンピューティング インフラストラクチャを、個々の管理インフラストラクチャと接続することによって相互接続し、さまざまなクラウド IT リソースと機能(容量、監視、管理)を電力網の電力のように共有することです。連携は、データセンターや組織の境界を越えてクラウド インターネットワーキングで実施できるため、統合的な計測と請求、1 か所でのセルフサービス プロビジョニング、複数のクラウド間でのアプリケーション負荷の移動が可能になります。

クラウド インターネットワーキングとは、クラウド コンピューティングの特長を活用して IT 作業負荷を実行できるように、異なるクラウド システム間の接続を可能にするネットワーク テクノロジーです。

サービス プロバイダーと仮想プライベート クラウド

企業が組織の境界を越えてクラウド インターネットワーキング経由でサードパーティに接続するには、サービス プロバイダーと仮想プライベート クラウド サービスが必要です。最終的に、サービス プロバイダーはパブリック クラウド サービスと仮想プライベート クラウド サービスの両方を提供するため、企業はコンテンツを一般に公開することなく、それらのサービスを企業プライベート クラウドの一部として組み込んで使用できます。

こうした仮想プライベート クラウド サービス プロバイダー モデルによって、次のことが可能になります。

  • オープンなインタークラウド標準とサービスの選択肢
  • 社内クラウドと社外クラウド間の連携のサポート
  • セキュリティ、Quality of Service(QoS)、および管理性を備えたクラウド サービスの提供
  • 標準を使用したアプリケーション管理、サービス管理、請求の統合

このように、企業はサービス プロバイダーを自由に選択でき、サービス プロバイダーは連携可能な他のプロバイダーのインフラストラクチャを使用して自社サービスで対応できない負荷を処理できます。プライベート クラウドの仮想化では、シスコは、アプリケーションとデータのパッケージ化に加え、仮想コンテナとのリンクをサポートするソリューションを提供します。仮想コンテナは、仮想インフラストラクチャと関連ポリシーの標準ベースの表現で、物理インフラストラクチャとして解釈し、実装できます。

仮想プライベート クラウドでは、プライベート クラウドの信頼性が、サードパーティ製コンポーネントやサービス プロバイダーのサービスに拡大しても適用されます。

プライベート クラウドを使用する理由


プライベート クラウドは、企業の IT インフラストラクチャを、ユビキタスで簡単にアクセスできる信頼性の高いユーティリティ サービスとして使用できる新しいスタイルのコンピューティングです。新しいビジネス サービスを要求するビジネス オーナーやアプリケーションの所有者は、サーバやストレージ、ネットワークの複雑な構造を理解していなくても、インフラストラクチャを標準サービスとして使用できます。プライベート クラウドは、企業の IT 部門の管理下で、次のような利点を提供します。

  • オンデマンドで利用可能
  • ビジネス サービスの迅速なプロビジョニング
  • スケール メリットによるコストの削減
  • 作業負荷とアプリケーションを最も効率的で効果的な場所で実行する柔軟性と選択の自由
  • 使用量に応じた従量制モデル
  • 標準化された監査可能なサービス レベル
  • アプリケーションの書き換えを行わずに、現在のみならず将来もあらゆるアプリケーションを使用できる機能
  • セキュリティの確保と企業の IT 部門による管理

プライベート クラウドは、企業や部門のオフィス、ビジネス パートナー、資材サプライヤ、リセラー、ディストリビュータ、生産やサプライ チェーンの事業体など、さまざまなビジネスの場で、さまざまなユーザに対してサービスを提供します。

プライベート クラウドの構築


IT をサービスとして使用することやプライベート クラウド モデル採用のメリットは、ほとんどのお客様に一定の理解を得ていますが、多くのお客様はプライベート クラウドの構築方法を知りません。

現在、シスコでは、プライベート クラウドを始めとして、仮想化された統合システムのコア要素を作成しており、デスクトップ システム、モバイル機器、データセンター、サーバ、ネットワーク、ストレージ リソースを、オープン標準を使用してセキュアで信頼性の高いマルチテナント エンタープライズ ソリューションに統合しています(図 2)。

図 2 プライベート クラウドの構築

図 2 プライベート クラウドの構築
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シスコの仮想ネットワーク プラットフォーム


クラウド コンピューティングとプライベート クラウドは、シスコ ユニファイド コンピューティング システム(図 3)に示すように、コンピューティング、ネットワーク、仮想化の交差する部分で機能します。

図 3 シスコ ユニファイド コンピューティング システム

図 3 シスコ ユニファイド コンピューティング システム
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シスコでは、ネットワークを以下の機能を備えたクラウド インターネットワーキングの基盤と見なしています。

