Cisco Catalyst IR8140H ルータハードウェアの説明と仕様

この章では、Cisco Catalyst IR8140H Heavy Duty ルータ(これ以降、このドキュメントではルータまたは IR8140H と呼ぶ)の主要なハードウェア機能について説明します。これには、シャーシ、内部および外部のコネクタとポート、ならびにハードウェア仕様が含まれます。

次の内容について説明します。

Cisco Catalyst IR8140H ルータの概要

Cisco Catalyst IR8140H ルータは、屋外の支柱取り付け型ルータを必要とする Field Area Network(FAN)配電グリッドで使用するために設計された、堅牢な通信プラットフォームです。FAN は、発電と送電が電力消費者にリンクされる配電システムです。

ルータは、電力網の効率と信頼性の向上、エネルギー消費量の削減、および GHG の削減を可能にするエンドツーエンドの通信ネットワークを提供します。ルータは、次のようなアプリケーションで活用できます。

  • スマートな輸送と道路

  • 自動検針インフラ(AMI)

  • 配電自動化

  • 分散型エネルギー源(DER)の統合

  • リモート ワーク フォース オートメーション

  • スマート街路灯

ルータは、FAN システムと、FAN に存在する多数のデバイス(メーター、センサー、保護リレー、インテリジェント電子装置(IED)、プラグイン電気自動車(PEV)充電ステーション、分散型のソーラーファーム)との間で、信頼性が高く安全なリアルタイム通信を提供します。ネットワークデータは、ローカルの決定プロセスのために、配電グリッド内のデバイス間をセキュアな通信リンクを介して転送され処理されます。

ルータハードウェアの概要:外部

IR8140H は、屋外用の IP67 産業用ルータです。これは、4 つのモジュールスロットを備えたベース モジュラ プラットフォームで構成されています。4 つの IR8140H モジュールのうちの 1 つは他の 3 つよりも大きく、スーパースロットと呼ばれ、スロット 0 として識別されます。このスーパースロットは、CPU モジュール用に予約されています。次の図に示すように、IR8140H では下向きです。他の 3 つのスロットは、ユニバーサル インターフェイス モジュール(UIM)をサポートします。


(注)  


モジュールスロットは、屋外で風雨にさらされるとルータを損傷する可能性があるため、開けたままにしないでください。モジュールが装着されていない場合はスロットカバーを使用することを推奨します。「アクセサリ」を参照してください。


図 1. IR8140H(コンポーネントのラベル付き)

次の表に、上の図に示した IR8140H でサポートされるすべてのモジュールと電源の概要を示します。

表 1. Cisco Catalyst IR8140H のコンポーネント

アイテム番号

説明

1

1 つのアンテナを備えた産業用ルータモジュール(例:IRMH-WPAN モジュール)。

2

バッテリ バックアップ ユニット(BBU)モジュール。収納ラックには最大 3 台の BBU をスタックできます。

3 および 4

2 つのアンテナを備えたユニバーサル インターフェイス モジュール(UIM)(3)。アンテナ(4)はモジュールの一部です。

ネイバーフッド エリア ネットワーク(NAN)のエンドポイントへの接続と、ユーティリティ制御センターへの接続用の広域ネットワーク(WAN)への接続を提供する産業用ルータモジュールに使用できる UIM スロットです。

IR8140H は次の UIM をサポートしています。

  • IRMH-WPAN モジュール(WPAN モジュール。通常は下向きスロット(スロット 1)に取り付けます)

    (注)  

     

    Cisco IOS XE リリース 17.7.1 以降、2 つの WPAN モジュールをシャーシに取り付けることができます。2 つの WPAN モジュールを取り付ける場合は、一方のモジュールをスロット 1 に取り付け、もう一方をスロット 2 または 3 に取り付けます。

  • IRMH-LTE モジュール(LTE モジュール。通常、上向きスロットの 1 つ(スロット 2 またはスロット 3)に取り付けます)

  • IRMH-LTEA モジュール(LTE Advanced モジュール。通常、上向きスロットの 1 つ(スロット 2 またはスロット 3)に取り付けます)

  • IRMH-5GS6-GL モジュール(4G LTE/5G FR1 モジュール。通常、上向きスロットの 1 つ(スロット 2 またはスロット 3)に取り付けます)

    (注)  

     

