拡張オブジェクト トラッキングに関する情報
ここでは、拡張オブジェクトトラッキングに関する情報について説明します。
拡張オブジェクト トラッキングの概要
拡張オブジェクト トラッキング機能が導入される前は、ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)に単純なトラッキング メカニズムが内蔵されていますた。このメカニズムでは、インターフェイスのラインプロトコルのステートしか追跡することができませんでした。インターフェイスのラインプロトコル ステートがダウンになった場合、ルータの HSRP 優先度は削減され、より高い優先度のもう 1 つの HSRP ルータがアクティブになることができます。
拡張オブジェクト トラッキング機能は、HSRP からトラッキング メカニズムを分離させて、独立したトラッキング プロセスを別途生成します。これにより、HSRP 以外のプロセスがこのトラッキング プロセスを使用できます。この機能を使用すると、インターフェイスのラインプロトコルのステートに加えて他のオブジェクトも追跡できます。
HSRP、仮想ルータ冗長プロトコル(VRRP)、Gateway Load Balancing Protoco(GLBP)などのクライアント プロセスで、トラッキング オブジェクトに対する興味を登録し、追跡対象オブジェクトの状態が変化したときに通知を受け取るようにすることができます。
各追跡対象オブジェクトには、トラッキング コマンドライン インターフェイス(CLI)で指定される一意の番号があります。クライアント プロセスは、この番号を使用して特定のオブジェクトを追跡します。トラッキング プロセスは、追跡対象オブジェクトに値の変化がないかどうかを定期的にポーリングし、(アップまたはダウン値など)変化があれば登録されているクライアント プロセスに通知します。ただちに通知する場合と、指定された時間遅延後に通知する場合があります。同じオブジェクトを複数のクライアントが追跡して、オブジェクトのステートが変化した場合に、それぞれが異なるアクションを実行できます。
複数のオブジェクトを組み合わせて 1 つのリストにして追跡することもできます。このリストの状態判定には、重みしきい値またはパーセンテージを使用します。オブジェクトの組み合わせには、ブール ロジックを使用できます。「AND」ブール関数を使用する追跡リストの場合、リスト内の各オブジェクトがアップ ステートでないと追跡対象オブジェクトはアップになりません。「OR」ブール関数を使用する追跡リストの場合、リスト内の 1 つのオブジェクトだけがアップ ステートであれば追跡対象オブジェクトはアップになります。
インターフェイス ラインプロトコルまたは IP ルーティング ステートのトラッキング
インターフェイス ラインプロトコル ステートまたはインターフェイス IP ルーティング ステートのいずれかを追跡できます。IP ルーティング ステートを追跡する場合、オブジェクトをアップするには次の 3 つの条件が必要です。
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インターフェイス上で IP ルーティングがイネーブル、かつアクティブになっている。
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インターフェイス ラインプロトコル ステートが使用可能な状態(アップ)にある。
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既知のインターフェイス IP アドレスを使用している。
この 3 つの条件がすべて合致しないと、IP ルーティング ステートはダウンになります。
追跡リスト
オブジェクトの追跡リストは、ブール式、重みしきい値、またはパーセントしきい値を使用して設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。オブジェクトは存在していないと追跡リストに追加できません。
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設定にブール式による演算を指定する場合は、「AND」または「OR」演算子を使用します。
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追跡リストのステートを重みしきい値で判定する場合は、追跡リスト内の各オブジェクトに重み番号を割り当てます。追跡リストのステートは、このしきい値に合致したかどうかで判定されます。各オブジェクトのステートは、すべてのオブジェクトの重みの合計と各オブジェクトのしきい値の重みを比較して判定されます。
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追跡リストをパーセントしきい値で判定する場合は、追跡リスト内のすべてのオブジェクトにパーセントしきい値を割り当てます。各オブジェクトのステートは、各オブジェクトに割り当てたパーセンテージとリストを比較して判定されます。
他の特性のトラッキング
拡張オブジェクト トラッキングを使用して他の特性を追跡することもできます。
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track ip route reachability グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、IP ルートの到達可能性を追跡できます。
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track ip route metric threshold グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ルートがしきい値を超えているか下回っているかを確認できます。
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track resolution グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ルーティングプロトコルのメトリック解決のデフォルト値を変更できます。
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track timer tracking コンフィギュレーション コマンドを使用すると、トラッキング対象オブジェクトを定期的にポーリングするようにトラッキングプロセスを設定できます。
拡張オブジェクトトラッキング設定を確認する場合は、 show track 特権 EXEC コマンドを使用してください。
IP SLA オブジェクト トラッキング
Cisco IOS IP サービス レベル契約(SLA)は、ネットワーク パフォーマンスの測定と診断を行うツールです。ネットワーク パフォーマンスを測定するためのトラフィック生成には、アクティブ モニタリングが使用されます。Cisco IP SLA 動作は、ネットワークのトラブルシューティングや設計、分析に使用できるリアルタイム メトリックを収集します。
IP SLA 動作のオブジェクト トラッキングを活用すると、クライアントは IP SLA オブジェクトの出力を追跡して、その情報をアクションのトリガーに使用できます。各 IP SLA 動作は、OK または OverThreshold のような簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)動作の戻りコード値を保持しているため、トラッキング プロセス側で解釈できます。ステートと到達可能性という IP SLA 動作の 2 つの側面をトラッキングできます。ステートの場合、戻りコードが OK のとき、トラック ステートがアップします。リターン コードが OK ではないとき、トラック ステートはダウンします。到達可能性の場合、戻りコードが OK または OverThreshold のとき、到達可能性がアップします。リターン コードが OK ではないとき、到達可能性はダウンします。
スタティック ルート オブジェクト トラッキング
拡張オブジェクトトラッキングを使用したスタティック ルーティング サポートにより、デバイスで ICMP ping を使用して、設定済みのスタティックルートまたは DHCP ルートがダウンしていることを認識できます。トラッキングを有効にしている場合、システムはルート ステートを追跡し、ステートの変化をクライアントに通知できます。スタティック ルート オブジェクト トラッキングは、プライマリ ゲートウェイへの接続状態をモニターするために、Cisco IP SLA を使用して ICMP ping を生成します。