SD スワップドライブの設定

概要

SD カードをスイッチの内部フラッシュメモリの代わりに使用して、設定を更新したり復元したりすることができます。また、SD カードを使用してスイッチを起動することもできます。PC またはスイッチから SD カードへ Cisco IOS ソフトウェアおよびスイッチの設定をコピーして、このソフトウェアおよび設定を他のスイッチへコピーすることもできます。

スイッチ上で SD カードをフォーマットすると、カードは Disk Operating System Filing System(DosFs)でフォーマットされます。これはプラットフォームに依存しない業界標準のファイルシステムで、シスコのさまざまなスイッチおよびルータでサポートされています。

スイッチは、サードパーティの SD カードまたは SD High Capacity(SDHC)カードをサポートしていません。サポートされていないカードでスイッチを実行しようとすると、次のメッセージが表示されます。

WARNING: Non-IT SD flash detected.
Use of this card during normal operation can impact and
severely degrade performance of the system.
Please use supported SD flash cards only. 

SD カードの書き込み保護スイッチがロックの位置にある場合、スイッチはカード データの読み込み、およびカードからの起動はできますが、アップデートおよびファイルをカードに書き込むことはできません。

フラッシュメモリ(SD)カードの挿入と取り出し

SD カードをスイッチに挿入するには、カードの向きが正しいことを確認し、カードが固定される位置まで、スイッチの SD カードスロットに差し込みます。カードを取り出すには、カードを押して固定を解除してから、スロットから引き抜きます。

SD カードはホットスワップ可能ですが、ブート プロセス中、または sdflash の書き込み中にスイッチから取り出してはなりません。

SD カードを挿入すると、以下のような syslog メッセージが記録されます。

 Mar 30 01:38:51.965: %FLASH-6-DEVICE_INSERTED: Flash device inserted 

SD カードを取り出すと、以下のような syslog メッセージが記録されます。

 Mar 30 01:39:12.467: %FLASH-1-DEVICE_REMOVED: Flash device removed 

ブート ローダーの動作

SD カードで以下のブートローダーコマンドを実行できます。

  • boot:実行可能な Cisco IOS イメージをロードして起動します。

  • cat:1 つまたは複数のファイルを連結(入力)します。

  • copy:ファイルをコピーします。

  • delete:複数のファイルのうち 1 つのファイルを削除します。

  • dir:ディレクトリ内のファイルを一覧表示します。

  • fsck:ファイルシステムの一貫性をチェックします。

  • format:ファイルシステムをフォーマットします。

  • mkdir:ディレクトリを作成します。

  • more:ファイルを連結(して表示)します。

  • rename:ファイル名を変更します。

  • rmdir:空のディレクトリを削除します。

  • sd_init:SD フラッシュファイルシステムを初期化します。

スイッチは、内部フラッシュメモリ、または SD カードから起動することができます。SD カードは、内部フラッシュ メモリよりも優先されます。スイッチに SD カードが挿入されている場合、スイッチは次の順序で起動しようとします。

  1. SD カードのシステムブートパスに指定されている Cisco IOS イメージから

  2. SD カードの最初の Cisco IOS イメージから

  3. 内部フラッシュメモリのシステムブートパスに指定されている Cisco IOS イメージから

  4. 内部フラッシュの最初の Cisco IOS イメージから

Cisco IOS XE の動作

Cisco IOS の実行中に、SD カードの挿入、または取り出しが可能です。Cisco IOS の実行中に、サポートされている Cisco SD カードを挿入すると、スイッチは、Product Name(PNM)フィールドにシスコによって埋め込まれている文字列を確認し、SD カードの製品番号とフラッシュ容量を表示します。Cisco IOS の実行中に SD カードを取り出すと、SD カードが取り出されたことを通知するために、スイッチによって警告メッセージが表示されます。

また、syslog が有効になっている場合は、SD カードが挿入または取り出されたときにシステムによってメッセージが送信されます。

SD カードがスイッチに挿入されている場合、次に示すように Cisco IOS コマンドが動作します。

  • write コマンド:実行中の設定を保存します。SD カードからシステムを起動して write コマンドを実行すると、カードがまだ挿入されている場合、システムは実行中の設定を SD カードに保存します。SD カードが取り出されている場合、システムは、実行中の設定を内部フラッシュ メモリに保存して次のメッセージを表示します。
    WARNING: The SD flash is not present.
    The running-config is saved to the on-board flash.
     
    NOTE: This warning message is displayed only once. 

