拡張ファイバ チャネル機能

この章では、拡張ファイバ チャネル機能を設定する方法について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

拡張ファイバ チャネル機能および概念

ファイバ チャネル タイムアウト値

ファイバ チャネル プロトコルに関連するスイッチのタイマー値を変更するには、次のタイムアウト値(TOV)を設定します。

  • Distributed Services TOV(D_S_TOV):有効範囲は 5,000 ~ 10,000 ミリ秒です。

  • Error Detect TOV(E_D_TOV):有効範囲は 1,000 ~ 4,000 ミリ秒です。デフォルトは 2,000 ミリ秒です。この値は、ポート初期化中に他端と比較されます。

  • Resource Allocation TOV(R_A_TOV):有効範囲は 5,000 ~ 10,000 ミリ秒です。デフォルトは 10,000 ミリ秒です。この値は、ポート初期化中に他端と比較されます。


Note


Fabric Stability TOV(F_S_TOV)定数は設定できません。


すべての VSAN のタイマー設定

ファイバ チャネル プロトコルに関連するスイッチのタイマー値を変更できます。


Caution


D_S_TOV、E_D_TOV、および R_A_TOV 値をグローバルに変更するには、スイッチのすべての VSAN(仮想 SAN)を中断する必要があります。



Note


タイマー値を変更するときに VSAN を指定しない場合は、変更された値がスイッチ内のすべての VSAN に適用されます。


すべての VSAN にファイバ チャネル タイマーを設定できます。

SUMMARY STEPS

  1. configure terminal
  2. fctimer R_A_TOV timeout

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

configure terminal

Example:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 2

fctimer R_A_TOV timeout

Example:

switch(config)# fctimer R_A_TOV 8008000

すべての VSAN の R_A_TOV タイムアウト値を設定します。単位はミリ秒です。

このタイプの設定は、すべての VSAN が一時停止されていないかぎり、許可されません。

VSAN ごとのタイマー設定

指定された VSAN に fctimer を発行して、ファイバ チャネルなどの特殊なリンクを含む VSAN に別の TOV 値を設定することもできます。VSAN ごとに異なる E_D_TOV、R_A_TOV、および D_S_TOV 値を設定できます。アクティブ VSAN のタイマー値を変更すると、VSAN は一時停止されてからアクティブになります。


Note


この設定はファブリック内のすべてのスイッチに伝播させる必要があります。ファブリック内のすべてのスイッチに同じ値を設定してください。


VSAN ファイバチャネル タイマーごとに設定できます。

SUMMARY STEPS

  1. configure terminal
  2. fctimer D_S_TOV timeout vsan vsan-id

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

configure terminal

Example:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 2

fctimer D_S_TOV timeout vsan vsan-id

Example:

switch(config#)# fctimer D_S_TOV 9009000 vsan 15

指定された VSAN の D_S_TOV タイムアウト値(ミリ秒)を設定します。VSAN が一時的に停止します。必要に応じて、このコマンドを終了することもできます。

次に、VSAN 2 のタイマー値を設定する例を示します。

switch(config#)# fctimer D_S_TOV 6000 vsan 2
Warning: The vsan will be temporarily suspended when updating the timer value This
configuration would impact whole fabric. Do you want to continue? (y/n) y
Since this configuration is not propagated to other switches, please configure the same
value in all the switches

fctimer の配布

ファブリック内のすべての Cisco SAN スイッチに対して、VSAN 単位での fctimer のファブリック配布をイネーブルにできます。fctimer の設定を実行して、配布をイネーブルにすると、ファブリック内のすべてのスイッチにその設定が配布されます。

スイッチの配布をイネーブルにしたあとで最初のコンフィギュレーション コマンドを入力すると、ファブリック全体のロックを自動的に取得します。fctimer アプリケーションは、有効データベースと保留データベース モデルを使用し、使用中のコンフィギュレーションに基づいてコマンドを格納またはコミットします。


Note


CFS はデフォルトでイネーブルです。ファブリックのすべてのデバイスでは CFS が有効になっている必要があります。そうでない場合、デバイスは配信を受け入れません。アプリケーションで CFS 配信が無効にされている場合、そのアプリケーションは構成を配信せず、またファブリック内の他のデバイスからの配信も受け入れません。CFS を有効にするには、cfs distribute コマンドを使用します。


