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この章では、RAID(Redundant Array of Independent Disks)、RAID の機能と利点、RAID コンポーネント、RAID レベル、および設定計画について説明します。
RAID は、高いパフォーマンスと耐障害性を提供する独立した物理ドライブのアレイ、つまりグループです。RAID ドライブ グループは、入出力(I/O)パフォーマンスおよび信頼性を向上します。RAID ドライブ グループは、単一のストレージ ユニットとして、または複数の仮想ユニットとしてホスト コンピュータに認識されます。複数のドライブに同時にアクセスできるため、I/O が促進されます。
RAID ドライブ グループでは、単一ドライブのストレージ システムに比べてデータ ストレージの信頼性と耐障害性が高まります。ドライブ障害によるデータ損失は、残りのドライブから不明データを再構築することによって防止できます。RAID は、I/O パフォーマンスを向上し、ストレージ サブシステムの信頼性を高めます。
RAID レベルは、大規模なディスク サブシステムに保存されたデータの可用性と冗長性を確保するシステムを表したものです。RAID レベルの詳細については、「RAID レベル」を参照してください。RAID ドライブ グループ コンポーネントおよび RAID レベルについては、以降の項で説明します。
ドライブ グループは、物理ドライブのグループです。これらのドライブは、仮想ドライブと呼ばれるパーティションで管理されます。
仮想ドライブは、ドライブ上の連続するデータ セグメントで構成された、ドライブ グループ内のパーティションです。仮想ドライブは、1 つのドライブ グループ全体、複数のドライブ グループ全体、1 つのドライブ グループの一部、複数のドライブ グループの一部、またはこれらの条件のいずれか 2 つの組み合わせで構成することができます。
ディスク ストライピング(RAID レベル 0 で使用)は、1 つのドライブだけではなく、複数のドライブにまたがったデータの書き込みを可能にします。ディスク ストライピングは、8 ~ 1024 KB のさまざまなサイズのストライプへの各ドライブ ストレージ スペースのパーティション化を伴います。これらのストライプは、順次繰り返す方法でインターリーブされます。結合型のストレージ スペースは、各ドライブからのストライプで構成されます。ストライプ サイズは RAID ドライブ グループ間で統一することをお勧めします。
たとえば、ディスク ストライピングだけを使用する 4 ディスク システムでは、セグメント 1 はディスク 1、セグメント 2 はディスク 2 というように書き込まれます(図 1-1 を参照)。ディスク ストライピングでは複数のドライブに同時にアクセスできるので、パフォーマンスは向上しますが、データの冗長性は提供されません。
ストライプの幅は、ストライピングが実装されているドライブ グループに含まれるドライブの数です。たとえば、ディスク ストライピングが実装された 4 ディスク ドライブ グループのストライプ幅は 4 です。
ストライプ サイズは、パリティ ドライブを除く複数のドライブにまたがって RAID コントローラが書き込む、インターリーブされたデータ セグメントの長さです。たとえば、64 KB のディスク スペースを持つストライプがあり、ストライプ内の各ディスクに 16 KB のデータが存在するとします。この場合、ストライプ サイズは 64 KB で、ストリップ サイズは 16 KB になります。
ディスク ミラーリング(RAID 1 および RAID 10 で使用)では、あるドライブに書き込まれるデータが、同時に別のドライブにも書き込まれます。ディスク ミラーリングの主な利点は、100 % のデータ冗長性が提供されることにあります。ディスクのコンテンツは 2 番目のディスクに完全に書き込まれるので、一方のディスクに障害が発生してもデータは失われません。また、どちらのドライブにも同時に同じデータが格納されるので、いずれかのディスクは運用ディスクとして機能できます。一方のディスクに障害が発生した場合、他方のディスクのコンテンツを使用してシステムを実行し、障害の発生したディスクを再構築できます。
ディスク ミラーリングは、100 % の冗長性を提供しますが、システム内の各ドライブを複製する必要があるので高価です(図 1-2 を参照)。
パリティは、2 つ以上の親データ セットから一組の冗長データを生成します。ドライブ障害が発生した場合は、冗長データを使用して、いずれかの親データ セットを再構築できます。パリティ データは親データ セットを完全には複製しませんが、パリティ生成によって書き込みプロセスが遅くなる場合があります。RAID では、この方法は、ドライブ全体、またはドライブ グループ内のすべてのドライブにまたがるストライプに適用されます。パリティには次の 2 種類があります。