  • クラウドをエンタープライズ対応にするネットワーク テクノロジー
  • 作業負荷のポータビリティを実現するネットワーク インテリジェンス
  • クラウド内のマルチメディア(ビデオ)配信
  • クラウド間の相互運用性
  • クラウド全体にわたるエンドツーエンドのサービス提供を備えたユーザ エクスペリエンス

まずは出発点として、Cisco Data Center 3.0 およびシスコ ユニファイド コンピューティング システム ポートフォリオの既存製品を使用することで、クラウドへの移行が可能です。

Cisco Data Center 3.0 およびシスコ ユニファイド コンピューティング システム ポートフォリオの基本原則は、クラウド コンピューティングを支える原則と同様に、統合、仮想化、自動化です。これらのテクノロジーは、クラウド コンピューティング インフラストラクチャに欠かせません。

これらのテクノロジーを革新的な方法で採用することで、来年リリース予定のシスコの新しいプライベート クラウド ソリューションを活用できる動的な仮想インフラストラクチャを構築できます。

サーバの統合

エンタープライズ データセンターの Total Cost of Ownership(TCO; 総所有コスト)削減に向けた第一歩は、サーバの統合です。サイロ化され高コストの今日のデータセンターでは、仮想マシンで実行されている実稼働作業負荷が 15% を下回っていると言われています。VMware vSphere(IT インフラストラクチャをプライベート クラウドへと転換した最初のクラウド オペレーティング システム)などのサーバ仮想化テクノロジーを使用してコスト削減を図るお客様が増えるにつれ、仮想マシンがデフォルトのアプリケーション プラットフォームとなり、x86 アプリケーションの 60 〜 80% が仮想環境で実行されるようになります。

10 ギガビット イーサネットへの移行

ネットワークの観点では、仮想マシン密度の増加に伴い、サーバを接続するデフォルト メカニズムとして 10 ギガビット イーサネットへの移行が促進されています。1 台のサーバ上に複数の仮想マシンを配置すると、ギガビット イーサネット 1 つだけではすぐに能力の限界に達しますが、複数のギガビット イーサネット リンクを使用するとコストが増加します。Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチや Cisco Nexus 2000 シリーズ ファブリック エクステンダなどの Cisco Nexus™ ファミリは、今日のデータセンターで使用されている既存のギガビット イーサネット搭載サーバをサポートし、10 ギガビット イーサネット、ユニファイド ファブリック、仮想マシンを意識したネットワーク(Cisco VN-Link 採用)の将来的な導入を可能にします。

Cisco Nexus 1000V シリーズ スイッチは、個々の仮想マシンに運用の一貫性とポリシーのポータビリティを提供するため、データセンター内で仮想マシンが移動すると、ネットワーク ポリシーとセキュリティ ポリシーも一緒に移動します。Cisco Nexus 1000V シリーズは、現在 VMware ESX を実行している場所ならどこにでも導入でき、サーバのアップリンク速度やアップストリームのアクセス スイッチに基づく依存関係はありません。

サーバ I/O の統合

VMware Distributed Resource Scheduling(DRS)などのテクノロジーを使用してさらに TCO 削減と仮想マシン導入を進めるには、すべてのサーバに一貫性のあるユビキタスなネットワーク機能とストレージ機能が備わっている必要があります。それらの機能を搭載する最も簡単で効率的な方法は、ユニファイド ファブリックの導入です。ユニファイド ファブリックに移行することで、すべての物理サーバと仮想サーバから SAN にアクセスできるようになるため、SAN に統合できるストレージの容量が増大し、効率の向上とコスト削減を実現できます。

ユニファイド ファブリック

サーバ I/O を統合するには、サーバのアクセス層でユニファイド ファブリックがサポートされている必要があります。Cisco Nexus ファミリ製品は、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)、Small Computer System Interface over IP(iSCSI)、ファイバ チャネルをサポートしているため、このサポートが可能です。ネットワーク側で FCoE をサポートするには、Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチで FCoE 機能を有効にして、ファイバ チャネル単独か、またはファイバ チャネルと Data Center Bridging(DCB; データ センター ブリッジング)アップリンク モジュールをインストールするだけです。接続されたすべての Cisco Nexus 2000 シリーズ ファブリック エクステンダで、FCoE 機能が引き継がれます。Cisco Nexus 7000 シリーズは FCoE 対応となっており、DCB 対応 I/O モジュール(信頼性の高い転送方法)は 2010 年にリリースされる予定です。

サーバ側に FCoE を導入する場合は、Emulex や QLogic などで提供されている新しい 統合型ネットワーク アダプタ(CNA)や、Intel インターフェイスの場合は 10 ギガビット イーサネット ネットワーク アダプタ用の新しいソフトウェア ドライバが必要です。FCoE は VMware vSphere でサポートされており、Emulex、Intel、および QLogic インターフェイスは VMware ESX 3.5 ハードウェア互換性リスト(HCL)に掲載されているため、この手順は物理サーバと仮想サーバの両方に使用できます。