追加情報については、ご使用のデバイスの『System Management Configuration Guide』の「Using Cisco Fabric Services」を参照してください。

fctimer の配布の有効化と無効化

fctimer のファブリック配布をイネーブルまたはディセーブルにできます。

SUMMARY STEPS

  1. configure terminal
  2. fctimer distribute
  3. no fctimer distribute

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

configure terminal

Example:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 2

fctimer distribute

Example:

switch(config)# fctimer distribute

ファブリック内のすべてのスイッチに対する fctimer 設定の配布をイネーブルにします。ファブリックのロックを取得して、その後の設定変更をすべて保留データベースに格納します。

Step 3

no fctimer distribute

Example:

switch(config)# no fctimer distribute

ファブリック内のすべてのスイッチに対する fctimer 設定の配布をディセーブル(デフォルト)にします。

fctimer 設定変更のコミット

fctimer の設定変更をコミットすると、有効データベースは保留データベースの設定変更によって上書きされ、ファブリック内のすべてのスイッチが同じ設定を受け取ります。セッション機能を実行せずに fctimer の設定変更をコミットすると、fctimer 設定は物理ファブリック内のすべてのスイッチに配布されます。

SUMMARY STEPS

  1. configure terminal
  2. fctimer commit

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

configure terminal

Example:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 2

fctimer commit

Example:

switch(config)# fctimer commit

ファブリック内のすべてのスイッチに対して fctimer の設定変更を配布し、ロックを解除します。保留データベースに対する変更を有効データベースに上書きします。

fctimer 設定変更の廃棄

設定変更を加えたあと、変更内容をコミットする代わりに廃棄すると、この変更内容を廃棄できます。いずれの場合でも、ロックは解除されます。

SUMMARY STEPS

  1. configure terminal
  2. fctimer abort

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

configure terminal

Example:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 2

fctimer abort

Example:

switch(config)# fctimer abort

保留データベースの fctimer の設定変更を廃棄して、ファブリックのロックを解除します。

ファブリック ロックの上書き

ユーザーが fctimer を設定して、変更のコミットや廃棄を行ってロックを解除するのを忘れていた場合、管理者はファブリック内の任意のスイッチからロックを解除できます。管理者がこの操作を行うと、ユーザーによる保留データベースの変更は廃棄され、ファブリックのロックは解除されます。

変更は volatile ディレクトリだけで使用でき、スイッチを再起動すると廃棄されます。

管理者特権を使用して、ロックされた fctimer セッションを解除するには、clear fctimer sessionコマンドを使用します。

switch# clear fctimer session

ファブリック データベースの結合の注意事項

2 つのファブリックを結合する場合は、次の注意事項に従ってください。

  • 次の結合条件を確認します。

    • fctimer 値を配布する結合プロトコルが実行されない。ファブリックを結合する場合、fctimer 値を手動で結合する必要があります。

    • VSAN 単位の fctimer 設定は物理ファブリック内で配布される。

    • fctimer 設定は、変更された fctimer 値を持つ VSAN が含まれるスイッチだけに適用される。

    • グローバルな fctimer 値は配布されない。

  • 配布がイネーブルになっている場合は、グローバル タイマーの値を設定しないでください。


Note


保留できる fctimer 設定操作の回数は 15 回以内です。15 回を超えて設定操作を行う場合には、保留設定をコミットするか、中止する必要があります。


追加情報については、ご使用のデバイスの『System Management Configuration Guide』の「CFS Merge Support」を参照してください。

構成された fctimer 値の確認

構成された fctimer 値を表示するには、show fctimer コマンドを使用します。次に、設定されているグローバル タイムアウト値(TOV)を表示する例を示します。

switch# show fctimer
F_S_TOV   D_S_TOV   E_D_TOV   R_A_TOV
----------------------------------------
5000 ms   5000 ms   2000 ms   10000 ms

Note


show fctimer コマンドの出力には、(構成されていない場合でも)F_S_TOV 定数が表示されます。


次の例では、VSAN 10 の構成済み TOV が表示されています。

switch# show fctimer vsan 10
vsan no.  F_S_TOV   D_S_TOV   E_D_TOV   R_A_TOV
-------------------------------------------------
10        5000 ms   5000 ms   3000 ms   10000 ms

World Wide Names(WWN)

