High
High
日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS XR ソフトウェアのインストールプロセスの脆弱性により、認証されたローカル攻撃者が、Cisco IOS XR ソフトウェアイメージの署名検証をバイパスし、影響を受けるデバイスで未署名のソフトウェアをロードする可能性があります。この脆弱性をエクスプロイトするには、攻撃者は該当デバイスで root-system 権限を持っている必要があります。
この脆弱性は、.iso ファイルのインストール時におけるファイルの検証が不十分であることに起因します。攻撃者は、.iso イメージの内容を変更してからデバイスにインストールしてアクティブ化することで、この脆弱性をエクスプロイトする可能性があります。エクスプロイトに成功すると、攻撃者はイメージのアクティベーションプロセスの一環として未署名のファイルをロードできる可能性があります。
注:この脆弱性がエクスプロイトされると、攻撃者がシスコのイメージ検証をバイパスする可能性があるため、シスコはこのアドバイザリのセキュリティ影響評価(SIR)を [中(Medium)] から [高(High)] に引き上げました。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-xrsig-UY4zRUCG
このアドバイザリは、Cisco IOS XR ソフトウェア セキュリティ アドバイザリ バンドル公開の 2025 年 9 月のリリースの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、Cisco Event Response: September 2025 Semiannual Cisco IOS XR Software Security Advisory Bundled Publication を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、デバイスの設定に関係なく、Cisco IOS XR ソフトウェアの脆弱性が存在するリリースを実行している以下のシスコ製品に影響を与えます。
- ASR 9000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ(64 ビット)
- IOS XR ホワイトボックス(IOSXRWBD)
- IOS XRv 9000 ルータ
- NCS 540-iosxr ベースイメージを実行している Network Convergence System(NCS)540 シリーズ ルータ
- NCS 560 シリーズ ルータ
- NCS 1000 シリーズ(NCS 1001、NCS 1002、NCS 1004)
- NCS 5000 シリーズ ルータ
- NCS 5500 シリーズ ルータ
- NCS 5500 ベースイメージを実行している NCS 5700 シリーズ ラインカードおよびルータ
- NCS 6000 シリーズ ルータ
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションにリストされている製品だけがこの脆弱性の影響を受けることが知られています。
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- IOS ソフトウェア
- IOS XE ソフトウェア
- NX-OS ソフトウェア
また、次のシスコデバイスで実行されている Cisco IOS XR ソフトウェアも、この脆弱性の影響を受けません。
- 8000 シリーズ ルータ
- NCS 540L-iosxr ベースイメージを実行している NCS 540 シリーズ ルータ
- NCS 1010 プラットフォーム
- NCS 1014 プラットフォーム
- NCS 5700 ベースイメージを実行している NCS 5700 シリーズ デバイス
詳細
この脆弱性をエクスプロイトするには、該当デバイスの root-system 権限を持つ攻撃者が、変更された .iso イメージをインストールしてから、ソースをアクティブ化する必要があります。この脆弱性の修正により、.iso イメージ内のファイルに対する追加のチェックが導入され、未署名のファイルがインストールされないようになります。
修正は古いバージョンには適用されないため、お客様は修正済みリリースからの予期しないダウングレードがないかデバイスを監視する必要があります。
インストール先のデバイス上のイメージ用に計算された MD5 または SHA512 チェックサムと、Cisco.com にリストされているそのイメージの対応する MD5 または SHA512 チェックサムを比較して、ソフトウェアイメージの整合性を検証することをお勧めします。
次の例は、ソフトウェアイメージの整合性を検証するために実行する必要がある手順を示しています。ここでは、正規の Cisco IOS XR ソフトウェアリリース 7.10.2 .iso ファイルと無効なファイルが比較されています。
1. Cisco Software Download ページで、Cisco IOS XR ソフトウェアリリース 7.10.2 の .iso ファイルの MD5 および SHA512 チェックサム値を確認します。想定される値は次のとおりです。
- MD5 チェックサム:1c79e3ece14e4cd873f02cd70693af85
- SHA512 チェックサム:
0d6c6f4469f0034072b819f7e576639f46dfd033b3920574c767fc39fa14ea850928c8ecf2ae4bb233b57e46cd5580b14fa5bdb0c046a8b3bb2508089e3cc610
2. 次の例に示すように、ハードディスクからインストールされるチェックサムを、Cisco.com から予想されるチェックサムに照らして検証します。
ハードディスクからインストールされる asr9k-mini-x64-7.10.2.iso の SHA512 チェックサムが、Cisco.com から予想されるチェックサムと一致しています。
RP/0/RSP0/CPU0:Router#run sha512sum /harddisk:/asr9k-mini-x64-7.10.2.iso
Wed Sep 10 16:00:00.000 UTC
0d6c6f4469f0034072b819f7e576639f46dfd033b3920574c767fc39fa14ea850928c8ecf2ae4bb233b57e46cd5580b14fa5bdb0c046a8b3bb2508089e3cc610 /harddisk:/asr9k-mini-x64-7.10.2.iso
RP/0/RSP0/CPU0:Router#
asr9k-mini-x64-7.10.2.iso の MD5 チェックサムが、Cisco.com から予想されるチェックサムと一致していません。
RP/0/RSP0/CPU0:Router#show md5 file /harddisk:/asr9k-mini-x64-7.10.2.iso
Wed Sep 10 16:00:00.000 UTC
4acce5bb525cc47da0adb5fcb330e0f5 /harddisk:/asr9k-mini-x64-7.10.2.iso
RP/0/RSP0/CPU0:Router#
チェックサムが一致していない場合は、そのイメージをインストールしないでください。
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。通常のソフトウェアアップデートが含まれるサービス契約をお持ちのお客様は、通常のアップデートチャネルからセキュリティ修正を取得する必要があります。
お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
Cisco.com の シスコサポート & ダウンロードページには、ライセンスとダウンロードに関する情報が記載されています。このページには、[マイデバイス(My Devices)] ツールを使用するお客様のカスタマーデバイスサポート範囲も表示できます。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
修正済みリリース
次の表では、左の列にシスコ ソフトウェア リリースまたはトレインを記載しています。右側の列は、リリース(トレイン)がこのアドバイザリに記載されている脆弱性の影響を受けるかどうか、およびこの脆弱性に対する修正を含む最初のリリースを示しています。
Cisco IOS XR ソフトウェア リリース | First Fixed Release(修正された最初のリリース) |
---|---|
7.10 以前 | 修正済みリリースに移行。 |
7.11 | 修正済みリリースに移行。 |
24.2 | 24.2.21 |
24.3 | 修正済みリリースに移行。 |
24.4 | 24.4.2 |
25.1 | 影響なし。 |
この脆弱性に対して作成された SMU はありません。SMU の実行は可能ですが、変更された .iso イメージをインストールしてアクティブ化できる攻撃者は、エクスプロイトの前に SMU を削除できる可能性もあります。
シスコの Product Security Incident Response Team(PSIRT; プロダクト セキュリティ インシデント レスポンス チーム)は、このアドバイザリに記載されている該当するリリース情報と修正済みリリース情報のみを検証します。
不正利用事例と公式発表
Cisco PSIRT では、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表は確認しておりません。
出典
この脆弱性を報告してくださった外部の研究者に感謝いたします。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2025 年 9 月 10 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
本アドバイザリの記述内容に関して情報配信の URL を省略し、単独の転載や意訳を施した場合、当社が管理した情報とは見なされません。そうした情報は、事実誤認を引き起こしたり、重要な情報が欠落していたりする可能性があります。 このドキュメントの情報は、シスコ製品のエンドユーザを対象としています。