MLD スヌーピングの概要
IP バージョン 4(IPv4)では、IP マルチキャスト デバイスに関連付けられたインターフェイスにだけマルチキャスト トラフィックが転送されるように、レイヤ 2 インターフェイスを動的に設定することで、レイヤ 2 スイッチは Internet Group Management Protocol(IGMP)スヌーピングを利用してマルチキャスト トラフィックのフラッディングを制限できます。IPv6 では、MLD スヌーピングが同様の機能を実行します。MLD スヌーピングにより IPv6 マルチキャスト データは、VLAN 内のすべてのポートにフラッディングされることなく、データの受信先であるポートのリストに選択的に転送されます。このリストは IPv6 マルチキャスト制御パケットをスヌーピングすることにより作成されます。
MLD は、直接接続されているリンク上のマルチキャスト リスナー(IPv6 マルチキャスト パケットの受信先となるノード)の検出、および近接ノードに送る必要があるマルチキャスト パケットの検出のために、IPv6 マルチキャスト ルータによって使用されるプロトコルです。MLD は IGMP から派生したものです。MLD バージョン 1(MLDv1)は IGMPv2 と同等、MLD バージョン 2(MLDv2)は IGMPv3 と同等です。MLD は Internet Control Message Protocol バージョン 6(ICMPv6)のサブプロトコルであり、MLD メッセージは、先行する Next Header の値 58 によって IPv6 パケットとして識別される ICMPv6 メッセージのサブセットです。
このスイッチは次の 2 つのバージョンの MLD スヌーピングをサポートしています。
• MLDv1 スヌーピングは MLDv1 制御パケットを検出し、IPv6 宛先マルチキャスト アドレスに基づいてトラフィックのブリッジングを設定します。
• MLDv2 basic snooping(MBSS; MLDv2 基本スヌーピング)は MLDv2 制御パケットを使用し、IPv6 宛先マルチキャスト アドレスに基づいてトラフィックの転送を設定します。
スイッチは MLDv1 プロトコル パケットと MLDv2 プロトコル パケットの両方をスヌーピングし、宛先 IPv6 マルチキャスト アドレスに基づいて IPv6 マルチキャスト データのブリッジングを実行します。
(注) このスイッチは、IPv6 の送信元と宛先のマルチキャスト アドレスに基づいて転送を設定する、MLDv2 enhanced snooping(MESS; MLDv2 拡張スヌーピング)はサポートしていません。
MLD スヌーピングは VLAN ごとに、またはグローバルにイネーブルまたはディセーブルに設定できます。MLD スヌーピングがイネーブルに設定されると、VLAN 単位の IPv6 マルチキャスト MAC アドレス テーブルがソフトウェア内で作成され、また VLAN 単位の IPv6 マルチキャスト アドレス テーブルがソフトウェア内とハードウェア内で作成されます。次に、スイッチは、IPv6 マルチキャスト アドレスに基づくブリッジングをハードウェアで行います。
ここでは、IPv6 MLD スヌーピングのパラメータの一部について説明します。
• 「MLD メッセージ」
• 「MLD クエリー」
• 「マルチキャスト クライアント エージングのロバストネス」
• 「マルチキャスト ルータ ディスカバリ」
• 「MLD レポート」
• 「MLD Done メッセージと即時脱退」
• 「トポロジー変更通知の処理」
MLD メッセージ
MLDv1 は次の 3 つのタイプのメッセージをサポートします。
• リスナー クエリーは IGMPv2 クエリーと同等であり、一般クエリーまたは Multicast-Address-Specific Query(MASQ)のいずれかとなります。
• マルチキャスト リスナー レポートは IGMPv2 レポートと同等です。
• Multicast Listener Done メッセージは IGMPv2 Leave メッセージと同等です。
MLDv2 は、MLDv2 クエリーおよびレポートのほか、MLDv1 レポートおよび Done メッセージもサポートします。
メッセージ タイマーおよびメッセージの送受信の結果による状態の遷移は IGMPv2 メッセージと同一です。有効なリンクローカル IPv6 送信元アドレスのない MLD メッセージは MLD ルータと MLD スイッチでは無視されます。
MLD クエリー
スイッチは MLD クエリーを送信し、IPv6 マルチキャスト アドレス データベースを構築して、MLD グループ固有クエリーと、MLD グループおよび送信元固有クエリーを、MLD Done メッセージへの応答として生成します。このスイッチはレポート抑制、レポート プロキシング、即時脱退機能、およびスタティック IPv6 マルチキャスト MAC アドレス設定もサポートします。
MLD スヌーピングがディセーブルに設定されると、すべての MLD クエリーは入力側 VLAN にフラッディングされます。
MLD スヌーピングがイネーブルにされると、受信した MLD クエリーが入力側 VLAN にフラッディングされ、クエリーのコピーが CPU に送られて処理されます。MLD スヌーピングは受信したクエリーから IPv6 マルチキャスト アドレス データベースを構築します。MLD スヌーピングは、マルチキャスト ルータ ポートを検出、タイマーを管理して、レポート応答時間を設定、VLAN のクエリア IP 送信元アドレスおよび VLAN 内のクエリア ポートを学習し、マルチキャスト アドレス エージングを管理します。