スイッチの World Wide Name(WWN)は、イーサネット MAC アドレスと同等です。MAC アドレスと同様に、デバイスごとに WWN を一意に対応付ける必要があります。主要スイッチを選択するとき、およびドメイン ID を割り当てるときは、WWN を使用します。

Cisco SAN スイッチは、3 つの Network Address Authority(NAA)アドレス フォーマットをサポートします(次の表を参照してください)。

Table 1. 標準化された NAA WWN フォーマット

NAA アドレス

NAA タイプ

WWN フォーマット

IEEE 48 ビット アドレス

タイプ1 = 0001b

000 0000 0000b

48 ビット MAC アドレス

IEEE 拡張

タイプ2 = 0010b

ローカルに割り当て

48 ビット MAC アドレス

IEEE 登録

タイプ5 = 0101b

IEEE 企業 ID:24 ビット

VSID:36 ビット


Caution


WWN の変更は、管理者または、スイッチの操作に精通した担当者が実行してください。


WWN 設定の確認

WWN 設定のステータスを表示するには、show wwn コマンドを使用します。次に、すべての WWN のステータスを表示する例を示します。

switch# show wwn status
Type    Configured     Available    Resvd.  Alarm State
----    ----------  --------------  ------  -----------
   1           64        48 ( 75%)      16    NONE
 2,5       524288    442368 ( 84%)   73728    NONE

次に、ブロック ID 51 の情報を表示する例を示します。

switch# show wwn status block-id 51
WWNs in this block: 21:00:ac:16:5e:52:00:03 to 21:ff:ac:16:5e:52:00:03
Num. of WWNs:: Configured: 256 Allocated:    0 Available: 256 
Block Allocation Status: FREE

次に、特定のスイッチの WWN を表示する例を示します。

switch# show wwn switch
Switch WWN is 20:00:ac:16:5e:52:00:00

リンク初期化 WWN の使用方法

Exchange Link Protocol(ELP)および Exchange Fabric Protocol(EFP)は、リンク初期化の際に WWN を使用します。ELP と EFP はどちらも、デフォルトでは、リンク初期化時に VSAN WWN を使用します。ただし、ELP の使用方法はピア スイッチの使用方法に応じて変わります。

  • ピア スイッチの ELP がスイッチの WWN を使用する場合、ローカル スイッチもスイッチの WWN を使用します。

  • ピア スイッチの ELP が VSAN の WWN を使用する場合、ローカル スイッチも VSAN の WWN を使用します。

セカンダリ MAC アドレスの設定

セカンダリ MAC アドレスを割り当てることができます。

SUMMARY STEPS

  1. configure terminal
  2. wwn secondary-mac wwn-id range value

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

configure terminal

Example:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 2

wwn secondary-mac wwn-id range value

Example:

switch(config)# wwn secondary-mac 33:e8:00:05:30:00:16:df range 55

セカンダリ MAC アドレスを設定します。このコマンドは元に戻せません。

次に、セカンダリ MAC アドレスを設定する例を示します。

switch(config)# wwn secondary-mac 00:99:55:77:55:55 range 64
This command CANNOT be undone.
Please enter the BASE MAC ADDRESS again: 00:99:55:77:55:55
Please enter the mac address RANGE again: 64
From now on WWN allocation would be based on new MACs. Are you sure? (yes/no) no
You entered: no. Secondary MAC NOT programmed

HBA の FC ID 割り当て

ファイバ チャネル標準では、任意のスイッチの F ポートに接続された N ポートに、一意の FC ID を割り当てる必要があります。使用する FC ID 番号を節約するために、Cisco SAN スイッチでは特殊な割り当て方式を使用しています。

一部の Host Bus Adapter(HBA)は、ドメインとエリアが同じ FC ID を持つターゲットを検出しません。スイッチ ソフトウェアは、この動作が発生しないテスト済みの企業 ID のリストを保持しています。これらの HBA には単一の FC ID が割り当てられます。HBA が同じドメインおよびエリア内のターゲットを検出できる場合、完全なエリアが割り当てられます。

多数のポートを持つスイッチのスケーラビリティを高めるため、スイッチ ソフトウェアは、同じドメインおよびエリア内のターゲットを検出できる HBA のリストを維持しています。各 HBA は、ファブリック ログイン時に pWWN で使用される会社 ID(組織固有識別子(OUI)とも呼ばれます)によって識別されます。リストされている会社 ID を持つ N ポートに完全な領域が割り当てられ、その他の場合は、単一の FC ID が割り当てられます。割り当てられる FC ID のタイプ(エリア全体または単一)に関係なく、FC ID エントリは永続的です。

