CLI からの QoS マッピングの設定
考えられる間違ったマーキングまたは予期せぬマーキングを補償するために、AireOS コントローラ コード 8.1 MR1 では、DSCP と UP 間の変換テーブルをカスタマイズして設定できます。また、802.11e UP マーキングの代わりに、クライアントの 802.11 アップストリーム フレームの DSCP マーキングを信頼することもできます。
DSCP のアップストリームを信頼するには、コントローラのコマンド ラインから 2 つのコマンドを使用して有効化します。
(Cisco Controller) > config qos qosmap trust-dscp-upstream enable
(Cisco Controller) > config qos qosmap enable
この機能を有効にすると、UP の代わりに DSCP が使用されます。ダウンストリームでは、すでに、DSCP が CAPWAP 外部ヘッダーの QoS マーキングを決定するために使用されています。したがって、ダウンストリームのマーキング ロジックは変更されません。アップストリーム方向では、DSCP を信頼すると、予期しない、または欠落した UP マーキングが補償されます。AP は、着信 802.11 フレームの DSCP 値を使用して、CAPWAP ヘッダーの外部マーキングを決定します。引き続き QoS プロファイルのシーリング(上限)ロジックが適用されますが、マーキング ロジックは、フレームの [UP] フィールドではなく [DSCP] フィールドに対して動作します。プラチナ プロファイルの場合、アップストリーム トラフィックの外部ヘッダーでは、UP が欠落しているか、または予期しない値の場合でも、DSCP 46 が保持されます。
図 5-25 例:プラチナ プロファイルの影響 – 8.1 MR
(注) DSCP 信頼モデル(ワイヤレス クライアントは予期しない UP を使用します)。
ビデオ プロファイルでは、DSCP は 34 に制限されます。つまり、アップストリームとダウンストリームで、CAPWAP 外部ヘッダーの DSCP 値を導出するために DSCP が使用されますが、引き続き QoS プロファイルの上限が適用されます。
AireOS コントローラ コード 8.1 MR1 では、DSCP から UP、および UP から DSCP への変換値を手動で定義できます。この柔軟性によって、アップストリームとダウンストリームの予期せぬ QoS マーキングに対処し、一貫したポリシーを維持することができます。UP と DSCP の間のカスタマイズされたマッピングは、単一のコマンドで設定されます。たとえば、アップストリームでは UP 6 が常に DSCP 46 に変換されるとすると、この組み合わせは次のコマンドを使用して設定されます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 6 46
同じコマンドを拡張して、逆マッピングを設定することもできます。たとえば、アップストリームで DSCP 40 ~ 48 が UP 6 に変換されるとすると、この組み合わせは次のコマンドを使用して設定されます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 6 46 40 48
前述の設定は推奨される設定ではなく、単なる例である点に注意してください。7 つの UP とそれぞれの DSCP へのマッピングも同じロジックを使用して設定します。また、アップストリームのデフォルト値(前述の例では 46)が、ダウンストリーム方向に定義された範囲内(前述の例では 40 ~ 48)にある必要はない点にも注意してください。たとえば、アップストリームでは UP 6 を DSCP 34 に変換するが、ダウンストリームでは DSCP 40 ~ 48 を UP 6 に変換することに決定した場合は、次のコマンドを入力できます(これは設定可能なだけで、推奨設定ではありません)。
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 6 34 40 48
また、ダウンストリーム トラフィックの DSCP と UP 間のマッピングの範囲内で例外を設定できます。たとえば、ネットワーク内で DSCP 44 とマーキングされた特定のトラフィックは UP 5 に変換されるとすると、次のように、DSCP 44 を例外として、40 ~ 48 の範囲を UP 6 に変換するように設定できます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 6 46 40 48
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 44 5
この例外は、アップストリーム マッピングではなく、ダウンストリーム マッピングに適用される点に注意してください。アップストリーム マッピングは、DSCP マップに合致するように決定されたルールに従います。
Cisco AireOS リリース 8.1 MR1 での QoS マップの設定
QoS マップを設定するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 手動マッピングを設定すると、ターゲット ネットワークがフレームを転送する方法が変更されるため、必ず事前に、これらのネットワークを無効化しておきます。
(Cisco Controller) > config 802.11a disable network
(Cisco Controller) > config 802.11b disable network
ステップ 2 QoS マップは、デフォルトで無効になっています。マップが有効な場合は、変更を加えるためカスタム マッピングを一時的に無効にします。
(Cisco Controller) > config qos qosmap disable
これで、QoS マップは無効になります。
ステップ 3 DSCP と UP の間のカスタム マッピングを設定します。7 つの UP をすべて設定し、カスタマイゼーションを有効にする必要がある点に注意してください。次に例を示します。
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 0 0 0 63
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 1 8
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 2 10
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 3 18
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 4 34
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 5 32
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 6 46
(Cisco Controller) > config qos qosmap up-to-dscp-map 7 0
最初の行は 2 つの目的を実現しています。つまり、UP 0 を DSCP 0 にマッピングするが、すべての DSCP 値を UP 0 にマッピングしています。これによって、IETF RFC 4594 セクション 3.1 に準拠でき、すべての未指定の DSCP 値を 0 にリセットできます。
ステップ 4 例えば、次のように、標準トラフィックの例外を設定します。
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 8 1
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 10 2
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 12 2
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 14 2
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 16 0
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 18 3
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 20 3
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 22 3
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 24 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 26 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 28 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 30 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 32 5
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 34 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 36 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 38 4
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 40 5
(Cisco Controller) > config qos qosmap dscp-to-up-exception 46 6
これらの例外は、標準の DSCP 値を適切な UP 値にマッピングします。このコマンドを使用すると、最大 21 まで例外を設定できる点に注意してください。
前述の設定は、次の図に示すシスコが推奨するマッピングを反映しています。
ステップ 5 また、アップストリーム方向では、UP 値の代わりに、ワイヤレス クライアント パケットの DSCP を使用することもできます。アップストリームで、DSCP の信頼を有効にすると、アップストリーム トラフィックに対して UP と DSCP 間の変換値は使用できない点に注意してください。ただし、ダウンストリーム トラフィックに対しては、DSCP 範囲の UP への変換、およびすべての例外を使用できます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap trust-dscp-upstream enable
アップストリームの DSCP の信頼が有効になります。
ステップ 6 設定中はいつでも、作成した例外を削除できます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap delete-dscp-exception
ステップ 7 手動マッピング全体を削除することもできます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap default
ステップ 8 設定が完了したら、マッピングを確認できます。
(Cisco Controller) > show qos qosmap
Up Default DSCP Start DSCP End DSCP
Trust DSCP Upstream: Enabled
ステップ 9 設定が完了したら、手動マッピングを有効化して、ネットワークを再度有効にすることができます。
(Cisco Controller) > config qos qosmap enable
これで、QoS マップが有効になりました。
(Cisco Controller) > config 802.11a enable network
(Cisco Controller)> config 802.11b enable network