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この章では、Fabric Card Chassis(FCC; ファブリック カード シャーシ)に使用する電源システムについて説明します。この章の内容は、次のとおりです。
電源仕様については、 付録 A「仕様」 に記載しています。
FCC には、AC 電源(スターまたはデルタ)または DC 電源のどちらでも使用できます。シャーシの電源システムは施設から電源を取り込み、電源システムのコンポーネントに必要な DC 電圧に変換します。AC 電源システムと DC 電源システムはどちらも完全に冗長化されていて、次のコンポーネントから構成されています。
• 2 つの(冗長)AC 電源シェルフまたは DC 電源シェルフ
• 電源シェルフごとに AC 整流器×3 または DC Power Entry Module(PEM; パワー エントリ モジュール)×2
• シャーシ コンポーネントに対して冗長電源入力を供給する二重バス バー
• DC-DC コンバータ、活性挿抜(Online Insertion and Removal; OIR)ダイオード、EMI フィルタなどの特殊コンポーネント
AC スター、AC デルタ、および DC 入力電力には、さまざまな電源シェルフが使用されます。各 AC 電源シェルフには AC 整流器が 3 つあり、各 DC 電源シェルフには DC PEM が 2 つあります。アラーム モジュールは、すべての電源シェルフに含まれています。図2-1 に、AC 電源シェルフを示します。
AC 電源システムおよび DC 電源システムは、電源シェルフ A および B を使用し、シャーシの全コンポーネントに信頼性の高い 2N の冗長電源を供給します。図2-2 に、FCC の電源アーキテクチャと配電を示します。
図2-2 に示すように、AC 入力電源または DC 入力電源は、2 つの電源シェルフからシャーシに入力され、A または B の電源バスに配電されます。両方のバス バーからバックプレーンを経由して、SCGE カード(2 ポートまたは 22 ポート)、ファン トレイ、および SFC に電力が供給されます。
• A 電源シェルフ:バス バー A に -48 VDC を供給
• B 電源シェルフ:バス バー B に -48 VDC を供給
シャーシのコンポーネントには A、B 両方の電源が入力されるため、FCC は次のような場合でも正常に動作し続けることができます。
二重障害が発生しないかぎり、システムの性能が低下することはありません。また、電源アーキテクチャの A 側と B 側の両方に障害が発生して同じ負荷ゾーンに影響しないかぎり、システムの性能は低下しません。
シャーシのコンポーネントには電源関連のデバイス(OIR ダイオード、突入電流制御回路、EMI フィルタなど)がそれぞれあり、シャーシの電源アーキテクチャの一部になっています。この電源関連デバイスはデュアル電源(バス A と B )アーキテクチャの一部となっており、コンポーネントの OIR(別名ホットスワップ)が可能となっています。
AC 電源システムでは 4 つの負荷ゾーンを介してシャーシに電源が供給されます。これらの負荷ゾーンにより、電源の冗長化が実現され、高い信頼性が確保されています。各負荷ゾーンは、両方のバス バー(A および B)から電源を得ているので、シャーシ内の各カードと各モジュールは両方の電源シェルフから確実に給電されます。
FCC は、1 つの電源モジュールまたは 1 つの電源シェルフ全体の損失があっても、動作を継続できるだけの電力を保有しています。負荷ゾーンで電源が完全に失われるのは、各電源シェルフの電源モジュールに障害が発生した場合です。 図2-3 に、FCC の SFC 側にある 4 つの負荷ゾーンを示します。
図2-3 AC 電源システムの FCC 負荷ゾーン(SFC 側)
図2-3 に示すように、各電源モジュール(AC 整流器)は、次の 2 つの負荷ゾーンに電源を供給します。
• 電源モジュール A0 は、負荷ゾーン 1 と 3(Z1 と Z3)に電源を供給します。
• 電源モジュール A1 は、負荷ゾーン 2(Z2)に電源を供給します。
• 電源モジュール A2 は、負荷ゾーン 4(Z4)に電源を供給します。
• 電源モジュール B0 は、負荷ゾーン 1 と 3(Z1 と Z3)に電源を供給します。
• 電源モジュール B1 は、負荷ゾーン 2(Z2)に電源を供給します。
• 電源モジュール B2 は、負荷ゾーン 4(Z4)に電源を供給します。
図2-3 に、各負荷ゾーンからどのシャーシ スロットに電源が供給されるかを示します。
