製品概要

個人所有デバイスの持ち込み(BYOD)による企業でのモバイル クライアントの急増、ミッションクリティカルなアプリケーションへのワイヤレスの導入、新しいビジネス モデルを実現するサービス プロバイダー ネットワークにおける Wi-Fi の採用などによって、ワイヤレス ネットワークでは、AP 規模の拡大、クライアント規模の拡大、スループットの向上が求められています。

Cisco 3504 ワイヤレス コントローラは、中小企業およびブランチ オフィスの展開で次世代無線ネットワークを実現できる、コンパクトで拡張性が高く、サービスが豊富な業界初のマルチギガビット イーサネット プラットフォームです。

Cisco 3504 ワイヤレス コントローラは、802.11ac Wave 2 のパフォーマンス向けに最適化されており、中小企業およびブランチ オフィスに対して、一元化された制御、管理、トラブルシューティングを提供します。また、同じコントローラで複数の導入モードをサポートする柔軟性を備えています。たとえば、キャンパスの環境では集中管理モード、WAN 経由で管理する小規模ブランチでは Cisco FlexConnect® モード、イーサネットケーブルが十分に利用できない展開ではメッシュ(ブリッジ)モードなどです。

3504 コントローラは、Cisco Unified Wireless Network のコンポーネントとして、Cisco Aironet® アクセス ポイント、Cisco Prime® Infrastructure、および Cisco モビリティ サービス エンジンの間のリアルタイム通信を提供するとともに、Cisco 5520 および 8540 のワイヤレス コントローラとの相互運用も可能です。

図 1. Cisco 3504 Wireless LAN Controller


Cisco WLC 3504 の主要な特徴

Cisco Unified Wireless Network Software リリース 8.5 は、150 台の AP、3,000 台のクライアント、および 4 Gbps のスループットをサポートし、ビジネスクリティカルなネットワークのために優れたパフォーマンスとスケールを確保できる、新しい Cisco WLC 3504 コントローラに対応しています。

表 1. 機能と利点
機能 利点
規模とパフォーマンス 802.11ac Wave 2 次世代ネットワークを実現するように最適化されており、下記をサポートします。
  • 4 Gbps スループット

  • 150 アクセス ポイント

  • 3000 クライアント

  • マルチギガビット(1、2.5、または 5)イーサネット インターフェイス x 1 + ギガビット イーサネット x 4

  • 512 VLAN

  • 150 AP グループ

  • 100 FlexConnect グループ

  • FlexConnect グループあたり 100 AP

  • 512 インターフェイス グループ

  • PMK キャッシュ サイズとして 14000

  • 1500 RFID のトラッキングをサポート

  • 最大で 600 不正 AP および 1500 不正クライアントの検出と抑制

  • RRM グループあたり 50 AP

  • 180000 AVC フロー

  • データベース サイズは 12000

冗長性とハイ アベイラビリティ
  • N+1 冗長性

  • SSO:真の「Box to Box」ハイ アベイラビリティ(つまり 1:1)

    • AP SSO

    • クライアント SSO

    • 中断のないアプリケーション可用性を実現するサブセカンド フェールオーバー

  • モビリティ グループによる WLC 冗長性

  • 1GE および mGig がある LAG(1Gig 用に使用可能にした場合)

AP モードのサポート
  • Local、FlexConnect、Monitor、Rogue Detector、Sniffer、Bridge、および Flex+Bridge

AP プラットフォームのサポート
  • 1260、3500、600

  • 1600、2600、3600

  • 1700、2700、3700

  • 1800、2800、3800

  • 1815T、OEAP 1810、OEAP 600

  • 1815l、1815W、1810W、702I、702W

  • 1530、1540、1550、1560、1570

セキュリティ
  • TrustSec SXP、SGT をサポート

  • Cisco Stealthwatch による Netflow モニタ

  • リモート WAN リンクを介したアクセス ポイントとコントローラとの間での制御プレーンの DTLS 暗号化

  • 管理フレーム保護により、悪意のあるユーザを検出し、ネットワーク管理者に通知

  • Payment Card Industry(PCI)基準に準拠した不正検出

    不正なアクセス ポイントと、DoS 攻撃の検出

容易な導入
  • CLI セットアップ ウィザード、サービス ポートを使用した WLAN Express Setup、サービス ポートおよびデータ ポート 1 を使用した自動インストール。

