Cisco ISA 3000 のアラーム

この章では、ISA 3000 のアラーム システムの概要を示し、アラームを設定およびモニターする方法についても説明します。

アラームについて

さまざまな条件でアラームを発行するように ISA 3000 を設定できます。いずれかの条件が設定と一致しない場合、アラームがトリガーされます。これにより、LED、Syslog メッセージ、SNMP トラップによって、またアラーム出力インターフェイスに接続された外部デバイスを通じて、アラートがレポートされます。デフォルトでは、トリガーされたアラームにより Syslog メッセージだけが発行されます。

次のものをモニタするようにアラーム システムを設定できます。

  • 電源

  • プライマリおよびセカンダリ温度センサー。

  • アラーム入力インターフェイス。

ISA 3000 には内部センサーに加えて 2 つのアラーム入力インターフェイスと 1 つのアラーム出力インターフェイスがあります。アラーム入力インターフェイスにはドア センサーなどの外部センサーを接続できます。アラーム出力インターフェイスにはブザーやライトなどの外部アラーム デバイスを接続できます。

アラーム出力インターフェイスはリレー メカニズムです。アラーム条件に応じて、リレーが活性化または非活性化されます。リレーが活性化されると、インターフェイスに接続されているすべてのデバイスがアクティブになります。リレーが非活性化されると、接続されているすべてのデバイスが非アクティブ状態になります。リレーは、アラームがトリガーされているかぎり、活性化状態のままになります。

外部センサーとアラーム リレーの接続については、『Cisco ISA 3000 Industrial Security Appliance Hardware Installation Guide』を参照してください。

アラーム入力インターフェイス

アラーム入力インターフェイス(または接点)は外部センサー(ドアが開いているかどうかを検出するセンサーなど)に接続できます。

各アラーム入力インターフェイスには対応する LED があります。これらの LED は各アラーム入力のアラーム ステータスを示します。アラーム入力ごとにトリガーと重大度を設定できます。LED に加えて、出力リレーのトリガー(外部アラームをアクティブにするため)、Syslog メッセージの送信、および SNMP トラップの送信を行うように接点を設定できます。

次の表に、アラーム入力のアラーム状態に応じた LED のステータスを示します。また、アラーム入力に対する出力リレー、Syslog メッセージ、および SNMP トラップの応答を有効にしている場合のそれらの動作も示します。

アラームステータス

LED

出力リレー

Syslog

SNMP トラップ

アラームが設定されていない

オフ

アラームがトリガーされていない

グリーンに点灯

アラームがアクティブになる

マイナー アラーム:赤色で点灯

メジャー アラーム:赤色で点滅

リレーの電源が入る

syslog が生成される

SNMP トラップが送信される

アラーム終了

グリーンに点灯

リレーの電源がオフになる

syslog が生成される

アラーム出力インターフェイス

アラーム出力インターフェイスにはブザーやライトなどの外部アラームを接続できます。

アラーム出力インターフェイスはリレーとして機能します。また、このインターフェイスには、入力インターフェイスに接続された外部センサーや、デュアル電源センサー、温度センサーなどの内部センサーのアラーム ステータスを示す、対応する LED があります。出力リレーをアクティブにする必要があるアラームがある場合は、それを設定します。

次の表に、アラーム状態に応じた LED と出力リレーのステータスを示します。また、アラームに対する Syslog メッセージおよび SNMP トラップの応答を有効にしている場合のそれらの動作も示します。

アラームステータス

LED

出力リレー

Syslog

SNMP トラップ

アラームが設定されていない

オフ

アラームがトリガーされていない

グリーンに点灯

アラームがアクティブになる

レッド(点灯)

リレーの電源が入る

syslog が生成される

SNMP トラップが送信される

アラーム終了

グリーンに点灯

リレーの電源がオフになる

syslog が生成される

アラームのデフォルト

次の表に、アラーム入力インターフェイス(コンタクト)、冗長電源、および温度のデフォルト設定を示します。

アラーム

Trigger

重大度

SNMP トラップ

出力リレー

syslog メッセージ

アラーム コンタクト 1

イネーブル

クローズ状態

Minor

ディセーブル

ディセーブル

有効

アラーム コンタクト 2

イネーブル

クローズ状態

Minor

ディセーブル

ディセーブル

有効

冗長電源(有効な場合)

[有効(Enabled)]

ディセーブル

ディセーブル

有効

温度

プライマリ温度アラームで有効(高温/低温のデフォルトしきい値はそれぞれ 92°C および -40°C)。

セカンダリ アラームでは無効。

プライマリ温度アラームについて有効

プライマリ温度アラームについて有効

プライマリ温度アラームについて有効

アラームの設定

ISA 3000 に対してアラームを設定するには、次の手順を実行します。

手順


ステップ 1

1 つまたはすべてのアラーム コンタクトの重大度を設定します。

alarm contact {contact_number | all} severity {major | minor | none}

例:

ciscoasa(config)# alarm contact 1 severity major

コンタクト番号(12)を入力するか、またはアラームすべてを設定する場合は all と入力します。重大度として majorminor、または none を入力します。デフォルトは minor です。

