アンテナの選択と設置

次の内容について説明します。

アンテナの概要


(注)  


垂直柱または街灯に Cisco Catalyst IR8140 Heavy シリーズルータを設置する前に、UIM にアンテナを設置します。ルータを設置した後では、アンテナを取り付けるのは困難です。

次のセクションでは、IR8140H ルータのアンテナの選択について説明します。

IRMH-LTE または IRMH-LTEA セルラーモジュールには、各 UIM に 2 つの RF N タイプ(f)コネクタ、Main および Div(ダイバーシティ)があり、LTE モデムへの接続に使用されます。ダイバーシティポートは予備コネクタとも呼ばれます。

IRMH-LTEAP18-GL モジュールには、4 つの RF N タイプ(f)コネクタがあります。それらのモデムへの接続に使用されるメインとダイバーシティの 2 つのコネクタのペアがあります。

IRMH-5GS6-GL モジュールには、4 つの RF N タイプ(f)コネクタがあります。4 つのポートすべてが 3G/4G LTE および 5G FR1 をサポートします。

アンテナ設置のベストプラクティス

4G/5G ルータとセルラーモジュールの場合、セルラーリンクの全体的な性能を決定する上でアンテナの最適な設置場所が重要な役割を果たします。最も遠いカバレッジポイントに配置されているルータで使用可能な帯域幅は、障害物から離れた、セルラータワーからの視界を妨げられない、セルラー基地局タワーの近くにあるルータと比較して、10 ~ 50% になる場合があります。

アンテナは電波によって無線信号を送受信するため、信号の伝搬とアンテナの性能は、物理的な障害物を含む周囲の環境の悪影響を受ける可能性があります。無線周波数(RF)干渉は、相互に近接しているワイヤレスシステムの間でも発生することがあります(特に両システムのアンテナが同様に近接している場合)。ケーブルクラッターなど、電波干渉の原因になるものとアンテナが近接している場合にも、干渉が発生する可能性があります。

最高の性能を得るため、次のガイドラインに従ってください。

  • 電源ケーブルと信号ケーブルのクラッターからアンテナを離します。ケーブル内の金属芯は、ベースステーションのアンテナの視野をブロックする場合があります。さらに、非シールドケーブル(および一部のシールドケーブル)は、RF 信号の受信に干渉する信号を放射する場合があります。

  • 偏波が一致するように、IR8140H 用のセルラーアンテナすべての方向を垂直にすることをお勧めします。信号の偏波は障害物から反射されて変化する場合がありますが、アンテナの視野が妨げられていない場合は、垂直偏波が最適です。

  • WPAN モジュールと LTE モジュールの両方を使用する展開の場合は、IRMH-LTEA-EA-900 または IRMH-LTE-MNA-900(900-MHz WPAN 共存フィルタ)を LTE モジュールとして選択し、推奨するアンテナとケーブルを使用する必要があります。詳細については、モジュールの取り付け場所を参照してください。

    分離を強化し、WPAN/LTE の性能を向上させるために、3 m(10 フィート)ケーブルと ANT-5G-OMNI-OUT-N または使用可能なマルチエレメントアンテナソリューション(ANT-4-5G4-O など)を選択できます。


    (注)  


    アンテナは、相対的な垂直間隔を最大にする必要があります。


  • MIMO の性能を最適化するため、セルラーの主アンテナと予備アンテナを少なくとも 17 インチ(43 cm)離してください。最小 LTE 周波数である 700 MHz の場合、17 インチは 1 波長に相当します。半(0.5)波長、つまり 8.5 インチ(22.5 cm)間隔を空けると、MIMO 性能が良好になります。

  • 主 LTE アンテナと予備 LTE アンテナの間隔が 8.5 インチ未満の場合、MIMO の性能が大幅に低下する可能性があります。

  • アンテナが相互に接近しすぎると(3 インチなど)、アンテナ結合が増加し、アンテナの性能が当初設計されたレベルから大幅に低下します。

  • 可能であれば、IR8140H ルータを、セルラーベースステーションまたはタワーが視界に入る物理的な障害物のない場所に、UIM とアンテナとともに設置します。ルータとローカルベースステーション間の見通し線上の障壁によって、ワイヤレス無線信号の質が低下します。ほとんどの障害物は床の高さに近い位置にあることが多いため、オフィス環境では、IR8140H、UIM およびアンテナを床の高さよりも上に設置するか、天井の近くに設置すると、性能が向上します。

  • 建物の建設で使用される資材の密度に応じて、信号が十分なカバレッジを保ちつつ透過できる壁の数が変化します。アンテナの設置場所を選択する前に、次の点を考慮してください。