移行が可能
  • 展開時間の短縮のためのRight-to-use(エンド ユーザ ライセンス同意 [EULA] 許容)ライセンス イネーブルメント

  • ビジネス ニーズの拡大に応じてアクセスポイントを柔軟に追加できる柔軟性(最大 150 アクセス ポイント)

  • シスコのスマート ソフトウェア ライセンス

  • WLC5520 および WLC8540 からのライセンス移植性


(注)  

特に断りがない限り、Cisco WLC 3504 には Cisco WLC 5520 と同等のソフトウェア機能があります。


サポートされるソフトウェア リリースと相互運用性

  • AireOS® リリース:AireOS® リリース 8.5.103.0 以降

  • Cisco Prime Infrastructure:リリース 3.2

  • Identity Services Engine:ISE リリース 2.2 以降を推奨

  • Connected Mobility Experiences(CMX):10.2 以降

プラットフォーム コンポーネント

Cisco WLC 3504 の前面パネルについて

Cisco WLC 3504 は、前面パネルでいくつかのインターフェイスとステータス LED インジケータをサポートしています。
図 2. WLC 3504 の前面パネル インターフェイス


表 2. WLC 3504 の前面パネル インターフェイス
WLC 3504 上のインターフェイス 上の図での対応するポート 説明
サービス ポート 1 アウトオブバンド管理用の専用サービス ポート
コンソール 2 および 3 WLC 3504 には 2 つのコンソール ポート(シリアル RJ45 コンソール ポートと mini USB ポート)があります。これらのコンソール ポートは排他的設定です。つまり、稼働できるのは一度に 1 つのみです。両方のコンソール ポートに接続すると、RJ45 が優先されます。
USB 4 USB 3.0 ポートは、すでに使用可能な転送モード(HTTP、TFTP、FTP、および SFTP)に加えて、ソフトウェア アップデートを実行するために使用できます。
mGig ポート 5 データ接続用の 1 つの mGig ポートがあり、1、2.5、および 5 Gbps として設定できます。
GiGE ポート WLC 3504 には、データ接続用に 4 つのギガビット イーサネット ポートがあります。ポート 3 およびポート 4 は PoE Out に対応し、802.3at で給電できます。
リセット 7 リセット ボタンを使用すると、WLC 3504 を工場出荷時のデフォルトにリセットできます。
ステータス LED 8 WLC 3504 の前面パネルには 3 個の LED があります。それらはシステム LED、アラーム LED、ハイ アベイラビリティ LED です。LED の状態については、LED インジケータのセクションを参照してください。
冗長ポート 9 WLC 3504 は、WLC 5520 および WLC 8540 と同様のハイ アベイラビリティをサポートします。冗長ポートは、バックツーバックまたは L2 スイッチで接続できます。

LED ステータス インジケータ

WLC 3504 の前面パネルには 3 個の LED があります。LED のタイプ:

