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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS XE ソフトウェアの DHCP スヌーピングセキュリティ機能の脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、インターフェイス キュー ウェッジ全体を引き起こし、サービス妨害(DoS)状態を発生させる可能性があります。
この脆弱性は、DHCP リクエストパケットの不適切な処理に起因します。攻撃者は、DHCP リクエストパケットを該当デバイスに送信することによって、この脆弱性をエクスプロイトする可能性があります。エクスプロイトに成功すると、パケットがキュー内でウェッジ状態になり、該当システムのダウンストリームデバイスで DoS 状態が発生し、キューをドレインするためにシステムを再起動する必要が生じる可能性があります。
注:この脆弱性は、DHCP スヌーピングが有効になっていない VLAN 上のユニキャストまたはブロードキャスト DHCP パケットのいずれかでエクスプロイトされる可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。本脆弱性に対処する回避策がいくつかあります。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-iosxe-dhcpsn-dos-xBn8Mtks
このアドバイザリは、2025 年 5 月に公開された Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアリリースのセキュリティ アドバイザリ バンドルの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、『Cisco Event Response: May 2025 Semiannual Cisco IOS and IOS XE Software Security Advisory Bundled Publication』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、Cisco IOS XE ソフトウェアの脆弱なリリースを実行しており、デバイスに設定されている少なくとも 1 つの VLAN に対して(すべての VLAN ではありません)DHCP スヌーピングを有効にしている、以下のシスコ製品に影響を与えます。
- 1100 シリーズ サービス統合型ルータ(ISR)
- Catalyst 8200 シリーズ エッジ プラットフォーム
- Catalyst 8300 シリーズ エッジ プラットフォーム
注:DHCP スヌーピングが有効になっている VLAN でパケットが受信された場合、パケットは保持されません。DHCP スヌーピングが有効になっていない VLAN でパケットが受信された場合、パケットは保持されます。
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
デバイス設定の確認
デバイスの一部の VLAN に対して(すべての VLAN ではありません)DHCP スヌーピングが有効になっているかどうかを確認するには、以下の例に示すように、show ip dhcp snooping コマンドを実行します。
Router#show ip dhcp snooping
Switch DHCP snooping is enabled
Switch DHCP gleaning is disabled
DHCP snooping is configured on following VLANs:
2
DHCP snooping is operational on following VLANs:
2
Proxy bridge is configured on following VLANs:
none
Proxy bridge is operational on following VLANs:
none
DHCP snooping is configured on the following L3 Interfaces:
Insertion of option 82 is enabled
circuit-id default format: vlan-mod-port
remote-id: 4c77.6d2e.3bf1 (MAC)
Option 82 on untrusted port is not allowed
Verification of hwaddr field is enabled
Verification of giaddr field is enabled
DHCP snooping trust/rate is configured on the following Interfaces:
Interface Trusted Allow option Rate limit (pps)
----------------------- ------- ------------ ----------------
Router#
すべてのアクティブな VLAN を表示するには、以下の例のように show vlan コマンドを使用します。
Router#show vlan
VLAN Name Status Ports
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
1 default active Gi0/1/0, Gi0/1/1, Gi0/1/2
Gi0/1/3
2 VLAN0002 active
1002 fddi-default act/unsup
1003 token-ring-default act/unsup
1004 fddinet-default act/unsup
1005 trnet-default act/unsup
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- IOS ソフトウェア
- IOS XR ソフトウェア
- ISR 1000 シリーズ ルータ
- Meraki 製品
- NX-OS ソフトウェア
詳細
一時的な対策を講じて、デバイスをリロードできるようになるまでトラフィックを通過させる
この脆弱性がエクスプロイトされ、攻撃が停止した場合、管理者は影響を受けるインターフェイスに現在設定されている値よりも大きい最大 hold-queue 値を設定して、デバイスをリロードできるようになるまでトラフィックを通過させるようにできます。次に、hold-queue in インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して値を 350 に設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface gigabitEthernet 1
Router(config-if)# hold-queue 350 in
Cisco IOS Embedded Event Manager を使用したキューウェッジのモニターと検出
管理者はこの脆弱性に起因するインターフェイス キュー ウェッジをモニターおよび検出するために、Tool Command Language(Tcl)に基づく Cisco IOS Embedded Event Manager(EEM)ポリシーを使用できます。 このポリシーによって、管理者は Cisco IOS XE ソフトウェアを実行しているデバイスのインターフェイスをモニターし、入力キューがいっぱいになったことを検出できます。Cisco IOS EEM がこの脆弱性の潜在的なエクスプロイトを検出すると、ポリシーによってネットワーク管理者にアラートが送信されます。ネットワーク管理者は入力キューをクリアするために、アップグレードの実装、適切な緩和策の実装、またはデバイスのリロードを行うことを決定できます。
Tcl スクリプトは、Interface Input Queue Monitor からダウンロードできます。
セキュリティ侵害の痕跡
影響を受けるインターフェイスを特定するには、以下のコマンドを実行します。
Router#show interfaces | include line|Input
GigabitEthernet1 is up, line protocol is up
Input queue: 376/375/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0
サイズ値が max 値より大きい場合、入力キューでウェッジが発生します。
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。管理者は、以下の例のように ip dhcp snooping vlan ? コマンドを使用して、すべての VLAN で DHCP スヌーピングを有効にできます。
Device-1(config)#ip dhcp snooping vlan ?
WORD DHCP Snooping vlan first number or vlan range, example: 1,3-5,7,9-11
この回避策は導入されており、テスト環境では実証済みですが、お客様は、ご使用の環境および使用条件において適用性と有効性を判断する必要があります。また、導入されている回避策または緩和策が、お客様固有の導入シナリオおよび制限に基づいて、ネットワークの機能やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があることに注意してください。回避策や緩和策は、ご使用の環境への適用性と環境への影響を評価した後で導入してください。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。通常のソフトウェアアップデートが含まれるサービス契約をお持ちのお客様は、通常のアップデートチャネルからセキュリティ修正を取得する必要があります。
お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
Cisco.com の シスコサポート & ダウンロードページには、ライセンスとダウンロードに関する情報が記載されています。このページには、[マイデバイス(My Devices)] ツールを使用するお客様のカスタマーデバイスサポート範囲も表示できます。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
Cisco IOS および IOS XE ソフトウェア
お客様が Cisco IOS および IOS XE ソフトウェアの脆弱性による侵害の可能性を判断できるように、シスコは Cisco Software Checker を提供しています。このツールを使うことで、特定のソフトウェアリリースに関連するすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索でき、それぞれのアドバイザリで言及された脆弱性を修正した最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。 また、該当する場合には、Software Checker により判別されたすべてのアドバイザリに記載のすべての脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
このツールを使用するには、「Cisco Software Checker」ページの手順に従います。あるいは、次のフォームを使用して、シスコ セキュリティ アドバイザリに該当するリリースであるかどうかを確認します。このフォームを使用するには、次の手順に従います。
- ツールで検索するアドバイザリを選択します。このアドバイザリのみ、セキュリティ影響評価(SIR)が「重大」または「高」のアドバイザリのみ、すべてのアドバイザリのいずれかです。
- リリース番号(例:15.9(3)M2、17.3.3)を入力します。
- [チェック(Check)] をクリックします。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性は Cisco TAC サポートケースの解決中に発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2025 年 5 月 7 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
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