(注) IPv6 マルチキャスト ルータが Catalyst 6500 スイッチであり、拡張 VLAN(範囲 1006 ~ 4094)が使用されている場合は、Catalyst 6500 スイッチが拡張 VLAN 上でクエリーを受信できるように、Catalyst 6500 スイッチ上で拡張 VLAN に対する IPv6 MLD スヌーピングをイネーブルにする必要があります。標準範囲 VLAN(1 ~ 1005)の場合、IPv6 MLD スヌーピングを Catalyst 6500 スイッチの VLAN でイネーブルにする必要はありません。
MLD スヌーピング データベース内にグループが存在する場合、スイッチは MLDv1 レポートを送信してグループ固有クエリーに応答します。グループが不明の場合、グループ固有クエリーは入力側 VLAN にフラッディングされます。
ホストがマルチキャスト グループを脱退する時には、MLD Done メッセージ(IGMP Leave メッセージと同等)を送信します。スイッチが MLDv1 Done メッセージを受信したときに、即時脱退がイネーブルにされていない場合は、スイッチはメッセージの送信元になっているポートに MASQ を送信し、そのポートに接続されている他のデバイスがマルチキャスト グループに残るべきかどうかを判断します。
マルチキャスト クライアント エージングのロバストネス
アドレスからのポートのメンバーシップの削除を、クエリーの数に基づいて行うように設定できます。ポートは、設定された数のクエリーのレポートがポート上のアドレスに送られなかった場合にだけ、アドレスへのメンバーシップから削除されます。デフォルト値は 2 です。
マルチキャスト ルータ ディスカバリ
IGMP スヌーピングと同様に、MLD スヌーピングもマルチキャスト ルータ ディスカバリを実行します。MLD スヌーピングには次のような特徴があります。
• ユーザによって設定されたポートは期限切れにはならない。
• MLDv1 スヌーピング クエリーおよび IPv6 PIMv2 パケットによるダイナミックなポート学習。
• 同じレイヤ 2 インターフェイス上に複数のルータが存在する場合は、MLD スヌーピングはそのポート上の単一のマルチキャスト ルータ(一番最後にルータ制御パケットを送信したルータ)だけを追跡します。
• ダイナミック マルチキャスト ルータ ポート エージングのデフォルト タイマーは 5 分です。ポート上で 5 分間、制御パケットが受信されなかった場合、マルチキャスト ルータはルータ ポート リストから削除されます。
• IPv6 マルチキャスト ルータ ディスカバリは、スイッチで MLD スヌーピングがイネーブルにされている場合にだけ実行されます。
• 受信した IPv6 マルチキャスト ルータ制御パケットは、スイッチで MLD スヌーピングがイネーブルにされているかどうかに関係なく、常に入力側 VLAN にフラッディングされます。
• 最初の IPv6 マルチキャスト ルータ ポートを検出したら、不明な IPv6 マルチキャスト データは、検出されたルータ ポートにだけ転送されます(それ以前のものは、すべての IPv6 マルチキャスト データは入力側 VLAN にフラッディングされます)。
MLD レポート
MLDv1 join メッセージの処理は、基本的に IGMPv2 と同じです。VLAN 内で IPv6 マルチキャスト ルータが検出されない場合は、レポートは処理されず、スイッチから転送もされません。IPv6 マルチキャスト ルータが検出され、MLDv1 レポートを受信した場合は、IPv6 マルチキャスト グループ アドレスおよび IPv6 マルチキャスト MAC アドレスが VLAN MLD データベースに登録されます。次に、VLAN 内のグループへ向かうすべての IPv6 マルチキャスト トラフィックは、このアドレスを使用して転送されます。MLD スヌーピングがディセーブルに設定されると、レポートは入力側 VLAN にフラッディングされます。
MLD スヌーピングがイネーブルに設定されると、MLD レポート抑制(リスナー メッセージ抑制)が自動的にイネーブルに設定されます。スイッチはレポートを抑制して、グループで受信した最初の MLDv1 レポートを IPv6 マルチキャスト ルータに転送します。そのグループへの後続のレポートは、ルータには送られなくなります。MLD スヌーピングがディセーブルにされている場合、レポート抑制はディセーブルになり、MLDv1 レポートはすべて入力側 VLAN にフラッディングされます。
スイッチは MLDv1 プロキシ レポーティングもサポートしています。MLDv1 MASQ を受信すると、スイッチは、グループがスイッチ内の別のポートに存在する場合、およびクエリーを受信したポートがそのアドレスの最後のメンバー ポートではない場合は、クエリーを受信したアドレスに対して MLDv1 レポートで応答します。
MLD Done メッセージと即時脱退
即時脱退機能がイネーブルに設定された状態で、ホストが MLDv1 Done メッセージ(IGMP leave メッセージに相当)を送信した場合、Done メッセージを受信したポートは即座にグループから削除されます。VLAN 上で即時脱退(および IGMP スヌーピング)をイネーブルにする場合、ポートに単一のホストが接続されている VLAN でだけ、この機能を使用してください。ポートがグループの最後のメンバーの場合は、グループも削除され、検出された IPv6 マルチキャスト ルータに脱退情報が転送されます。
VLAN 内で即時脱退がイネーブルにされておらず(同一ポート上のグループに複数のクライアントが存在する場合が該当)、Done メッセージをポートで受信した場合、そのポートで MASQ が生成されます。ユーザは、既存アドレスからポートのメンバーシップをいつ削除するかを、MASQ の数によって制御できます。ポートは、設定された数のクエリーの MLDv1 レポートがポート上のアドレスに送られなかった場合に、アドレスへのメンバーシップから削除されます。