  • システム LED

  • アラーム LED

  • ハイ アベイラビリティ LED

図 3. LED インジケータ


表 3. LED インジケータ
LED インジケータ 上の図での対応するアイコン
システム 1
アラーム 2
ハイ アベイラビリティ 3

LED の状態の定義は、以下の表を参照してください。

表 4. システム LED インジケータ
機能 システム LED の状態
グリーン オレンジ
システム電源オン 消灯 点滅
システム ブート 点滅 消灯
ブート後 点灯 消灯
コントローラ イメージのアップグレード 点灯 消灯
システム クラッシュ 消灯 点灯
ファームウェア アップグレード 消灯 点灯
内部電圧エラー 消灯 点滅
温度エラー 消灯 消灯
表 5. アラーム LED インジケータ
機能 アラーム LED の状態
グリーン オレンジ
システム電源オン 消灯 点灯
システム ブート 消灯 点灯
ブート後 消灯 消灯
コントローラ イメージのアップグレード 点滅 消灯
システム クラッシュ 消灯 消灯
ファームウェア アップグレード 消灯 点灯
内部電圧エラー 消灯 点灯
温度エラー 消灯 点滅
表 6. ハイ アベイラビリティ LED インジケータ
機能 ハイ アベイラビリティ LED インジケータの状態
ピア コントローラとペアの HA ポート グリーンが点灯
HA ホット スタンバイ グリーンがゆっくり点滅
起動および HA コールド スタンバイ オレンジがゆっくり点滅
HA メンテナンス オレンジが高速に点滅
ピア未検出 オレンジが点灯
スタンバイ/HA 無効 消灯

Cisco WLC 3504 の背面パネルについて

WLC 2504 と同様、WLC 3504 の電源コネクタはシャーシ背面にあります。これは 4 ピン ロッキング Molex MiniFit Jr. ジャックです。Kensington 盗難防止用ワイヤーを接続する Kensington セキュリティ ポートもあります。

図 4. WLC 3504 バック パネル インターフェイス


表 7. WLC 3504 バック パネル インターフェイス
WLC 3504 上のインターフェイス 上の図での対応するポート 説明
電源ポート 1 4 ピン ロッキング Molex MiniFit Jr. ジャック
ヒート フィン 2 ヒート フィン
セキュリティ ポート 3 Kensington セキュリティ ポート

WLC 3504 電源

WLC 3054 には、1 本の電源(PWR-115W-AC)があります。これは 12V/54VDC デュアル出力電源です(システムの 2 つの 802.3at PoE Out ポートと 12VDC をサポートする十分な能力があります)。

Cisco WLC 3504 の展開

Cisco WLC 3504 は、サービス ポートと CLI を使用した展開をサポートします。このガイドでは、以下に両方の方法を説明します。


(注)  

OTA プロビジョニングは、リリース 8.5 の WLC 3504 ではサポートされていません。


サービス ポート経由での WLC 3504 の展開

Cisco WLC 3504 のサービス ポートは、次の管理サービスをサポートします。

  1. HTTP/HTTPS Web ベースのアクセス

  2. SNMP ポーリング v2 および v3

  3. Syslog

  4. SSH または Telnet

  5. ダウンロードおよびアップロードの転送

サービス ポートを使用して WLC 3504 を展開するには、次の手順に従います。

手順


ステップ 1

PC の有線イーサネット ポートを WLC 3504 のサービス ポートに直接接続します。

ステップ 2

WLC 3504 の電源を入れます。

ステップ 3

PC は、192.168.0.x ネットワークの IP アドレスを取得する必要があります。

ステップ 4

ブラウザを開き、http://192.168.0.1 にアクセスします。セットアップ ウィザードが開始されます。

ステップ 5

以下に示すようにして、WLC の管理者アカウントを作成します。



ステップ 6

[Set Up Your Controller] セクションで、以下を入力します。

  • [System Name]:システム名を入力します。

  • [Country]:国を選択します。

  • [Date & Time]:日時を手動で選択します。

  • [Tiemzone]:タイムゾーンを選択します。

  • [NTP Server]:日時を手動で選択したくない場合は、NTP サーバの IP アドレスを入力することもできます。

  • [Management IP Address]:コントローラの管理 IP アドレスを入力します。

  • [Subnet Mask]:コントローラのサブネット マスクを入力します。

  • [Default Gateway]:コントローラのデフォルト ゲートウェイを入力します。

  • [Management VLAN ID]:タグ付きの場合は、管理 VLAN ID を入力します。そうでない場合はブランクのままにします。



ステップ 7

[Create Your Wireless Network] の下で、以下を入力します。

  • [Network Name]:ネットワーク名を入力します。これは SSID になります。

  • [Security]:この WLAN のセキュリティを入力します。ここでは「WPA2 Personal」を選択しています。

  • [Passphrase]:SSID のパスフレーズを入力します。

  • [VLAN]:WLAN が Management と同じネットワーク上にある場合は、「Management VLAN」を選択します。そうでない場合は、WLAN の VLAN ID を入力します。

