モノづくり日本の復権を支える町工場のネットワーク

INDEX

  1. 高い技術力と逆転の発想で元気な町工場
  2. 町工場にも景気回復の光が差し込み始めた
  3. 町工場をネットワークしてモノづくりを支援
  4. 日本のモノづくり復権に向けたネットワークの役割

日本のモノづくり復権に向けたネットワークの役割

約 12,000社の会員をつなぐエヌシーネットワークだが、日本の中小製造業 67万社からすればまだ少数派だ。しかし、日本のモノづくりの特徴であった大企業を頂点としたピラミッド構造が崩れつつある現在、町工場はピラミッドに点る灯りだけを見て仕事を続けることはできなくなった。灯りが消えてしまえば、どこを歩いていいかわからなくなるからだ。その意味でモノづくりネットワークは、自立した町工場の地図としての役割を果たしつつあるようだ。相互に情報交換を行いつつ、仕事の在処を教えあうための地図として活用できる。

「日本は市場が広いので、顧客のニーズをきちんと把握すれば、まだやっていけるところはあります。例えばニッチに特化すれば、汎用品でも生き残る道はある。これからの中小企業の 10年は明るいと思います。ただし、今やコンピュータネットワークを使わなかったら生き残ることは難しいでしょう。これから構築するところでも、ベンダーに頼めば簡単ですから遅くはありません。その際注意すべきは、運用を考え保守費がかかることを前提にすべきです」 (内原社長)

手軽になったインターネットを情報受発信の道具として積極的に使うことで、それら中小製造業のネットワークをインターネット上に作ることができる。個々の企業は得意な製品あるいは特徴のある技術に特化し、足りない部分はネットワークから入手、それができた時この中小製造業のネットワークは一つの仮想工場として動き出すことができる (「エヌシーネットワークのめざすもの」より) 。

この仮想工場が有機的に動き出せば、日本のモノづくりのアドバンテージは高まるはずだ。このときコンピュータネットワークはモノづくりのライフラインとして機能しているに違いない。


ジャーナリスト・光月 晃