ステップ 2

1 つまたはすべてのアラーム コンタクトのトリガーを設定します。

alarm contact {contact_number | all} trigger {closed | open}

open を指定すると、通常は閉じている(通常の電子接続)コンタクトが開かれた場合、または電流の流れが止まった時点で、アラームがトリガーされます。

closed を指定すると、通常は開いている(電子接続なし)コンタクトが閉じられた場合、または電流の流れが開始された時点で、アラームがトリガーされます。

たとえば、ドア センサーがアラーム入力に接続されている場合、通常のオープン状態では、コンタクトを通過する電流はありません。ドアが開くと、コンタクトを電流が流れ、アラームがアクティブになります。

例:

ciscoasa(config)# alarm contact 1 trigger open

コンタクト番号(12)を入力するか、またはアラームすべてを設定する場合は all と入力します。open または closed と入力して、トリガーを指定します。デフォルトは close です。

ステップ 3

アラーム コンタクトのリレー、システム ロガー、および SNMP トラップを有効にします。

リレーが有効な場合にアラーム条件が発生すると、リレーが活性化され、リレーに接続されているデバイスがアクティブになります。リレーが活性化されると、アラーム出力 LED は赤に点灯します。

  • 入力アラームのリレーを有効にします。

alarm facility input-alarm contact_number relay

例:

ciscoasa(config)# alarm facility input-alarm 1 relay

コンタクト番号を入力します(1 または 2)。デフォルトでは、アラーム入力のリレーは無効です。

  • システム ロガーを有効にします。

alarm facility input-alarm contact_number syslog

例:

ciscoasa(config)# alarm facility input-alarm 1 syslog

コンタクト番号を入力します(1 または 2)。

  • SNMP トラップをイネーブルにします。

alarm facility input-alarm contact_number notifies

例:

ciscoasa(config)# alarm facility input-alarm 1 notifies

コンタクト番号を入力します(1 または 2)。

ステップ 4

(オプション)入力アラーム コンタクトの説明を指定します。

alarm contact contact_number | description string

例:

ciscoasa(config)# alarm contact 1 description Door_Open

contact_number は、説明設定の対象となるアラーム コンタクトを指定します。説明には最大 80 文字の英数字を使用でき、syslog メッセージに含められます。

デフォルトの説明を、それに対応するコンタクト番号に設定するには、no alarm contact contact_number description コマンドを使用します。

ステップ 5

電源アラームを設定します。

(注)   

電源アラームが動作するには、冗長電源を有効にする必要があります。

電源アラームを設定するための次のコマンドを参照してください。

  • power-supply dual

    このコマンドは、デュアル電源を有効にします。

  • alarm facility power-supply rps disable

    このコマンドは、電源アラームを無効にします。デフォルトの状態では、このアラームは無効になっています。アラームが有効にされている場合、それを無効にするには、このコマンドを使用します。

  • alarm facility power-supply rps notifies

    このコマンドは、電源アラーム トラップを SNMP サーバーに送信します。

  • alarm facility power-supply rps relay

    このコマンドは、電源アラームをリレーに関連付けます。

  • alarm facility power-supply rps syslog

    このコマンドは、電源アラーム トラップを syslog サーバーに送信します。

ステップ 6

温度しきい値を設定します。

alarm facility temperature {primary | secondary}{high | low} threshold

例:


ciscoasa(config)# alarm facility temperature primary high 90
ciscoasa(config)# alarm facility temperature primary low 40
ciscoasa(config)# alarm facility temperature secondary high 85
ciscoasa(config)# alarm facility temperature primary low 35

プライマリ温度アラームの有効なしきい値の範囲は、–40 ℃ から 92 ℃ までです。セカンダリ温度アラームの有効なしきい値の範囲は、–35 ℃ から 85 ℃ までです。セカンダリ アラームの温度しきい値が設定されている場合、セカンダリ アラームのみ有効になります。

無効にするか、またはデフォルト値に戻すには、各コマンドの no の形式を使用してください。プライマリ アラームにコマンドの no 形式を使用してもアラームは無効にならず、高い方のしきい値についてはデフォルト値 92 ℃ に、また低い方のしきい値については -40 ℃ に戻されます。セカンダリ アラームにコマンドの no 形式を使用すると、アラームが無効になります。