  • [DHCP Server]:これはオプションですが、WLAN クライアント用の DHCP サーバを入力できます。



ステップ 8

[RF Parameter Optimization] を有効にして、[Client Density] と [Traffic Type] を選択します。

ステップ 9

以下も入力します。

  • [Virtual IP Address]:仮想 IP アドレスを入力します。

  • [Local Mobility Group]:ローカル モビリティ グループ名を入力します。

  • [Service Port Interface]:サービス ポートに DHCP サーバから IP アドレスを取得させる場合は、これを DHCP のままにしておきます。サービス ポートは一般的にはアウトオブバンド管理に使用され、コントローラ管理ネットワークとは異なるネットワーク上に存在させる必要があります。



ステップ 10

以下の設定を確認します。WLC は再起動します。



ステップ 11

再起動したら、Web ブラウザを開き、WLC 3540 管理 WebUI に移動します。


CLI を使用した WLC 3504 の展開

WLC 3504 の展開は、5508 および 5520 WLC の展開方法と同様です。

WLC 3504 を展開するには、以下の手順に従います。

手順


ステップ 1

WLC 3504 のコンソールに接続します。

ステップ 2

(Cisco Controller) 

Welcome to the Cisco Wizard Configuration Tool
Use the '-' character to backup


Would you like to terminate autoinstall? [yes]: yes
AUTO-INSTALL: process terminated -- no configuration loaded

Enter Administrative User Name (24 characters max): admin
Enter Administrative Password (3 to 24 characters): ********
Re-enter Administrative Password                 : ********

Service Interface IP Address Configuration [static][DHCP]: 

Enable Link Aggregation (LAG) [yes][NO]: NO

Management Interface IP Address: 172.20.229.21
Management Interface Netmask: 255.255.255.192
Management Interface Default Router: 172.20.229.2
Cleaning up Provisioning SSID
Management Interface VLAN Identifier (0 = untagged): 122
Management Interface Port Num [1 to 5]: 1
Management Interface DHCP Server IP Address: 172.20.229.2

Enable HA [yes][NO]: NO

Virtual Gateway IP Address: 10.0.0.1   

Mobility/RF Group Name: WLC3504

Network Name (SSID): EMPLOYEE-3504

Configure DHCP Bridging Mode [yes][NO]: NO

Allow Static IP Addresses [YES][no]: 

Configure a RADIUS Server now? [YES][no]: no
Warning! The default WLAN security policy requires a RADIUS server.
Please see documentation for more details.

Enter Country Code list (enter 'help' for a list of countries) [US]: 

Enable 802.11b Network [YES][no]: YES
Enable 802.11a Network [YES][no]: YES
Enable 802.11g Network [YES][no]: YES
Enable Auto-RF [YES][no]: YES

Configure a NTP server now? [YES][no]: YES
Enter the NTP server's IP address: 171.68.38.65
Enter a polling interval between 3600 and 604800 secs: 3600

Would you like to configure IPv6 parameters[YES][no]: no

Configuration correct? If yes, system will save it and reset. [yes][NO]: yes
 Cleaning up DHCP Server
Cleaning up Provisioning SSID
Cleaning up Provisioning SSID
Updating HBL license statistics file
 Done.

Configuration saved!
Resetting system with new configuration...

Cisco WLC 3504 により実現するハイ アベイラビリティ

ハイ アベイラビリティは、ボックスツーボックス冗長性を確保します。つまり、1 つの WLC がアクティブ状態になり、2 つ目の WLC が冗長ポートを介してアクティブ WLC の状態を継続的にモニタするホット スタンバイ状態になる 1 対 1 対応です。両方の WLC では、管理インターフェイスの IP アドレスなど、同じ設定を共有します。設定全体が冗長ポートを介してアクティブ WLC からスタンバイ WLC に同期されるため(起動時のバルク設定および実行時の増分設定)、スタンバイ状態の WLC を個別に設定する必要はありません。AP の CAPWAP 状態(run 状態の AP のみ)も同期され、AP データベースのミラー コピーがスタンバイ WLC 上で維持されます。アクティブ WLC が故障した場合、AP は Discovery 状態にならず、スタンバイ WLC がネットワークのアクティブ WLC を引き継ぎます。