スケーラブルで動的なユニファイド ファブリック

スケーラブルで動的なユニファイド ファブリックを使用すれば、あらゆるデータ センター アセットから他のアセットにアクセスできます。ストレージの観点では、シスコのデータセンター ファブリックは、FCoE および iSCSI のサーバ アクセスと、FCoE、ファイバ チャネル、および iSCSI の接続先をサポートしています。DCB は、アクセス層から集約層とコア層に拡張されてファイバ チャネル SAN へのアクセスを簡素化します。ディレクタ クラスのファイバ チャネル スイッチの既存の Cisco MDS 9000 ファミリを接続する FCoE インターフェイスは、既存の SAN へのアクセスを簡素化します。

ユニファイド コンピューティング

ユニファイド ファブリックは、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ リソースのプールから構成される完全仮想化データ センターの構築を可能にします。セキュリティとレイヤ 4 〜 7 の処理(ロード バランシングなど)のサービスを仮想化して必要なときにいつでも実装できる上、管理機能とプロビジョニング機能が自動化されます。

さらに、Cisco Nexus 1000V シリーズ スイッチやシスコ ユニファイド コンピューティング システムを使用して Cisco VN-Link ネットワーク サービスを VMware vSphere 環境で利用できます。Cisco VN-Link ストレージ サービスは、Cisco MDS 9000 ファミリのマルチレイヤ SAN スイッチで提供するインテリジェント ファブリックの一部として利用できます。

Cisco VN-Link は、サーバ、ストレージ、ネットワーク管理ドメインを連携するため、1 つの環境で変更を行うと、他の環境にも伝達されます。Cisco VN-Link は、新機能を提供し、管理と運用を簡素化して、サーバ仮想化ソリューションへの拡張を可能にします。具体的には、次のような利点があります。

  • リアルタイムのポリシーベースの構成
  • VMware VMotion のライブ マイグレーション時にポリシーを仮想マシンと一緒に移行し、永続的なネットワーク、セキュリティ、ストレージのコンプライアンスを実現するモバイル セキュリティおよびネットワーク ポリシー
  • 管理環境と運用環境の連携により、データセンターでの仮想マシンと物理サーバの接続性を向上する無停止管理モデル

これまでのデータセンターの進化は、社内に限られていました。シスコ ユニファイド コンピューティング システムは、社外の移行を促進するサービスを提供します。

シスコ ユニファイド コンピューティング システムは、データセンター内のサイロ間をリンクして完全仮想化環境の IT インフラストラクチャの使用率を向上するのに加え、相互運用性と投資保護を実現する業界標準テクノロジーを使用して統合アーキテクチャを構築します。

このアーキテクチャは、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ アクセス、および仮想リソースを、Cisco UCS Manager を通じてエネルギー効率に優れた単一システムとして管理されるスケーラブルなモジュラ設計に統合します。Cisco UCS Manager は、Cisco UCS 6100 シリーズ ファブリック インターコネクトに組み込まれた管理ソフトウェアです。Cisco UCS 6100 シリーズ ファブリック インターコネクトは、システム内の I/O を統合するラインレート、低遅延、ロスレスの 10 ギガビット Cisco DCB および FCoE 対応インターコネクト スイッチ ファミリです。

Cisco UCS Manager には、あらゆるシステム構成と運用を管理できる直観的な GUI、Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)、堅牢な API が搭載されています。Cisco UCS Manager は、IT スタッフの生産性を向上し、ストレージ、ネットワーク、コンピューティング、およびアプリケーションを管理する IT マネージャが協力してアプリケーションのサービス プロファイルを定義できるようにします。サービス プロファイルによってプロビジョニングを自動化できるため、データセンター管理者はこれまで数日かかっていたアプリケーションのプロビジョニングを数分で行えます。

シスコ ユニファイド コンピューティング システムは、低遅延、ロスレスの 10 ギガビット イーサネットを基盤としたユニファイド ファブリックをサポートしています。このネットワーク基盤によって、LAN、SAN、高性能コンピューティング ネットワークなどの独立したネットワークが統合されます。ネットワークの統合により、ネットワーク アダプタ、スイッチ、ケーブルの数が減り、それに伴って電力および冷却要件が緩和されるため、コストが削減されます。

また、シスコ ユニファイド コンピューティング システムによって、SAN と Network Attached Storage(NAS; ネットワーク接続ストレージ)へのアクセスの統合が可能になります。シスコ ユニファイド コンピューティング システムでは、ユニファイド ファブリックを使用して、イーサネット、ファイバ チャネル、FCoE、iSCSI 経由でストレージにアクセスできるため、お客様に選択の自由と投資保護が提供されます。さらに、IT スタッフがストレージ リソースへのシステム接続時に適用されるストレージ アクセス ポリシーをあらかじめ定義できるため、ストレージの接続と管理が簡素化されます。

