モノづくり日本の復権を支える町工場のネットワーク

INDEX

  1. 高い技術力と逆転の発想で元気な町工場
  2. 町工場にも景気回復の光が差し込み始めた
  3. 町工場をネットワークしてモノづくりを支援
  4. 日本のモノづくり復権に向けたネットワークの役割

町工場にも景気回復の光が差し込み始めた

バブル崩壊後の長い不況とグローバル化のなかで、モノづくり日本の地盤沈下が叫ばれて久しい。ここ数年の間、大企業が中国などに生産拠点を移したり、系列を超えた調達を進めた結果、大田区や東大阪の町工場が壊滅的な打撃を受けているというマスコミ報道によって、我々の頭には暗いイメージが埋め込まれたことは確かだ。しかし、ここにきて町工場にもようやく不況からの出口が見えてきたようだ。それは、各種の統計にも反映している。

たとえば、ここ数年 18,000件ペースの企業倒産が、2003年には 15%減少し 16,000件を下回った (2004年版『中小企業白書』) 。さらに、6月の日銀短観によれば、業況判断指数は大企業製造業でプラス 22 と 1991年 8月以来約 13年ぶりの高水準で 5期連続のプラス。そして中小企業の製造業も、約 12年半ぶりにプラスになった。中小企業へも景気回復の光が差し始めたことがうかがえる。1996年にモノづくりを支援する Web サイトを立ち上げた、株式会社エヌシーネットワーク (コラム参照) の内原康雄社長も、景気回復を実感していると語る。

「一時は中国にモノづくりがシフトして国内が空洞化し、日本のモノづくりが地盤沈下をおこすと叫ばれましたが、実際にはそうはなりませんでした。3~4年前に系列の再構築で中国へ出た工場が、また国内へ戻ってきています。この間、中国との付き合い方を学習して、中国で作った方がいいもの、日本で作った方がいいものがわかってきたからです。何でもかんでも中国に進出するのではなく、中国を市場として見て対応する必要のあることがわかったのです。また、去年秋頃から景気が上向いていると実感しています。プレス、板金や金型、ネジなどの部品屋はフル稼働状態で、仕事を頼むことが難しい状態です」

この好況には 12,000社以上の町工場を結ぶエヌシーネットワークも一役買っている。

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