デフォルトの企業 ID リスト

すべての Cisco SAN スイッチには、エリア割り当てが必要な企業 ID のデフォルト リストが含まれています。この企業 ID を使用すると、設定する永続的 FC ID エントリの数が少なくなります。これらのエントリは、CLI を使用して設定または変更できます。


Caution


永続的エントリは、企業 ID の設定よりも優先されます。HBA がターゲットを検出しない場合は、HBA とターゲットが同じスイッチに接続され、FC ID のエリアが同じであることを確認してから、次の手順を実行します。

  1. HBA に接続されているポートをシャットダウンします。
  2. 永続的 FC ID エントリをクリアします。
  3. ポート WWN から企業 ID を取得します。
  4. エリア割り当てを必要とするリストに企業 ID を追加します。
  5. ポートをアップにします。

企業 ID のリストには、次の特性があります。

  • 永続的 FC ID の設定は常に企業 ID リストよりも優先されます。エリアを受け取るように企業 ID が設定されている場合でも、永続的 FC ID の設定によって単一の FC ID が割り当てられます。

  • 後続のリリースに追加される新規の企業 ID は、既存の企業 ID に自動的に追加されます。

  • 企業 ID のリストは、実行コンフィギュレーションおよび保存されたコンフィギュレーションの一部として保存されます。

  • 企業 ID のリストが使用されるのは、fcinterop の FC ID 割り当て方式が auto モードの場合だけです。変更されないかぎり、interop の FC ID 割り当ては、デフォルトで auto に設定されています。


    Tip


    fcinterop の FC ID 割り当て方式を auto に設定し、企業 ID リストと永続的 FC ID 設定を使用して、FC ID のデバイス割り当てを行うことをお勧めします。


    FC ID の割り当てを変更するには、fcinterop FCID allocation auto コマンドを使用し、現在割り当てられているモードを表示するには、show running-config コマンドを使用します。

  • write erase を入力すると、リストは該当するリリースに付属している企業 ID のデフォルト リストを継承します。

企業 ID の設定の確認

設定された企業 ID を表示するには、show fcid-allocation area コマンドを使用します。最初にデフォルト エントリが表示され、次にユーザーによって追加されたエントリが表示されます。エントリがデフォルト リストの一部で、あとで削除された場合でも、エントリは表示されます。

次に、デフォルトおよび設定された企業 ID のリストを表示する例を示します。

switch# show fcid-allocation area
FCID area allocation company id info:
00:50:2E <--------------- Default entry
00:50:8B
00:60:B0
00:A0:B8
00:E0:69
00:30:AE + <------------- User-added entry
00:32:23 +
00:E0:8B * <------------- Explicitly deleted entry (from the original default list)
Total company ids: 7
+ - Additional user configured company ids.
* - Explicitly deleted company ids from default list.

削除済みエントリの印が付いていない企業 ID のリストを組み合わせると、特定のリリースに付属するデフォルト エントリを暗黙的に導き出すことができます。

また、show fcid-allocation company-id-from-wwn コマンドを使用すると、特定の WWN の企業 ID を表示または取得することもできます。一部の WWN 形式では、企業 ID がサポートされていません。この場合、FC ID の永続的エントリを設定する必要があります。

次に、指定された WWN の企業 ID を表示する例を示します。

switch# show fcid-allocation company-id-from-wwn 20:00:00:05:30:00:21:60
Extracted oui: 0x000530

スイッチの相互運用性

相互運用性を使用すると、複数ベンダーによる製品の間で相互に通信することができます。ファイバ チャネル標準規格では、ベンダーに対して共通の外部ファイバ チャネル インターフェイスを使用することを推奨しています。

同じ方法で標準規格に準拠していないベンダーもあるため、相互運用モードが必要になります。ここでは、これらのモードの基本的な概念について簡単に説明します。

各ベンダーには標準モード、および同等の相互運用モードがあります。相互運用モードでは拡張機能または独自の機能が無効になり、標準に準拠した実装が可能になります。


Note


Cisco Nexus デバイス スイッチでの相互運用性の設定方法に関する詳細は、Cisco MDS 9000 Family Switch-to-Switch Interoperability Configuration Guide を参照してください。


