メッシュ導入リリース 8.4 の Air Time Fairness
このセクションでは、メッシュ AP の ATF を紹介し、その導入ガイドラインを提供します。このセクションでは、次のことを目的としています。
- メッシュ AP での ATF の概要を提供する
- サポートされている主要機能を強調する
- メッシュ AP での ATF 導入および管理についての詳細を提供する
前提条件と 8.4 リリースでサポートされる機能
メッシュ ATF は、ワイヤレス LAN コントローラ上の AireOS 8.4 以降のリリースでサポートされます。メッシュ ATF は、1550/128、1570、および他のすべての IOS ベースの AP でサポートされます。
AP | 1550(64 MB) | 1550(128 MB) | 1570 | 3700 | 1530 | 1540 | 1560 |
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機能 | – | – | –– | – | – | – | – |
基本メッシュ | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | 8.4 |
Flex+メッシュ | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | × | いいえ |
高速コンバージェンス(バックグラウンド スキャン) | いいえ | 8.3 | 8.3 | Yes | 8.3 | いいえ | 8.4 |
RAP の有線クライアント | Yes | Yes | Yes | × | Yes | × | いいえ |
MAP の有線クライアント | Yes | Yes | Yes | × | Yes | いいえ | 8.4 |
デイジーチェーン | 7.6 | 7.6 | 7.6 | いいえ | 7.6 | いいえ | いいえ |
LSC | Yes | Yes | Yes | Yes | Yes | × | いいえ |
PSK プロビジョニング:MAP-RAP 認証 | 8.2 | 8.2 | 8.2 | 8.2 | 8.2 | 8.5 | 8.4 |
メッシュの ATF | いいえ | 8.4 | 8.4 | 8.4 | いいえ | × | いいえ |
Cisco Air Time Fairness (ATF)の使用例
公共ホットスポット(スタジアム/空港/会議場/その他)
この場合、パブリック ネットワークは 2 社以上のサービス プロバイダー側や施設側と WLAN を共有しています。各サービス プロバイダーに対するサブスクライバをグループ化して、各グループに特定のダウンストリーム通信時間を割り当てることができます。
Education
たとえば大学では、学生、教員、およびゲスト間で WLAN を共有しています。ゲスト ネットワークは、サービス プロバイダーによってさらに分割できます。各グループに特定の割合の通信時間を割り当てることができます。
一般企業、サービス業、小売業
この場合、施設は、従業員とゲスト間で WLAN を共有しています。ゲスト ネットワークは、サービス プロバイダーによってさらに分割できます。ゲストはサービス レベルによってサブグループ化し、サブグループごとに一定の通信時間を割り当てることができます(有料のグループには、無料のグループよりも多く割り当てるなど)。
時間を共有するマネージド ホットスポット
この場合、サービス プロバイダーまたは企業など、ホットスポットを管理するビジネス主体は、割り当てた後に通信時間をその他のビジネス主体にリースできます。
ATF 機能
ATF 機能:
- ATF ポリシーはダウンリンク方向(AP がクライアントにフレームを送信)にのみ適用されます。ダウンリンク、つまり AP からクライアント方向の通信時間のみが、AP によって正確に制御されます。アップリンク方向、つまり、クライアントから AP への通信時間は測定できますが、厳密に制御することはできません。AP は、クライアントに送信するパケットの通信時間を抑制できますが、それぞれの通信時間を制限できないため、クライアントから「聞ける」パケットの通信時間のみを測定できます。
- ATF ポリシーはワイヤレス データ フレームにのみ適用されます。管理および制御フレームは無視されます。
- ATF が SSID ごとに設定される場合、各 SSID は設定されたポリシーに従って通信時間が許可されます。
- ATF は、通信時間ポリシーを超えるフレームをドロップするか保留するように設定できます。フレームが保留されると、問題となっている SSID に十分な通信時間が割り当てられた時点でバッファされて送信されます。もちろん、何フレームをバッファできるかについての制限があります。この制限を超えた場合、フレームがドロップされます。
- ATF はグローバルに有効または無効にすることができます。
- ATF は個々のアクセス ポイント、AP グループまたはネットワーク全体で有効または無効にすることができます。
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割り当ては、SSID およびクライアントごとに適用されます。
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ダウンストリームだけに適用されます。