生成される MASQ の数は ipv6 mld snooping last-listener-query count グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して設定します。デフォルト値は 2 です。
MASQ は、Done メッセージを受信した IPv6 マルチキャスト アドレスに送られます。スイッチの最大応答時間内に MASQ で指定された IPv6 マルチキャスト アドレスにレポートが送信されなかった場合、MASQ を受信したポートは IPv6 マルチキャスト データベースから削除されます。最大応答時間は ipv6 mld snooping last-listener-query-interval グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して設定します。削除されたポートがマルチキャスト アドレスの最後のメンバーである場合、マルチキャスト アドレスも削除され、スイッチはアドレス脱退情報をすべての検出済みマルチキャスト ルータに送信します。
トポロジー変更通知の処理
ipv6 mld snooping tcn query solicit グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して topology change notification(TCN; トポロジー変更通知)送信要求をイネーブルに設定した場合、MLDv1 スヌーピングは、選択したポートだけにマルチキャスト データの送信を開始する前に、設定した数の MLDv1 クエリーの送信により、すべての IPv6 マルチキャスト トラフィックをフラッディングするよう、VLAN を設定します。この値は ipv6 mld snooping tcn flood query count グローバル コンフィギュレーション コマンドで設定します。デフォルトでは 2 つのクエリーを送信します。スイッチは、VLAN 内で STP ルートになった場合、またはユーザによって設定された場合には、有効なリンクローカル IPv6 送信元アドレスを含む MLDv1 global Done メッセージも生成します。これは IGMP スヌーピングと同様です。
IPv6 MLD スヌーピングの設定
ここでは、IPv6 MLD スヌーピングの設定方法を説明します。
• 「MLD スヌーピングのデフォルト設定」
• 「MLD スヌーピング設定時の注意事項」
• 「MLD スヌーピングのイネーブル化またはディセーブル化」
• 「スタティック マルチキャスト グループの設定」
• 「マルチキャスト ルータ ポートの設定」
• 「MLD 即時脱退のイネーブル化」
• 「MLD スヌーピング クエリーの設定」
• 「MLD リスナー メッセージ抑制のディセーブル化」
MLD スヌーピングのデフォルト設定
表 38-1 は、MLD スヌーピングのデフォルト設定をまとめたものです。
表 38-1 MLD スヌーピングのデフォルト設定
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MLD スヌーピング(グローバル) |
ディセーブル。 |
MLD スヌーピング(VLAN 単位) |
イネーブル。VLAN MLD スヌーピングを使用するには、MLD スヌーピングがグローバルにイネーブルになっていることが必要です。 |
IPv6 マルチキャスト アドレス |
設定なし。 |
IPv6 マルチキャスト ルータ ポート |
設定なし。 |
MLD スヌーピング即時脱退 |
ディセーブル。 |
MLD スヌーピング ロバストネスの変数 |
グローバル:2。VLAN 単位:0。 (注) VLAN 値はグローバル設定を上書きします。VLAN 値が 0 の場合、VLAN はグローバル カウントを使用します。 |
最終リスナー クエリー カウント |
グローバル:2。VLAN 単位:0。 (注) VLAN 値はグローバル設定を上書きします。VLAN 値が 0 の場合、VLAN はグローバル カウントを使用します。 |
最終リスナー クエリー インターバル |
グローバル:1000(1 秒)。VLAN:0。 (注) VLAN 値はグローバル設定を上書きします。VLAN 値が 0 の場合、VLAN はグローバル インターバルを使用します。 |
TCN クエリー送信請求 |
ディセーブル。 |
TCN クエリー カウント |
2. |
MLD リスナー抑制 |
イネーブル。 |
MLD スヌーピング設定時の注意事項
MLD スヌーピングを設定するときは、次の注意事項に従ってください。
• MLD スヌーピング特性はいつでも設定できますが、設定を有効にするには、 ipv6 mld snooping グローバル コンフィギュレーション コマンドで MLD スヌーピングをグローバルにイネーブルにする必要があります。
• IPv6 マルチキャスト ルータが Catalyst 6500 スイッチであり、拡張 VLAN(範囲 1006 ~ 4094)が使用されている場合は、Catalyst 6500 スイッチが拡張 VLAN 上でクエリーを受信できるように、Catalyst 6500 スイッチ上で拡張 VLAN に対する IPv6 MLD スヌーピングをイネーブルにする必要があります。標準範囲 VLAN(1 ~ 1005)の場合、IPv6 MLD スヌーピングを Catalyst 6500 スイッチの VLAN でイネーブルにする必要はありません。
• MLD スヌーピングと IGMP スヌーピングは互いに独立して動作します。両方の機能をスイッチ上で同時にイネーブルに設定できます。
• スイッチに許可されているマルチキャスト エントリの最大数は、設定された SDM テンプレートによって決まります。
• スイッチに許可されているアドレス エントリの最大数は 1000 です。