• 負荷ゾーン 1(Z1)は、シャーシ スロット 0 ~ 8 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 2(Z2)は、シャーシ スロット 9 ~ 11 および SCGE0(2 ポートまたは 22 ポート)カードに電源を供給します。
• 負荷ゾーン 3(Z3)は、シャーシ スロット 12~20 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 4(Z4)は、シャーシ スロット 21 ~ 23 および SCGE1(2 ポートまたは 22 ポート)カードに電源を供給します。
図2-4 に、FCC の OIM 側にある 4 つの負荷ゾーンを示します。
図2-4 AC 電源システムの FCC 負荷ゾーン(OIM 側)
図2-4 に、各負荷ゾーンからシャーシの OIM 側にあるどのシャーシ スロットに電源が供給されるかを示します。
• 負荷ゾーン 2(Z2)は、OIM-LED0 カードとシャーシ スロット 11 ~ 9 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 1(Z1)は、シャーシ スロット 8 ~ 0 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 4(Z4)は、OIM-LED1 カードとシャーシ スロット 23 ~ 21 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 3(Z3)は、シャーシ スロット 20 ~ 12 に電源を供給します。
• ファン トレイ(FT0 および FT1)は、SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カード(SCGE0 および SCGE1)から動作電力を受けます。
DC 電源システムでは 4 つの負荷ゾーンを介してシャーシに電源が供給されます。これらの負荷ゾーンにより、電源の冗長化が実現され、高い信頼性が確保されています。各負荷ゾーンは、両方のバス バー(A および B)から電源を得ているので、シャーシ内の各カードと各モジュールは両方の電源シェルフから確実に給電されます。
FCC は、1 つの電源モジュールまたは 1 つの電源シェルフ全体の損失があっても、動作を継続できるだけの電力を保有しています。負荷ゾーンで電源が完全に失われるのは、各電源シェルフの電源モジュールに障害が発生した場合です。 図2-5 に、FCC の SFC 側にある 4 つの負荷ゾーンを示します。
図2-5 DC 電源システムの FCC 負荷ゾーン(SFC 側)
図2-5 に示すように、各電源モジュール(DC PEM)は、次の 2 つの負荷ゾーンに電源を供給します。
• 電源モジュール A0 は、負荷ゾーン 1 と 2(Z1 と Z2)に電源を供給します。
• 電源モジュール A1 は、負荷ゾーン 3 と 4(Z3 と Z4)に電源を供給します。
• 電源モジュール B0 は、負荷ゾーン 1 と 2(Z1 と Z2)に電源を供給します。
• 電源モジュール B1 は、負荷ゾーン 3 と 4(Z3 と Z4)に電源を供給します。
図2-5 に、各負荷ゾーンからどのシャーシ スロットに電源が供給されるかを示します。
• 負荷ゾーン 1(Z1)は、シャーシ スロット 0 ~ 8 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 2(Z2)は、シャーシ スロット 9 ~ 11 および SCGE0(2 ポートまたは 22 ポート)カードに電源を供給します。
• 負荷ゾーン 3(Z3)は、シャーシ スロット 12 ~ 20 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 4(Z4)は、シャーシ スロット 21 ~ 23 および SCGE1(2 ポートまたは 22 ポート)カードに電源を供給します。
図2-6 に、FCC の OIM 側にある 4 つの負荷ゾーンを示します。
図2-6 DC 電源システムの FCC 負荷ゾーン(OIM 側)
図2-6 に、各負荷ゾーンからシャーシの OIM 側にあるどのシャーシ スロットに電源が供給されるかを示します。
• 負荷ゾーン 2(Z2)は、OIM-LED0 カードとシャーシ スロット 11 ~ 9 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 1(Z1)は、シャーシ スロット 8 ~ 0 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 4(Z4)は、OIM-LED1 カードとシャーシ スロット 23 ~ 21 に電源を供給します。
