Cisco Unified Wireless Network ソリューションの概要
この章では、企業向けの Cisco Unified Wireless Network の利点および特徴の概要を示します。Cisco Unified Wireless Network ソリューションは、安全かつスケーラブルで費用効率の高い無線 LAN を提供し、ビジネスに不可欠なモビリティを実現します。Cisco Unified Wireless Network は、企業が直面する無線 LAN(WLAN)のセキュリティ、展開、管理、および制御の問題に費用効率の高い方法で対処するための、業界で唯一の有線およびワイヤレスの統合ソリューションです。この強力な屋内および屋外用ソリューションでは、有線および無線ネットワーク要素のベストな組み合わせにより、高性能で管理しやすく安全な WLAN を安い総所有コストで提供します。
WLAN の概要
モバイル ユーザには、有線ユーザが現在利用しているものと同等のアクセシビリティ、セキュリティ、Quality-of-Service(QoS)、および高可用性が必要です。仕事場、自宅、外出先や、国内でも海外でも、接続する必要があります。そこには技術的な課題が明らかに存在します。しかしここで、モビリティがあらゆるユーザのためにその役割を果たします。企業は、モバイル ソリューションとワイヤレス ソリューションからビジネス価値を引き出しています。かつては特定業種向けのテクノロジーであったものが今では主流となり、音声やリアルタイム情報、または電子メールやカレンダー、エンタープライズ データベース、サプライ チェーン管理、営業支援システム(SFA)、顧客関係管理(CRM)などの重要なアプリケーションにアクセスするうえで不可欠なツールとなっています。
WLAN ソリューションのメリット
WLAN によって実現されるメリットには次のようなものがあります。
- ビルやキャンパス内のモビリティ:常時稼働のネットワークを必要とし、さらにキャンパス環境内での移動を伴うことの多いアプリケーションの導入を実現します。
- 利便性:大規模でオープンなユーザ エリアのネットワークをシンプルにします。
- 柔軟性:ケーブルが届く範囲ではなく、最も適しているか便利な場所で作業できるようになります。重要なのは、どこで作業をするかではなく、作業を終わらせることです。
- 一時的なスペースのセットアップが容易:参加者数の変動に合わせて、会議室、作戦指令室、またはブレインストーミング ルームのネットワーク設定を迅速に行うことができます。
- ケーブル敷設費用の削減:WLAN の実装により隙間なくカバーできるため、ケーブル設備を予定外に設置する必要性が減少します。
- 追加や移動、変更が容易で、サポートやメンテナンスのコストも削減:一時的なネットワークのセットアップが非常に簡単になるため、移行に関する問題が軽減され、コストのかかる直前の変更も容易になります。
- 効率アップ:調査により、WLAN ユーザは有線で接続しているユーザよりも 1 日に 15 % 長くネットワークに接続していることがわかっています。
- 生産性アップ:ネットワーク接続へのアクセスをより簡単にすることで、ビジネスの生産性を向上させるツールの使用が促進されます。生産性の調査では、WLAN ユーザによるツールの使用が 22 % 増加していることがわかっています。
- コラボレーションが容易:会議室など任意の場所からのコラボレーション ツールへのアクセスが簡単になります。ファイルがその場で共有され、情報に対する要求が即座に処理されます。
- オフィスのスペースの有効利用:柔軟性が向上するため、大規模なチーム ミーティングなどのグループにも対応できます。
- エラーの減少:ネットワーク アクセスが使用可能な場合でも、収集されたデータを直接システムに入力できます。
- 企業のパートナーとゲストの効率、性能およびセキュリティの向上:ゲスト アクセス ネットワークを実装することで実現できます。
- ビジネスの復元力の向上:WLAN によって従業員のモビリティが向上し、他の場所への再配置を迅速に行えるようになります。
WLAN システムの要件
WLAN システムは、既存の有線エンタープライズ ネットワークに付属するシステムとして、またはキャンパスやブランチ内の独立したネットワークとして稼働します。また WLAN は、小売、製造、または医療業界における、ロケーション ベースのサービスなどの用途で利用することができます。WLAN では、リソースに有線で接続されているかのようにデータや通信、ビジネス サービスにアクセスできる、安全かつ暗号化された承認済みの通信が許可される必要があります。
WLAN には次のような機能が必要となります。
- 従業員がネットワークに有線接続していないときもリソースへのアクセシビリティを維持:このアクセシビリティにより、従業員は会議室で顧客と商談中でも、会社の食堂で同僚と昼食中でも、隣のビルでチームメートと一緒に作業中でも、ビジネス ニーズにより迅速に応えることができます。