Interop モードの概要

ソフトウェアは、1 つの相互運用モード(モード 3—Brocade ネイティブ モード (コア PID 1))のみをサポートします。相互運用モードのモード 3 では、ネイティブ モードを変更することなく、コア PID 1(Brocade ネイティブ モード)の Brocade スイッチをシームレスに追加できます。その他すべての機能は同じままです。

  • モード 1:標準ベースの interop モード。ファブリック内の他のベンダー製品もすべて interop モードになっている必要があります。

  • モード 2:Brocade ネイティブ モード(Core PID 0)

  • モード 3:Brocade ネイティブ モード(Core PID 1)

  • モード 4:McData ネイティブ モード

interop モード 2、3、および 4 の設定方法については、次の URL にある Cisco MDS 9000 Family Switch-to-Switch Interoperability Configuration Guide を参照してください。http://www.cisco.com/en/US/docs/storage/san_switches/mds9000/interoperability/guide/intopgd.html

次の表に、相互運用性モードを有効にした場合のスイッチ動作の変更点を示します。これらは、interop モードの Cisco Nexus デバイス スイッチに固有の変更点です。

Table 2. 相互運用モードが有効の場合のスイッチ動作の変更点

スイッチ機能

相互運用モードがイネーブルの場合の変更点

ドメイン ID

一部のベンダーは、ファブリック内の 239 のドメインを完全には使用できません。

ドメイン ID は 97 ~ 127 の範囲に制限されます。これは、McData の公称制限をこの同じ範囲内に収めるためです。 ドメイン ID は Static または Preferred に設定できます。それぞれの動作は次のとおりです。

  • Static:シスコ スイッチは 1 つのドメイン ID だけを受け入れ、そのドメイン ID を取得できない場合には、ファブリックから隔離します。

  • Preferred:スイッチが要求したドメイン ID を取得できない場合、割り当てられた任意のドメインを受け入れます。

タイマー

ISL(スイッチ間リンク)を確立するときにファイバ チャネル タイマー値が E ポートで交換されるので、すべてのスイッチでこれらのタイマーをすべて同じにする必要があります。タイマーには、F_S_TOV、D_S_TOV、E_D_TOV、および R_A_TOV があります。

F_S_TOV

Fabric Stability TOV タイマーが正確に一致するかどうかを確認してください。

D_S_TOV

Distributed Services TOV タイマーが正確に一致するかどうかを確認してください。

E_D_TOV

Error Detect TOV タイマーが正確に一致するかどうかを確認してください。

R_A_TOV

Resource Allocation TOV タイマーが正確に一致するかどうかを確認してください。

トランキング

2 つの異なるベンダー製のスイッチ間では、トランキングはサポートされません。この機能は、ポート単位またはスイッチ単位で無効にできます。

デフォルト ゾーン

ゾーンのデフォルトの許可動作(すべてのノードから他のすべてのノードを認識可能)または拒否動作(明示的にゾーンに配置されていないすべてのノードが隔離される)は変更できます。

ゾーン分割属性

ゾーンを pWWN に制限したり、その他の独自のゾーン分割方式(物理ポート番号)を除去することができます。

Note

 

Brocade スイッチでは、cfgsaveコマンドを使用して、ファブリック全体のゾーン分割設定を保存します。このコマンドは、同じファブリックに属する Cisco SAN スイッチには影響を及ぼしません。各 Cisco SAN スイッチで明示的に設定を保存する必要があります。

ゾーンの伝播

一部のベンダーは、他のスイッチに完全なゾーン設定を受け渡さないで、アクティブ ゾーン セットだけを受け渡します。

ファブリック内の他のスイッチにアクティブ ゾーンセットまたはゾーン設定が正しく伝播されたかどうかを確認してください。

VSAN

interop モードは、指定された VSAN にだけ有効です。

TE ポートおよび SAN ポート チャネル

シスコ スイッチと Cisco SAN 以外のスイッチを接続する場合は、TE ポートおよび SAN ポート チャネルを使用できません。Cisco SAN 以外のスイッチに接続できるのは、E ポートだけです。interop モードの場合でも、TE ポートおよび SAN ポート チャネルを使用すると、シスコ スイッチをほかの Cisco SAN スイッチに接続することができます。