MLD スヌーピングのイネーブル化またはディセーブル化
デフォルトでは、IPv6 MLD スヌーピングは、スイッチ上でグローバルにディセーブルにされており、すべての VLAN でイネーブルに設定されています。MLD スヌーピングがグローバルにディセーブルに設定されていると、すべての VLAN でもディセーブルになります。MLD スヌーピングをグローバルにイネーブルに設定すると、VLAN 設定がグローバル設定を上書きします。つまり、MLD スヌーピングはデフォルト状態(イネーブル)の VLAN インターフェイス上でだけイネーブルになります。
MLD スヌーピングは VLAN 単位、または VLAN の範囲を基準にイネーブルまたはディセーブルに設定できますが、グローバルにディセーブルにすると、すべての VLAN でディセーブルになります。グローバル スヌーピングがイネーブルの場合は、VLAN スヌーピングをイネーブルまたはディセーブルのどちらにも設定できます。
スイッチ上で MLD スヌーピングをグローバルにイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ipv6 mld snooping |
スイッチ上で MLD スヌーピングをグローバルにイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ステップ 5 |
reload |
オペレーティング システムをリロードします。 |
スイッチ上で MLD スヌーピングをグローバルにディセーブルにするには、 no ipv6 mld snooping グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
VLAN で MLD スヌーピングをイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
(注) IPv6 マルチキャスト ルータが Catalyst 6500 スイッチであり、拡張 VLAN(範囲 1006 ~ 4094)が使用されている場合は、Catalyst 6500 スイッチが拡張 VLAN 上でクエリーを受信できるように、Catalyst 6500 スイッチ上で拡張 VLAN に対する IPv6 MLD スヌーピングをイネーブルにする必要があります。標準範囲 VLAN(1 ~ 1005)の場合、IPv6 MLD スヌーピングを Catalyst 6500 スイッチの VLAN でイネーブルにする必要はありません。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ipv6 mld snooping |
スイッチ上で MLD スヌーピングをグローバルにイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id |
VLAN で MLD スヌーピングをイネーブルにします。指定できる VLAN ID の範囲は 1 ~ 1001 および 1006 ~ 4094 です。 (注) VLAN スヌーピングをイネーブルにするには、MLD スヌーピングをグローバルにイネーブルにする必要があります。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN インターフェイスで MLD スヌーピングをディセーブルにするには、指定された VLAN 番号に対して no ipv6 mld snooping vlan vlan-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します 。
スタティック マルチキャスト グループの設定
ホストまたはレイヤ 2 ポートは、通常はマルチキャスト グループにダイナミックに参加しますが、IPv6 マルチキャスト アドレスと VLAN のメンバー ポートをスタティックに設定することもできます。
マルチキャスト グループのメンバーとしてレイヤ 2 ポートを追加するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id static ipv6_multicast_address interface interface-id |
マルチキャスト グループのメンバーとして、レイヤ 2 ポートをマルチキャスト グループにスタティックに設定します。 • vlan-id には、マルチキャスト グループの VLAN ID を指定します。指定できる VLAN ID 範囲は 1 ~ 1001 および 1006 ~ 4094 です。 • ipv6_multicast_address は、128 ビット グループ IPv6 アドレスです。アドレスは、RFC 2373 で指定された形式にします。 • interface-id にはメンバー ポートを指定します。物理インターフェイスまたはポート チャネル(1 ~ 48)を指定できます。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ipv6 mld snooping multicast-address user or show ipv6 mld snooping multicast-address vlan vlan-id user |
スタティック メンバー ポートおよび IPv6 アドレスを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
マルチキャスト グループからレイヤ 2 ポートを削除するには、 no ipv6 mld snooping vlan vlan-id static mac-address interface interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。すべてのメンバー ポートがグループから削除されると、グループは削除されます。