    • 紙製およびビニール製の壁は、信号の透過にほぼ影響を与えません。

    • 空洞のないプレキャスト コンクリート製の壁の場合、カバレッジを低下させずに信号が透過できる壁の枚数は、1 ~ 2 枚です。

    • コンクリート製およびウッドブロック製の壁の場合、信号が透過できる壁の枚数は、3 ~ 4 枚です。

    • 乾式壁の場合、信号が透過できる壁の枚数は、5 ~ 6 枚です。

    • 厚い金属製の壁または金網を使用した化粧しっくいの壁の場合、信号が反射し、透過性が低下します。

  • 影になる領域が生じてカバー域が低減してしまうため、柱や垂直の支持物のすぐ横にアンテナを設置しないようにしてください。

  • ヒーターやエアコン用ダクトなどの反射しやすい金属製の物体、大型の天井トラス、建物の上部構造、主要な電力ケーブル配線の近くにアンテナを配置しないでください。必要に応じて延長ケーブルを使用してこのような物体から離れた位置にアンテナを移動します。

特記事項:

この無線送信機 [IC : 2461N-CGMOFDM] は、以下に示すアンテナタイプを使用した運用が、イノベーション・科学経済開発省(カナダ)によって承認されており、最大許容利得が示されています。このリストに含まれてなく、リストにあるすべてのタイプの最大利得を超える利得を持つアンテナタイプは、このデバイスとともに使用することは固く禁止されています。

Le présent émetteur radio [IC: 2461N-CGMOFDM] a été approuvé par Innovation, Sciences et Développemen économique Canada pour fonctionner avec les types d'antenne énumérés ci-dessous et ayant un gain admissible maximal. Les types d'antenne non inclus dans cette liste, et dont le gain est supérieur au gain maximal indiqué pour tout type figurant sur la liste, sont strictement interdits pour l'exploitation de l'émetteur.

IR8140H へのアンテナの取り付け

このセクションは、アンテナ ANT-5G-MP-OUT-N を IR8140H ルータに取り付ける方法を示しています。

アンテナの取り付けに必要な推奨工具:

  • 4 ~ 4.5 フィートポンド(5.4 ~ 6.1 Nm)の範囲を設定できるトルクレンチ。

    オフセットソケットやストラップレンチを使用する場合は、レバーアームが大きくなるため、トルクレンチ設定を調整する必要があります。トルクレンチ設定は必要な設定より小さくなります。

    図 1. トルクレンチ
  • タイトクリアランス オフセット ソケット。多くの場合、エクステンションと併用します。これらのソケットは、通常のソケットでは届かない障害物のある領域の止め金具や取り付け金具を回転させます。

    図 2. タイトクリアランス オフセット ソケット
  • 3/8 インチ四角ドライブストラップレンチ。アンテナまたはトルクレンチのオフセットソケットに使用できます。

    必要なサイズは 1 3/8 インチで、トルクレンチに追加する必要があります。これらのレンチを四角ドライブラチェットレンチと組み合わせることにより、同じサイズの標準的なストラップレンチで実現できるよりも大きなてこ力とトルクを生み出します。次の図は、3/8 インチの四角ドライブストラップレンチを示しています。

    図 3. 3/8 インチの四角ドライブストラップレンチ

アンテナをルータに取り付ける前に、次の図の(1)のラベルが付いた黒いガスケットをアンテナに取り付けてください。4 〜 4.5 フィートポンドのトルクを使用して、アンテナを IR8140H に取り付けます。

図 4. アンテナへのガスケットの取り付け

1

ガスケット

IR8140H でサポートされるアンテナ

サポートされているアンテナについては、次の表を参照してください。

ユニバーサル インターフェイス モジュールでサポートされるアンテナ

各 UIM でサポートされるアンテナについては、次の表を参照してください。

表 1. ユニバーサル インターフェイス モジュールでサポートされるアンテナ

UIM

モジュール PID

アンテナ選択シングルポート PID

LTE Advanced(3GPP カテゴリ 4)

IRMH-LTE-MNA

IRMH-LTE-MNA-9001

LTE(4G/5G)アンテナ X 2

  • ANT-5G-OMNI-OUT-N2

  • ANT-4G-OMNI-OUT-N

  • ANT-5G-MP-OUT-N

LTE Advanced(3GPP カテゴリ 6)

