動作モード
UDLD は、2 つの動作モードをサポートしています。ノーマル モード(デフォルト)とアグレッシブ モードです。標準モードでは、UDLD は光ファイバ接続で誤って接続されたポートによる単一方向リンクを検出できます。アグレッシブ モードでも、UDLD は光ファイバおよびツイストペア リンクの一方向のトラフィック、および光ファイバ リンクで誤って接続されたポートによる、単一方向リンクを検出できます。
標準モードおよびアグレッシブ モードで、UDLD はレイヤ 1 メカニズムと連動して、リンクの物理ステータスを学習します。レイヤ 1 では、物理的シグナリングおよび障害検出は、自動ネゴシエーションによって処理されます。UDLD は、ネイバの ID の検出、誤って接続されたポートのシャットダウンなど、自動ネゴシエーションでは実行不可能な処理を実行します。自動ネゴシエーションと UDLD の両方をイネーブルにすると、レイヤ 1 とレイヤ 2 の検出機能が連動し、物理的および論理的な単一方向接続、および他のプロトコルの誤動作を防止します。
単一方向リンクが発生するのは、ローカル デバイスが送信したトラフィックをネイバが受信するのに対して、ネイバから送信されたトラフィックをローカル デバイスが受信しない場合です。
標準モードで、UDLD は、光ファイバ ポートのファイバ ストランドが誤って接続されて、レイヤ 1 メカニズムがこの誤った接続を検出できない場合の単一方向リンクを検出します。ポートは適切に接続されているが、トラフィックが一方向の場合、この状態を検出するよう想定されているレイヤ 1 メカニズムが検出しないため、UDLD では単一方向リンクを検出しません。この場合、論理リンクは不明となり、UDLD はポートをディセーブルにしません。
UDLD が標準モードのときに、1 組のファイバ ストランドの 1 つが切断され、自動ネゴシエーションがアクティブの場合、レイヤ 1 メカニズムがリンクの物理的問題を検出したため、リンクは維持されません。この場合、UDLD は何の処理も行わず、論理リンクは不明となります。
アグレッシブ モードでは、UDLD は、以前の検出方法で単一方向リンクを検出します。また、アグレッシブ モードの UDLD は、2 つのデバイス間での障害が許されない、ポイントツーポイントリンク上での単一方向リンクも検出できます。また、次のいずれかの問題がある場合も単一方向リンクを検出できます。
• 光ファイバまたはツイストペア リンクで、ポートの 1 つがトラフィックの送受信が不可能な場合
• 光ファイバまたはツイストペア リンクで、ポートの 1 つがダウン状態で、他のインターフェイスはアップである場合
• ケーブルのファイバ ストランドの 1 つが、切断されている場合
このような場合、UDLD は影響されるポートをディセーブルにします。
ポイントツーポイント リンクでは、UDLD hello パケットの存在は、リンクのヘルスを保証するハート ビートと見なされます。逆にハート ビートの損失は、双方向リンクを再確立できない場合に、リンクをシャットダウンする必要があることを意味します。
レイヤ 1 から見てケーブルの両方のファイバ ストランドが正常に動作していれば、アグレッシブ モードの UDLD は、それらのファイバ ストランドが正しく接続されているかどうか、トラフィックが正しいネイバ間で双方向に流れているかどうかを検出します。自動ネゴシエーションはレイヤ 1 で動作するので、この判別は自動ネゴシエーションでは不可能です。
単一方向リンクの検出方法
UDLD は、次の 2 つのメカニズムで動作します。
• 近接データベースのメンテナンス
UDLD は、すべてのアクティブ ポートで hello パケット(別名アドバタイズまたはプローブ)を定期的に送信して、他の UDLD 対応ネイバについて学習し、各デバイスがネイバに関しての最新情報を維持できるようにします。
スイッチは hello メッセージを受信すると、エージングタイム(ホールドタイムまたは Time to Live [TTL])が満了するまで、情報をキャッシュします。古いキャッシュ エントリの期限満了までに新しい hello メッセージを受信した場合、スイッチは古いエントリを新しいものと置き換えます。
UDLD の稼動中にポートをディセーブルにしたり、ポートで UDLD をディセーブルにしたり、もしくはスイッチをリセットした場合はいつでも、設定変更によって影響を受けたポートの既存のキャッシュ エントリがすべて消去されます。UDLD は 1 つまたは複数のメッセージを送信して、ネイバに、ステータス変更によって影響を受けたキャッシュの部分をフラッシュするよう通知します。このメッセージは、キャッシュの同期を維持するためのものです。
• イベント駆動型検出およびエコー
UDLD は、検出メカニズムとしてエコーを使用しています。UDLD デバイスが新しいネイバについて学習するか、または非同期ネイバから再同期要求を受信すると、接続側で検出ウィンドウを再起動してエコー メッセージを返信します。すべての UDLD ネイバで同じ動作をするので、エコーの送信側は返信エコーの受信を予測します。
検出ウィンドウが終了して有効な応答メッセージを受信しなかった場合、UDLD モードに応じて、リンクはシャットダウンします。UDLD が標準モードのときは、リンクは不明と見なされ、シャットダウンされません。UDLD がアグレッシブ モードのときは、リンクは単一方向であると見なされ、ポートはディセーブルになります。
標準モードの UDLD がアドバタイズ フェーズまたは検出フェーズにあり、すべてのネイバ キャッシュ エントリが無効である場合、UDLD はリンクアップ シーケンスを再起動して、同期していない可能性のあるネイバとの同期化を再度行います。
ポートのすべてのネイバが、アドバタイズまたは検出フェーズのいずれかで無効であるときに、アグレッシブ モードをイネーブルにした場合、UDLD はリンクアップ シーケンスを再起動して、同期していない可能性のあるネイバとの同期化を再度行います。高速メッセージ列のあと、リンク ステートがまだ不明の場合は、UDLD がポートをシャットダウンします。
図 26-1 に、単一方向リンク状態の例を示します。
図 26-1 UDLD による単一方向リンク検出