サーバーとクラウドインフラを特徴とするネオクラウドの概念を 2 人のユーザー間のデジタル接続とデータフローで表した図。

ネオクラウドとは

ネオクラウドプロバイダーは、AI ワークロードを強化するために設計された、特化型の高性能インフラストラクチャを提供します。これは、パブリッククラウドが持つ柔軟な拡張性に、専用の GPU アクセラレーションを組み合わせたものです。 

ネオクラウドを成功させる重要なヒントを読む

ネオクラウドプロバイダーとは 

「ネオクラウド」とは、AI ワークロードに特化したクラウド インフラストラクチャ プロバイダーを指します。これらのプロバイダーは、GPU を中心とした高性能ハードウェア コンピューティング アクセラレータを活用することで、企業、モデルビルダー、ハイパースケーラーなど、あらゆる組織の多様で要求の厳しい AI アプリケーション要件をサポートします。  

ネオクラウド プラットフォームは、大規模トレーニングからファインチューニング、そして推論まで、AI ライフサイクルに包括的に対応します。また、オンデマンドアクセス、リザーブドインスタンス、Platform as a Service など、柔軟な利用モデルも用意されています。

AI の導入が加速する中、ネオクラウドプロバイダーは、パブリッククラウドが持つ柔軟な拡張性と、専用の AI インフラストラクチャならではのパフォーマンス特性の両方に対するニーズに応えています。 

AI クラウド インフラストラクチャ モデル:クラウド、ハイパースケーラー、ネオクラウドの違い 

AI が実験段階から実稼働へと移行するにつれて、クラウド市場は 3 つの異なるモデルへと分化しました。これらはマルチクラウド戦略の中で併用されることが多いものの、技術的な要件とビジネス上の目的はそれぞれまったく異なります。 

従来のクラウド 

汎用の CPU 中心アーキテクチャを基盤とする従来のクラウドプロバイダーは、管理主体や設置場所によらず、抽象化とマルチテナント方式に重きを置いています。きわめて高い柔軟性を持つ一方で、仮想化に伴うオーバーヘッドが、いわゆる「ハイパーバイザ税」やネットワークのボトルネックを招き、大規模な AI 学習ジョブを阻害する要因となります。

ハイパースケーラー  

ハイパースケーラーとは、グローバル規模の統合サービスを提供する、大規模なグローバル クラウド プロバイダー(AWS、Azure、GCP など)を指します。これらプロバイダーは現在、AI 需要に対応するために、以下のような特化型の利用モデルを提供しています。 

  • リザーブドインスタンス:専用の AI スタックを期間固定で契約するプラン。常時稼働する推論処理など、定常状態のワークロードのコストを下げることができます。 
  • サーバーレス AI(PaaS):インフラストラクチャを完全に抽象化したマネージド型プラットフォーム。開発者はトークン数やリクエスト数に応じた従量課金制で利用できます。 
  • トレードオフ:利便性が高い一方で、汎用設計をベースにしているため、専用の AI ファブリック本来の決定論的なパフォーマンスを常に発揮できるとは限りません。

ネオクラウド  

ネオクラウドは、GPU as a Service としてゼロから構築されています。幅広いサービスの提供よりも、基本性能とハードウェアの可視性を最優先にしています。 

  • AI ファーストのアーキテクチャ:膨大な「水平方向」トラフィックを処理するために、高密度の GPU クラスターと、RDMA や RoCE などの高性能ファブリックを活用します。 
  • パフォーマンスの優位性:ベアメタルアクセスと 400G/800G ネットワーキングの導入により、モデルのトレーニングサイクルを可能な限り最速化するのに必要な超高帯域幅と予測可能な遅延を提供します。 

組織がこれらの選択肢を検討する際は、GPU の稼働場所に関係なく、AI インフラストラクチャのパフォーマンスと安全性が維持され、管理が容易であることが常に最優先事項となります。 

ネオクラウドの仕組み:ネオクラウド インフラストラクチャの技術的な柱  

決定論的なパフォーマンスを実現するために、ネオクラウド インフラストラクチャは、抽象性の高い汎用クラウドとは一線を画し、緊密に統合された次の 3 つのレイヤに重きを置いています。

1. AI に最適化されたコンピューティング  

ネオクラウドは「ハイパーバイザ税」を最小限に抑えることで、素のスループットを優先させています。

  • ベアメタル/最小限の仮想化サーバー:最大 GPU アクセスを確保します。 
  • 高密度ノード:通常、ノードあたり 4 ~ 8 個の GPU(NVIDIA H100/B200 など)で、大規模並列処理に対応しています。 
  • ハードウェアの可視性:ハードウェアトポロジへのより深い可視性により、PyTorch や TensorFlow などのフレームワークをより適切にチューニングできるようにします。 