• 負荷ゾーン 3(Z3)は、シャーシ スロット 20 ~ 12 に電源を供給します。
• ファン トレイ(FT0 および FT1)は、SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カード(SCGE0 および SCGE1)から動作電力を受けます。
FCC の DC 電源システムには、すべてのコンポーネントが取り付けられたシャーシの場合、最大 9000 W の電力が供給されます。DC PEM は、8800 W の電力をシステムに供給できます。残りの 200 W は PEM の効率に相当します。ルーティング システムに 2N の冗長性を実現している DC 電源システムは、次のようなコンポーネントから構成されています。
• DC 電源シェルフ×2 ― DC 入力電源コネクタおよび DC PEM を搭載します。
• DC PEM×2(各電源シェルフごとに) ― DC 入力電源を電源シェルフから受け、フィルタリングと電力サージ保護を行い、その電源をバス バー A または B に渡します。PEM はそれぞれ現地で交換可能です。
電源シェルフと PEM にはそれぞれ専用の回路ブレーカーがあります。
DC 電源シェルフは、2 つの DC PEM、アラーム モジュール、および配電接続と配線を収容するラックです。電源シェルフ(図2-7 を参照)は、前面から FCC に取り付け、シャーシの電源インターフェイス コネクタ パネルにプラグインします。
• 重量 ― 38 ポンド(17.24 kg)(DC PEM を除く)
各電源シェルフには 4 つの入力電源コネクタがあり DC 入力電源を接続します(公称 -48 VDC または -60 VDC、60 A)。各コネクタには、2 つの端子があります(プラスとマイナス)。各端子は、長さ 0.6 インチ、中心間の距離が 0.625 インチの M6 スタッド 2 つで構成されます。端子には保護カバーが付いています。
サービス プロセッサはアラーム モジュール内にあります。このモジュールは各 PEM の状態を監視し、電源供給の状態を示すステータス信号を送ります。
図2-8 は、DC 電源シェルフと FCC 間の接続を示すブロック図です。DC 電源シェルフへの入力電源接続の詳細については、『Cisco CRS-1 Carrier Routing System Fabric Card Chassis Installation Guide』を参照してください。
各 DC 電源シェルフは、2 つの PEM をサポートし、2 つの 60 A の電源供給を受け入れます。DC 入力電源は電源シェルフに入力され、PEM で処理されてからシャーシのバックプレーンに配電されます。PEM は、DC 入力電源に対して突入電流制限、EMI フィルタリング、電力サージ保護、および回路の分離を行い、それからシャーシ バックプレーンのバス バー A または B のいずれかに配電します。
2N の冗長性を実現するには、1 つの DC 電源シェルフからバス A に、もう 1 つのシェルフからバス B に電源を供給します。シャーシ バックプレーンの負荷ゾーンは、バス A とバス B の両方からシャーシ内の各カードおよび各モジュールに電源を供給します。シャーシ内の配電については、「電源アーキテクチャ」と「AC 電源システムの FCC 負荷ゾーン」を参照してください。
サービス プロセッサはアラーム モジュール内にあります。このモジュールは各 PEM の状態を監視し、電源供給の状態を示すステータス信号を送ります(PEM インジケータ参照)。
図2-9 に、DC 電源シェルフの配線を示します。図に示すように、60-A DC 電源の 2 線ワイヤが 4 セット、端子ブロック(TB1)で DC 電源シェルフに配線されています。DC 電源は、そこからシェルフの回路ブレーカーを経由して、電源シェルフ内の 2 つの DC PEM(A0 と A1)へ送られます。DC PEM は、電源の状態をシステムに伝える受動ユニットです。PEM によって、システムに対する回路保護、EMI フィルタリング、ソフトスタート回路、OIR が行えるようになっています。各 DC PEM から 2 つのシャーシ負荷ゾーンに電源が供給されます。
図2-10 に示す DC PEM は、電源シェルフからの入力電源を処理し、電力をバス バー A または B に渡します。PEM は現地で交換可能です。
2 つの -48 VDC または -60 VDC 入力が、電源シェルフのバックプレーンのコネクタを通じて、電源シェルフの背面で PEM に入力されます。PEM は突入電流制限、EMI フィルタリング、電力サージ保護、および回路の分離を行って電源を処理し、その後 PEM から出力してシャーシのバックプレーンに配電します。
