ソリューション概要地理的に分散している仮想データセンター向けの Overlay Transport Virtualization:アプリケーションの可用性とポータビリティの改善このドキュメントの内容データセンターが地理的に分散していると、アプリケーションの耐障害性が増し、ワークロードを柔軟に割り当てられます。これを実現するためには、ネットワークでデータセンター間のレイヤ 2、レイヤ 3、およびストレージ接続を可能にする必要があります。またそうした接続性はデータセンターの自律性やネットワーク全体の安定性を損なうことなく提供されている必要があります。 このドキュメントでは、Cisco® Overlay Transport Virtualization(OTV)テクノロジーの特性、およびデータセンター間で次の性質を持つレイヤ 2 接続を提供する方法について概要を説明します。
このドキュメントは、テクノロジーの意思決定者、IT 管理者、およびネットワーク アーキテクトを対象としています。 課題企業は、運用コストを低く抑えながら、アプリケーションの可用性を高めるという課題に直面しています。アプリケーションは、アクセスの場所や時間に関係なく、最短の応答時間で利用できなければなりません。 IT の設計時にデータセンターを地理的に分散して展開することにより、アプリケーションの可用性を高める効果的な災害回避および災害復旧のメカニズムを導入できます。また、地理的に分散することにより、施設の配置を改善してアプリケーションの応答を最適化することが可能になります。ワークロードをデータセンター間で柔軟に分散することにより、要求のホットスポットが発生するのを回避し、キャパシティをフルに利用できます。 データセンターを地理的に分散させ、それを最大限に活用するには、それらの場所をつなぐネットワークの全体でレイヤ 2 接続ができるようにする必要があります。図 1 に示すように、Web、アプリケーション、およびデータベースの各レイヤにおいて各種アプリケーションにより実現される耐障害性およびクラスタ処理のメカニズムを有効にするには、データセンター内の各レイヤで LAN 拡張が必要です。この図ではレイヤ 3 およびストレージの接続の要件も示されていますが、このドキュメントでは、レイヤ 2 接続の要件について説明します。 レイヤ 2 接続の拡張に関する既存のメカニズムでは、接続性および独立性の要件に対する対応は最適とは言えません。そのような課題および制限の多くは、OTV で効果的に解決できます。そうした課題には、次のようなものがあります。
ビジネス上の利点OTV は、どのようなトランスポートを介したレイヤ 2 接続の拡張に対しても、運用に関して最適化されたソリューションを提供します。したがって、アプリケーションの可用性を確保し、ワークロードを柔軟に流動させるために分散データセンターを効果的に展開するには不可欠といえます。 OTV は、データセンターのハイアベイラビリティ モデルを強化し、データセンターの可用性を 99.999% 近くにまで高めます。OTV のレイヤ 2 接続を障害ドメインのスコーピングと組み合わせることにより無中断のクラスタベースの障害回復スキームが実現し、さらに、透過的な障害回避に役立つステートフルなワークロードの移動が可能になります。また、ワークロードを透過的に移動できるため、ダウンタイムなしでメンテナンスや変更などの管理作業を行うことが可能になります。データセンターにおけるダウンタイムの平均コストは、1 時間あたり 42,000 米ドルになると推定されています。年間のダウンタイムは平均で 87 時間になると推定されており、これは可用性に換算すると 99.0%、平均年間コストでは 365 万米ドルに相当します。効果的な障害処理のメカニズムおよび透過的な変更管理を実現してダウンタイムを低減することにより、データセンターの可用性を 99.0% から 99.999% へと高めることができます。これは 87 時間あったデータセンターの年間ダウンタイムが 5 分に圧縮され、平均的な運用形態では年間 365 万米ドルのコスト削減が可能になるということを意味します。 ビジネスの性質によっては、ダウンタイムのコストはもっと高いものになります。たとえば、いくつかの有名なオンライン小売サービスでは、1 秒あたり平均 2,000 米ドルの商取引を行っています。つまり、時間あたりのダウンタイムのコストは、720 万米ドルにもなります。こうしたビジネスでは、可用性の差は膨大な違いをもたらします。99.999% の可用性ではダウンタイムによる損失が年間約 60 万米ドルですむのに対し、99.0 %の可用性では年間 6 億 2,640 万米ドルもの損失となるからです。 ビジネスに対するダウンタイムのコストが平均内であっても、前述の例のように極端なものであっても、データセンターにおけるハイアベイラビリティ最適化の投資回収率(ROI)は、非常に魅力的なものです。たとえば、拠点が 2 つある一般的なデータセンターでネットワーク インフラストラクチャのアップグレードを行い、100 万米ドルのコストで OTV サービスが導入されたとします。標準的な ROI の公式に基づいて計算すると、ROI は 2.65 になります。先ほどの極端な例の場合には、同じ 100 万米ドルで 625.4 の ROI が得られます。