次に、IPv6 マルチキャスト グループをスタティックに設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ipv6 mld snooping vlan 2 static FF12::3 interface gigabitethernet0/1
マルチキャスト ルータ ポートの設定
MLD スヌーピングは MLD クエリーと PIMv6 クエリーを通じてルータ ポートを学習しますが、コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用してマルチキャスト ルータ ポートを VLAN に追加することもできます。マルチキャスト ルータ ポートを追加する(マルチキャスト ルータにスタティック接続を追加する)場合は、スイッチ上で ipv6 mld snooping vlan mrouter グローバル コンフィギュレーション コマンド を使用します。
(注) マルチキャスト ルータへのスタティック接続は、スイッチ ポートに限りサポートされます。
VLAN にマルチキャスト ルータ ポートを追加するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id mrouter interface interface-id |
マルチキャスト ルータの VLAN ID とインターフェイスをマルチキャスト ルータに指定します。 • 指定できる VLAN ID 範囲は 1 ~ 1001 および 1006 ~ 4094 です。 • このインターフェイスには物理インターフェイスまたはポート チャネルを指定できます。ポート チャネル範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ipv6 mld snooping mrouter [ vlan vlan-id ] |
VLAN インターフェイスで IPv6 MLD スヌーピングがイネーブルになっていることを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN からマルチキャスト ルータ ポートを削除する場合は、 no ipv6 mld snooping vlan vlan-id mrouter interface interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、マルチキャスト ルータ ポートを VLAN 200 に追加する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)#
ipv6 mld snooping vlan 200 mrouter interface gigabitethernet0/2
MLD 即時脱退のイネーブル化
MLDv1 即時脱退をイネーブルにした場合、スイッチはポートで MLD Done メッセージを検出すると、即座にそのポートをマルチキャスト グループから削除します。即時脱退機能を使用するのは、VLAN の各ポートにレシーバーが 1 つ存在する場合だけです。同一ポート上のマルチキャスト グループに複数のクライアントが存在する場合は、VLAN 内で即時脱退をイネーブルに設定しないでください。
MLDv1 即時脱退をイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id immediate-leave |
VLAN インターフェイス上で MLD 即時脱退をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ipv6 mld snooping vlan vlan-id |
VLAN インターフェイス上で即時脱退がイネーブルになっていることを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN 上で MLD 即時脱退をディセーブルにするには、 no ipv6 mld snooping vlan vlan-id immediate-leave グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、VLAN 130 で MLD 即時脱退をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ipv6 mld snooping vlan 130 immediate-leave
MLD スヌーピング クエリーの設定
即時脱退がイネーブルに設定されていない状態でポートが MLD Done メッセージを受信した場合、スイッチはポート上で MASQ を生成し、Done メッセージを送信した IPv6 マルチキャスト アドレスに送信します。送信される MASQ の数、およびスイッチがポートをマルチキャスト グループから削除するまでの応答待機時間を任意に設定できます。
スイッチまたは VLAN に対して MLD スヌーピング クエリーの特性を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ipv6 mld snooping robustness-variable value |
(任意)スイッチが、一般クエリーに応答しないリスナー(ポート)を削除するまでに送信されるクエリーの数を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 3 で、デフォルトは 2 です。 |
ステップ 3 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id robustness-variable value |
(任意)ロバストネス変数を VLAN ベースで設定します。これにより、MLD レポート応答がない場合に、マルチキャスト アドレスの期限が切れるまでに MLD スヌーピングが送信する一般クエリーの数が決まります。指定できる範囲は 1 ~ 3 で、デフォルトは 0 です。0 に設定した場合、グローバルなロバストネス変数値が使用されます。 |
