Application Visibility and Control(AVC)は、ネットワークベースのアプリケーション認識(NBAR)(NBAR2)エンジンによるディープ パケット インスペクション技術を使用してアプリケーションを分類し、無線ネットワークにアプリケーション レベルの可視性と制御(QoS)を提供します。 アプリケーションの認識後は、AVC 機能によってデータ トラフィックをドロップ、マーク、またはポリシングできます。
AVC はプロトコルと一致するように QoS クライアント ポリシー内のクラス マップを定義することによって設定されます。
AVC を使用して、1000 以上のアプリケーションを検出できます。 AVC により、リアルタイム分析を実施し、ネットワークの輻輳、コストの掛かるネットワーク リンクの使用、およびインフラストラクチャの更新を削減するためのポリシーを作成することができるようになります。
 (注) |
UI の [Monitor Summary] セクションで、[Top Applications] に 30 のアプリケーションのリストを表示できます。
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AVC DSCP は、コントローラ内の元のパケットの DSCP のみを両方向(アップストリームおよびダウンストリーム)でマークします。 これは外部 CAPWAP DCSP には影響しません。 アプリケーションが分類された場合にのみ AVC DSCP を適用できます。 たとえば、AVC プロファイル設定に基づいて、アプリケーションが ftp または http に分類される場合、対応する DSCP マーキングは WLAN QoS にかかわらず適用されます。 ダウンストリームの場合、外部 CAPWAP ヘッダーの DSCP 値および内部パケットの DSCP が AVC DSCP から取得されます。 WLAN QoS は CAPWAP を介した WLC から AP へのすべてのトラフィックに対してのみ適用されます。 元のパケットの DSCP は変更されません
トラフィック フローは、アクセス ポイントの NBAR2 エンジンを通して分析および認識されます。 NBAR2 対応プロトコルまたはアプリケーションについて、8.0 プロトコル パックを参照してください。 特定のフローが WebEx などの認識されたプロトコルまたはアプリケーションでマークされます。 このフロー単位の情報は Flexible NetFlow(FNF)によるアプリケーションの可視化に使用できます。 FNF の詳細については、『Flexible NetFlow コンフィギュレーション ガイド、Cisco IOS XE Release 3E(Cisco WLC 5700 シリーズ)』を参照してください。 QoS を使用したトラフィックの制御にも同じアプリケーション名を使用できます。 QoS の詳細については、『QoS コンフィギュレーション ガイド、Cisco IOS XE Release 3E(Cisco WLC 5700 シリーズ)』を参照してください。
AVC QoS アクションは、AVC フィルタを通してアップストリームとダウンストリームの両方向に適用されます。 アップストリーム フローに対してサポートされる QoS アクションはドロップ、マーク、およびポリシングで、ダウンストリーム フローに対してサポートされるアクションはマークとポリシングです。 AVC QoS は、アプリケーションが正しく分類され、ポリシー マップ内のクラス マップ フィルタに一致する場合にだけ適用できます。 たとえば、ポリシーにアプリケーション名に基づくフィルタが含まれており、トラフィックも同じアプリケーション名に分類されている場合は、ポリシー内でこの一致に対して指定されたアクションが適用されます。 すべての QoS アクションについては、サポートされる AVC クラス マップおよびポリシー マップのフォーマットを参照してください。
AVC ルールを使用すれば、WLAN 上で join されたすべてのクライアントの特定アプリケーションの帯域幅を制限できます。 この帯域幅コントラクトは、アプリケーション単位のレート制限より優先されるクライアント単位のダウンストリーム レート制限と共存します。
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コントローラを 8.0 からそれより前のバージョンにダウングレードすると、AVC レート制限ルールにはアクションがドロップとして表示されます。 コントローラ バージョン 8.0 で AVC レート制限ルールが導入されたため、このアクションが想定されます。
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AVC コントローラをサポートしているプラットフォームは、Cisco 2500 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ、Cisco 5500 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ、中央スイッチング モードの Cisco Flex 7500 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ、Cisco 8500 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ、および Cisco Wireless Services Module 2 (WiSM2)です。
8.0 リリース用のさまざまなコントローラ プラットフォーム上の AVC 分類でサポートされる同時フロー数を次の表に示します。 1 つのプラットフォームでサポートされるフローの絶対最大数は、次の表に示す数値の 110% を超えることはなく、この 10% の余分なフロー サポートはシステム内の空きメモリ容量に基づいて実施されます。
コントローラ |
フロー |
Cisco 5500 シリーズ Wireless LAN Controller |
1,75,000 |
Cisco 2500 シリーズ Wireless LAN Controller |
25,000 |
WISM-2 |
3,75,000 |
Cisco 8500 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ |
3,50,000 |
Application Visibility and Control プロトコル パック
プロトコル パックとは、コントローラ ソフトウェアのリリース トレーニング以外のプロトコル アップデートを配布する方法です。コントローラ ソフトウェアを交換せずにコントローラにロードできます。
Application Visibility and Control プロトコル パック(AVC プロトコル パック)は、複数のプロトコル記述言語(PDL)ファイルとマニフェスト ファイルを含む単一の圧縮ファイルです。 必要なプロトコルのセットをロードすることができ、ネットワークでの分類のために追加プロトコルを認識する際に役立ちます。 マニフェスト ファイルは、プロトコル パックの名前、バージョン、およびプロトコル パック内の利用可能な PDL の情報など、プロトコル パックに関する情報を提供します。
AVC プロトコル パックは、特定の AVC エンジン バージョン向けにリリースされています。 コントローラ プラットフォームのエンジン バージョンがプロトコル パックに必要なバージョン以降であれば、プロトコル パックをロードできます。
AVC プロファイルの AAA オーバーライド
クライアントまたはユーザ プロファイルの AAA 属性は、RADIUS サーバ、Cisco ACS、または Cisco ISE からの認証を使用している AAA サーバ上で設定されます。 AAA 属性は、レイヤ 2 またはレイヤ 3 認証中にコントローラによって処理され、WLAN 上の設定によってオーバーライドされます。
AAA AVC プロファイルは、Cisco AV ペアとして定義されます。 文字列オプションは avc-profile-name として定義されており、この値をコントローラで利用可能な AVC プロファイルに対して設定する必要があります。