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この章では、マルチシェルフ システム ハードウェアの概要を説明します。この章の内容は、次のとおりです。
• Cisco CRS-1 マルチシェルフ システム ハードウェアの概要
• Cisco CRS-1 マルチシェルフ システム アーキテクチャ
• Cisco CRS-1マルチシェルフ システムの主な機能
• FCC の概要
マルチシェルフ システムは、高度にスケーラブルなルーティング プラットフォームであり、IP ネットワークがマルチサービス ネットワークへと発展するのに伴い、サービス プロバイダーが効率よく Point Of Presence(POP; アクセス ポイント)を展開できるように設計されています。マルチシェルフ システムの現行リリースでは、2 台の 16 スロット Line Card Chassis(LCC; ラインカード シャーシ)、1、2、または 4 台の Fabric Card Chassis(FCC; ファブリック カード シャーシ)、および最大 2 台の Catalyst 6509 スイッチがサポートされます。ここでは、主要なハードウェア コンポーネントについて、それぞれ簡単に説明します。
ここでは、マルチシェルフ システムを構成するハードウェア コンポーネントについて詳しく説明します。説明する内容は、次のとおりです。
LCC は、Modular Service Card(MSC; モジュラ サービス カード)と、それに対応する Physical Layer Interface Module(PLIM; 物理レイヤ インターフェイス モジュール)、Switch Fablic Card(SFC; スイッチ ファブリック カード)、Route Processor(RP; ルート プロセッサ)カード、および Distributed Route Processor(DRP)カードを組み込むラックです。LCC は、ファシリティの床にボルトで固定するので、外部ラックは不要です。LCC には独自の電源システムおよび冷却システムが搭載されています。マルチシェルフ システムを構成するには、少なくとも 2 台の LCC が必要です。
(注) LCC は、マルチシェルフ システムとは別々に購入して運用できます。LCC に関する完全なマニュアルは、個別の資料として入手できます。このシステム概要では、FCC およびマルチシェルフ システムに特有の項目に重点を置いています。
FCC は、SFC および Shelf Controller Gigabit Ethernet(SCGE)カード(2 ポートまたは 22 ポート)をシャーシ前面に収容するラックです。シャーシの背面には、Optical Interface Modules(OIM)および OIM Light Emitting Diode(LED; 発光ダイオード)モニタリング カード(OIM-LED)を搭載します。FCC は、ファシリティの床にボルトで固定するので、外部ラックは不要です。FCC には独自の電源システムおよび冷却システムが搭載されています。マルチシェルフ システムを構成するには、最低 1 台の FCC が必要です。
マルチシェルフ システムの最初のリリースでは、外部 Cisco Catalyst 6509 スイッチ(WS-C6509-NEB-A)が必要です。この Catalyst スイッチには、マルチシェルフ システム内でデータ フローを制御するために必要な、Gigabit Ethernet(GE; ギガビット イーサネット)インターフェイスがあります。マルチシェルフ システムの現行リリースでは、Cisco Catalyst スイッチの代わりに、22 ポート SCGE カードに配置された統合型スイッチが使用されています。「SCGE 機能の概要」を参照してください。
マルチシェルフ システム(CRS-1/M-F1)では、複数の LCC を単一システムとして動作させ、92 Tbps(テラビット/秒)まで拡大できます。マルチシェルフ システムは、サービス プロバイダーの次世代ネットワークの中心的役割を果たし、複数のネットワークを 1 つの IP/MPLS インフラストラクチャに統合する、信頼性に優れた、高度にスケーラブルなソリューションを提供します。
マルチシェルフ システムでは、2 つの 16 スロット LCC および 1 つ、2 つ、または 4 つの FCC、合計で 2.56 Tbps までのスイッチング機能がサポートされます(各 LCC のスイッチング機能は最大 1.28 Tbps です)。システムに GE スイッチング機能を提供するには、外部 Catalyst スイッチを使用します。図1-1 は FCC が 1 台のマルチシェルフ システム、図1-2 は FCC が 2 台のマルチシェルフ システム、図1-3 は FCC が 4 台のマルチシェルフ システムを示しています。
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Cisco Catalyst 6509 スイッチ 1 |
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1.FCC に 22 ポート SCGE カードが搭載されている場合、Cisco Catalyst スイッチは必要なくなります。 |
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Cisco Catalyst 6509 スイッチ 2 |
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2.FCC に 22 ポート SCGE カードが搭載されている場合、Cisco Catalyst スイッチは必要なくなります。 |
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Cisco Catalyst 6509 スイッチ 3 |