• 専用パリティ:2 つ以上のドライブ上のパリティ データが、追加のディスクに保存されます。
• 分散パリティ:パリティ データはシステム内の複数のドライブに分散されます。
RAID 5 では、分散パリティとディスク ストライピングが組み合わされます(図 1-3 を参照)。1 つのドライブに障害が発生した場合、残りのドライブ上のパリティとデータからドライブを再構築できます。RAID 5 は、ドライブ全体のコンテンツを複製するのではなく、パリティを使用して、1 つのドライブ障害に対応する冗長性を提供します。RAID 6 も、分散パリティとディスク ストライピングを使用しますが、最大 2 つのドライブ障害に対処できるように、2 つめのパリティ データ セットを追加します。
(注) パリティは、ドライブ グループ内のすべてのドライブに分散されます。
ディスク スパニングを使用すると、複数のドライブを 1 つの大きなドライブのように機能させることができます。スパニングは、既存のリソースを結合したり、比較的安価なリソースを追加したりすることによってディスク スペースの不足を解消し、ストレージ管理を容易にします。たとえば、4 つの 20 GB ドライブは、1 つの 80 GB ドライブとしてオペレーティング システムに認識されるように結合できます。
スパニングだけでは、信頼性やパフォーマンスの向上は果たせません。スパンされた仮想ドライブは、ストライプ サイズが同じで、連続している必要があります。図 1-4 では、RAID 1 ドライブ グループが RAID 10 ドライブ グループに変わっています。
(注) 1 つのスパンに障害が発生しても、ドライブ グループ全体を失わないように、スパンが異なるバックプレーンに存在するようにしてください。
連続する 2 つの RAID 0 仮想ドライブをスパンしても、新しい RAID レベルが作成されることも、耐障害性が追加されることもありません。物理ディスクの数が倍になることで、仮想ドライブの容量が増え、パフォーマンスが向上します。
表 1-1 では、スパニングによって RAID 00、RAID 10、RAID 50、および RAID 60 を設定する方法を説明します。仮想ドライブのストライプ サイズは同一である必要があり、スパンの最大数は 8 になります。仮想ドライブをスパンするときは、全ドライブ容量が使用されます。それより小さいドライブ容量を指定することはできません。
ホット スペアは、ディスク サブシステムの一部である未使用の余分なドライブです。通常はスタンバイ モードにあり、ドライブに障害が発生した場合のサービスに備えています。RAID 仮想ドライブに使用されているドライブに障害が発生すると、ホット スペアが自動的にそのドライブに取って代わり、障害の発生したドライブ上のデータがホット スペア上に再構築されます。ホット スペアは、RAID レベル 1、5、6、10、50、および 60 に使用できます。
ホット スペアは、システムのシャットダウンやユーザの介入なしに、障害が発生したドライブを交換することを可能にします。MegaRAID SAS RAID コントローラは、ホット スペア ドライブを使用して、障害の発生したドライブを自動的かつ透過的に再構築することができ、高度な耐障害性とゼロ ダウンタイムを実現します。
(注) 同じドライブ セット(スライス構成)で RAID 0 および RAID 5 仮想ドライブを実行している場合、RAID 0 仮想ドライブが削除されるまで、ドライブの障害発生後にホット スペアへの再構築は行われません。
LSI RAID 管理ソフトウェアでは、ドライブをホット スペアとして指定できます。ホット スペアが必要な場合、RAID コントローラは、障害の発生したドライブの容量に最も近く、それ以上の容量を持つホット スペアをそのドライブの代わりとして割り当てます。ホット スペアへの再構築が始まると、障害の発生したドライブは仮想ドライブから削除され、取り外し待機中の ready マークが付けられます。ホット スペアは、RAID 仮想ドライブに含まれないドライブで構成できます。
RAID 管理ソフトウェアを使用すると、エンクロージャ アフィニティを持つようにホット スペアを指定できます。つまり、ドライブ障害がスプリット バックプレーン構成に存在する場合、ホット スペアはまず、それ自体が存在するバックプレーン サイドで使用されます。
ホット スペアは、エンクロージャ アフィニティを持つように指定されている場合、他のバックプレーン上の他のドライブを再構築する前に、そのホット スペアが存在するバックプレーン上で障害の発生したドライブの再構築を試みます。
(注) ホット スペアへの再構築がなんらかの理由で失敗した場合、ホット スペア ドライブには failed のマークが付けられます。ソース ドライブに障害が発生すると、ソース ドライブとホット スペア ドライブの両方に failed のマークが付けられます。
