オブザーバビリティツールを利用している複数のコンポーネントの可視性が向上していることを示す拡大鏡の図。

オブザーバビリティ

オブザーバビリティとは

オブザーバビリティは、ソフトウェアツールを使用して問題を発生前に検出する最新のアプリケーションのプロセスです。これは、テックスタックの入出力を観測することによって実行されます。

オブザーバビリティツールは、データ、ユーザー体験、インフラストラクチャ、およびネットワークのテレメトリを収集して分析し、問題を、ビジネス KPI が影響を受ける前に解決します。

オブザーバビリティへの移行

組織がオブザーバビリティに移行している理由

オンプレミス環境、Software as a Service(SaaS)、パブリッククラウド全体でコンポーネントやサービスを活用するアプリケーションが増加しています。そのため、運用環境が分散して複雑になり、新たな課題が生まれています。

オブザーバビリティツールは、エンドユーザー体験とアプリケーション運用効率に関するインサイトを組織に提供します。

オブザーバビリティ ソリューションに対するニーズが高まっている要因

オブザーバビリティ ソリューションに対するニーズは、デジタルサービスの急増や IT システムおよびアプリケーションの複雑化によって高まっています。

具体的には以下のような要因が挙げられます。

  • 管理する必要のあるアプリの数がかつてないほど多くなり、なお増えつづけている。
  • ユーザーの期待は高まる一方で、迅速なアップデートを望んでおり、優れた体験が得られないと使用を断念する。
  • 開発チームは、リリースと更新のサイクルを短くし、アプリを常に最新化している。
  • 現在 IT チームは、従来のアプリとクラウドネイティブのアプリの両方を管理する必要がある。
  • クラウドサービスとサードパーティの API の利用が増加している。

 

また、アプリケーションやインフラストラクチャから、ネットワーク、セキュリティにいたるまで、テックスタック全体で作成されるデータの量が増加しています。人間が管理しきれないほど複雑なシステムになったことから、組織は現在、次のような課題への対応を迫られています。

可視性の欠如

  • 世界の技術者の 75% が、IT がかつてないほど複雑になっていると回答しています。
  • また、必要なリソースやサポートもない状況で、膨大な量の「データノイズ」への対応に苦慮しています。
  • 技術者の 85% が、パフォーマンス問題の根本原因を特定するために、データの増加に伴うノイズを分析することが、引き続き重要な課題であると回答しています。

 

優先順位に基づいた対応ができない

  • 技術者の 96% が、テックスタック全体のパフォーマンスを可視化してインサイトを得ることができず、アプリケーションのパフォーマンスにどのような影響があるかを把握できなければ、効率的な対応ができないと回答しています。

モニタリングだけでは不十分

サイロ化されたドメインモニタリングからの脱却が必要な理由

従来のモニタリングソリューションは、全体的なデジタルエクスペリエンスに影響を与える分散アプリケーション全体(管理対象および管理対象外のものを含む)を可視化することはできず、効果は限られています。たとえば、アプリケーションサービス、ネットワーク、インフラストラクチャ、クラウド、データベース、ログを包括的に可視化することはできません。

モニタリングツールは、パフォーマンスに関する問題が発生すると、それぞれのエリアの各チームにアラートを送信します。ただし、これらのツールでは、各ドメインのパフォーマンスがアプリケーションのトランザクションやビジネスにどのような影響があるかについては、十分な情報を得られません。クラウドネイティブの分散アプリケーションでは、さまざまなプロセスやシステムが関連しあっているため、モニタリングツールだけではシステム機能を最適化することはできません。

