システム コンポーネント
Service Control ソリューションは 4 つの主要コンポーネントで構成されます。
• Service Control Engine(SCE)プラットフォーム ― 柔軟で強力な専用のネットワーク使用状況モニタ。アプリケーション レベルでネットワーク トランザクションを分析およびレポートします。
SCE プラットフォームのインストールおよび動作の詳細については、『 Cisco SCE Platform Installation and Configuration Guide 』を参照してください。
• Service Control Management Suite(SCMS)Subscriber Manager(SM) ― サブスクライバ情報とポリシーのダイナミック バインディングが必要な場合に使用されるミドルウェア ソフトウェア コンポーネント。SM はサブスクライバ情報を管理し、複数の SCE プラットフォームに対してリアルタイムでプロビジョニングします。SM はサブスクライバ ポリシー情報を内部に格納し、Authentication, Authorization, and Accounting(AAA; 認証、認可、アカウンティング)システム(RADIUS、DHCP など)と SCE プラットフォーム間のステートフル ブリッジとして機能することができます。
SM のインストールおよび動作の詳細については、『 Cisco Service Control Management Suite Subscriber Manager User Guide 』を参照してください。
Quota Manager(QM)は SM の任意コンポーネントです。QM を使用する Service Control ソリューション プロバイダーは、サブスクライバ セッションのサブスクライバ クォータを、高度な柔軟性で管理します。
QM のインストールおよび動作の詳細については、『 Cisco Service Control Management Suite Quota Manager Solution Guide 』を参照してください。
• Service Control Management Suite(SCMS)Collection Manager(CM) ― 1 つまたは複数の SCE プラットフォームの Raw Data Record(RDR)を受信する収集システムを実装したものです。使用状況と統計情報を収集し、データベースに格納します。また、サブスクライバの使用状況と統計情報を単純なテキストベース ファイルに変換して、外部システムでさらに処理したり、収集することができます。
CM のインストールおよび動作の詳細については、『 Cisco Service Control Management Suite Collection Manager User Guide 』を参照してください。
• Service Control Application(SCA)Reporter ― CM が格納したデータを処理し、このデータの詳細なレポートのセットを提供するソフトウェア コンポーネント。SCA Reporter は、単独実行することも Console に統合して実行することもできます。
SCE プラットフォーム、SCMS-CM、SCMS-SM、および SCA Reporter の設計目的は、IP ネットワーク トラフィックの詳細な分類、分析、レポート、および制御をサポートすることです。SCMS-CM、SCA Reporter、および SCMS-SM は任意コンポーネントであり、Service Control ソリューションの配置によっては不要な場合があります。サードパーティによる収集やレポーティング アプリケーションを使用するサイト、ダイナミック サブスクライバ アウェアネス処理が不要なサイト、RADIUS または DHCP スニフィング オプションを使用するサイトの中には、これらのコンポーネントを必要としないものもあります。
次に、Service Control ソリューション内の情報フローを示します。
• 水平フロー ― サブスクライバと IP ネットワークの間のトラフィックを表します。
トラフィック フローは SCE プラットフォームでモニタされます。
• 垂直フロー ― SCE プラットフォームから CM への RDR の伝送を表します。
制御フローに SM を追加して、サブスクライバ データを提供できます。このようにすると、SCA BB でサブスクライバレベルの分析と制御を実行できます。
図2-1 SCA BB の情報フロー
サブスクライバおよびサブスクライバ モードについて
Service Control ソリューションの基本エンティティの 1 つに、 サブスクライバ があります。サブスクライバは SCA BB が個別にモニタしたり、課金したり、ポリシーを適用できる最小のエンティティです。SCAS BB システムの最小のインスタンスでは、サブスクライバはポリシーが個別に実行される、サービス プロバイダーの実際のカスタマーです。ただし、SCA BB を使用すると、より詳細にトラフィックをモニタしたり、制御できます。たとえば、サブネットや集約装置でトラフィックをモニタしたり、制御できます。