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WLC GUI/CLI および PI で設定できます。
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AP グループに対するネットワーク内のすべての AP または 1 つの AP に適用できます。
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次のローカル モードの AP でサポートされています:AP1260、1550-128Mb、1570、1700、2600、2700、3500、3600、3700
メッシュの ATF 機能の概要
メッシュ AP の AirTime Fairness 機能は、以前のリリースにおけるローカル AP の ATF 機能と概念がよく似ています。機能と導入手順について、次のガイドから確認することを強くお勧めします。 http://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/technology/mesh/8-2/b_Air_Time_Fairness_Phase1_and_Phase2_Deployment_Guide.html
Cisco IOS 11n および 11ac 屋内向け AP を配備したエンタープライズ/高密度スタジアム向けなどの大規模な Wi-Fi 導入では、8.1 MR1 および 8.2 リリースにおける SSID ごとの Airtime Fairness(ATF)と、SSID 内のクライアントごとの Airtime Fairness を実現できています。
ATF に対する要求は大規模な屋外ワイヤレス メッシュでも高まっていますが、そこでは、各 Wi-Fi ユーザに(複数の携帯事業者が Wi-Fi ホットスポットを通じて)SLA を適用できる重要な管理機能への要求も高まっています。しかし、Wi-Fi ユーザのトラフィックはすべて無線バックホールにより MAP と RAP 間でブリッジされます。また、バックホール ノード向けの無線バックホールでは SSID という概念が存在しないため、各バックホール ノードの SSID によってポリシーを適用することができません。そのため、屋外ワイヤレス メッシュ AP で各 Wi-Fi ユーザの無線通信時間を公平に扱うための簡単なソリューションは存在しません。しかし Client Access では、シスコのユニファイド ローカル モード AP で処理される方法と同様に、(Client Fair Sharing ポリシーの有無に関わらず)SSID を介して利用時間の公平性を簡単に確保できます。
ATF をサポートするメッシュ ソリューションの概要を説明する前に、ATF について要約しておきましょう。Airtime Fairness(ATF)とは基本的に、SSID によって接続したクライアントに対して、ダウンストリーム方向の AP 無線通信時間を調整/適用するための機能です。ATF により、ワイヤレス ネットワークの各ユーザは無線通信時間の点で公平に扱われるため、SLA を(追加で)適用できます。つまり、特定 AP のワイヤレス キャパシティが特定のグループやユーザに偏ることを防止できる、重要な管理機能となります。サービス レベル契約(SLA)とは、サービス プロバイダーが提供するサービス レベルを定義した、(内/外いずれかの)サービス プロバイダーとエンドユーザとの間の契約です。SLA は顧客が受けるサービスを定義するため、アウトプット ベースと言えます。
ATF の動作モード
ATF モニタ モードにより、使用される全体的な通信時間の統計情報を表示して取得できます。つまり、すべての AP 送信における通信時間の使用を報告できるようになります。モニタ モードの ATF は、次のレベルで有効にできます。
- 無効モード:デフォルトでは、ATF は WLC で無効
- モニタ モード:ネットワークの通信時間の使用状況を監視する
- 適用:ポリシー モード:ネットワークの ATF ポリシーを割り当てる
- 厳密な適用
- 最適化
メッシュの ATF の設定
メッシュの ATF を設定するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 |
[Backhaul Client Access] を有効または無効に設定します。 |
ステップ 2 |
[RAP Downlink Backhaul] を、[5 Ghz] または [2.4 Ghz] に設定します。 |
ステップ 3 |
[ATF Policy] の [Weight] と [Client Sharing] を設定します |
ステップ 4 |
[Enforcement Mode] の [AP]、[AP Group]、[Network] と [Enforcement Type] を設定し、[WLAN] と [Policy] を適用します。 |
ステップ 5 |
[Mesh Universal Access Client Airtime Allocation] を設定します。
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