モニタリングだけでは十分でない理由は次のとおりです。

  • デジタルサービスに対するエンドユーザーのニーズと期待に応えるには、複数のチームが必要です。DevOps、AppOps、NetOps、InfraOps、SecOps のすべてのチームが、あらゆるデジタル体験のパフォーマンスとセキュリティの最適化に関係しています。
  • 従来のモニタリングでは、ベースラインや正常性ルールを策定し、IT チームのドメインで問題が発生したときにアラートを送信することで、通常の状態と異常な状態を区別することしかできません。
  • そのためユーザーは、問題がアプリケーションの全体的な体験やビジネスにどの程度影響を及ぼすかを確認できません。
  • テクノロジーに対する期待はかつてないほど高まっています。テクノロジーの障害に対するユーザーの目が厳しくなっており、IT チームには、問題に対処するだけでなく問題をプロアクティブに防止するツールが必要です。
  • IT チームは、基盤となるインフラストラクチャやユーザー体験を含め、テックスタック全体で最新のアプリケーションのパフォーマンスと可用性を管理する必要があります。

オブザーバビリティはプロアクティブ

オブザーバビリティツールが必要な理由 

クラウドネイティブの分散アプリケーションでは、関連するさまざまなプロセスやシステムによって、思わぬ問題が発生する可能性があります。通常、特定のメトリクスをモニターするだけでは、問題を未然に検出することはできません。

このようなシステムでは、複数のマイクロサービスに影響するリクエストによって、関連するサービスにメッセージが連鎖的に送信される可能性があります。そのため、モニタリングツールでは、システム障害が発生した際にどこに問題があるのかを正確に診断することは困難です。

アジャイル開発方式、DevOps、マイクロサービス、コンテナなどの最新の手法で開発されたアプリケーションでは、通常、さまざまなプログラミング言語を使用したアプリケーション コンポーネントが短期間に展開されます。オブザーバビリティツールは、システム機能に関連するさまざまなイベントを幅広くトラッキングするため、システム全体に影響を与える前に潜在的な問題を検出できます。

オブザーバビリティツールから得られるコンテキスト情報により、該当のチームメンバーは、システムパフォーマンスの時系列での変化と、それらの変化が他の変化とどのように関係しているかを確認できます。その際、多くの場合、グラフを用いたわかりやすいレポートやダッシュボードが使用されます。これらのツールでは、問題を解決するために調査する必要があるシステム要素間の依存関係についても特定され、レポートされます。

フルスタック オブザーバビリティの相違

シスコによる「フルスタック オブザーバビリティ」の定義は、チームが、アプリケーションのパフォーマンスをアプリケーションのテックスタック全体と結び付け、そのパフォーマンスをビジネスメトリクスに関連付けることを可能にするソリューションです。

フルスタック オブザーバビリティ ツールは、IT チームがアプリケーションの問題が発生した場所と理由を知ることで、より優れたアプリケーション体験を提供できるようにします。また、ビジネスへの影響に基づいて、実行するアクションに優先順位を付けるためにも役立ちます。

フルスタック オブザーバビリティは、入力(アプリケーションおよびインフラストラクチャのスタック)と出力(ビジネストランザクション、ユーザー体験、アプリケーション パフォーマンス)をモニターし、領域を横断した相関関係および依存関係のマッピングを提供します。これにより、接続体験がチーム間で共有され、アプリケーション パフォーマンスとビジネスコンテキストのサイロ化が解消されます。また、チームには、アプリケーションのビジネスパフォーマンスに影響を与える問題に関するアラートも送信されます。これには領域を横断した相関関係および依存関係も含まれ、パフォーマンスの問題の発生源となっている領域と理由をチームが正確に把握できます。

アプリケーションのビジネスコンテキストを観測することで、チームは、ビジネスと体験に最も大きな影響を与える問題に優先順位を付け、効率的に対応することができます。その後、チームは、パフォーマンス、最適化、およびセキュリティのスタック全体に対してアクションを実行できます。

フルスタック オブザーバビリティが必要な理由

最新のアプリケーションの開発サイクルやシステムの複雑さのために、アプリケーションのパフォーマンスに関する問題の根本原因を把握することが困難になっています。各領域を個別にモニターするだけでは不十分です。複雑な環境を適切に管理し、もれなく可視化するには、フルスタック オブザーバビリティが必要です。
フルスタック オブザーバビリティでは、テックスタック全体が、顧客のアプリケーション パフォーマンス メトリクスやビジネストランザクション、そして最終的にはビジネスの重要業績評価指標(KPI)に関連付けられます。

