コンソール/AUX ポートに関する考慮事項
ルータには、非同期シリアル コンソール ポートと AUX ポートが付いています。コンソール ポートと AUX ポートにより、コンソール ポートに接続されているコンソール端末を使用してルータにローカル アクセスしたり、AUX ポートに接続されているモデムを使用してリモート アクセスしたりできます。ここでは、コンソール端末またはモデムにルータを接続する前に考慮すべき重要なケーブル配線の情報について説明します。
コンソール ポートと AUX ポートの大きな違いは、AUX ポートがフロー制御をサポートしているのに対して、コンソール ポートがこれをサポートしていないことです。フロー制御は、送信側装置と受信側装置間のデータ伝送を調整します。フロー制御により、送信側装置が次のデータを送信する前に、受信側装置で確実にデータを取り込むことができます。受信側装置のバッファが一杯になると、送信側装置へメッセージが送られ、バッファ内のデータが処理されるまで、送信が中断されます。AUX ポートはフロー制御をサポートしているので、高速モデム伝送に最適です。コンソール端末はモデムより伝送速度が遅いので、コンソール端末にはコンソール ポートが適しています。
コンソール ポート接続
ルータには、EIA/TIA-232 非同期シリアル コンソール ポート(RJ-45)が付いています。使用するケーブルおよびアダプタに応じて、このポートは、ケーブルの終端において Data Terminal Equipment(DTE; データ端末装置)または Data Communications Equipment(DCE; データ通信装置)として認識されます。
ルータには、端末エミュレーション ソフトウェアを実行している PC との接続に使用する RJ-45/DB-9 ケーブルが提供されています。
ルータを ASCII 端末に接続するには、RJ-45/DB-9 ケーブルと DB-9/DB-25 アダプタを使用します(同梱)。
コンソール ポートのデフォルト パラメータは、9600 ボー、8 データ ビット、パリティなし、1 ストップ ビットです。コンソール ポートでは、モード制御はサポートされません。コンソール端末の設置に関する詳細は、 「Cisco 1800 シリーズ ルータ(モジュール型)のケーブル接続手順」 の「コンソール ポートとの接続」を参照してください。
ケーブルのおよびポートのピン割り当てについては、『 Cisco Modular Access Router Cable Specifications 』を参照してください。このマニュアルは、Cisco.com にあります。
ネットワーク接続の準備
ルータをセットアップするときは、距離制限および該当する地域および国際規定に定められている EMI(電磁波干渉)を考慮してください。
このセクションでは、ネットワーク インターフェイスが異なるネットワーク接続の考慮事項について説明します。
• 「イーサネット接続」
• 「シリアル接続」
• 「ISDN BRI接続」
• 「CSU/DSU 接続」
ネットワーク接続およびインターフェイスに関する詳細については、次のオンライン マニュアルを参照してください。
• 『 Cisco Interface Cards Installation Guide 』
• 『 Cisco Modular Access Router Cable Specifications 』
イーサネット接続
IEEE(米国電気電子学会)は、イーサネットを IEEE 802.3 標準として規定しました。Cisco 1800 シリーズのイーサネット実装は次のとおりです。
• 100BASE-T - 2 ペア、カテゴリ 5 または Unshielded Twisted-Pair(UTP; シールドなしツイストペア)の RJ-45 ストレート ケーブル 最長 328 フィート(100 m)のセグメント距離をサポートします。
• 10BASE-T - UTP ケーブルのイーサネット 最長 328 フィート(100 m)のセグメント距離をサポートします。UTP ケーブルの外観は一般的な電話回線と類似していますが、UTP には一部の電話回線に採用されていない電気規格に準拠しています。
イーサネット ケーブル、コネクタ、およびピン割り当てに関する詳細については、『 Cisco Modular Access Router Cable Specifications 』を参照してください。この文書はインターネットから入手できます。
シリアル接続
シリアル接続はシリアル WAN Interface Card(WIC; WANインターフェイス カード)によって提供されます。WIC の詳細については、『 Installing Cisco Interface Cards in Cisco Access Routers 』を参照してください。この文書はインターネットから入手できます。
装置をシリアル ポートに接続する前に以下を確認してください。
• 装置のタイプ - 同期シリアル インターフェイスに接続する DTE または DCE
• コネクタのタイプ - オスまたはメス。装置との接続に必要です。
• 装置に必要な信号規格
シリアル接続の構成
シリアル WIC のシリアル ポートでは、DB-60 コネクタが使用されます。シリアル ポートは使用するシリアル ケーブルに応じて DTE または DCE として構成できます。
シリアル DTE 装置とシリアル DCE 装置
同期シリアル インターフェイス経由で通信する装置は DTE 装置または DCE 装置です。DCE 装置によって装置とルータの通信速度を制御するクロック信号が提供されます。DTE 装置ではクロック信号は提供されません。DTE 装置は通常、DCE 装置に接続されます。装置のマニュアルには DTE 装置または DCE 装置のいずれであるかが記載されています (一部の装置では DTE モードまたは DCE モードを選択できるジャンパが搭載されています)。 表 1 は一般的な DTE および DCE 装置のリストです。
表 1 一般的な DTE 装置および DCE 装置
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DTE |
オス |
• 端末 • PC |
DCE |
メス |
• モデム • CSU/DSU • マルチプレクサ |
サポートされる信号規格