    IRMH-5GS6-GL モジュールは、Cisco IOS XE リリース 17.8.1 の IR8140H でサポートされています。シャーシには IRMH-5GS6-GL モジュールを 1 つだけ取り付けることができます。

5

GNSS/GPS アンテナ。ルータの設置後、使用中の場所を特定します。GNSS/GPS アンテナは、正確な時刻と位置情報をシステムに提供します。

6

カバーが持ち上げられた空のユニバーサル インターフェイス モジュール(UIM)スロット。デフォルトでは、IR8140H シャーシにモジュールが取り付けられていない限り、カバーが取り付けられます。

7

4 X 取り付け支柱(M8)

8

電源モジュール

9

CPU モジュール。IR8140H モジュール用の処理能力を提供し、バックホールネットワークおよびその他の IP ネットワークデバイスへの 2 つのギガビットイーサネット接続を行えるようにします。

CPU モジュールはスロット 0 に取り付けられており、最大のモジュールスロットです。IR8140H の下部にあります。

図 2. ケーブルポートシール付きの IR8140H の底面図

アイテム番号

説明

1

CPU モジュール。

CPU モジュールは、IR8140H モジュール用の処理能力を提供し、バックホールネットワークおよびその他の IP ネットワークデバイスへの 2 つのギガビットイーサネット接続を行えるようにします。

CPU モジュールはスロット 0 に取り付けられています。これが、最大のモジュールスロットです。IR8140H の下部にあります。

CPU モジュールには、次のアイテムが含まれています。

  • コンソールポート - CON

  • リセットボタン - RST

  • SSD モジュール - SSD

  • アラームポート - ALM

  • SFP ギガビットイーサネット:SFP 1G

  • SYS LED

  • 10/100/1000 RJ45 イーサネット - 1G

上記のアイテムにアクセスするには、CPU モジュールの下部にあるプラグを取り外す必要があります。

IR8140H シャーシの CPU モジュールの位置を確認するには、IR8140H(コンポーネントのラベル付き)およびケーブルポートシール付きの IR8140H の底面図を参照してください。

2

12VDC_OUT/1A ポートはケーブルポートシールで覆われており、外部デバイスに電力を供給します。Power-over-Ethernet(PoE)が使用されていない場合にのみ使用できます。

3

圧力ベントベントは、ルータの設置環境の温度変化によって発生する可能性がある、ルータシャーシ内の圧力を解放します。また、ルータの内部をちりやほこり、液体、その他の自然環境から保護します。

4

7/8 インチ 3 ピン円形 AC 電源コネクタ付き AC 電源入力。

ケーブルポートシールの図については、PG13 プラグ:ケーブルポートシールを参照してください。

次の図に、コンポーネントのカバーをすべて外した CPU モジュールを示します。

図 3. コンポーネントのカバーをすべて外した CPU モジュール(CPU モジュールの前面プレート図)
表 2. CPU モジュールコンポーネントの説明(左から右)

アイテム番号

アイテム

説明

1

ALM

Micro-Fit 4P コネクタ付きアラームポート

2

1G

10/100/1000 Mbps イーサネットポート

3

SFP 1G

SFP 1 ギガビットイーサネット

4

RST

リセット ボタン

5

SSD

SSD モジュール(オプション)

6

CON

コンソールポート(プラグを取り外したときにアクセス可能)

7

LED

SYS LED

次の図に、すべてのコンポーネントを覆った CPU モジュールを示します。

図 4. すべてのコンポーネントを覆った CPU モジュール

アイテム番号

アイテム

1

PG13 プラグで覆われたアラームポート

(注)  

 

アラームポートプラグを取り外すには、No. 3 プラスビットを使用します。

2

PG13 プラグで覆われたイーサネットポート

(注)  

 

イーサネットポートプラグを取り外すには、No. 3 プラスビットを使用します。

3

3/4 NPT プラグで覆われた SFP ポート

(注)  

 

SFP ポートプラグを取り外すには、5/8 インチ 6 Pt ソケットドライバを使用します。

4

M42 プラグで覆われたリセットボタンとコンソールポート

(注)  

 