FSPF

interop モードにしても、ファブリック内のフレームのルーティングは変更されません。スイッチは引き続き src-id、dst-id、および ox-id を使用して、複数の ISL リンク間でロード バランスします。

ドメインの中断再設定

これは、スイッチ全体に影響するイベントです。Brocade および McData では、ドメイン ID を変更するときにスイッチ全体をオフライン モードにしたり、再起動したりする必要があります。

ドメインの非中断再設定

これは、関連する VSAN に限定されるイベントです。Cisco SAN スイッチには、スイッチ全体ではなく、関連する VSAN のドメイン マネージャ プロセスだけを再起動する機能が組み込まれています。

ネーム サーバー

すべてのベンダーのネーム サーバー データベースに正しい値が格納されているかを確認してください。

interop モード 3 の設定

Cisco SAN スイッチの interop モード 3 を中断または非中断に構成できます。


Note


Brocade スイッチから Cisco SAN スイッチまたは McData スイッチ に接続する前に、Brocade の msplmgmtdeactivate コマンドを明示的に実行する必要があります。このコマンドは Brocade 独自のフレームを使用して、Cisco SAN スイッチまたは McData スイッチ が認識しないプラットフォーム情報を交換します。これらのフレームを拒否すると、一般的な E ポートが隔離されます。


Procedure

  Command or Action Purpose

Step 1

他ベンダー製スイッチに接続する E ポートの VSAN を相互運用モードにします。

switch# configuration terminal
switch(config)# vsan database
switch(config-vsan-db)# vsan 10 interop 3
switch(config-vsan-db)# exit
 

Step 2

97(0x61)~ 127(0x7F)の範囲でドメイン ID を割り当てます。

Note

 

これは、McData スイッチに適用される制限です。

Cisco SAN スイッチの場合、デフォルトでは、主要スイッチから ID が要求されます。Preferred オプションを使用した場合、Cisco SAN スイッチは固有の ID を要求しますが、主要スイッチから別の ID が割り当てられた場合もファブリックに参加します。Static オプションを使用した場合、要求された ID を主要スイッチが承認して、これを割り当てないかぎり、Cisco SAN スイッチはファブリックに参加しません。

Note

 

ドメイン ID を変更すると、N ポートに割り当てられた FC ID も変更されます。

Step 3

FC タイマーを変更します(システム デフォルトから変更された場合)。

Note

 

Cisco SAN スイッチ、Brocade、および McData の FC Error Detect(ED_TOV)と Resource Allocation(RA_TOV)のタイマーは、デフォルトで同一の値に設定されています。これらの値は、必要に応じて変更できます。RA_TOV のデフォルト値は 10 秒、ED_TOV のデフォルト値は 2 秒です。FC-SW2 標準に基づく場合、これらの値は、ファブリック内の各スイッチで一致している必要があります。

switch(config)# fctimer e_d_tov ?
  <1000-100000> E_D_TOV in milliseconds(1000-100000) 
switch(config)# fctimer r_a_tov ?
  <1000-4000> E_D_TOV in milliseconds(1000-4000)
 

Step 4

ドメインを変更するときに、変更された VSAN のドメイン マネージャ機能の再起動が必要な場合と、不要な場合があります。

  • disruptive オプションを使用して、ファブリックを強制的に再設定する場合は次のようになります。
    switch(config)# fcdomain restart disruptive vsan 1
     

または

  • ファブリックを強制的に再設定しない場合は次のようになります。
    switch(config# fcdomain restart vsan 10
     

相互運用ステータスの確認

ここでは、ファブリックが起動していて、相互運用モードで稼働していることを確認するためのコマンドについて説明します。

任意の Cisco Nexus デバイス で相互運用性コマンドを入力した場合のステータスを確認する手順は、次のとおりです。

SUMMARY STEPS

  1. ソフトウェア バージョンを確認します。
  2. インターフェイスの状態が使用中の設定に必要な状態になっているかどうかを確認します。
  3. 目的のコンフィギュレーションが稼働しているかどうかを確認します。
  4. 相互運用性モードがアクティブであるかどうかを確認します。
  5. ドメイン ID を確認します。
  6. ローカル主要スイッチのステータスを確認します。
  7. スイッチのネクスト ホップおよび宛先を確認します。
  8. ネーム サーバ情報を確認します。

