Accelerating Customer Service -顧客サービスのアクセルを踏む

INDEX

  1. Accelerating Customer Service
  2. チャンスをつかむ
  3. コミュニケーションが一新
  4. 顧客にもっと近づく
  5. 生産性も向上する

コミュニケーションが一新

写真4
サービスアドバイザーのマイク・ゴギンズ氏は、顧客のデータに瞬時にアクセスできる。

IP フォンの導入によって、顧客からの電話を最適な担当者に簡単にルーティングできるようになり、電話の処理が「非常にラク」になったとコナー氏は言う。統合化ネットワーク (IP コミュニケーションの基盤) により、個々の通話は担当者のデスクの IP フォンに直接回され、担当者が不在の場合はモバイル IP フォンに繋がる。スローで効率性が劣る従来型の電話転送プロセスはそこにはない。

「私はほとんどやることがありませんね。基本的にはプラグアンドプレイですから」とコナー氏。「社員が別の場所へ移動するときや、新しい仕事を割り当てられたときには、IP フォンをプラグから外し、移動先まで持ち運び、またプラグを差し込めばそれで全部終了です」

ネットワークインテグレーター ADP の ACC 担当であるマーク・バーナー氏は、「カーディーラーの社員は、いつもオフィスを出たり入ったりしているんです」と説明する。そのため、簡単に移動でき、顧客と常に電話で連絡がとれるモバイル IP フォンが非常に大きな意味を持つ。ACC の約 200台の IP フォンのうち、25% がモバイル IP フォンになっており、大きな効果を発揮している。

電話受付は個々の社員がどこに居るのかを正確に把握しておく必要がないし、担当者が席にいないからといって、顧客にボイスメール (留守電) を残すように依頼する必要もない。サービス担当者が修理工場にいるときでも、販売員が展示場にいないときでも、どの通話もモバイル IP フォンによって自動的に適切な要員に繋げられるのである。

「オフィスに座っているだけでは、車を売り、お客様を満足させることはできません」とコナー氏。「ディーラーとして利益を上げようと思ったら、外に出て、動き回らなければなりません。我々にとって、ワイヤレスは単なる選択肢ではなく、不可欠な要素だったのです」

2005年春、ACC は中古車部門を新しい施設へ移転させた。この時に統合化ネットワークの威力がいかんなく発揮されたという。新しい施設はハイウエーの向こう側に過ぎないのだが、2つの社屋間で物理的な回線の接続を行っていれば、かなりの経費がかかっていただろう。その代わり、ACC ではセキュアなワイヤレス機能を利用し、ハイウエーを横断するブリッジとも言えるワイヤレス接続を確立した。「やったことといえば、アンテナの方向を定めたくらいですね」とコナー氏は笑う。

新しいオフィスへのスタッフの移動は、一夜のうちに完了した。「非常に印象的でした」、とシューマッハ CFO は言う。「土曜日に仕事を終えると、営業部門の連中が自分の持ち物をひとまとめにし、IP フォンのプラグを抜き、車でフリーウエイの向こう側に渡り、新しいオフィスで IP フォンをプラグに差し込んだのです。何の問題もありませんでした。従来の PBX ではまったく不可能な世界ですね」

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