M42 プラグを取り外すには、1 3/8 インチのモンキーレンチを使用します。

次の図に、ルータの底面図を示します。

図 5. IR8140H の底面図(ケーブルシールなし)
表 3. ケーブルポートシールのない IR8140H の底面のコンポーネント

アイテム番号

ハードウェア機能

アイテム番号

ハードウェア機能

1

SSD モジュール

6

PG13 ポートを備えた 1 ギガビットイーサネット(1G)

2

LED

7

PG 13 ポートを備えたアラームポート

3

コンソールポート(プラグを取り外したときにアクセス可能)

8

12VDC/1A DC 出力

4

リセット ボタン

9

BBU 止めネジ

5

Small Form-Factor Pluggable(SFP)1G

SFP 1G モジュールは、ルータの電源が入っていて正常に動作しているときに取り付けまたは取り外しできます。CPU モジュールに対する SFP モジュールの取り付けおよび取り外しの手順については、SFP ポートの接続を参照してください。

10

AC 電源入力:六角形 7/8 インチ 3 ピン丸型コネクタ

次の表に、IR8140H ハードウェア機能を示します。

表 4. IR8140H ハードウェア機能

ハードウェア機能

説明

CPU モジュール:数量(1)

CPU モジュールは、IR8140H モジュール用の処理能力と、バックホールネットワークおよびその他の IP ネットワークデバイスへの 2 つのギガビットイーサネット接続を提供します。

CPU モジュールはスロット 0 に取り付けられています。これが、最大のモジュールスロットです。IR8140H の下部にあります。

IR8140H の底面図(ケーブルシールなし)に示すように、CPU モジュールの下部にあるプラグを取り外すと、次のポートとコネクタにアクセスできます。

  • ALM:PG13 ケーブルグランド(ケーブル グランド)で使用するアラームポート。

  • 1G:PG13 ケーブルグランドで使用する 10/100/1000 Mbps イーサネットポート。このポートは、最大 15 W の PoE PSE 出力電力を提供します(IR8140H-P-K9 SKU でのみ使用可能)。

  • SFP 1G:1 ギガビットイーサネット SFP ソケット。

    (注)  

     

    ケーブル接続する場合は、SFP アダプタキットが必要です。

  • RST:M42 プラグで覆われたリセットボタン

  • CON:コンソールポート(RJ45):M42 プラグを取り外すとアクセス可能になります。

ユニバーサル インターフェイス モジュール(UIM)スロット、数量(3)スロット

3 つのユニバーサル インターフェイス モジュール(UIM)スロットは、ネイバーフッド エリア ネットワーク(NAN)のエンドポイントへの接続と、ユーティリティ制御センターへの接続用の WAN への接続を提供する高耐久性産業用ルータモジュールに使用できます。

IR8140H は次の UIM をサポートしています。

  • IRMH-WPAN モジュール

  • IRMH-LTE モジュール

  • IRMH-LTEA モジュール

  • IRMH-5GS6-GL モジュール

管理インターフェイス

CPU モジュールの RJ-45 コンソールポートは、管理作業用のルータへのローカルアクセスを提供します。プラグを取り外すとアクセス可能になります。

N 型メスコネクタ

アンテナまたはケーブルを IR8140H に直接接続できます。

60W 電源ユニット(PSU)のボード

IR8140H の背面にあります。

(注)  

 

電源は現場で交換できます。ただし、ルータを支柱に取る付ける場合は、その支柱から IR8140H をまず取り外してから電源を交換する必要があります。また、電源を交換する前に BBU を無効にする必要があります。

Power over Ethernet 対応(PoE 対応)の PID(IR8140H-P-K9)では、最大 15 W の PoE 出力が可能です。

バッテリ バックアップ ユニット(BBU)

IR8140H には、最大 3 つの BBU を取り付けることができます。BBU は、それらが存在するモジュールアセンブリ内で互いにスタックされます。3 台の BBU を取り付けると、AC 電源に障害が発生した場合に、フル装備のシステム上で最大 8 時間のバッテリバックアップ電源を使用できます。BBU は現場で交換できます。

BBU は IR8140H の中央前面にあります。

12VDC_Out

外部デバイスに電力を供給する 12 VDC/1A を提供します。電源オプションは、PoE を使用していない場合にのみ使用できます。

Small Form-Factor Pluggable(SFP)

SFP モジュールは、ルータの電源が入っていて正常に動作しているときに取り付けまたは取り外しができます。CPU モジュールに対する SFP の取り付けおよび取り外し方法の手順については、SFP ポートの接続を参照してください。