サービス プロセッサはアラーム モジュール内にあります。このモジュールは各 PEM の状態を監視し、Route Processor(RP; ルート プロセッサ)上のシステム コントローラ機能にステータスを通知します。サービス プロセッサは PEM が存在するかどうかを検出し、PEM の出力電圧と電流、障害、およびアラーム状態を監視します(PEM インジケータ参照)。
PEM にはそれぞれ ID EEPROM があり、制御ソフトウェアが使用する情報(部品番号、シリアル番号、アセンブリの相違点、特殊設定、テスト履歴、フィールド追跡データなど)が格納されています。
各 PEM には電源およびステータスに関するインジケータがあります。PEM インジケータには、両方の DC 電源シェルフから電源が供給されるため、このインジケータは入力電圧から PEM に電源が供給されない場合でも動作します。 表2-1 に、PEM ステータス インジケータおよびその意味を示します。 表2-2 には、特定の障害状況における LED の状態を示します。
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AC 電源システムは、10,000 W までの電力を FCC に供給できます。ルーティング システムに 2N の冗長性を実現している AC 電源システムは、次のようなコンポーネントから構成されています。
• 各シャーシごとに AC 電源シェルフ×2 ― AC 入力電源コネクタおよび AC 整流器モジュールを搭載します。電源シェルフは、AC デルタ構成にも、AC スター構成にも利用できます。1 つのシャーシには、同一タイプ(デルタまたはスター)の電源シェルフが 2 つ必要です。
• 各電源シェルフごとに AC 整流器モジュール×3 ― 200 ~ 240 VAC を、FCC が使用する 54.5 VDC に変換します。AC 整流器は、現地で交換可能です。FCC で使用する AC 整流器モジュールは Line Card Chassis(LCC; ラインカード シャーシ)で使用するものと同じですが、電源シェルフのバックプレーン コネクタによってそれぞれ異なる所要電源を供給するようにプログラムされています。
• 各電源シェルフと各 AC 整流器には、専用の回路ブレーカーがあります。
形式の異なる 2 種類の 3 相 AC 電源シェルフにより、AC デルタまたは AC スター入力構成がサポートされています。AC 電源シェルフの各バージョンは、それぞれ部品番号が異なっています。電源シェルフの各タイプに対する AC 入力電源は、次のとおりです。
• AC スター電源シェルフには、200 ~ 240(L-N)/346 ~ 415(L-L)VAC、3W+N+PE、50 ~ 60 Hz、24 A という、3 相スター、5 線接続が含まれます。冗長動作を実現するには、40 A(北米)または 32 A(海外使用)という 2 つの 3 相スター分岐回路が必要です。各電源シェルフに 1 つの電源接続を割り当てます。
• AC デルタ電源シェルフには、200 ~ 240 VAC、3 相、3W+PE、32 A、50 ~ 60 Hz という、デルタ 3 相、4 線接続が含まれます。冗長動作を実現するには、3 相デルタ 60A の分岐回路が 2 つ必要です。各電源シェルフに 1 つの電源接続を割り当てます。
(注) 電源シェルフの電源ケーブルは、出荷時には接続されていません。
AC デルタ電源シェルフ(CRS-FCC-PS-ACD)は、3 つの AC 整流器モジュール、アラーム モジュール、および配電接続と配線を収容するラックです。図2-11 に示すように、AC デルタ電源シェルフは前面から FCC に取り付け、シャーシの電源インターフェイス コネクタ パネルにプラグインします。
• 重量 ― 36 ポンド(16.3 kg)(AC 整流器モジュールを除く)
図2-12 に、FCC で AC デルタ電源を使用した場合の基本的な電源アーキテクチャを示します。
AC 入力電源は電源シェルフに入力され、シェルフ内の 3 つの AC 整流器に配電されます。AC 整流器は AC 電源を DC 電源に変換し、フィルタリングを行って、その DC 電源をシャーシ バックプレーンのバス バー A または B に渡します。
2N の冗長性を実現するには、1 つの AC 電源シェルフからバス A に、もう 1 つのシェルフからバス B に電源を供給します。シャーシ バックプレーンの負荷ゾーンは、バス A と B の両方からシャーシ内の各カードおよび各モジュールに電源を供給します。シャーシ内の配電については、「電源アーキテクチャ」と「AC 電源システムの FCC 負荷ゾーン」を参照してください。