OTV への投資が魅力的であることは、ダウンタイムのデータに基づいた ROI によって十分証明されますが、地理的に離れた場所にわたって LAN を透過的に拡張することによるビジネス上の利点を考慮に入れると、ROI はさらに高まります。そのような利点の 1 つに、複数のデータセンター上の使用可能なリソース間で負荷を最適にバランシングする機能があります。このような高い柔軟性により、小規模データセンターの統合をプロビジョニングすることが可能になります。処理や温度の集中によるホットスポットの形成を回避できるため、電力および冷却リソースの使用が最適化されます。ワークロードをインテリジェントに再割り当てすることにより、電力および冷却のコストは大幅に削減されます。 定量的に説明するのは困難ですが、他にも利点があります。そのような利点には、たとえば重要なアプリケーションの応答時間を低減することにより実現される生産性(および競争力)の向上などがあります。データセンターを地理的に分散させるとサービスを提供するデータセンターが物理的に近くなり、それだけでもアプリケーション応答時間の短縮になります。 ソリューションOTV は、どのようなトランスポート上にでも LAN を拡張するレイヤ 2 VPN をサポートするための「IP 内 MAC アドレス」テクニックです。トランスポートは、レイヤ 2 ベース、レイヤ 3 ベース、IP スイッチド、ラベル スイッチドなど、IP パケットを伝送可能なあらゆるものを使用できます。OTV では、MAC ルーティングの原理を使用することにより、分離したレイヤ 2 ドメイン間の独立性を維持し、IP ベースの相互接続の障害分離、耐障害性、およびロードバランシングの利点を残したまま、それらのドメイン間のレイヤ 2 接続を可能にするオーバーレイを提供します。 OTV の動作の核となる原理は、MAC アドレス到着可能性情報をアドバタイズするコントロール プロトコル(データ プレーン ラーニングは使用しない)および IP でカプセル化されたレイヤ 2 トラフィックのパケット スイッチング(回線スイッチングは使用しない)をデータ転送に使用することです。これらの機能は、従来のレイヤ 2 VPN のコア メカニズムとは大きく異なっています。従来のレイヤ 2 VPN では、トラフィックのフラッディングおよび発信元ベースの MAC アドレスの学習を可能にするために、VPN 内のすべてのデバイス間で回線の静的なメッシュが維持されます。回線のこのフル メッシュは、すべてのトラフィックが転送される無制限のフラッディング ドメインです。このフル メッシュを維持しなくてはならないため、既存のレイヤ 2 VPN アプローチではスケーラビリティが大幅に制限されます。同時に、コントロール プレーンが存在しないため、現行のレイヤ 2 VPN ソリューションは、データセンター間をまたいで LAN を拡張するための要件に適切に対処するための拡張性が制限されています。 OTV では、コントロール プロトコルにより MAC アドレスの宛先がネットワーク コアを介して到達可能な IP ネクスト ホップにマッピングされます。OTV は一種の MAC ルーティングと見なすことができます。このルーティングにおいて宛先は MAC アドレス、ネクスト ホップは IP アドレスとなり、トラフィックはその MAC ルーティング ネクスト ホップにコア IP ネットワークを介して単純に伝送できるように IP でカプセル化されます。したがって、発信元ホストと宛先ホストの MAC アドレス間のフローは、オーバーレイ内で発信元と宛先の関連するエッジ デバイス IP アドレス間のフローに変換されます。カプセル化は動的に行われ、トンネルが維持されないので、この処理はトンネリングではなくカプセル化と呼ばれます。トラフィックは IP で転送されるため、OTV の効率はコア IP ネットワークと同等であり、コアの場合と同様の最適なトラフィック ロード バランシング、マルチキャスト トラフィック レプリケーション、および高速フェールオーバーが実現されます。図 2 は、この動的なカプセル化メカニズムを示したものです。 図 2 に示されているフォワーディング テーブル内にある MAC アドレスから IP ネクスト ホップへのマッピングは、コントロール プロトコルによってアドバタイズされます。したがって、オーバーレイを経由する未知のユニキャスト トラフィックのフラッディングは不要になっています。コントロール プロトコルは拡張可能であり、VLAN、サイト ID、関連 IP アドレス(IP ホスト用)などの有用な MAC アドレス固有の情報が含まれます。こうした豊富な情報はほとんどがデータ フラッディング ラーニングの場合には使用できないものですが、マルチホーミングの実装、ロード バランシング、ループの防止、First Hop Resiliency Protocol(FHRP)機能のローカライズ、さらには Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)トラフィックのローカライズにも必要なインテリジェンスを各機能の運用上のオーバーヘッドを追加せずに OTV に組み込む役に立ちます。 そのため、OTV はレイヤ 3 相互接続のほとんどの特性を維持したまま、MAC アドレスの宛先に基づいた接続を提供するために使用できます。OTV で実現される主な利点は次のとおりです。
シスコが選ばれる理由OTV により、シスコは再び革新をもたらし、将来の標準を形づくる次世代テクノロジーで業界をリードしています。OTV は、データセンターを相互接続し、レイヤ 2 およびレイヤ 3 テクノロジーを提供してきたシスコの長年の経験に基づいた成果です。シスコは、データセンターの課題に適合するように特別に構築され、今後数年のうちにデータセンターのネットワーキングを変化させていく幅広いデータセンターの技術革新と連携したソリューションを開発しています。OTV は、レイヤ 2 マルチパス化や TRILL などのテクノロジーと連携して、弾力的で耐障害性のあるレイヤ 2 ドメインと、将来のデータセンターに対応する一貫性のあるよく設計されたフィーチャ セットを提供します。OTV は、キャリア アプリケーション向けに設計されたテクノロジーを改良して再利用するのではなく、データセンターにおける主要な運用上の課題および必要な効率に重点を置いて、データセンター内で見られる LAN 拡張の課題に対する無駄のない包括的なソリューションを提供します。 関連情報Cisco OTV の詳細については、http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/switches/nexus7000/index.html を参照してください。 |