2. 高性能 AI ネットワーキング  

ネットワーキングは、ネオクラウド プラットフォームの主な差別化要因となります。ネオクラウドプロバイダーは通常、次の 2 つの異なるネットワークを展開します。  

  • フロントエンドネットワーク:管理用およびユーザーアクセス用の標準イーサネット。 
  • 高性能のバックエンド/ファブリックネットワーク:GPU 間での同期に特化した、ロスレスイーサネットまたは InfiniBand。  

このデュアルネットワーク アーキテクチャが、真の AI クラスターの決定的な特徴です。その理由は、AI トレーニングは継続的な同期(集約通信)に依存しているためです。ファブリックは膨大な「水平方向」トラフィックをパケット損失ゼロで処理する必要があります。 

  • 高帯域幅ファブリック:ノード間のデータボトルネックを防ぐために、400G および 800G のイーサネットを活用します。 
  • 低遅延トポロジ:非ブロッキングのスパインリーフ型アーキテクチャを利用して、クラスターをほぼ線形に拡張します。 
  • 高度なプロトコル :CPU のオーバーヘッドを迂回して遅延を削減するために、RDMA(リモート ダイレクトメモリアクセス)や RoCE を実装し、GPU 同士が互いのメモリと直接通信できるようにします。

3. 分散型のセキュアなインフラストラクチャ

最新のネオクラウド インフラストラクチャは、モジュール設計を採用して俊敏性とセキュリティを維持しています。 

  • 独立した拡張性:コンピューティング、ストレージ、ネットワークを、ワークロードの需要に基づいて個別に拡張します。 
  • オープンスタンダード:ハードウェアの柔軟性を最大限に高めるために、オープンなネットワーク OS を使用することが多いです。 
  • ワークロードの分離:アイデンティティ認識型アクセスとネットワーク セグメンテーションを統合することで、価値の高い AI モデルとデータを保護します。 

ネオクラウドの利用モデルと導入モデル

ネオクラウドプロバイダーは、多様なビジネスモデルを活用して、企業に AI インフラストラクチャを提供しています。提供方法は通常、拡張性、コスト、パフォーマンス、データの局所性のバランスを考慮して、以下の 3 つの主要なモデルに分類されます。

1. リザーブドインスタンス(専用または共有 AI IaaS) 

このモデルは、大規模なモデルのトレーニングや持続的推論など、予測可能で長期にわたって実行される AI ワークロードを抱える組織向けに設計されています。 

  • 専用 AI クラスター:企業は、自社専用に割り当てられた GPU クラスタ全体を、固定期間(通常 1 ~ 3 年)、契約することができます。 
  • パフォーマンスの一貫性:専用の AI スタックを利用することで、最大限のパフォーマンス安定性と確実なキャパシティを得られます。 
  • コスト効率:定常状態のワークロードの場合、このモデルを選択することでオンデマンド価格設定よりもコストが大幅に抑えられます。 

2. オンデマンドインスタンス(共有パブリック AI IaaS) 

この「従量課金」モデルにより、企業は共有プールから GPU や TPU などの AI に最適化されたコンピューティングリソースを使用できます。 

  • 自在に拡張できる AI キャパシティ:実験、開発、テスト、またはバースト性の高いワークロードなど、需要に一貫性がない環境向けに設計されています。 
  • 最大限の柔軟性:企業は(1 時間または 1 分単位で)消費されたリソースに対してのみ支払い、長期的なコミットメントはありません。 
  • クラウド運用モデル:基盤となるマルチテナント インフラストラクチャをプロバイダーが管理および保護するため、顧客は独自の AI ソフトウェアスタックに集中できるようになります。 

3. サーバーレス プラットフォーム(マネージド AI PaaS) 

このモデルでは、クラウドプロバイダーによりインフラストラクチャ管理が完全に抽象化され、マネージド プラットフォームと API を通じて企業は AI 機能を利用することができます。 

  • 運用の簡素化:プロバイダーがすべてのプロビジョニング、拡張、ライフサイクル管理を担います。 
  • 使用状況に基づくメトリック:実行時間、リクエスト、トークンに基づいて課金されるため、アプリケーションの統合や柔軟なスケーリングに最適です。 
  • 推論へのフォーカス:このモデルは、シンプルさが最優先される本番環境へのモデル展開に非常に適しています。