サービス プロセッサはアラーム モジュール内にあります。このモジュールは各 AC 整流器の状態を監視し、電源供給の状態を示すステータス信号を送ります(AC 整流器のインジケータ参照)。
(注) AC デルタおよび AC スター電源シェルフは、どちらも同じ AC 整流器を使用します。詳細は、「AC 整流器」を参照してください。
図2-13 に、AC デルタ電源シェルフの配線を示します。図に示すように、4 線の AC デルタ 3 相電源が端子ブロック(TB1)で AC デルタ電源シェルフに配線されます。3 相電源は、シェルフの回路ブレーカーを通じて電源シェルフ内の 3 つの AC 整流器(PS0、PS1、および PS2)へ送られます。AC 整流器は、シャーシ向けに AC 電源を DC(54.5 VDC)電源に変換します。各 AC 整流器から 2 つのシャーシ負荷ゾーンに電源が供給されます。
AC スター電源シェルフ(CRS-FCC-PS-ACW)は、3 つの AC 整流器モジュール、アラーム モジュール、および配電接続と配線を収容するラックです。電源シェルフ(図2-14 を参照)は、前面から FCC に取り付け、シャーシの電源インターフェイス コネクタ パネルにプラグインします。
• 重量 ― 36 ポンド(16.3 kg)(AC 整流器モジュールを除く)
図2-15 に、FCC で AC スター電源を使用した場合の基本的な電源アーキテクチャを示します。
図2-15 に示すように、電源シェルフに 3 相 AC 電源が供給され、シェルフ内の 3 台の AC 整流器に配電されます。AC 整流器は、AC 電源をシャーシが使用する DC 電源に変換します。DC 電源は、次にバス バー(A および B)に送られます。バスからバックプレーンを通じて、シャーシの各種カードおよび Field Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)に配電されます。片方の DC 電源シェルフがバス A に、もう一方のシェルフがバス B に電源を供給します。ここに示されているとおり、各カードまたは FRU には、A および B の電源バスの両方から電源が供給されます。したがって、片方の電源シェルフ全体に障害が発生しても、シャーシは稼動し続けます。
電源シェルフには、各 AC 整流器の状態を監視し、電源供給の状態を示すステータス信号を送る機能があります。
(注) AC デルタおよび AC スター電源シェルフは、同じ AC 整流器を使用します。詳細は、次項(「AC 整流器」)を参照してください。
図2-16 に、AC スター電源シェルフの配線を示します。図2-16 に示すように、5 線の AC デルタ 3 相電源が端子ブロック(TB1)で AC スター電源シェルフに配線します。3 相電源は、シェルフの回路ブレーカーを通じて電源シェルフ内の 3 つの AC 整流器へ送られます。AC 整流器(PS0、PS1、および PS2)は、AC 電源を DC(54.5VDC)電源に変換します。各 AC 整流器から 2 つのシャーシ負荷ゾーンに電源が供給されます。DC 電源は、バス バーおよびシャーシ バックプレーンを通じて、各種の負荷ゾーンの FRU に配電されます。
AC 整流器(図2-17 を参照)は、AC 入力電源をシャーシのコンポーネントの給電に必要な DC 電源に変換する AC 電源装置です。AC スターおよび AC デルタ電源シェルフは、同じ AC 整流器を使用します。
整流器には、電源シェルフから AC 入力電源の受け入れ、AC から DC への整流、フィルタリングおよび制御回路の提供、ステータス信号の送信、DC 電源をシャーシ バックプレーンのバス バー A または B に渡すといった機能があります。各 AC 整流器には専用の内蔵冷却ファンが搭載されており、モジュールに空気を送ります。
図2-16 に示すように、3 相 AC 入力電源(200 ~ 240 VAC/346 ~ 415 VAC)の 1 つのフェーズは、AC 電源シェルフの各 AC 電源整流器に送られます。AC 電源は、電源シェルフ バックプレーンに配置されているコネクタを通じて電源シェルフの背面にある AC 整流器に送られます。
AC 整流器に入力された電源は、内部回路によって AC から DC へ整流されたあと、フィルタリング、および調整が行われます。AC から DC への変換は 2 段階で行われます。最初の段階では、Power Factor Correction(PFC; 力率補正)が行われます。PFC は、AC 電源を 350VDC 電源に変換します。PFC は、その処理の過程で AC 入力電流の波形を正弦波のまま維持するとともに、その位相も AC 入力に合わせて維持します。結果は力率が 1 に近くなります。2 番めの段階は DC-DC 変換です。DC-DC 処理では、350 VDC プライマリ側の電源を -54.5 VDC セカンダリ絶縁型電源に変換します。