プリエンプション機能はありません。以前のアクティブ WLC が復帰した場合、この WLC はアクティブ WLC の役割を引き継ぎませんが、現在のアクティブ WLC と状態をネゴシエートしてスタンバイ状態に遷移します。

他の WLC と同様、WLC 3504 も AP SSO とクライアント SSO の両方をサポートしています。以下に示すのは、HA セットアップで RP ポートを使用して 2 つの WLC 3504 に接続する方法(バックツーバック)です。


(注)  

さらに、L2 スイッチを介して RP ポートに接続することもできます。


HA セットアップで WLC 3504 のペアを有線ネットワークに接続するには、次の展開例を使用できます。WLC 3504 からスイッチへの 2 つのリンクのみが表示されていますが、4 つすべての GE リンクと LAG 用の mGig リンクを接続できることに注意してください。

WLC は、他の WLC と同じ HA 構成をサポートします。ハイ アベイラビリティを設定するには、以下のリンクで HA 導入ガイドを参照してください。 http://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/controller/technotes/8-1/HA_SSO_DG/High_Availability_DG.html

WLC 3504 での mGig ポートの設定

WLC 3504 には、1 つの mGig ポートと 4 つの GE ポートがあります。ポートについては、以下に注意してください。

  • mGig ポートは、WLC UI ではポート 5 として表示されます。

  • mGig ポートと 4 つの GE ポートはスイッチ接続に使用できます。

  • 4 つの GE ポートのみを直接 AP 接続に使用できます。

  • mGig ポートは、1G、2.5G、および 5G として設定できます。

  • mGig を 5G で使用できるようにする場合、4 つの GE ポートは 100 Mbps に設定されます。

  • mGig を 2.5G で使用できるようにする場合、GE1 と GE2 は 1G のままになり、GE3 と GE4 は 100 Mbps に設定されます。

  • mGig を 1G 用に設定する場合、GE1、GE2、GE3、および GE4 は 1Gbps に設定されます。

mGig ポートの速度を変更するには、次の手順に従います。

手順


ステップ 1

WLC WebUI に移動して、[Controller] > [Ports] にアクセスします。ポート 5 をクリックします。



ステップ 2

最大速度を 1000、2550、または 5000 のいずれかに設定します。mGig ポートで速度が 2500 または 5000 に設定されている場合、そのポートはサポートできる最大速度について対応するスイッチ ポートとネゴシエートします。


WLC とスイッチとの間での LAG の設定

リンク集約(LAG)は、802.3ad ポート集約標準の部分的な実装です。コントローラのすべてのディストリビューション システム ポートが 1 つの 802.3ad ポート チャネルにまとめられるので、コントローラのポートの設定に必要な IP アドレスの数を減らすことができます。LAG が有効である場合、ポートの冗長性はダイナミックに管理され、アクセス ポイントはユーザからは透過的にロード バランシングされます。

LAG を使用すれば、インターフェイスごとにプライマリ ポートとセカンダリ ポートを設定する必要がないので、コントローラ設定も簡単に行えるようになります。いずれかのコントローラ ポートに障害が発生した場合は、他のポートへトラフィックが自動的に移行します。少なくとも 1 つのコントローラ ポートが機能している限り、システムは継続して動作し、アクセス ポイントはネットワークに接続されたままとなります。また、ワイヤレス クライアントは引き続きデータを送受信します。


(注)  