- 無許可や安全でない、または「不正な」WLAN アクセス ポイント(AP)から企業を保護:IT マネージャは、不正な AP やその AP が接続しているスイッチ ポート、さらには、そのような AP のアクティブな参加や、RF 環境を連続的にスキャンおよび監視しているクライアント デバイスを、簡単かつ自動的に検出および特定できる必要があります。
- 移動するユーザにまで統合ネットワーク サービスの利点を拡張:QoS を使用する WLAN 上での IP テレフォニーと IP ビデオ会議に対応しています。リアルタイムのトラフィックを優先して処理することにより、ビデオと音声の情報がタイムラグなしで到着します。エンタープライズ フレームワークの一部であるファイアウォールと侵入検知システムが、ワイヤレス ユーザまで拡張されます。
- 許可されたユーザの分類と不正なユーザのブロック:ワイヤレス ネットワークのサービスを、ゲストやベンダーまで安全に拡張できます。WLAN では、別のパブリック ネットワーク、すなわちゲスト ネットワークに対するサポートを設定できる必要があります。
- 他のサイトから来た従業員でも、簡単かつ安全にネットワークにアクセス:空き部屋や利用可能なイーサネット ポートを探す必要がありません。ユーザは、どの WLAN ロケーションからでもネットワークに安全にアクセスする必要があります。従業員は IEEE 802.1x および Extensible Authentication Protocol(EAP; 拡張可能認証プロトコル)によって認証され、WLAN で送受信されるすべての情報は暗号化されます。
- 中央またはリモートの AP を簡単に管理:ネットワーク管理者は、WLAN を導入したキャンパスやブランチ オフィス、または店舗や製造施設、医療機関などにある数百から数千の AP を簡単に展開、操作、管理できる必要があります。結果として、有線 LAN に期待されるものと同じレベルのセキュリティや拡張性、信頼性、展開しやすさ、管理を中規模から大規模な組織に提供する 1 つの枠組みが生まれることが理想です。
- セキュリティ サービスの強化:ワイヤレス経由で侵入する脅威を封じ込め、セキュリティ ポリシーのコンプライアンスを実施し、情報を保護するため、WLAN 侵入防御システム(IPS)および侵入検知システム(IDS)が制御します。
- 音声サービス:Cisco Unified Wired and Wireless Network と Cisco Compatible Extensions の音声対応クライアント デバイスにより、音声通信にワイヤレス ネットワーキングのモビリティと柔軟性をもたらします。
- ロケーション サービス:高価値資産のトラッキング、IT 管理、ロケーション ベースのセキュリティ、ビジネス ポリシーの適用などの不可欠な用途のための WLAN インフラストラクチャから直接、数百から数千の Wi-Fi およびアクティブ RFID デバイスを同時に追跡できます。
- ゲスト アクセス:顧客、ベンダー、パートナーが有線およびワイヤレス LAN に簡単にアクセスできるようにし、生産性を向上させ、リアルタイムのコラボレーションを促進し、会社の競争力を維持し、WLAN のセキュリティを完全に確保します。
企業内 WLAN は、より大規模な社内ネットワークやインターネットに接続するための最も効果的な方法の 1 つとなっています。図 1-1 では、Cisco Unified Wireless Network の要素を示します。
図 1-1 企業内の Cisco Unified Wireless Network アーキテクチャ
次のような相互接続された要素の連携により、統合されたエンタープライズ クラスのワイヤレス ソリューションが実現されます。
- クライアント デバイス
- アクセス ポイント(AP)
- コントローラを通じたネットワーク統合
- 世界クラスのネットワーク管理
- モビリティ サービス
クライアント デバイスの基本から始まり、ネットワークのニーズの発展と成長に応じてそれぞれの要素が機能を追加し、上下の要素と相互接続することで、総合的かつ安全な WLAN ソリューションが完成します。
Cisco Unified Wireless Network
Cisco Unified Wireless Network のコア コンポーネントに含まれるものは次のとおりです。
- Aironet アクセス ポイント(AP)
- ワイヤレス LAN コントローラ(WLC)
- Cisco Prime Infrastructure
Cisco Unified Wireless Network の詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/go/unifiedwireless