GNSS/GPS

統合された GNSS 受信機は、正確な時刻と位置情報をシステムに提供します。

マウントブラケットキット

IR8140H の取り付け金具が含まれています。

オプションのアイテム(別途注文が必要)

支柱取り付けキット

支柱への IR8140H の取り付けをサポートする次の機器が含まれています。

  • マウント プレート

  • 2 つのクランプブラケット

  • 必要なハードウェア

バンドストラップキット

スチールストラップ X 2 およびバンドストリップキット X 1

ストラップツールキット

BAND-IT ストラップツール

アンテナプラグ

IR-ANT-PLUG

ケーブル グランド

IR-IP67GLAND

ファイバキット

ケーブルエクステンダとケーブルグランド(AIR-ACC15-SFP-GLD =)

モジュール スロット カバー

IRMH-BLANK

動作範囲

IR8140H は -40 〜 +70 °C の温度範囲で動作します。

アクセサリ

モジュール スロット カバー

次の図に、空の IR8140H モジュールスロットをカバーするために使用できるスロットカバーの図を示します。風雨にさらされてシステムが損傷するのを防ぐために、空のモジュールスロットを常にカバーする必要があります。


(注)  


スロットカバーは別途注文します。


図 6. モジュール スロット カバー

シスコ製品 ID

IRMH-BLANK

ケーブルグランド

ケーブルグランド(ケーブルコネクタ)は、CPU アラームポートとイーサネットポート、およびシャーシ 12VDC_OUT ポートにケーブルを取り付けるのに必要です。互換性のあるケーブルグランドを使用して、ケーブルの端をルータに取り付けて固定します。ケーブルグランドはケーブルのたわみを緩和し、ルータシャーシへのケーブルのエントリを密閉して、ルータ内部の損傷を防ぎます。


(注)  


ケーブルグランドは別途注文する必要があります。次の図は、ケーブルグランドの最新バージョンを完全には表していない場合があることに注意してください。


図 7. ケーブル グランド
表 5. サポートされるシスコケーブルポートシール

シスコ製品 ID

IR-IP67GLAND

ケーブルポートシール

未使用の CPU(アラームおよびイーサネット)およびシャーシ 12VDC_OUT ポートは、自然環境からルータ内部を保護するために、液密カバー(PG13)ケーブルポートシールで密閉する必要があります。

図 8. PG13 プラグ:ケーブルポートシール

(注)  


ケーブルポートシールはシャーシに付属しており、別途に注文することはできません。



注意    


使用しないシャーシケーブルポートをすべて密閉しない限り、ルータを設置しないでください。シャーシポートを密閉しないままにすると、ルータが破損する可能性があります。


ポートのピン配置

以降の項では、アラームポートと DC 出力ポートのピン配置について説明します。

アラーム ポート

次の図に、アラームポートとピン割り当てを示します。

図 9. アラーム ポート

ピン

説明

ピン 1

アラーム入力/出力 #1

ピン 2

アラーム入力/出力 #2

ピン 3

アラームコモン #1

ピン 4

アラームコモン #2


(注)  


ピン 3 と 4 はルータで接続されていますが、アースからは分離されています。


次の図に、ジョイントコネクタ Micro-Fit 3.0™ レセプタクルハウジングを示します。

図 10. ジョイントコネクタ

1

ピン 1

3

ピン 3

2

ピン 2

4

ピン 4

12V/1A DC 出力ポート

次の図に、12V/1A DC 出力ポートとピン割り当てを示します。

図 11. 12V/1A DC 出力ポート

ピン

説明

ピン 1

+12 V 出力ピン

ピン 2

アースピン

ピン 3

Cable_Present_L 入力ピン

(注)  

 

外部 12 V DC 出力ケーブルは、このピン 3 をピン 4 に直接接地して、ケーブルが挿入されている(存在する)ことをルータが検出するようにします。

ピン 4

アースピン

電源コネクタハウジングは、外部のシスコ以外のモジュールに接続するために、ルータの電源装置に取り付けられています。次の図に、ジョイントコネクタ Micro-Fit 3.0™ レセプタクルハウジングを示します。

図 12. ジョイントコネクタ

1

ピン 1

3

ピン 3

2

ピン 2

4

ピン 4