Cisco WLC は、LAG のインターフェイスで CDP アドバタイズメントを送信しません。


リンク集約の制約事項

  • Cisco WLC 3504 上の 5 個すべてのポートを 1 本のリンクにまとめることができます。

  • LAG で WLC 3504 上に mGig ポートを組み込む場合には、1Ggig 用に設定する必要があります。

  • LAG を行うには、コントローラと Catalyst スイッチの両方で EtherChannel が on モードに設定されている必要があります。

  • 1 台の Catalyst 6500 シリーズ スイッチの中の 2 つのモジュールで終端することによって冗長化されるので、一方のモジュールに障害が発生してもスイッチとコントローラの間の接続は維持されます。コントローラのポート 1 は Catalyst 6500 シリーズ スイッチのギガビット インターフェイス 3/1 に接続されており、コントローラのポート 2 はギガビット インターフェイス 2/1 に接続されています。どちらのスイッチ ポートも、同じチャネル グループに割り当てられています。

  • リンクの両端で EtherChannel を on に設定した後は、Catalyst スイッチを Link Aggregation Control Protocol(LACP)あるいは Cisco 独自のポート集約プロトコル(PAgP)に設定することはできません。無条件に LAG に設定されます。コントローラとスイッチの間のチャネル ネゴシエーションは行われないため、スイッチで LAG のダイナミック フォームが設定されている場合は、コントローラはネゴシエーション フレームに応答せず、LAG は構成されません。また、LACP と PAgP はコントローラではサポートされません。

  • 推奨されるロード バランシング方法を Catalyst スイッチ上で設定できない場合は、LAG 接続を単一メンバ リンクとして設定するか、コントローラで LAG を行わないように設定します。

  • 1 つのコントローラの複数のポートを別々の LAG グループに設定することはできません。1 つのコントローラがサポートする LAG グループは 1 つのみです。したがって、LAG モードのコントローラ 1 つを接続できる隣接デバイスは 1 つのみです。

  • LAG を有効化したときや、LAG の設定に変更を加えたときは、ただちにコントローラをリブートしてください。

  • LAG を有効にした場合、必要な論理ポートは 1 つだけなので、AP マネージャ インターフェイスを 1 つだけ設定できます。LAG を使用する場合、複数の AP マネージャ インターフェイスはサポートされません。

  • LAG を有効にした場合、ダイナミック AP マネージャ インターフェイス、およびタグの付いていないインターフェイスはすべて削除されます。同時に、WLAN がすべて無効になり、管理インターフェイスにマッピングされます。また、管理インターフェイス、スタティック AP マネージャ インターフェイス、および VLAN タグ付きダイナミック インターフェイスは、LAG ポートに移されます。

  • 複数のタグなしインターフェイスを同じポートに割り当てることはできません。

  • LAG を有効にした場合、29 以外のプライマリ ポートを使用してインターフェイスを作成することはできません。

  • LAG が有効化されているときは、LAG モードの変更をアクティブにするためにコントローラをリブートするまで、アクセス ポイントはスイッチに接続されたままになります。また、ユーザに対するデータ サービスが中断されることはありません。

  • LAG が有効化されているときは、コントローラがパケットを受信したポートと同じポートからパケットが送信されます。アクセス ポイントからの CAPWAP パケットがコントローラの物理ポート 1 に入ると、コントローラによって CAPWAP カプセリングが除去され、パケットが処理され、物理ポート 1 からネットワークに転送されます。LAG が無効化されている場合は、このようにはならないことがあります。

  • LAG を無効化すると、管理、スタティックAP マネージャ、およびダイナミックの各インターフェイスはポート 1 に移されます。

  • LAG を無効にする場合、コントローラ上の各ポートに AP マネージャ インターフェイスを割り当てる必要があります。そうしない場合、アクセス ポイントは join できません。

WLC での LAG の設定

LAG を設定するには、以下の手順に従います。

手順


ステップ 1

[Controller] > [General] の順に選択して、[General] ページを開きます。

ステップ 2

[LAG Mode on Next Reboot] パラメータを [Enabled] に設定します。

ステップ 3

設定を保存します。

ステップ 4

Cisco WLC をリブートします。

ステップ 5

WLAN を適切な VLAN に割り当てます。


リンク集約をサポートするための隣接デバイスの設定

コントローラの隣接デバイスも、LAG をサポートするように適切に設定する必要があります。

コントローラが接続されている隣接ポートはそれぞれ、次のように設定します。

interface GigabitEthernet <interface id>
 switchport
 channel-group <id> mode on
 no shutdown
隣接スイッチのポート チャネルは、次のように設定する必要があります。
interface port-channel <id>
 switchport
 switchport trunk encapsulation dot1q
 switchport trunk native vlan <native vlan id>
 switchport trunk allowed vlan <allowed vlans>
 switchport mode trunk
 no shutdown