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3.FCC に 22 ポート SCGE カードが搭載されている場合、Cisco Catalyst スイッチは必要なくなります。 |
マルチシェルフ システムの主な機能には、次のようなものがあります。
• 優れたシステム スケーラビリティと耐久性。マルチシェルフ システムは、ネイティブで
OC-768c/STM-256c をサポートし、92 Tbps まで拡張可能な唯一のキャリア ルーティング システムであり、現在のネットワークを簡素化するだけでなく、今後数十年にわたって投資を保護します。
• テラビット単位の容量を可能にする、スケーラブルな非ブロック スイッチ ファブリック
• システムのインターフェイス、ピア、ルーティング エントリを数百万まで拡張する分散型コントロール プレーン
• 分散型アーキテクチャ、冗長コンポーネント、セルフヒーリング オペレーティング システム(Cisco IOS XR など)を使用した、持続的なシステム運用と可用性。これにより、「常時接続」の運用をサポートするマルチシェルフ キャリア インフラストラクチャを実現
• データ プレーン、コントロール プレーン、管理プレーンを分割する分散アーキテクチャ
• 中断のない容量アップグレードと、ルーティング プロトコルおよびシグナリング プロトコルの Nonstop Forwarding(NSF)とグレースフル リスタート拡張機能をサポートする In-Service Software Upgrade(ISSU)
• 活性挿抜(Online Insertion and Removal; OIR)の完全サポート
• Error Correction Code(ECC)保護メモリ
• Cisco Intelligent ServiceFlex デザインを利用した新しい柔軟なサービス。Cisco CRS-1 システムは、業界で最も高性能の 40 Gbps Application-Specific Integrated Circuit(ASIC; 特定用途向け集積回路)である Cisco Silicon Packet Processor(SPP)を、サービス インテリジェンスおよび独自のサービス分割アーキテクチャと組み合せて、最大限の柔軟性と速度を実現しています。
• Cisco SPP 技術を使用したラインカードの高い適応性とプログラム可能性によって実現される広範な機能
• サービスを停止せずに新機能を展開できる Cisco IOS XR ソフトウェアのデータ プレーン、コントロール プレーン、管理プレーンでの独自のサービス分割アーキテクチャ。コンポーネントベースのモデルにより、Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲートウェイ プロトコル)、Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS)などのコンポーネントのインストール、アップデート、削除が個別に行えるようになっています。
• Cisco CRS-1 システムの論理パーティショニング。これにより、サービス プロバイダーは個別にサービスを継続し、独自のペースでネットワークを統合できるようになります。
FCC は、LCC および Catalyst スイッチに接続する Switch Fabric Module(SFM; スイッチ ファブリック モジュール)および光モジュールを収容するラックです。FCC は、床に固定します。シャーシの前面と背面にはロック ドアがあります。FCC はキャビネット内に完全に格納されているため、FCC の取り付けの際に外付けラックを用意する必要はありません。
シャーシという用語は、システムのコンポーネントを収容するラックまたはルーティング システムとして動作しているフル装備のシャーシを指します。
次のリストに、FCC のメイン コンポーネントを示します。ほとんどのコンポーネントは Field-Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)、すなわち、ユーザが現地で交換できるユニットです。ここでは、コンポーネントの詳細情報の参照先も示します。
• AC 整流器を備えた 2 つの AC デルタ電源シェルフまたは AC スター電源シェルフ、または DC Power Entry Module(PEM; パワー エントリ モジュール)を備えた 2 つの DC 電源シェルフ。電源シェルフと AC 整流器、または DC PEM は、シャーシに冗長電力を供給します。詳細については、「FCC 電源システム」を参照してください。
• シャーシ内の吸気と排気を行う上部ファン トレイおよび下部ファン トレイ。また、下部ファン トレイの上には着脱式エアー フィルタがあります。詳細については、「FCC 冷却システム」を参照してください。
• SFC。デフォルトでは、8 枚の SFC が含まれています。スイッチ ファブリックは、マルチシェルフ システムが最初のリリースで 1.28 Tbps の容量を実現する主要コンポーネントです。復元力と冗長性を兼ね備えた 1296×1296 バッファの非ブロック ファブリックは、ファブリック要素の論理プレーンを 8 個備えた 3 ステージの Benes トポロジを使用して、システム容量を最大限に拡張できます。詳細については、「マルチシェルフ システム スイッチ ファブリック」を参照してください。
• 2 ポート SCGE カード。運用には、少なくとも 1 枚の 2 ポート SCGE カードが必要です。2 枚めの 2 ポート SCGE カードは、冗長性を確保するために使用します。2 ポート SCGE カードは、SFC 動作全体を制御し、上部ファン トレイと下部ファン トレイのファン コントローラとして動作します。また、2 ポート SCGE カードでは、CONSOLE、AUX、およびイーサネット コントロール接続が可能です。また、ローカルなストレージ用に PCMCIA スロットがあります。
(注) 2 ポート SCGE カードは、制御ネットワークが外部 Cisco Catalyst スイッチで機能している場合に取り付けます。詳細については、「SCGE カード」を参照してください。
