概要
このドキュメントでは、Cisco GE_XP、10GE_XP、GE_XPE、および 10GE_XPE カードでサポートされているマルチキャスト VLAN レジストレーション(MVR)機能について説明します。
前提条件
要件
Cisco ONS 15454 マルチサービス トランスポート プラットフォーム(MSTP)機器のイーサネットおよび GE_XP カードの知識があることが推奨されます。
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、次のハードウェアに基づくものです。
- デジタル加入者線アクセス マルチプレクサ(DSLAM)
- Cisco ME3400 スイッチ
- ONS 15454 MSTP およびレイヤ 3 アグリゲーション サービス ルータ 9000(ASR9000)と IPTV ソース
- 「Layer 2 over DWDM(高密度波長分割多重)」モードの GE_XP、10GE_XP、GE_XPE、および 10GE_XPE カード
このドキュメントは、次の関連ハードウェアおよびソフトウェア バージョンにも使用できます。
- Cisco ONS15454 MSTP
- GE_XP、10GE_XP、GE_XPE、10GE_XPE
背景説明
XPonder の MVR 機能は、XPonder のすべてのクライアント インターフェイス上で、データを伝送するサービス VLAN(SVLAN)からレイヤ 3 マルチキャスト トラフィックを分離するために使用されます。 有効なレイヤ 3 マルチキャスト アドレスを持つ、Internet Group Management Protocol(IGMP)によってスヌーピングされたパケットは、マルチキャスト トラフィック専用のユーザ定義 SVLAN に送られます。
- MVR はマルチキャスト送信元 VLAN(MVLAN)の概念を導入しています。これは、IPTV マルチキャスト トラフィック フローが経由する唯一の VLAN です。
- マルチキャスト トラフィックを受信するが、MVLAN の一部ではないインターフェイスは、MVR 受信ポートと呼ばれます。
- MVR 受信ポートは、MVLAN 上のポートから送信されたトラフィックを受信できますが、トラフィックを MVLAN に送信することはできません。
- MVR は、選択的に IPTV マルチキャスト トラフィックを要求側ホストに配信する別の VLAN 上のホストと連動することができます。
- MVR の設定時に、マルチキャスト アドレスの範囲を設定する必要があります。
- MVLAN 自体にあるインターフェイスを、その MVLAN の MVR 受信ポートにすることはできません。
MVR に基づくマルチキャストおよびビデオ ブロードキャスト アプリケーション
Cisco ONS 15454 XPonder は、ビデオ ブロードキャストまたはマルチキャスト アプリケーションのプッシュ モデルとプル モデルの両方をサポートします。 プッシュ モデルには、SVLAN ベースの「ドロップして続行」の手法が使用されるため、すべてのマルチキャストおよびビデオ ブロードキャスト トラフィックが各サイトでドロップされます。 XPonder では、Internet Group Management Protocol バージョン 2(IGMPv2)の機能を使用して、エンド カスタマーからの join メッセージに応じてネットワークにマルチキャスト ストリームまたはビデオ チャネルをプルするという、プル モデルを提供しています。 各ポートでのサービス配信に使用する VLAN とは独立したネットワーク用にマルチキャスト VLAN を予約するビデオ アプリケーションの場合、MVR によってネットワークの柔軟性がさらに高まります。 マルチキャスト VLAN からカスタマー VLAN への変換は、クライアント ポートで行われます。
トポロジの概要
このネットワークでは、アクセス側ユーザ ネットワーク インターフェイス(UNI)とアグリケーション側ネットワーク ノード インターフェイス(NNI)上のギガビット イーサネット(GE)ポートで、ギガビット イーサネット Xponders(GEXP)/ギガビット イーサネット Xponders 拡張(GEXPE)カードが使用されます。
- サービス(126 DATA、227 VOICE、328 IPTV)に応じた VLAN が設定された DSLAM(DATA/VOICE/IPTV)。 IPTV サービスは Internet Protocol over Ethernet(IPoE)です。STB(セットトップ ボックス)はルーテッド顧客宅内機器(CPE)の背後にあり、CPE はマルチキャスト TV チャネルに参加するための IGMP 要求をプロバイダー エッジ(PE)ルータに発行します。
- ME3400 アクセス スイッチが、DSLAM を GE-XP ポート 1-1 に接続します。 DSLAM および DWDM 用のスイッチ ポートは、3 つの VLAN を使用できるレイヤ 2 トランク ポートです。
- ONS 15454 DWDM では、GE_XP カードは「Layer 2 over DWDM」モードで動作し、GE ポート用の SVLAN 100 とマルチキャスト トラフィック用の MVR VLAN 3300 が設定されます。
- ASR9000 はレイヤ 3 PE ルータおよび最初のレイヤ 3 ホップとして機能します。 ここで、IPTV 328 は BVI(ブリッジ グループ仮想インターフェイス)の 328 BVI レイヤ 3 インターフェイスと BVI 3300 レイヤ 3 インターフェイス上の MVR VLAN 3300 に終端します。

Figure 1
機能設定
Cisco Transport Controller での MVR の詳細設定

図 2
動作モード
- 以下のように GE-XP UNI ポート 1-1 が「トランスペアレント」である場合の MVR 設定(図 2)の動作を説明します。

図 3

図 4

図 5:
この設定で確認できるのは、VLAN 328 上の IGMP join メッセージのみです(ステップ 3)。レイヤ 3 PE 上の VLAN 3300 からのメッセージは確認できません。 図 5 のステップ 7 では、マルチキャスト側が単一のタグ付きパケットを送信すると、UNI ポート(トランスペアレント ポート)はそのタグを削除してからパケットをプッシュするため、クライアントはタグなしパケットを受信します。
注: IGMP スヌーピングは、マルチキャスト トラフィックをマルチキャスト デバイスが接続されたインターフェイスに転送することから、マルチキャスト トラフィックのフラッディングが抑制されます。
- 以下のように GE-XP UNI ポート 1-1 が「選択的」である場合の MVR 設定(図 2)の動作を説明します。

図 6
図 5 のステップ 7 をもう一度確認してください。 マルチキャスト側が単一のタグ付きパケットを送信すると、UNI ポートはそのタグを維持したままパケットをプッシュするため、クライアントはタグ付きパケットを受信します。 図 6 の設定では UNI ポート 1-1 が「選択的」ポートとして設定されているため、両側で書き換え操作が行われます。
GE-XP カードでは、UNI ポートが「選択的」として設定されている場合、MVR 設定で CVLAN 上の IGMP を有効にできます。 図 7 の設定を参照してください。

図 7
要約
- UNI ポートをトランスペアレント モードに設定した現在の設定では、マルチキャスト側が単一のタグ付きパケットを送信すると、UNI ポートがそのタグを削除してからパケットをプッシュします。 そのため、クライアントはタグなしパケットを受信します。
- この場合、タグを受信する唯一の方法は、UNI ポートを選択的変換モードで維持することです。
- 選択的変換モードでは、この設定でのマルチキャストに許可されるのは、ポートごとに 1 つの選択的変換エントリだけです。
- どのマルチキャスト ストリームがどの VLAN を経由するかを調べるには、Cisco Transport Controller(CTC)の [Card] ビューを表示します。 [Maintenance] > [MAC addresses] > [Multicast] を選択します([SVLAN] オプションには * が示されます))。 利用可能なエントリをリストするには、[Refresh] をクリックします(図 8 を参照)。

図 8