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―荒俣さんはサラリーマン時代もご自分の趣味に没頭されていたそうですが、そのための時間はどのように捻出していたんですか?
睡眠時間をかなり削っていましたね。プログラマーをやっていた 10年間、睡眠時間は毎日、ほぼ 2~3時間くらい。もうフル回転で生きていました。基本的に丈夫なもので、70歳くらいまではこのままいけるかと思ったんですが、早くも 50歳でガタが来ました。睡眠が足りないとイライラするし、世の中に対する不満が鬱積するから (笑)、最近はできるだけ 5~6時間は眠るようにしています。
でも、さっきの話じゃないですが、サラリーマンのおじさんたちには、自分のネタを蓄積するための時間がないのが現状ですよね。おじさんたちが頑張るのは会社を中心とした社会や周囲のためであって、時間もお金も、なかなか自分のためには使えない。特に、会社にとって都合のいい生き方をしてきたまっとうなサラリーマンほど、ツライことになっていると思います。
結局、何かに仕えている以上はダメということじゃないでしょうか。今は、ちょっと前までと価値観が変わってしまって、ロクでもないサラリーマンとか、あまり会社の役に立たないOLのほうが生き生きとしている。自分のために生きられる強さがある人の勝ち。その点、女の人のドライさはいいですね。おじさんたちより、ずっと期待がもてると思います (笑)。
― あくまでもマジメなおじさんたちは、いったいどうしたらいいのでしょう。
うーん、悔い改めて生き方を変えるか、マジメに生きてきた自分を善しとしてあきらめるしかないでしょうね。あとは、どちらにしても「深める」ことです。中途半端にウロウロするのがいちばんよくないと思います。
ボクはサラリーマン時代、仕事時間以外のつきあいには一切かかわらなかったんです。20年以上も前のことですから、ボクの場合、今以上に浮いてるサラリーマンだったと思うし、会社にとってはかなりイヤなヤツですが、長い目で見れば、それが自由を守れる結果につながったわけです。好きなことを掘り下げていったほうが、会社を離れたときにもつぶしが利くし、自営業にもつながりやすいような気がします。だいたい、生態系においては「例外の体系」になれた存在が生き残ることになっているんですよ (笑)。
まあ、ムリに生き方を変える必要はないと思うんですが、できることならば、会社にとって都合のいいだけの人間にはならず、「罪深きサラリーマン」でも自主性を持つ存在になることをおすすめしたいと思います。