    システムが内部フラッシュ メモリから起動された後で SD カードを挿入し、write コマンドを実行した場合、システムは、実行中の設定を内部フラッシュ メモリに保存します。

  • boot コマンド:システムの boot パラメータを変更します。

    システムが SD カードから起動されている場合に boot コマンドを実行すると、次のように動作します。

    • SD カードが挿入されていて、システムブートパスまたはコンフィギュレーション ファイル パスが SD カードを指している場合、システムブートパスまたはコンフィギュレーション ファイル パスは SD カードに保存されます。

    • SD カードが挿入されていて、システムブートパスまたはコンフィギュレーション ファイル パスが内部フラッシュメモリを指している場合、システムブートパスまたはコンフィギュレーション ファイル パスは内部フラッシュメモリに保存されます。

    • SD カードが取り出されていて、システム ブート パスまたはコンフィギュレーション ファイル パスが SD カードを指している場合、システム ブート パスまたはコンフィギュレーション ファイル パスは保存されず、次のメッセージが表示されます。
      WARNING: The BOOT/config file path points to the SD flash card and the SD flash card is not present.
      The environment variable(s) is not saved.
      
      NOTE: This warning message is displayed only once.

    システムが内部フラッシュメモリから起動された後で SD カードを挿入し、boot コマンドを実行した場合、次のように動作します。

    • システムブートパスまたはコンフィギュレーション ファイル パスが内部フラッシュメモリを指している場合、システムブートパスまたはコンフィギュレーション ファイル パスは内部フラッシュメモリに保存されます。

    • システム ブート パスまたはコンフィギュレーション ファイル パスが SD カードを指している場合、システム ブート パスまたはコンフィギュレーション ファイル パスは SD カードに保存され、次のメッセージが表示されます。
      :WARNING: The BOOT/config file path points to the SD flash card.
      The environment variable(s) is saved onto the SD flash card.
      
      NOTE: This warning message is displayed only once.
    • SD カードが取り出されていて、システム ブート パスまたはコンフィギュレーション ファイル パスが SD カードを指している場合、システム ブート パスまたはコンフィギュレーション ファイル パスは保存されず、次のメッセージが表示されます。
      WARNING: The BOOT/config file path points to the SD flash card and the SD flash card is not present.
      The environment variable(s) is not saved.
      
      NOTE: This warning message is displayed only once.
  • sync コマンド:Cisco IOS イメージディレクトリ(Cisco IOS イメージファイル、FPGA イメージファイル、デバイスマネージャファイル、Profinet/CIP コンフィギュレーション ファイルが含まれている)、config.text IOS コンフィギュレーション ファイル、vlan.dat VLAN コンフィギュレーション ファイル、Cisco IOS ブートパラメータを、内部フラッシュメモリから SD カードへ、または SD カードから内部フラッシュメモリへコピーします。このコマンドは、スイッチモデルに対して Cisco IOS イメージが適切であること、および同期先に十分なフラッシュメモリが存在することを確認し、潜在的な問題が検出された場合は同期プロセスを中断します。sync コマンドは、sync コマンドに指定されている同期元フラッシュデバイスの Cisco IOS ブートパラメータから、同期元 Cisco IOS イメージディレクトリパスおよび同期元 Cisco IOS コンフィギュレーション ファイル パスを取得します。デフォルトでは、このコマンドは同期先 Cisco IOS イメージディレクトリおよび Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルを上書きします。古いファイルを保存するオプションを使用すると、このデフォルトの動作をオーバーライドできます。実行中の設定を保存していない場合に sync コマンドを実行すると、スイッチは、コマンドを実行する前に実行中の設定を保存するオプションを表示します。

    sync コマンドのオプションは次のとおりです。

    • Switch# sync flash: sdflash::Cisco IOS イメージディレクトリ、コンフィギュレーション ファイル、ブートパラメータを内部フラッシュメモリから SD カードに同期します。

    • Switch# sync sdflash: flash::Cisco IOS イメージディレクトリ、コンフィギュレーション ファイル、ブートパラメータを SD カードから内部フラッシュメモリに同期します。

    • Switch# sync flash: sdflash: ios-image-name:Flash から SDFlash にブート Cisco IOS イメージを同期します。

    • Switch# sync sdflash: flash: ios-image-name:SDFlash から Flash にブート Cisco IOS イメージを同期します。

    • Switch# sync sdflash: flash: skip [config|env-variable|ios-image]:Cisco IOS 設定、環境変数、または Cisco IOS イメージディレクトリのいずれかを SD カードから内部フラッシュメモリに同期します。

Cisco IOx をロードするための SD カードのフォーマット

スイッチで Cisco IOx アプリケーションを実行する場合は、SD カードを EXT4 形式でフォーマットする必要があります。

Cisco IOS XE と Cisco IOx アプリケーションの両方を実行する場合は、partition sdflash コマンドを使用して、SD カードに FAT32 と EXT4 の両方のパーティションを作成します。

  • 最初のパーティションは Cisco IOS XE の FAT32 パーティションで、1 GB 以上である必要があります。

  • 2 番目のパーティションは Cisco IOx の EXT4 パーティションで、2.5 GB 以上である必要があります。


(注)  