サービス プロセッサはアラーム モジュール内にあります。このモジュールは AC 整流器のステータスを監視します。サービス プロセッサは、RP 上のシステム コントローラと通信します。サービス プロセッサの回路が監視する AC 整流器の障害とアラーム状態は次のとおりです。
• 障害 ― AC 整流器内の障害(バイアス電源の障害、電流制限を超えた過熱など)を示します。これには DC 出力が許容出力範囲を超えた場合の警告も含まれます。
• AC 入力障害 ― AC 入力電圧が範囲外であることを示します。
• 回路ブレーカーの作動 ― AC 整流器の回路ブレーカーが作動したことを示します。
• 過熱 ― AC 整流器の温度が上がって最大許容動作温度を超えたことを示します。
• AC 整流器の存在確認 ― AC 整流器が存在し、電源シェルフに適切に装着されていることを示します。
• 電圧および電流モニタ信号(Vmon、Imon) ― AC 整流器 によって提供される出力電圧および電流が範囲内であることを示します。
AC 整流器にはそれぞれ ID EEPROM があり、制御ソフトウェアが使用する情報(部品番号、シリアル番号、アセンブリの相違点、特殊設定、テスト履歴、フィールド追跡データなど)が格納されています。
各 AC 整流器には電源およびステータスに関するインジケータがあります。AC 整流器のインジケータは 2 つの AC 電源シェルフ両方から給電されるので、入力電圧から AC 整流器に給電されなくても動作することができます。
表2-3 に、AC 整流器のステータス インジケータとその意味を示します。また、 表2-4 に障害状態での LED の状態を示します。
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AC または DC 電源シェルフにはアラーム モジュールがあります。このモジュールは電源シェルフの状態を監視し、システム アラーム用の外部インターフェイスになります。すべての電源シェルフに同じアラーム モジュール(図2-18 を参照)が使用されています。
(注) アラーム モジュール前面プレートの ALARM コネクタに接続できるのは、Safety Extra-Low Voltage(SELV; 安全超低電圧)回路だけです。アラーム回路の最大定格電流は 2 A、50 VA です。
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–LED ― 3 つの大きな LED(critical、major、minor)は、シャーシのステータスを示します。この LED は、RP システム コントローラのソフトウェアで制御されています。冗長性を確保するため、各アラーム インジケータには LED が 2 つあります(LED の片方に障害が発生してもアラーム ステータスが表示できるようにするため)。
–リレー ― アラーム モジュールの出力機能は、リレーおよび対応するドライバによって構成されます。システム コントローラの指示に応じて、アラーム モジュールのサービス プロセッサ モジュールはリレーをアクティブにします。アラーム リレー コネクタは、標準型 DA-15S コネクタです。
• PEM または AC 整流器のステータス モニタリング― アラーム モジュールは、AC 整流器または DC PEM のパフォーマンスとステータスを監視します。このモジュールは、パフォーマンスと、AC 整流器または PEM に発生している可能性のあるエラー状態を監視します。両方の電源シェルフから電源が供給されるため、アラーム モジュールは電源供給されていないシェルフのステータスも通知できます。
• アラーム モニタリング― シャーシのステータスが LED により示されます。
–システムが正常に動作している場合、LED には「IOS-XR」が表示されます。
–アラームが発生すると、LED は、問題が起きているカードまたはコンポーネントを示します。たとえば、ファン トレイがない場合、ファン トレイがないと表示されます。「0 1 SP」のような表示は、ラック 0 の MSC、スロット 1 に問題が生じていることを示します。
表2-5 に、アラーム リレー コネクタのピン配置を示します。
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ユーザが使用可能なピンは、ピン 1、2、および 9 に限られます。残りのピンはシスコでの製造テスト用で、接続できません。EMC 保護のためにこのポートに接続する場合は、シールド付きケーブルを使用してください。