このビジネス成果への関連付けが重要です。調査に回答した人のほぼ 4 分の 3(73%)が、IT のパフォーマンスとビジネス成果を結び付けられないことにより、ビジネスに悪影響が及ぶことを懸念しています。優れたデジタル体験を提供し、デジタル トランスフォーメーションを推進するには、フルスタック オブザーバビリティをリアルタイムにビジネス成果に結び付ける機能が不可欠です。

フルスタック オブザーバビリティの利点
 

フルスタック オブザーバビリティの利点は、次のとおりです。

  • ビジネス効果を改善し、ビジネス体験を向上させる:問題を特定するまでの平均時間と問題を解決するまでの平均時間を短縮し、アプリケーションの稼働時間とパフォーマンスを向上させ、より優れたエンドユーザー体験を実現します。
  • ビジネス運営を最適化し、コストを削減する:アプリとインフラの依存関係をマッピングすることで、過剰なプロビジョニングを防止し、コストを削減します。
  • ビジネスリスクを軽減する:アプリケーションの開発からランタイムまで、アプリケーションのセキュリティを強化します。

 

フルスタック オブザーバビリティによって次のものが提供されます。

  • フルスタック オブザーバビリティの可視性:複数の領域と複数のチームにまたがるデータをリアルタイムで収集して統合し、相互に関連付けることで、システムパフォーマンスの全体像を把握します。アプリケーション インフラストラクチャ全体にわたるリアルタイムの情報を活用して、サイロ化を解消し、複数の IT チームのコラボレーションを実現し、ワークフローを合理化します。
  • フルスタック オブザーバビリティのインサイト:アプリケーション パフォーマンスの根本要因をより迅速に特定し、リソース割り当てを最適化し、アプリケーションのコストとパフォーマンスの関係およびそれらがエンドユーザー体験に与える影響をより明確に把握します。

 

フルスタックのアクション

  • フルスタック オブザーバビリティ アクション:長期にわたって収集されたデータに基づいて、優先順位付けされたアプリケーションの推奨事項を取得することで、アプリケーションの拡張性を向上させるとともに、アプリケーションの開発サイクルを迅速化します。

 

フルスタック オブザーバビリティによって可能になるユースケース 

 

フルスタック オブザーバビリティは、次の 3 つの柱にわたるユースケースを可能にします。

パフォーマンス

  • ハイブリッド アプリケーションのモニタリング:多くの場合にモノリシックでホストされており、従来型のインフラストラクチャとハイブリッドクラウドを活用する、従来型のアプリケーションとハイブリッド アプリケーションのパフォーマンスをモニターします。
  • 最新のクラウドネイティブなアプリケーションのモニタリング:パブリッククラウドやプライベートクラウドでホストされるクラウドテクノロジーを活用する、多くの場合にマイクロサービスベースで分散型のクラウドネイティブ アプリケーションのパフォーマンスをモニターします。
  • 顧客デジタル体験のモニタリング:アプリケーション体験、その基礎となる依存関係、およびビジネス効果に関する実用的なエンドツーエンドのインサイトを提供します。
  • アプリケーション依存関係のモニタリング:管理対象と管理対象外の(サードパーティが提供する)アプリケーションサービスと API のパフォーマンス(サービスで使用するインターネットやクラウドネットワークのパフォーマンスを含む)を確保します。

 

最適化

  • ハイブリッドコストの最適化:パブリッククラウドでは必要な分だけを支払い、オンプレミスのアセットの使用を安全に増やすことでコストを削減します。
  • アプリケーションリソースの最適化:オンプレミスとパブリッククラウドのワークロードに対するリソースの割り当てを推測で行わなくて済むようにすることで、アプリケーション パフォーマンスを改善および確保します。

 

セキュリティ

  • アプリケーションのセキュリティ:実稼働環境のアプリケーションランタイムの脆弱性を積極的に特定して阻止することにより、ビジネスリスクを軽減します。 

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ソリューション

シスコのフルスタック オブザーバビリティ

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アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、リソースを最適化し、アプリケーションのセキュリティを強化することができます。