サービス コントロール ソリューションの設計にあたっては、どのサブスクライバをシステムに存在させるかが重要になります。この定義内容によって使用するサブスクライバ モードが決まり、さらに統合が必要な場合はその内容や、定義する実際のポリシーも決まります。次のセクションでは、サポートされているさまざまなサブスクライバ モード、それぞれのモードでサポートされている機能、および前提条件と必須コンポーネントについて説明します。
SCA BB がサポートするサブスクライバ モードは次の 4 つです。
• サブスクライバレス モード ― サブスクライバは定義されません。グローバル プラットフォームを解決するときに制御およびリンクレベル分析機能を実行します。
• アノニマス サブスクライバ モード ― IP アドレスが個別に収集およびモニタされます。SCE プラットフォームは、使用された IP アドレスを自動的に識別し、パッケージに割り当てます。
• スタティック サブスクライバ モード ― システム オペレータの設定に従って、着信 IP アドレスがバインドされ、「サブスクライバ」に静的にグループ化されます。
• サブスクライバアウェア モード ― サブスクライバ情報は、現在サブスクライバが使用している IP アドレスに動的にバインドされます。IP アドレスをサブスクライバに割り当てるシステム(RADIUS、DHCP)と統合するか、この情報をスニフィングすると実行されます。ポリシー情報は SCA BB に直接管理されるか、統合によって動的にプロビジョニングされます。
サブスクライバレス モード
サブスクライバレス モードは、グローバル プラットフォームを解決するときだけ制御および分析機能が必要となるサイトに適しています。たとえば、リンクを介して P2P トラフィック全体をモニタおよび制御する場合に使用できます。
サブスクライバレス モードでは統合する必要がないため、SCMS-SM が不要です。
(注) サブスクライバレス モードは、サブスクライバ数または着信 IP アドレス数の影響を受けません。したがって、モニタ対象リンクを利用するサブスクライバ総数は、SCE プラットフォームに関しては無制限になります。
アノニマス サブスクライバ モード
アノニマス サブスクライバ モードでは、サブスクライバ着信 IP アドレス単位でネットワーク トラフィックの分析と制御ができます。このモードは、サブスクライバごとに差別化された制御やサブスクライバレベル クォータ トラッキングが不要な場合や、IP レベルでの分析が十分な場合、またはオフラインで IP アドレス/サブスクライバ バインディングが実行可能な場合に使用します。たとえば、上位 IP アドレスを識別し、RADIUS/DHCP ログを使用して各サブスクライバに関係付けることにより、P2P トラフィックの生成量が最も多いサブスクライバを識別できます。サブスクライバごとに許可されている P2P トラフィックの合計帯域幅も制限できます。
アノニマス サブスクライバ モードでは使用するIPアドレスを統合したり、静的に設定する必要がないため、SCMS-SM が不要です。代わりに、SCE プラットフォームに IP アドレス範囲が直接設定されます。システムはサブスクライバ名としてIP アドレスを使用して、このアドレスに「アノニマス」サブスクライバを動的に作成します。
(注) SCE プラットフォームで同時にアクティブになっているアノニマス サブスクライバの総数は、同時にアクティブになっているサブスクライバの総数と同じです。
スタティック サブスクライバ モード
スタティック サブスクライバ モードは、着信 IP アドレスをグループにバインドし、定義済みサブスクライバに対するトラフィックをグループとして制御できるようにします。たとえば、(複数のサブスクライバで同時に使用される)特定のネットワーク サブネットに対するすべてのトラフィックを(仮想)「サブスクライバ」として定義し、グループとして制御/表示することができます。
スタティック サブスクライバ モードは、次のように、Service Control ソリューションで制御されるエンティティが、動的に変更されない固定 IP アドレスまたはアドレス範囲を使用している場合をサポートします。
• サブスクライバ IP アドレスが DHCP や RADIUS などから動的に変更されない環境
• 特定の集約装置などで処理されるすべての IP アドレスなど、共通の IP アドレス プールを使用するサブスクライバ グループをまとめて管理し、グループ全体で帯域幅を共有するような配置
SCE プラットフォーム上でスタティック サブスクライバを直接定義できるため、SCMS-SM などの外部管理ソフトウェアは不要です。サブスクライバ、サブスクライバの IP アドレス、関連パッケージのリストを定義するには、SCE プラットフォーム CLI(コマンドライン インターフェイス)を使用します。
サブスクライバ アウェア モード