ハイブリッド統合レイヤ 

どの利用モデルを選んだ場合でも、デプロイメントにおいて重要な要素となるのは、ハイブリッド AI への拡張です。そのためには、安全な WAN または SD-WAN 接続を介して、ネオクラウド環境を既存の企業環境と統合する必要があります。これにより、オンプレミスの企業拠点とクラウドベースの AI クラスター間でシームレスなワークフローが確保され、ハイブリッドモデルの開発とデータ移動を安全に実行できるようになります。 

ネオクラウドのメリットと優位性 

ネオクラウド プロバイダーは、AI インフラストラクチャ特有の課題を解決するようにサービスを設計しており、企業のワークロードに以下のような重要なメリットをもたらします。

迅速なモデルトレーニング 

ネオクラウド プラットフォームは、決定論的なネオクラウド アーキテクチャを活用することで、GPU ノード間の同期遅延を低減します。このアプローチにより、大規模モデルのトレーニングサイクルが短縮され、より迅速にインサイトを得られるとともに、インフラストラクチャの無駄も削減されます。

GPU 使用率の向上 

ネオクラウドプロバイダーは、ネットワークの変動性と「ノイズの多いネイバー」の影響を最小限に抑えることで、ネオクラウド インフラストラクチャの一貫した GPU スループットを維持しています。このような使用率の向上は、組織のコスト効率の向上にも直結します。 

インフラストラクチャの透明性 

高度に抽象化されたハイパースケールサービスとは異なり、クラウドプロバイダーは多くの場合、ハードウェアトポロジやネットワーク特性に対する優れた可視性を提供します。この透明性により、技術チームは分散したワークロードをより適切に最適化できるようになります。 

スケーラブルなパフォーマンスと運用の簡素化 

ネオクラウドプロバイダーは、高帯域幅のイーサネットファブリックと緻密に設計されたトポロジの活用により、ほぼ線形のパフォーマンス拡張を実現しています。この特殊設計により、フロントエンドとバックエンドの両ネットワークの管理が簡素化されます。 

的を絞った AI 最適化 

ネオクラウドプロバイダーのプラットフォームは、AI ネイティブを前提として設計されており、すべての意思決定が、一般的な IT 要件ではなく AI ワークロードの特性に合わせたものになっています。 

制限事項と考慮事項 

パフォーマンス面で優位性を持つネオクラウド プラットフォームですが、従来のクラウドプラットフォームを完全に代替できるわけではありません。 

限定的なサービスポートフォリオ 

ハイパースケール プロバイダーは、サーバーレス機能、マネージドデータベース、分析プラットフォーム、グローバルコンテンツ配信など、広範なマネージドサービスを提供しています。 

一方、ネオクラウドは通常、完全なアプリケーション エコシステムではなく、インフラストラクチャレベルの AI サービスに重点を置いています。そのため、より広範で包括的なアプリケーションへの対応は十分ではありません。 

地理的フットプリント 

多くのネオクラウドプロバイダーは、グローバルなハイパースケーラーに比べて、展開している地域の数が限られています。データ居住性の要件が厳しい組織は、それに則ったサービスを利用できるかを慎重に評価する必要があります。 

運用の成熟度 

as a Service のプラットフォームに慣れているチームがネオクラウドを扱う場合、ネットワークトポロジの把握や分散トレーニングの最適化など、より低レベルのインフラストラクチャの構造を管理するために、追加の専門知識が必要になることがあります。

統合の複雑さ 

ネオクラウド AI クラスタと従来の IT システムを組み合わせるハイブリッドアーキテクチャには、安全な接続、ポリシーの整合、ワークロードの慎重な配置検討が必要になります。

今後の展望と新たなトレンド 

AI モデルの大規模化と複雑化が進むにつれ、インフラストラクチャの要件もさらに変化していくことが予想されます。現在、ネオクラウドアーキテクチャの今後を形成していくトレンドは、以下のとおりです。

  • GPU ASIC のイノベーション 
  • 高速イーサネットファブリックの導入拡大 
  • オープン ネットワーキング ソフトウェアの使用率向上による、運用の柔軟性の実現
  • AI 固有のセキュリティの管理とポリシー自動化の統合
  • AI トレーニングと大規模推論環境の一体化 

マルチモーダルシステムやエージェントベースのアーキテクチャなどの AI の進歩に伴い、ネオクラウド、その顧客、そしてさらに分散し相互接続された AI システムとの間で、より緊密な連携が求められるようになります。ネオクラウドにおいては、より広範な分散型マルチクラウド戦略の中で、特化型のパフォーマンス階層を提供する役割を強めていくことが予想されます。 


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