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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS XE ソフトウェアのインターネット キー エクスチェンジ バージョン 1(IKEv1)実装における脆弱性により、認証されたリモートの攻撃者がサービス妨害(DoS)状態を引き起こす可能性があります。この脆弱性をエクスプロイトするには、攻撃者は有効な IKEv1 VPN ログイン情報を持っている必要があります。
この脆弱性は、IPsec セキュリティ アソシエーション作成要求が該当デバイスのハードウェア暗号化アクセラレータに渡される前の、IKEv1 フェーズ 2 パラメータの検証が不適切なことに起因します。攻撃者は、巧妙に細工された IKEv1 メッセージを該当デバイスに送信することにより、この脆弱性をエクスプロイトする可能性があります。エクスプロイトに成功すると、攻撃者は標的デバイスのリロードを引き起こすことができるようになります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-iosxe-ikev1-dos-XHk3HzFC
このアドバイザリは、2025 年 5 月に公開された Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアリリースのセキュリティ アドバイザリ バンドルの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、『Cisco Event Response: May 2025 Semiannual Cisco IOS and IOS XE Software Security Advisory Bundled Publication』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、Cisco IOS XE ソフトウェアの脆弱性が存在するリリースを実行し、IKEv1 VPN が有効になっている、以下のシスコ製品に影響を与えます。
- 1000 シリーズ サービス統合型ルータ(ISR)
- 4000 シリーズ ISR
- Catalyst 8200 シリーズ エッジ プラットフォーム
- Catalyst 8300 シリーズ エッジ プラットフォーム
- Catalyst 8500 シリーズ エッジ プラットフォーム
- Catalyst 8500L シリーズ エッジ プラットフォーム
以下の機能は、IKEv1 を使用するように設定されている場合、この脆弱性の影響を受けます。
- Dynamic Multipoint VPN(DMVPN)
- リモートアクセス IPsec VPN(RAVPN)
- サイト間 VPN(S2S VPN)
注:Cisco Group Encrypted Transport VPN(GET VPN)および SSL VPN は、IPsec セッションの確立に IKEv1 を使用しないため、この脆弱性の影響を受けません。
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
デバイス設定の確認
1. IKE(v1 または v2)が有効になっているかどうかの確認
IKE 処理が有効になっているかどうかを確認するには、デバイスの CLI で show ip socket | include 500 または show udp | include 500 EXEC コマンドを使用します。UDP ポート 500 または UDP ポート 4500 がデバイスで開いている場合、そのデバイスは IKE パケットを処理しています。
注:UDP ポート 500 または 4500、あるいはその両方は、IKEv1 と IKEv2 のどちらが有効になっているかに関係なく、両方とも同じポート番号とプロトコル番号を使用するため、オープンになります。
以下に、UDP ポート 500 および 4500 で IPv4 または IPv6 のいずれかを使用して IKE パケットを処理しているデバイスでの show udp | include 500 コマンドの出力例を示します。
Router#show udp | include 500
17 --listen-- 192.168.1.10 500 0 0 2001011 0
17(v6) --listen-- --any-- 500 0 0 2020011 0
17 --listen-- 192.168.1.10 4500 0 0 2001011 0
17(v6) --listen-- --any-- 4500 0 0 2020011 0
このコマンドで空の出力が返される場合、デバイスはこの脆弱性の影響を受けません。統合されていない場合は、ステップ 2 に進んでください。
2. IKEv1 が使用されているかどうかの確認
IKEv1 がデバイスでアクティブに使用されているかどうかを確認するには、デバイスの CLI で show crypto map EXEC コマンドを使用します。クリプトマップでは IKEv2 プロファイルが関連付けられていない場合、IKEv1 を使用します。クリプトマップを使用しているインターフェイスが少なくとも 1 つある場合、そのクリプトマップはアクティブです。
以下に、IKEv1 を使用するように設定され(IKEv2 Profile がリストされていないため)、インターフェイス GigabitEthernet1 で有効化されているクリプトマップ CMAP1 があるデバイスでの show crypto map コマンドの出力例を示します。
Router1#show crypto map
Crypto Map IPv4 "CMAP1" 10 ipsec-isakmp
Peer = 192.168.1.100
Access-List SS dynamic: False
Extended IP access list 120