• 22 ポート SCGE カード。運用には、少なくとも 1 枚の 22 ポート SCGE カードが必要です。2 枚めの 22 ポート SCGE カードは、冗長性を確保するために使用します。22 ポート SCGE カードは、SFC 動作全体を制御し、上部ファン トレイと下部ファン トレイのファン コントローラとして動作します。また、22 ポート SCGE カードでは、CONSOLE、AUX、およびイーサネット コントロール接続が可能です。また、ローカルなストレージ用に PCMCIA スロットがあります。
(注) 22 ポート SCGE カードには、統合スイッチング機能があります。FCC に 22 ポート SCGE カードが搭載されている場合、外部 Cisco Catalyst スイッチおよび 2 ポート SCGE カードは必要なくなります。詳細については、「SCGE カード」を参照してください。
• OIM。デフォルトでは、8 個のシングル幅 OIM が含まれています。OIM は、ファイバで X 接続機能を実現する受動デバイスです。OIM は、各バンドルの内部でファイバを SFC に分配します。OIM は OIM-LED カードによってモニタされます。詳細については、「OIM および OIM LED カード」を参照してください。
このシステム概要ではこれ以降、シャーシの前面を SFC 側と呼びます。ここから冷気がシャーシ内に入ります。シャーシの背面を OIM 側と呼びます。シャーシ内の暖気はここから排気されます。シャーシおよびカードの仕様については、 付録 A「仕様」 を参照してください。
図1-4 に、AC 電源を使用する FCC の前面図(SFC 側)を示します。図1-5 には、シャーシの背面図(OIM 側)を示します。
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ここでは、FCC に取り付けるカードとモジュールの位置と番号について説明します。図1-6 に、FCC の SFC 側のコンポーネント番号を示します。
図1-6 SFC 側のコンポーネント番号(AC電源タイプの場合)
図に示したように、シャーシの SFC 側にある FCC のコンポーネント番号に含まれるものは、次のとおりです。
• 電源シェルフ 0(PS0)と、対応する電源モジュール スロット A0、A1、A2、およびアラーム モジュール スロット(AM0)
• 電源シェルフ 1(PS1)と、対応する電源モジュール スロット B0、B1、B2、およびアラーム モジュール スロット(AM1)
(注) 図1-6 は、AC 電源モデルです。DC 電源モデルには、A2 または B2 電源モジュールはありません。DC 電源シェルフと AC 電源シェルフの寸法は同じです。ただし、第 3 の電源モジュールは DC 電源モデルには存在しません。DC 電源モデルでは、A2 および B2 電源モジュールの位置に、ブランクのフィラー プレートが取り付けられています。
• 上部 SFC カード ケージ付近のファン トレイ 0(FT0)
• 12 個の SFC スロット(左から右へ:0 ~ 11)および 1 個の SCGE カード(2 ポートまたは 22 ポート)スロット、SCGE0 を含む上部 SFC カード ケージ
• 12 個の SFC スロット(左から右へ:12 ~ 23)および 1 個の SCGE カード(2 ポートまたは 22 ポート)スロット、SCGE1 を含む下部 SFC カード ケージ
• 下部 SFC カード ケージ付近のファン トレイ 1(FT1)
図1-7 に、FCC の OIM 側のコンポーネント番号を示します。
図に示したように、FCC の OIM 側のスロット番号に含まれるものは、次のとおりです。
• 上部 OIM アレイ、12 個の OIM スロット(0~11)、および 1 個の OIM-LED カード(OIM-LED0)
• 下部 OIM アレイ、12 個の OIM スロット(12~23)、および 1 個の OIM-LED カード スロット(OIM-LED1)
OIM スロット番号は、シャーシの反対側にある SFC スロットの番号と逆になっています。OIM は、バックプレーン経由で、対応する SFC に接続されているため、0 番の OIM スロットは OIM 側(背面)から見て一番右にあり、0 番の SFC スロットは SFC 側(前面)から見て一番左にあります。OIM スロット 0 と SFC スロット 0 はバックプレーン経由で接続されており、他の OIM および SFC スロットもすべて同じようになっています。
図1-8 に、FCC の設置面積を上から見た図を示します(前面および背面の外装を取り付けた状態)。
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FCC には、シャーシの SFC 側と OIM 側両方にケーブル管理機能があります。SFC 側には垂直のトラフがあり、これで SCGE カード ケーブルを管理します。
シャーシの OIM 側には下部 OIM アレイ(シャーシ中央)の上に 1 つのケーブル管理システムがあります。これらのケーブル トレイを使えば、ファイバ ケーブルの配線を簡単に管理できます。シャーシのどちらの側にも、左および右の垂直ケーブル トラフがあります。シャーシのケーブル配線とケーブル管理の詳細については、『Cisco CRS-1 Carrier Routing System Interconnection and Cabling Guide』を参照してください。
FCC には、ベゼル、側面パネルに加えて、前面および背面のロック ドアが用意されています。外装コンポーネントは別送で出荷され、システムの設置時に FCC に取り付ける必要があります。外部シャーシ コンポーネントの詳細については、『Cisco CRS-1 Carrier Routing System Fabric Card Chassis Installation Guide』を参照してください。