このルータに搭載された同期シリアル ポートでは、EIA/TIA-232、EIA/TIA-449、V.35、X.21、および EIA-530 の信号規格がサポートされます。指定した規格に対応するコネクタの Cisco DB-60 シールド付きシリアル トランジション ケーブルはご注文いただけます。接続する装置のマニュアルには、装置に採用されている規格が記載されています。ルータ側のシールド付きシリアル トランジション ケーブルにはシリアル WIC の DB-60 ポートと接続する DB-60 コネクタが備えられています。シリアル トランジション ケーブルの反対側は、指定した規格のコネクタが備えられています。
同期シリアル ポートは、付属のケーブルに応じて DTE または DCE として構成できます(DTE のみサポートする EIA-530 を除く)。シールド付きケーブルを発注するには代理店にお問い合わせください。 「Cisco 1800 シリーズ ルータ(モジュール型)の概要」 の「シスコのテクニカル サポート」を参照してください。
(注) DTE として構成されたシリアル ポートにはすべて Channel Service Unit/Data Service Unit(CSU/DSU; チャネル サービス ユニット/データ サービス ユニット)またはその他の DCE 装置の外部クロッキングが必要です。
お客様ご自身でシリアル ケーブルを作成することはお勧めしませんが(DB-60 シリアル コネクタのピンが小さいため)ケーブルのピン割り当てについては『 Cisco Modular Access Router Cable Specifications 』で説明されています。
距離制限
シリアル信号の伝送距離にはビット レートに応じて制限があります。通常、データ レートが遅いほど、距離制限は長くなります。シリアル信号にはすべて距離制限があり、制限を超過すると、信号の大幅な品質低下または損失の原因になります。
表 2 では、シリアル インターフェイス タイプそれぞれの速度と距離の上限を示します。ただし、超過したことによる電気的問題を理解し、対応することができるなら記載された速度または距離を超過しても良好な結果を得られる場合があります。たとえば、V.35 に推奨される最大レートは 2 Mbps ですが、一般的には 4 Mbps が使用されています。
表 2 シリアル信号の伝送速度と距離
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EIA/TIA-449、X.21、V.35、および EIA-530 の距離制限
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2400 |
200 |
60 |
4100 |
1250 |
4800 |
100 |
30 |
2050 |
625 |
9600 |
50 |
15 |
1025 |
312 |
19200 |
25 |
7.6 |
513 |
156 |
38400 |
12 |
3.7 |
256 |
78 |
56000 |
8.6 |
2.6 |
102 |
31 |
1544000(T1) |
-- |
-- |
50 |
15 |
バランスが取れたドライバを使用すると、EIA/TIA-449 信号の伝送距離は EIA/TIA-232 信号より長くなります。通常、EIA/TIA-449 および EIA-530 では 2-Mbps がサポートされ、V.35 では 4-Mbps がサポートされています。
非同期/同期シリアル モジュールのボー レート
次のボー レート制限は、非同期/同期シリアル モジュールの低速シリアル インターフェイスに適用されます。
• 非同期インターフェイス - ボー レートの上限は 115.2 kbps です。
• 同期インターフェイス - ボー レートの上限は 128 kbps です(全二重伝送)。
ISDN BRI接続
BRI WICでは、Integrated Services Digital Network(ISDN)による Basic Rate Interface(BRI; 基本速度インターフェイス)接続が可能です。BRI WIC には外部 Network Termination 1(NT1; ネットワーク終端1)が必要な S/T インターフェイスまたは NT1 が内蔵された U インターフェイスで利用できます。BRI WIC は、シャーシの空き WIC スロットに取り付けられます。
警告 ISDN 接続は電圧源と見なされ、ユーザによる取り扱いはできません。Public Telephone Operator(PTO; 公衆電気通信事業者)によって提供された装置または接続ハードウェアを改変したり開いたりしないでください。PTO 従業員または適切なトレーニングを受けたエンジニアのみ配線を取り扱えます(取り外しができない、1 回のみの接続が必要なプラグを除く)。ステートメント 23
警告 装置の電源がオン、オフにかかわらず、WAN ポートにはネットワークの危険電圧がかかっています。感電事故を防ぐため、WAN ポート付近で作業する場合は十分に注意してください。ケーブルを取り外す場合は、装置側から先にケーブルを切り離してください。ステートメント 1026
BRI ケーブル(別売り)を使用して、BRI WIC を直接 ISDN に接続してください。 表 3 に、ISDN BRI ケーブルの仕様を示します。ピン割り当てについては、Cisco.com で提供されている『 Cisco Modular Access Router Cable Specifications 』を参照してください。
表 3 ISDN BRI ケーブル仕様
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抵抗(96 kHz のときの値) |
160 ohms/km |
160 ohms/km |
容量(1 kHz のときの値) |
120 nF/km |
30 nF/km |
インピーダンス(96 kHz のときの値) |
75 ohms |
150 ohms |
ワイヤ直径 |
0.024 インチ(0.6 mm) |
0.024 インチ(0.6 mm) |
距離制限 |
32.8 フィート(10 m) |
32.8 フィート(10 m) |
BRI WIC の詳細については、『 Installing Cisco Interface Cards in Cisco Access Routers 』を参照してください。このマニュアルは、Cisco.com にあります。
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