USB を使用した WLC 3504 のアップグレード

USB によるアップグレードは、Cisco WLC 3504 で利用できる新しい転送モードです。USB を使用してアップグレードするには、次の手順に従います。

手順


ステップ 1

WLC 3504 ソフトウェア イメージを USB にダウンロードして、WLC 3504 の前面パネルの USB インターフェイスに挿入します。

ステップ 2

WLC CLI にログインして、次のコマンドを実行します。

(Cisco Controller) >config usb enable
ステップ 3

WLC WebUI にログインして、以下に示すように [COMMANDS] メニューに移動します。

  • [File Type] に [Code] を選択します。

  • [Transfer Mode] に、ドロップダウン リストから [USB] を選択します。

  • USB のファイルへのパスを入力します。

  • USB 上のファイル名を入力します。



ステップ 4

[Download] ボタンをクリックしてソフトウェアのダウンロードを開始し、確認ウィンドウが表示されたら [OK] をクリックします。

ステップ 5

ソフトウェアのダウンロードが完了したら、WLC を再起動して新しいソフトウェアを実行してください。

以下に示すのは、USB からソフトウェア ダウンロードを実行しているときの、WLC CLI のデバッグ メッセージです。

(Cisco Controller) >debug transfer all enable 

*TransferTask: Jun 05 14:12:54.325: Memory overcommit policy changed from 0 to 1

*TransferTask: Jun 05 14:12:54.325: Delete ramdisk for ap bundle

*TransferTask: Jun 05 14:12:54.336: RESULT_STRING: USB Code transfer starting.

*TransferTask: Jun 05 14:12:54.336: RESULT_CODE:1

*TransferTask: Jun 05 14:12:58.902: RESULT_STRING: USB receive complete... extracting components.

*TransferTask: Jun 05 14:12:58.902: RESULT_CODE:6

*TransferTask: Jun 05 14:13:14.501: RESULT_STRING: Checking Version Built.

*TransferTask: Jun 05 14:13:16.501: RESULT_STRING: Image version check passed.

*TransferTask: Jun 05 14:13:19.501: RESULT_STRING: Executing Product Check TLV.

*TransferTask: Jun 05 14:13:19.502: RESULT_STRING: Executing Version Built TLV.

*TransferTask: Jun 05 14:13:19.502: RESULT_STRING: Executing init script.

*TransferTask: Jun 05 14:13:19.515: RESULT_STRING: Executing backup script.

*TransferTask: Jun 05 14:13:20.583: RESULT_STRING: Writing new RTOS to flash disk.

*TransferTask: Jun 05 14:13:28.094: RESULT_STRING: Executing install_rtos script.

*TransferTask: Jun 05 14:13:31.278: RESULT_STRING: Writing new Kernel-args to flash disk.

*TransferTask: Jun 05 14:13:31.284: RESULT_STRING: Writing new FP to flash disk.

*TransferTask: Jun 05 14:13:31.989: RESULT_STRING: Writing new AP Image Bundle to flash disk.

*TransferTask: Jun 05 14:13:51.759: RESULT_STRING: Writing AVC Files to flash disk.

*TransferTask: Jun 05 14:14:00.311: RESULT_STRING: Reading AP IMAGE version info.

*TransferTask: Jun 05 14:14:00.316: RESULT_CODE:11

*TransferTask: Jun 05 14:14:00.316: RESULT_STRING: File transfer is successful.  
Reboot the controller for update to complete.  
Optionally, pre-download the image to APs before rebooting to reduce network downtime.

*TransferTask: Jun 05 14:14:06.322: Create ramdisk for ap bundle

*TransferTask: Jun 05 14:14:06.335: Memory overcommit policy restored from 1 to 0