access-list 110 permit ip 192.168.11.0 0.0.0.255 192.168.12.0 0.0.0.255
Current peer: 192.168.1.100
Security association lifetime: 4608000 kilobytes/3600 seconds
Dualstack (Y/N): N
Responder-Only (Y/N): N
PFS (Y/N): N
Mixed-mode : Disabled
Transform sets={
AESSET: { esp-256-aes esp-sha256-hmac } ,
}
Interfaces using crypto map CMAP1:
GigabitEthernet1
Router1#
このデバイスは、この脆弱性の影響を受けます。
以下に、IKEv2 を使用するように設定され(IKEv2 Profile がリストされているため)、インターフェイス GigabitEthernet2 で有効化されているクリプトマップ CMAP2 があるデバイスでの show crypto map コマンドの出力例を示します。
Router2#show crypto map
Crypto Map IPv4 "CMAP2" 10 ipsec-isakmp
Peer = 192.168.1.200
IKEv2 Profile: profile1
Access-List SS dynamic: False
Extended IP access list 120
access-list 120 permit ip 192.168.21.0 0.0.0.255 192.168.22.0 0.0.0.255
Current peer: 192.168.1.200
Security association lifetime: 4608000 kilobytes/3600 seconds
Dualstack (Y/N): N
Responder-Only (Y/N): N
PFS (Y/N): N
Mixed-mode : Disabled
Transform sets={
AESSET: { esp-256-aes esp-sha256-hmac } ,
}
Interfaces using crypto map CMAP2:
GigabitEthernet2
Router2#
デバイスに設定されているクリプトマップがこのクリプトマップのみである場合、このデバイスはこの脆弱性の影響を受けません。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションにリストされている製品だけがこの脆弱性の影響を受けることが知られています。
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- IOS ソフトウェア
- 「脆弱性のある製品」セクションにリストされているデバイス以外のデバイスで実行されている IOS XE ソフトウェア
- IOS XR ソフトウェア
- Meraki 製品
- NX-OS ソフトウェア
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。通常のソフトウェアアップデートが含まれるサービス契約をお持ちのお客様は、通常のアップデートチャネルからセキュリティ修正を取得する必要があります。
お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
Cisco.com の シスコサポート & ダウンロードページには、ライセンスとダウンロードに関する情報が記載されています。このページには、[マイデバイス(My Devices)] ツールを使用するお客様のカスタマーデバイスサポート範囲も表示できます。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
Cisco IOS および IOS XE ソフトウェア
お客様が Cisco IOS および IOS XE ソフトウェアの脆弱性による侵害の可能性を判断できるように、シスコは Cisco Software Checker を提供しています。このツールを使うことで、特定のソフトウェアリリースに関連するすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索でき、それぞれのアドバイザリで言及された脆弱性を修正した最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。 また、該当する場合には、Software Checker により判別されたすべてのアドバイザリに記載のすべての脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
このツールを使用するには、「Cisco Software Checker」ページの手順に従います。あるいは、次のフォームを使用して、シスコ セキュリティ アドバイザリに該当するリリースであるかどうかを確認します。このフォームを使用するには、次の手順に従います。
- ツールで検索するアドバイザリを選択します。このアドバイザリのみ、セキュリティ影響評価(SIR)が「重大」または「高」のアドバイザリのみ、すべてのアドバイザリのいずれかです。
- リリース番号(例:15.9(3)M2、17.3.3)を入力します。
- [チェック(Check)] をクリックします。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性は Cisco TAC サポートケースの解決中に発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2025 年 5 月 7 日 |
利用規約
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