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このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章では、Fabric Card Chassis(FCC; ファブリック カード シャーシ)の冷却システムを構成しているコンポーネントについて説明します。この章の内容は、次のとおりです。
FCC の冷却システムは、ルーティング システムで発生する熱を放出して FCC 内のコンポーネントの温度を調節します。冷却システムは完全に冗長化されたアーキテクチャとなっているので、単一障害故障(1 つのファンまたはファン トレイなどでの障害)が発生しても、ルーティング システムは引き続き動作できます。詳細については、「ファン コントローラの冗長性」を参照してください。またこのアーキテクチャは、冗長ロードシェアリングの設計にも対応できます。
FCC の完全な冷却システムに含まれるものは、次のとおりです。
• ファン トレイ×2(各ファン トレイにつき 9 つのファン)
• 温度センサー(FCC 全体のカード上およびモジュール上)
電源シェルフの電源モジュールには、専用の内蔵冷却ファンも搭載されています。
ファン トレイにある 9 つのファンは 1 つのグループとして動作します。したがって、エアーフローを調節する必要がある場合は、トレイ内のファンすべての回転速度が同時に変動します。FCC 内で 2 つのファン トレイが動作中である場合、両方のトレイのファンの速度が同時に調整されます。
FCC 全体(吸気口、排気口、および高温箇所)に配置されている熱センサーにより、測定温度値が監視され、システムが適切に冷却されていない状況が判別されます。Shelf Controller Gigabit Ethernet(SCGE)カード(2 ポートまたは 22 ポート)で実行されるソフトウェアは、ファンの動作を制御します。
FCC 内のエアーフローは、吸気/排気の構造で制御されます(図3-1 参照)。下部ファン トレイはシャーシ前面最下部から外気を取り入れ、最上部のファンがカード ケージを通じてその空気を上方に吸い上げてから、FCC 背面の上部から暖気を外に排出します。
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(注) FCC の最大エアーフローは、58,050 リットル(2,050 立方フィート)/分です。
FCC は、下部ファン トレイの上にある引き出し式トレイに、交換可能なエアー フィルタが取り付けられています。 図3-2 に示す FCC エアー フィルタは、FCC の前面(SFC)側に取り付けられています。
エアー フィルタは必要に応じて交換してください。空気が汚れている場合や温度アラームが頻繁に作動するようになったときは、吸気グリルを点検してゴミや埃をチェックし、エアー フィルタの交換が必要かどうかを確認してください。エアー フィルタを取り外して交換するときは、その前にスペアのフィルタを手元に準備してください。その後、汚れたフィルタを外して、FCC にスペアのフィルタを取り付けます。
(注) エアー フィルタは、エアーフローの方向を示す矢印が付いていて、両面が格子網になっています。また、フィルタ アセンブリの下流側に一対のシートメタル ストラップが付いています。
ファン制御ソフトウェアと関連回路は DC 入力電圧を変えてそれぞれのファンの速度を制御します。このようにソフトウェアと回路でエアーフローを調節することによって、ルーティング システムを好ましい温度範囲で運用し続けることができます。FCC の冷却システムでは、ファンの速度を何段にも切り替えて冷却作用、音、消費電力を最適化しています。ファンの回転速度には、通常の運用で使用する 4 段階と、ファン トレイに障害が発生した場合に使用する高速設定が用意されています。
ルーティング システムの制御ソフトウェアは、電源投入時にファンに電源を入れ、回転速度を 4300 ~ 4500 RPM にします。この制御ソフトウェアにより、システムの初期化やソフトウェアの起動中にも通気が行われ、ソフトウェアが起動中に停止してもシステムを適切に冷却できるようになっています。ルーティング システム ソフトウェアが起動したあと、ファン制御ソフトウェアは初期化されます。この処理には 3 ~ 5 分かかります。その後、ファン制御ソフトウェアはファンの回転速度を適切な速度に調節します。
正常に動作しているときは、カード ケージ下部にある吸気口温度センサー(ケージの下部にない場合はカード ケージの上部)から報告される温度の平均値を算出します。ファン制御ソフトウェアは、現在の温度に合うファンの適切な速度を決定するために、吸気口の平均温度を、各温度に最適なファンの速度が示されているルックアップ テーブルで比較します。ファン制御ソフトウェアはその結果を見て、ファンの回転速度を現在の温度に合った速度に設定します。ルックアップ テーブルの温度範囲は適切な余裕を持たせるためにオーバーラップしており、どのような状態の変化に対してもファンの速度が不安定にならないようになっています。
(注) アラームや障害が発生していないかぎり、ファン制御ソフトウェアは 1 ~ 2 分の間隔で温度センサーを調べます。
