Cisco Exclusive Interview「自分流『検索エンジン』づくりのススメ」荒俣宏

古今東西、不思議なモノを追い求めて幾星霜。 夜な夜なこの世とあの世とバーチャルワールドの間をひょうひょうとさすらう、知識界の巨人・荒俣宏氏。 自らの趣味に人生丸ごと投げうってきた博覧強記の怪人が、IT と博物学の意外な関係から自己サバイバルの奥義まで、穏やかに慎ましやかに語る。

INDEX

  1. この世の不思議に知の体系を与えた「博物学」
  2. 博物学的快楽とITの密接な関係
  3. 自分流「検索エンジン」づくりのススメ
  4. 「罪深きサラリーマン」になりましょう
  5. とことん「源」まで遡りたい

この世の不思議に知の体系を与えた「博物学」

― 博物学とは、そもそもどんなモノなのでしょうか?

たとえば、生まれて初めてアメリカザリガニを見たとします。なんで、こんな不思議な生き物がいるんだろう? この姿を描きたい、実物を捕まえたい、できたら自分で育てたい、食べられたり薬にしたりできるのか、いや、そもそもこいつは何ていう名前なんだろう? と、まあ、こうした原始的な知的欲求に応えてくれる「知の体系」が博物学なんです。自然界のあらゆるものにコードを与え、分類していこうという、先人たちの営為ですね。

ただし、決して実在物の「目録づくり」ではなく、あくまでも知の体系づくりの一環として、興味深く、また、いろいろに応用がきく整理術です。なにしろわかりやすいのが魅力で、特に、ヴィジュアル (図像) と記述、この二つの情報を基本セットにした点がたいへん素晴らしいと思います。

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