ステップ 7

温度アラームの SNMP トラップ、リレー、およびシステム ロガーを有効にします。

温度アラームのリレー、SNMP トラップ、および syslog を有効にすることについては、次のコマンドを参照してください。

  • alarm facility temperature {primary | secondary} notifies

    このコマンドは、プライマリ温度アラーム トラップまたはセカンダリ温度アラーム トラップを SNMP サーバーに送信します。

  • alarm facility temperature {primary | secondary} relay

    このコマンドは、プライマリ温度アラームまたはセカンダリ温度アラームをリレーに関連付けます。

  • alarm facility temperature {primary | secondary} syslog

    このコマンドは、プライマリ温度アラーム トラップまたはセカンダリ温度アラーム トラップを syslog サーバに送信します。

リレー、SNMP トラップ、および syslog を無効にするには、各コマンドの no 形式を使用します。


アラームのモニタリング

アラームをモニターするには、次のコマンドを参照してください。

手順

  • show alarm settings

    このコマンドは、すべてのグローバル アラーム設定を表示します。

    ciscoasa> show alarm settings
    Power Supply
             Alarm                   Disabled
             Relay                   Disabled
             Notifies                Disabled
             Syslog                  Disabled
    Temperature-Primary
             Alarm                   Enabled
             Thresholds           MAX: 92C                MIN: -40C
             Relay                   Enabled
             Notifies                Enabled
             Syslog                  Enabled
    Temperature-Secondary
             Alarm                   Disabled
             Threshold  
             Relay                   Disabled
             Notifies                Disabled
             Syslog                  Disabled
    Input-Alarm 1
             Alarm                   Enabled
             Relay                   Disabled
             Notifies                Disabled
             Syslog                  Enabled
    Input-Alarm 2
             Alarm                   Enabled
             Relay                   Disabled
             Notifies                Disabled
             Syslog                  Enabled
    
  • show environment alarm-contact

    このコマンドは、すべての外部アラーム設定を表示します。

    ciscoasa> show environment alarm-contact
    ALARM CONTACT 1
       Status:      	not asserted
       Description: 	external alarm contact 1
       Severity:    	minor
       Trigger:     	closed
    ALARM CONTACT 2
       Status:      	not asserted
       Description: 	external alarm contact 2
       Severity:    	minor
       Trigger:     	closed
  • show facility-alarm status[info |major |minor]

    このコマンドは、指定された重大度に基づいてすべてのアラームを表示します。

    出力には、次の情報が表示されます。

    カラム

    説明

    ソース(Source)

    アラームがトリガーされたデバイス。通常は、デバイスで設定されているホスト名です。

    Severity

    重大度が高い(major)か、低い(minor)か

    説明

    トリガーされたアラームのタイプ。たとえば、温度、外部連絡先、冗長電源など。

    Relay

    電源が入っている(energized)か、入っていない(de-energized)か

    時刻

    トリガーされたアラームのタイムスタンプ

    ciscoasa> show facility-alarm status info
    Source      Severity    Description                                     Relay                 Time
    ciscoasa   minor        external alarm contact 1 triggered  Energized          06:56:50 UTC Mon Sep 22 2014 
    ciscoasa   minor        Temp below Secondary Threshold De-energized            06:56:49 UTC Mon Sep 22 2014 
    ciscoasa   major       Redundant pwr missing or failed    De-energized        07:00:19 UTC Mon Sep 22 2014 
    ciscoasa   major        Redundant pwr missing or failed    De-energized        07:00:19 UTC Mon Sep 22 2014
    ciscoasa> show facility-alarm status major
    Source      Severity    Description                                     Relay                 Time
    ciscoasa    major       Redundant pwr missing or failed    De-energized     07:00:19 UTC Mon Sep 22 2014 
    ciscoasa   major        Redundant pwr missing or failed    De-energized     07:00:19 UTC Mon Sep 22 2014
    ciscoasa> show facility-alarm status minor
    Source      Severity    Description                                     Relay                 Time
    ciscoasa   minor        external alarm contact 1 triggered  Energized          06:56:50 UTC Mon Sep 22 2014 
    ciscoasa   minor        Temp below Secondary Threshold De-energized     06:56:49 UTC Mon Sep 22 2014
    
  • show facility-alarm relay

    このコマンドは、電源が入っている状態のリレーをすべて表示します。

    ciscoasa> show facility-alarm relay
    Source      Severity    Description                                     Relay                 Time
    ciscoasa   minor        external alarm contact 1 triggered  Energized          06:56:50 UTC Mon Sep 22 2014
    

アラームの履歴

機能名

プラットフォームリリース

説明

ISA 3000 のアラーム ポートのサポート

9.7(1)

ISA 3000 では、2 つのアラーム入力ピンと 1 つのアラーム出力ピン、およびアラームのステータスを通知する LED をサポートするようになりました。外部センサーは、アラーム入力に接続できます。外部ハードウェア リレーは、アラーム出力ピンに接続できます。外部アラームの説明を設定できます。また、外部アラームと内部アラームの重大度とトリガーも指定できます。すべてのアラームは、リレー、モニタリング、およびロギングに設定できます。

次のコマンドが導入されました。alarm contact description、alarm contact severity、alarm contact trigger、alarm facility input-alarm、alarm facility power-supply rps、alarm facility temperature、alarm facility temperature high、alarm facility temperature low、clear configure alarm、clear facility-alarm output、show alarm settings、show environment alarm-contact

次の画面が導入されました。

[Configuration] > [Device Management] > [Alarm Port] > [Alarm Contact]

[Configuration] > [Device Management] > [Alarm Port] > [Redundant Power Supply]

[Configuration] > [Device Management] > [Alarm Port] > [Temperature]

[Monitoring] > [Properties] > [Alarm] > [Alarm Settings]

[Monitoring] > [Properties] > [Alarm] > [Alarm Contact]

[Monitoring] > [Properties] > [Alarm] > [Facility Alarm Status]