各カードには熱センサーが個々に付いており、それぞれが温度を監視しています。熱センサーでシステムが適切に冷却されていないことを感知すると、熱アラームが生成されます。熱センサーは、周囲温度が上昇したり、エアー フィルタが詰まるかその他の原因でエアーフローが妨害されたり、あるいはそれらの原因が重なったりすると、作動することがあります。ファンに障害が発生すると障害メッセージが出されますが、熱センサーが作動しなければ、ファン制御は変更されません。
熱センサーが熱アラームを報告するときは、まず、熱センサーがローカルの Service Processor(SP; サービス プロセッサ)に障害状態を知らせ、その SP が SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードに通知します。その後、SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードのファン制御ソフトウェアが適切な処理を行って障害を除去します。
熱センサーが作動すると、ファン制御ソフトウェアが問題を解決(ファンの回転速度を上げる、など)しようとします。ソフトウェアが行うこの処理は段階を追って実行され、FCC のコンポーネントの信頼性が低下したりチップが損傷したりする温度に近づかないように制御されます。それでも障害が解決しないと、制御ソフトウェアはそのカードまたはモジュールをシャット ダウンしてコンポーネントを守ります。
ファン トレイには、カードまたはファン トレイが FCC のバックプレーンから外れた場合に電源を切断するクイック シャット ダウン モードが用意されています。クイック シャット ダウン モードは、ホットスワップ、すなわち OIR の際の突入電流を最小限に抑えます。通常のメンテナンス状況では、ソフトウェアは障害の発生した部品の電源を通常の手順で切断し、コンデンサが放電するために十分な時間をとれるようにします。
冷却システムのアーキテクチャは冗長化されているため、コンポーネンに障害が発生しても冷却システムは継続して動作することができます。冷却システムは次にあげるコンポーネントに障害が発生しても、それが 1 つだけであれば、ルーティング システムを適切に冷却し続けることができます。
• ファン、ファン トレイ、またはいずれかの SCGE(2ポートまたは 22 ポート)カード
• 電源シェルフまたは電源モジュール(DC PEM または AC 整流器)
ファンの二重障害とは、2 つのファン トレイ、2 つの電源シェルフ、2 枚の SCGE(2ポートまたは 22 ポート)カード、2 つの電源モジュール(DC PEM または AC 整流器)、あるいはこれらのユニットのいずれか 2 つの組み合わせに障害が発生した状態のことをいいます。二重障害が発生しても、ファン トレイ両方に障害が発生しているか、問題が重大なために熱アラームがシステムの電源を切断する場合を除けば、システムの電源は入ったままの状態に保たれます。ファンの多重障害はシステムの冷却に影響しないこともあるため、二重障害とはみなされません。
(注) 冷却システムのコンポーネントに障害が発生した場合は、24 時間以内に交換してください。
SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードにより、完全に冗長化された入力電源とファン トレイおよびファンの制御ロジックが提供されます。各 SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードは、電源シェルフ A および B の両方から入力電源(-48 VDC)を受け取ります。次に、SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードは、一方のファン トレイにバス A からの入力電源を供給し、バス B からの電源をもう一方のファン トレイに供給します。これにより、上部ファン トレイは一方の SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードのバス A と、2 番めの SCGE(2 ポートまたは 22 ポート)カードのバス B から電源供給を受けるようになります。
図3-3 に、FCC の前面(SFC 側)に差し込むファン トレイを示します。各ファン トレイは、ホットスワップ可能で FRU です。FCC は、ファントレイを 2 つ取り付けた状態で動作するように設計されています。
各ファン トレイに含まれるコンポーネントは、次のとおりです。
• ファン×9 ― FCC のファンは、AC システムでは定格 -54 VDC の電源で動作します。DC システムでは、ファンは DC PEM モジュールに適合する入力電圧が供給されます。この入力範囲は、-42 VDC ~ -72 VDC です。
• +48 VDC の公称入力電圧 ― この電圧は、ファンの速度を増減させるために調整されます。ファンは、4000 ~ 6700 RPM の範囲で動作します。各ファン コントローラ カード上に 1 つずつ搭載された 2 つの DC-DC コンバータは、1 つのファンに入力電源を供給します。
• ファン トレイ ボード ― このボードでファンとやりとりする信号が処理されるほか、コモンモードのノイズがフィルタリングされます。このボードには、トラッキングやインジケータ用の部品が実装されています。
• 前面パネルのステータス LED ― LED により次の状態を示します。