イメージが sdflash からロードされる場合、SD カードのフォーマットは許可されません。まずイメージをフラッシュにコピーし、次にフラッシュから起動する必要があります。その後、SD カードでパーティションを設定できます。


手順


ステップ 1

Cisco IOx パーティションを作成するには、次のコマンドを入力します。

partition sdflash <create iox partition [size (MB or percentage)]>

このコマンドを実行すると、SD カードは 2 つのパーティションに分割されます。

  • SD カードのサイズが 4 GB 以上で、サイズが指定されていない場合:

    • パーティション 1(FAT32)は、SD カードの合計サイズの 34 パーセントに削減され、/flash11 にマウントされます。

    • パーティション 2(EXT4)は SD カードの合計サイズの 66 パーセントであり、/flash12 にマウントされます。

  • SD カードのサイズが 4 GB 未満の場合:

    • Cisco IOS XE パーティションには 1 GB 以上、Cisco IOx パーティションには 2.5 GB 以上のパーティション領域を指定します。

      パーティション領域が不十分な場合は、警告が表示され、パーティション分割は適用されません。

注意    

 

partition sdflash コマンドを使用すると、17.5.1 にアップグレードする前に存在していたデータは失われます。

ステップ 2

SD フラッシュ全体を Cisco IOx または Cisco IOS XE 専用にするには、次のコマンドを入力します。

format sdflash <filesystem format> 

このコマンドは、既存のパーティションをすべて削除し、指定されたファイルシステム形式の単一パーティションに置き換えます。

  • FAT2:Cisco IOS XE

  • EXT4:Cisco IOx

(注)  

 

標準 SD カードのフォーマットは FAT32 です。


SD スワップドライブを使用したスイッチ設定の自動復元

このタスクの目的は、SD カードを使用したスワップドライブ機能によって、スイッチを自動的に復元することです。sync コマンドを使用すると、新しいスイッチの設置時または古いスイッチの交換時に、スタートアップ コンフィギュレーションおよび IOS-XE イメージを外部 SD カード(IOS CLI では SDflash)にコピーできます。SD カードをスイッチに挿入して電源を入れると、スイッチは自動的に復元します。

新しい IE スイッチが稼働状態になると、IOS-XE は、内部フラッシュファイルシステムでスタートアップ コンフィギュレーションを確認します。存在する場合は、メモリにロードされます。スタートアップ コンフィギュレーションがない場合、スイッチは、リカバリイメージとスタートアップ コンフィギュレーション ファイルを含む SD カードを検索します。その後、スイッチはこれらを内部フラッシュにコピーし、元のスイッチを復元します。


(注)  


  • SDflash からパッケージを使用して IE3x00 デバイスをロードまたは起動することはできません。スイッチのプロンプトで boot sdflash:packages.conf コマンドを実行しないでください。

  • インストールモードで操作しているときに、IE スイッチが packages.conf ファイルを使用してパッケージファイル(*.pkg)をロードしている場合は、次のコマンドを使用しないでください。
    sync sdflash: restore-bundle
  • ブートファイルをイメージとして使用してバンドルモードでデバイスをロードする場合(<image-name>、SPA.bin など)、スイッチを復元するには、sync sdflash: restore-bundle コマンドを使用してスワップドライブ機能を同期します。

  • スタートアップ コンフィギュレーションを使用せずにスイッチを工場出荷時のデフォルト設定に復元または回復するには、バンドルモードを使用します。


手順


ステップ 1

スワップドライブを取得する前に、スイッチで write memory コマンドを実行します。sync コマンドを実行して、内部フラッシュから SD フラッシュに同期します。これにより、スタートアップ コンフィギュレーションが SD フラッシュに保存されます。

ステップ 2

スタートアップ コンフィギュレーションと IOS-XE バンドルイメージを保存した SD カードを新しいスイッチに挿入します。

ステップ 3

新しいスイッチの電源を入れます。

スイッチは、スタートアップ コンフィギュレーションと IOS-XE バンドルイメージを SD カードから新しいスイッチに自動的に復元してロードします。

IOS イメージの緊急リカバリ

Cisco IOS イメージの緊急リカバリプロセスにより、スイッチが機能状態に戻ります。スイッチまたは SD フラッシュのイメージと構成ファイルが破損している場合、またはスイッチが switch: prompt で ROMMON モードのままになっている場合は、emgy0 ストレージディレクトリにある有効なイメージを使用して緊急リカバリ手順を実行します。

switch: prompt で、emgy0 パーティションからイメージを起動します。スイッチのコンソールに接続していることを確認してください。問題を修正すると、スイッチが工場出荷時のデフォルト設定で起動します。緊急リカバリ手順の実行については、「Emergency Recovery Installation for IE3x00 and IE3400 Heavy Duty Switches」[英語] を参照してください。