DETAILED STEPS


Step 1

ソフトウェア バージョンを確認します。

Example:

switch# show version
Cisco Nexus Operating System (NX-OS) Software 
TAC support: http://www.cisco.com/tac
Copyright (c) 2002-2008, Cisco Systems, Inc. All rights reserved.
The copyrights to certain works contained herein are owned by
other third parties and are used and distributed under license. 
Some parts of this software are covered under the GNU Public 
License. A copy of the license is available at 
http://www.gnu.org/licenses/gpl.html. 
Software
  BIOS:      version 1.2.0
  loader:    version N/A
  kickstart: version 4.0(1a)N1(1)
  system:    version 4.0(1a)N1(1)
  BIOS compile time:       06/19/08
  kickstart image file is: bootflash:/n5000-uk9-kickstart.4.0.1a.N1.latest.bin
  kickstart compile time:  11/25/2008 6:00:00 [11/25/2008 14:17:12]
  system image file is:    bootflash:/n5000-uk9.4.0.1a.N1.latest.bin
  system compile time:     11/25/2008 6:00:00 [11/25/2008 14:59:49]
Hardware
  cisco Nexus5020 Chassis ("40x10GE/Supervisor")
  Intel(R) Celeron(R) M CPU with 2074308 kB of memory.
  Processor Board ID JAB120900PJ
  Device name: switch
  bootflash: 1003520 kB 
Kernel uptime is 0 day(s), 1 hour(s), 29 minute(s), 55 second(s) 
Last reset at 510130 usecs after Wed Nov 26 18:12:23 2008
  Reason: Reset Requested by CLI command reload
  System version: 4.0(1a)N1(1)
  Service: 
plugin
  Core Plugin, Ethernet Plugin

Step 2

インターフェイスの状態が使用中の設定に必要な状態になっているかどうかを確認します。

Example:

switch# show interface brief 
------------------------------------------------------------------------------- 
Interface  Vsan   Admin  Admin   Status          SFP    Oper  Oper   Port 
                  Mode   Trunk                          Mode  Speed  Channel 
                         Mode                                 (Gbps) 
------------------------------------------------------------------------------- 
fc3/1      1      E      on      trunking         swl    TE      2    -- 
fc3/2      1      auto   on      sfpAbsent        --     --           -- 
fc3/3      1      E      on      trunking         swl    TE      2    -- 
fc3/4      1      auto   on      sfpAbsent        --     --           -- 
fc3/5      1      auto   auto    notConnected     swl    --           -- 
fc3/6      1      auto   on      sfpAbsent        --     --           -- 
fc3/7      1      auto   auto    sfpAbsent        --     --           -- 
fc3/8      1      auto   auto    sfpAbsent        --     --           -- 

Step 3

目的のコンフィギュレーションが稼働しているかどうかを確認します。

Example:

switch# show running-config 
Building Configuration... 
 interface fc2/1 
no shutdown 
 interface fc2/2 
no shutdown 
 interface fc2/3 
 interface fc2/4 

<snip>

interface mgmt0 
ip address 6.1.1.96 255.255.255.0 
switchport encap default 
no shutdown 
vsan database 
vsan 1 interop  
boot system bootflash:/nx5000-system-23e.bin  
boot kickstart bootflash:/nx5000-kickstart-23e.bin  
callhome 
fcdomain domain 100 preferred vsan 1 
ip route 6.1.1.0 255.255.255.0 6.1.1.1 
ip routing 
line console 
  databits 5 
  speed 110 
logging linecard  
ssh key rsa 512 force 
ssh server enable 
switchname switch 
username admin password 5 $1$Li8/fBYX$SNc72.xt4nTXpSnR9OUFB/ role network-admin 

Step 4

相互運用性モードがアクティブであるかどうかを確認します。

Example:

switch# show vsan 1 
vsan 1 information 
         name:VSAN0001  state:active  
         interoperability mode:yes <-------------------- verify mode 
         loadbalancing:src-id/dst-id/oxid   
         operational state:up  