IRMH-LTEA-EA

IRMH-LTEA-EA-9001

IRMH-LTEA-LA

LTE(4G/5G)アンテナ X 2

  • ANT-5G-OMNI-OUT-N2

  • ANT-4G-OMNI-OUT-N

  • ANT-5G-MP-OUT-N

LTE CAT18

IRMH-LTEAP18-GL

4 x LTE(4G/5G)アンテナ:3

  • ANT-5G-OMNI-OUT-N

  • ANT-5G-MP-OUT-N

または

1x 4-in-1 マルチエレメントアンテナ:ANT-4-5G4-O

4G LTE/5G FR1

IRMH-5GS6-GL

LTE(4G/5G)アンテナ X 43

  • ANT-5G-OMNI-OUT-N

  • ANT-5G-MP-OUT-N

または

1x 4-in-1 マルチエレメントアンテナ:ANT-4-5G4-O

1 IRMH-LTE-MNA-900 および IRMH-LTEA-EA-900 モジュールは、WPAN および LTE を使用する場合にのみ展開されます。
2 ANT-5G-OMNI-OUT-N には延長ケーブルが必要です。
3 適切な空間分離と MIMO 動作を維持するために、アンテナタイプをそれぞれ 2 つ使用します。

WPAN モジュールでサポートされるアンテナ

表 2. WPAN モジュールでサポートされるアンテナ

WPAN モジュール

モジュール PID

アンテナ選択シングルポート PID

IEEE 802.15.4g WPAN(OFDM/FSK)

IRMH-WPAN-NA

IRMH-WPAN-BRZ

ANT-5G-OMNI-OUT-N4

ANT-WPAN-OD-OUT-N5

ANT-5G-MP-OUT-N

ANT-LPWA-DB-ON-56

4 ANT-5G-OMNI-OUT-N には延長ケーブルが必要です。
5 WPAN オーストラリアおよびニュージーランドで使用
6 ANT-LPWA-DB-ON-5 には延長ケーブルが必要です。

屋外アンテナ

アンテナ

PID

アンテナ仕様

マストマウント/屋外

4G/5G-FR1

ANT-5G-OMNI-OUT-N

アンテナのタイプ:ダイポール

周波数帯域:

617 〜 960 MHz

1448 ~ 1511 MHz

1695 ~ 2690 MHz

3300 〜 4200 MHz

5150 ~ 7125 MHz

コネクタ:N 型(メス)

統合/多目的

4G/5G-FR1

ANT-5G-MP-OUT-N

アンテナタイプ:モノポール

周波数帯域:

617 〜 960 MHz

1710 〜 5925 MHz

コネクタ:N 型(オス)

屋外/垂直

ANT-WPAN-OD-OUT-N

アンテナのタイプ:ダイポール

周波数帯域:

863 ~ 928 MHz

コネクタ:N 型(オス)

屋外/垂直

ANT-LPWA-DB-O-N-5

アンテナのタイプ:ダイポール

周波数帯域:

863 ~ 928 MHz

コネクタ:N 型(メス)

4-in-1(LTE)

屋外/垂直

ANT-4-5G4-O

アンテナタイプ:マルチエレメント

周波数帯域:

617 〜 960 MHz

1710 〜 5925 MHz

コネクタ:4xN 型(オス)、304.8 cm(10 フィート)低損失ケーブル付き

IR8140H でサポートされるアンテナケーブルおよび避雷器

延長ケーブルを必要とするアンテナで使用する N 〜 N(m)RF ケーブルを次の表から選択できます。サポートされるケーブルの詳細は、『Cisco Industrial Routers and Industrial Wireless Access Points Antenna Guide』(英語)を参照してください。

表 3. IR8140H でサポートされるアンテナケーブル

アンテナ PID

延長ケーブル PID

ケーブルの説明

RF 損失

ANT-5G-OMNI-OUT-N

ANT-LPWA-DB-O-N-5

CAB-L400-5-N-NS

N(m)-STR ~ N(m)-STR

LMR-400、5 フィート RF ケーブル

タイプ:屋外 DB(直接埋設)

0.7 GHz で 0.2 dB

1.0 GHz で 0.3 dB

1.7 GHz で 0.4 dB

2.4 GHz で 0.5 dB

5.8 GHz で 0.8 dB

AIR-CAB010LL-N

N(m)-STR ~ N(m)-RA

LMR-400、10 フィート RF ケーブル

タイプ:屋外 DB(直接埋設)

0.7 GHz で 0.4 dB

1.0 GHz で 0.5 dB

1.7 GHz で 0.7 dB

2.4 GHz で 0.9 dB

5.8 GHz で 1.5 dB

CAB-L400-20-N-N

N(m)-STR ~ N(m)-RA

LMR-400、20 フィート RF ケーブル

タイプ:屋外 DB(直接埋設)

0.7 GHz で 0.8 dB

1.0 GHz で 1.0 dB

1.7 GHz で 1.3 dB

2.4 GHz で 1.6 dB

5.8 GHz で 2.5 dB

次の表に、IR8140H でサポートされている避雷器を示します。

表 4. IR8140H でサポートされる避雷器

避雷器 PID

コネクタ タイプ

避雷器のタイプと周波数範囲(MHz)

IOT-LA-NM-NF

N(m)-STR ~ N(f)-STR

DC 〜 6000 MHz

GDT タイプ