サブスクライバ アウェア モードでは、SCE には、サブスクライバが現在使用中の IP アドレスに動的にバインドされるサブスクライバ情報(OSS ID およびポリシー)が読み込まれます。これにより、使用中のIPアドレスに関係なく、サブスクライバごとに差別化された動的な制御を行ったり、サブスクライバ レベルの分析を行うことができます。このモードを使用してトラフィックをサブスクライバ レベルで制御および分析し、サブスクライバの使用状況をモニタし、サブスクライバごとに制御ポリシー(パッケージ)を割り当てて実行します。
このモードでは、SCMS-SM を使用して SCE プラットフォームにサブスクライバ情報をプロビジョニングすることができます。
サブスクライバ モード:サマリー
次の表に、システムでサポートされている各サブスクライバ モードのサマリーを示します。
表2-1 サブスクライバ モードのサマリー
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サブスクライバレス モード |
• グローバル(プラットフォームレベル)分析および制御 |
サブスクライバ設定は不要 |
グローバル制御ソリューションまたはサブスクライバレベル分析。 例: • ピアリング ポイントで P2P アップロードを制御 • P2P 帯域幅の総計の割合を指定 |
アノニマス サブスクライバ モード |
• グローバルな分析および制御 • 各 IP アドレスレベルでの分析および制御 |
• サブスクライバ設定は不要。使用するサブスクライバ IP アドレス範囲のみを指定 • 統合なしでサブスクライバレベル制御を実行 |
サブスクライバごとに差別化されない、オフライン IP アドレスおよびサブスクライバ バインディングで対応可能な、IP レベル分析または制御。 例: • サブスクライバごとに P2P 帯域幅を限定 • 上位 IP アドレスを識別し、RADIUS/DHCP ログを使用して対応付けることにより、上位サブスクライバを識別 |
スタティック サブスクライバ モード |
• グローバルな分析および制御 • SCE プラットフォームに静的に設定された各 IP アドレス/グループに基づく制御 |
• オンタイムの静的なサブスクライバ設定(統合は不要) • 論理グループでサブスクライバ トラフィックを管理 |
サブスクライバ グループのトラフィックを制御。 例: • 単一 CMTS デバイスを使用して、サブスクライバ グループごとに P2P トラフィックの帯域幅制限を割り当て |
サブスクライバ アウェア モード |
• すべてのシステム機能 |
• サブスクライバごとの差別化された動的な制御 • サブスクライバレベル分析(使用中の IP アドレスに関係しない) |
サブスクライバ レベルでトラフィックを制御および分析。 例: • IP アドレスに関係なく、サブスクライバ使用状況をモニタ • サブスクライバごとに異なる制御ポリシー(パッケージ)を割り当てて、パッケージを動的に変更 |
サービス コンフィギュレーションについて
サービス コンフィギュレーションは、SCE プラットフォームでトラフィックを分析および制御する方法を定義します。一般に、サービス コンフィギュレーションで定義される内容は、次のとおりです。
• プロトコルおよびサービス分類
• パッケージおよびポリシー
• 帯域幅コントローラ
• グローバル コントローラ
図2-2 サービス コンフィギュレーション
SCA BB コンソール
SCA BB Console は GUI ツールのセットで、ソリューション コンポーネントの管理、設定、モニタに使用します。
Console については、このマニュアルの以降の章で詳細に説明します。
Service Configuration Utility
SCA BB Service Configuration Utility( servconf )は簡単なコマンドライン ユーティリティで、PQB コンフィギュレーション ファイルを SCE プラットフォームに適用したり、SCE プラットフォームの現在のコンフィギュレーションを取得して PQB ファイルとして保存する場合に使用します。このユーティリティでは、PQB ファイルで定義されたサービス コンフィギュレーションを使って SCE プラットフォームを設定します。Windows または Solaris 環境でインストールして実行できます。
Servconf についての詳細は、「SCA BB Service Configuration Utility についての情報」を参照してください。
サービス コンフィギュレーション API
サービス コンフィギュレーション API は Java クラスのセットで、次の目的のために使用します。
• サービス コンフィギュレーションの設定と管理
• SCE プラットフォームにサービス コンフィギュレーションを適用
• アプリケーションをサードパーティ製システムに統合
サービス プロバイダーはこの API を使用して、管理および処理業務を自動化したり、簡略化できます。
サービス コンフィギュレーション API については、『 Cisco SCA BB Service Configuration API Programmer's Guide 』を参照してください。