Step 5

ドメイン ID を確認します。

Example:

switch# show fcdomain vsan 1 
The local switch is a Subordinated Switch. 
Local switch run time information: 
        State: Stable 
        Local switch WWN:    20:01:00:05:30:00:51:1f 
        Running fabric name: 10:00:00:60:69:22:32:91 
        Running priority: 128 
        Current domain ID: 0x64(100) <---------------verify domain id 
Local switch configuration information: 
        State: Enabled 
        Auto-reconfiguration: Disabled 
        Contiguous-allocation: Disabled 
        Configured fabric name: 41:6e:64:69:61:6d:6f:21 
        Configured priority: 128 
        Configured domain ID: 0x64(100) (preferred) 
Principal switch run time information: 
        Running priority: 2 
Interface               Role          RCF-reject 
----------------    -------------    ------------ 
fc2/1               Downstream       Disabled 
fc2/2               Downstream       Disabled 
fc2/4               Upstream         Disabled 
----------------    -------------    ------------ 

Step 6

ローカル主要スイッチのステータスを確認します。

Example:

switch# show fcdomain domain-list vsan 1 
Number of domains: 5 
Domain ID              WWN 
---------    ----------------------- 
 0x61(97)    10:00:00:60:69:50:0c:fe 
 0x62(98)    20:01:00:05:30:00:47:9f 
 0x63(99)    10:00:00:60:69:c0:0c:1d 
0x64(100)    20:01:00:05:30:00:51:1f [Local] 
0x65(101)    10:00:00:60:69:22:32:91 [Principal] 
---------    ----------------------- 

Step 7

スイッチのネクスト ホップおよび宛先を確認します。

Example:

switch# show fspf internal route vsan 1 
FSPF Unicast Routes  
--------------------------- 
 VSAN Number  Dest Domain   Route Cost    Next hops 
----------------------------------------------- 
           1     0x61(97)          500      fc2/2 
           1     0x62(98)         1000      fc2/1 
                                            fc2/2 
           1     0x63(99)          500      fc2/1 
           1    0x65(101)         1000      fc2/4 

Step 8

ネーム サーバ情報を確認します。

Example:

switch# show fcns data vsan 1 
VSAN 1: 
------------------------------------------------------------------ 
FCID        TYPE  PWWN                    (VENDOR) FC4-TYPE:FEATURE 
------------------------------------------------------------------ 
0x610400    N     10:00:00:00:c9:24:3d:90 (Emulex)     scsi-fcp  
0x6105dc    NL    21:00:00:20:37:28:31:6d (Seagate)    scsi-fcp  
0x6105e0    NL    21:00:00:20:37:28:24:7b (Seagate)    scsi-fcp  
0x6105e1    NL    21:00:00:20:37:28:22:ea (Seagate)    scsi-fcp  
0x6105e2    NL    21:00:00:20:37:28:2e:65 (Seagate)    scsi-fcp  
0x6105e4    NL    21:00:00:20:37:28:26:0d (Seagate)    scsi-fcp  
0x630400    N     10:00:00:00:c9:24:3f:75 (Emulex)     scsi-fcp  
0x630500    N     50:06:01:60:88:02:90:cb              scsi-fcp  
0x6514e2    NL    21:00:00:20:37:a7:ca:b7 (Seagate)    scsi-fcp  
0x6514e4    NL    21:00:00:20:37:a7:c7:e0 (Seagate)    scsi-fcp  
0x6514e8    NL    21:00:00:20:37:a7:c7:df (Seagate)    scsi-fcp  
0x651500    N     10:00:00:e0:69:f0:43:9f (JNI)            
Total number of entries = 12 

Note

 

シスコ スイッチ ネーム サーバにはローカル エントリおよびリモート エントリが表示され、エントリはタイムアウトしません。


高度なファイバチャネル機能のデフォルト設定

次の表に、この章で説明した機能のデフォルト設定を示します。

Table 3. 拡張機能のデフォルト設定値

パラメータ

デフォルト

CIM サーバー

ディセーブル

CIM サーバー セキュリティ プロトコル

HTTP

D_S_TOV

5,000 ミリ秒

E_D_TOV

2,000 ミリ秒

R_A_TOV

10,000 ミリ秒

fctrace を呼び出すタイムアウト時間

5 秒

fcping 機能によって送信されるフレーム数

5 フレーム

リモート キャプチャ接続プロトコル

TCP

リモート キャプチャ接続モード

Passive

ローカル キャプチャ フレーム制限

10 フレーム

FC ID の割り当てモード

autoモード

ループ モニタリング

ディセーブル

interop モード

ディセーブル