ステップ 4 |
ipv6 mld snooping last-listener-query-count count |
(任意)MLD クライアントが期限切れになるまでにスイッチが送信する MASQ の数を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 7 で、デフォルトは 2 です。クエリーは 1 秒間隔で送信されます。 |
ステップ 5 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id last-listener-query-count count |
(任意)最終リスナー クエリー カウントを VLAN 単位で設定します。この値はグローバルに設定された値を上書きします。指定できる範囲は 1 ~ 7 です。デフォルト値は 0 です。0 に設定した場合、グローバル カウント値が使用されます。クエリーは 1 秒間隔で送信されます。 |
ステップ 6 |
ipv6 mld snooping last-listener-query-interval interval |
(任意)スイッチがポートをマルチキャスト グループから削除する前に、MASQ 送信後に応答を待機する最大時間を設定します。指定できる範囲は 100 ~ 32,768 ミリ秒です。デフォルト値は 1000(1 秒)です。 |
ステップ 7 |
ipv6 mld snooping vlan vlan-id last-listener-query-interval interval |
(任意)最終リスナー クエリー インターバルを VLAN 単位で設定します。この値はグローバルに設定された値を上書きします。指定できる範囲は 0 ~ 32,768 ミリ秒です。デフォルト値は 0 です。0 に設定した場合、グローバル最終リスナー クエリー インターバルが使用されます。 |
ステップ 8 |
ipv6 mld snooping tcn query solicit |
(任意)Topology Change Notification(TCN; トポロジー変更通知)送信請求をイネーブルにします。これは受信を要求したポートにだけマルチキャスト データを送信する前に、設定された数のクエリーが送信される間、IPv6 マルチキャスト トラフィックすべてが VLAN にフラッディングされることを意味します。デフォルトは、TCN がディセーブルです。 |
ステップ 9 |
ipv6 mld snooping tcn flood query count count |
(任意)TCN がイネーブルの場合、送信される TCN クエリーの数を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 10 で、デフォルトは 2 です。 |
ステップ 10 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 11 |
show ipv6 mld snooping querier [ vlan vlan-id ] |
(任意)スイッチまたは VLAN の MLD スヌーピング クエリア情報を確認します。 |
ステップ 12 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、MLD スヌーピング グローバル ロバストネス変数を 3 に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ipv6 mld snooping robustness-variable 3
次に、VLAN の MLD スヌーピング最終リスナー クエリー カウントを 3 に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ipv6 mld snooping vlan 200 last-listener-query-count 3
次に、MLD スヌーピング最終リスナー クエリー インターバル(最大応答時間)を 2000(2 秒)に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ipv6 mld snooping last-listener-query-interval 2000
MLD リスナー メッセージ抑制のディセーブル化
MLD スヌーピング リスナー メッセージ抑制は、デフォルトでイネーブルにされています。この機能がイネーブルになると、スイッチはマルチキャスト ルータ クエリーごとに 1 つの MLD レポートだけを転送します。メッセージ抑制がディセーブルに設定されている場合は、複数の MLD レポートがマルチキャスト ルータに転送される可能性があります。
MLD リスナー メッセージ抑制をディセーブルにするには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no ipv6 mld snooping listener-message-suppression |
MLD メッセージ抑制をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ipv6 mld snooping |
IPv6 MLD スヌーピング レポート抑制がディセーブルであることを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MLD メッセージ抑制を再びイネーブルに設定するには、 ipv6 mld snooping listener-message-suppression グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。