Cisco UCS 2100 シリーズ ファブリック エクステンダは、Cisco UCS 5100 シリーズ ブレード サーバ シャーシにユニファイド ファブリックを提供し、ブレード サーバとファブリック インターコネクト間に最大 10 ギガビットの接続を提供して、診断、配線、管理を簡素化します。

新しい Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバは、次世代の Intel Nehalem プロセッサ ファミリ(次世代の Intel Xeon プロセッサ)をベースとしており、大量のデータ セットを使用するアプリケーションに対応する特許取得済みの拡張メモリ テクノロジーを提供して、1 台のサーバに搭載できる仮想マシン数を大幅に増加させます。Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバでは、最大 8 台のブレード サーバと最大 2 台のファブリック エクステンダが 1 つの 6RU エンクロージャでサポートされるため、管理モジュールの追加は不要です。各ブレード サーバは、ネットワーク アダプタを使用してユニファイド ファブリックにアクセスします。

Cisco UCS ネットワーク アダプタには、仮想化に最適化されたアダプタや、既存のドライバ スタックとの互換性を持つアダプタ、効率性の高い高パフォーマンス イーサネット アダプタがあります。シスコ ユニファイド コンピューティング システムは、統合管理、「wire-once(配線は初回のみ)」のユニファイド ファブリック、業界標準コンピューティング プラットフォームを使用して、仮想化の最適化、ビジネスの俊敏性を向上する動的なリソース プロビジョニング、データセンターの総コスト削減に加え、導入コスト(CapEx)を最大 20%、運用コスト(OpEx)を最大 30% 削減します。

さらに、新しいスタイルの動的な IT を実現することで、仮想データセンターを拡張し、互換性のあるサービス プロバイダーと連携するプライベート クラウドの基盤を構築します。動的でスケーラブルなデータセンター ファブリックを特長とする仮想化環境では、作業負荷をどこでも実行でき、作業負荷のサポートに必要なリソースを、クラウド コンピューティング モデル内であれば外部のサービス プロバイダーからでも取得できます。

シスコ ユニファイド コンピューティング システムがビジネスにもたらす価値


  • 事前設計された仮想化アーキテクチャによる簡素化
  • 設計 - 構築 - 導入 - 運用のライフサイクルの短縮
  • ハードウェアの仮想化による償却資産のライフサイクルの延長
  • 予測可能な IT と施設の投資サイクル
  • ビジネス ニーズに応じたスケーラビリティ(拡張と縮小)
  • 業務指標(Return on Net Assets(RONA; 純資産利益率)、CapEx(導入コスト)、OpEx(運用コスト))の改善

まとめ


企業の IT インフラストラクチャは、統合管理により配信が容易なコスト効率が高く、ユビキタスで簡単にアクセスできる、信頼性と効率性の高いユーティリティ サービスへと進化しています。シスコでは、お客様がクラウド コンピューティングとプライベート クラウドに向けた第一歩を踏み出すお手伝いをいたします。プライベート クラウドでは、企業の IT 部門の管理下でクラウド コンピューティングのメリットを享受でき、増大するサービス プロバイダーのビジネス チャンスによってクラウド サービスの選択肢が広がります。サービス プロバイダーは最終的に、パブリック クラウド サービスとプライベート クラウド サービスの両方を、企業のプライベート クラウド内で使用して管理する仮想クラウド サービスの形態で提供します。

Domain Name System(DNS; ドメイン ネーム システム)やピアリング サービスのような公開共有コア サービスを通信事業者やサービス プロバイダーのネットワークに導入すれば、ユーザとクラウド プロバイダー間でより柔軟な関係が可能になります。企業は複数のサービス プロバイダーの中からの選択が可能となり、サービス プロバイダーは連携してサービスの負荷を共有できるようになります。こうした柔軟な関係により、クラウド市場の弾力性が増し、インタークラウドという単一のパブリックでオープンなクラウド インターネットワーキングが構築されます。

連携とアプリケーションのポータビリティをインタークラウドの基盤に据えることによって、企業にはビジネス プロセスの自由と革新的を、ユーザには幅広い選択肢と高速でより良いサービスを提供できます。

関連情報


次世代のデータセンター アーキテクチャでの効率性、管理性、柔軟性を備えたプライベート クラウド モデルとクラウド コンピューティングの実現に向けて、企業の IT 部門とサービス プロバイダーの進化を支援するシスコの戦略とサービスの詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/datacenter/ を参照してください。

Cisco Data Center 3.0、シスコ ユニファイド コンピューティング システム、および VMware vSphere の詳細については、以下を参照してください。

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