グローバル ホット スペア ドライブは、その容量が障害の発生したドライブの容量以上である限り、冗長ドライブ グループ内で障害の発生したドライブの交換に使用できます。どのチャンネルに定義されたグローバル ホット スペアでも、両方のチャネルで障害の発生したドライブの交換に使用できる必要があります。
専用ホット スペアは、選択したドライブ グループ内で障害の発生したドライブのみの交換に使用できます。1 つまたは複数のドライブをスペア ドライブ プールのメンバーとして指定できます。フェールオーバーに最も適したドライブが、プールから選択されます。専用ホット スペアは、グローバル ホット スペア プールのドライブよりも先に使用されます。
ホット スペア ドライブは、任意の RAID チャネルに配置できます。スタンバイ ホット スペア(RAID ドライブ グループに使用されていない)は、最低でも 60 秒おきにポーリングされ、そのステータスはドライブ グループ管理ソフトウェアで確認できます。RAID コントローラは、システム内にあるものの、最初はホット スペアとして設定されていないディスクで再構築する機能を提供します。
ホット スペアを使用する際は、次のガイドラインに従ってください。
• ホット スペアは、RAID レベル 1、5、6、10、50、および 60 など、冗長性のあるドライブ グループでのみ使用されます。
• 特定の RAID コントローラに接続しているホット スペアを使用して、同じコントローラに接続しているドライブのみを再構築できます。
• コントローラ BIOS を介して 1 つまたは複数のドライブにホット スペアを割り当てるか、ドライブ グループ管理ソフトウェアを使用してホット スペアをホット スペア プールに入れる必要があります。
• ホット スペアには、交換するドライブ以上の空きスペースが必要です。たとえば、18 GB ドライブを交換するには、ホット スペアが 18 GB 以上でなければなりません。
RAID ドライブ グループ内のドライブに障害が発生した場合、障害発生前にドライブに格納されていたデータを再作成することによってドライブを再構築できます。RAID コントローラは、ドライブ グループ内の他のドライブに格納されたデータを使用して、データを再作成します。再構築は、RAID 1、5、6、10、50、および 60 ドライブ グループなど、データ冗長性を持つドライブ グループでのみ実行できます。
RAID コントローラは、ホット スペアを使用して、ユーザ定義の再構築レートで、障害の発生したドライブを自動的かつ透過的に再構築します。ホット スペアが使用可能である場合、ドライブに障害が発生すると再構築が自動的に開始されます。ホット スペアが使用できない場合には、障害の発生したドライブを新しいドライブと交換して、障害の発生したドライブ上のデータが再構築されるようにする必要があります。
ホット スペアへの再構築が始まると、障害の発生したドライブは仮想ドライブから削除され、取り外し待機中の ready マークが付けられます。再構築中にシステムがダウンした場合、システムのリブート後に、RAID コントローラは自動的に再構築を再開します。
(注) ホット スペアへの再構築が始まると、障害の発生したドライブは多くの場合、管理アプリケーションで検出される前に仮想ドライブから削除されます。この状況が発生すると、イベント ログには、ホット スペアに再構築しているドライブが表示され、障害の発生したドライブは表示されません。ホット スペアへの再構築が開始された後は、以前に障害の発生したドライブに ready のマークが付けられます。
(注) ホット スペアへの再構築中にソース ドライブに障害が発生すると、そのソース ドライブには offline のマークが付けられます。また、再構築中のホット スペア ドライブはホット スペアに戻ります。ソース ドライブの障害で再構築が失敗した後も、専用ホット スペアは専用として適切なドライブ グループに割り当てられたままであり、グローバル ホット スペアはグローバルのままです。
RAID レベルの移行中にドライブを交換する場合、ドライブの自動再構築は開始されません。拡張または移行手順が完了した後は、再構築を手動で開始する必要があります。(RAID レベルの移行によって、仮想ドライブの RAID レベルが別の RAID レベルに変わります)。
ホットスワップとは、コンピュータの動作中(通常機能の実行中)に欠陥のあるドライブ装置を手動で交換することです。新しいドライブが設置されると、次のいずれかの場合に自動的に再構築が行われます。
• 新しく挿入されたドライブに、障害の発生したドライブ以上の容量がある。
• 新しいドライブが、交換対象の障害発生ドライブと同じドライブ ベイに設置されている。
新しいドライブを検出し、ドライブのコンテンツを自動的に再構築するように、RAID コントローラを設定できます。機能を有効にするには、バックプレーンおよびエンクロージャでホットスワップがサポートされている必要があります。
ドライブ状態とは、ドライブのステータスを示すプロパティです。表 1-2 では、ドライブ状態について説明します。
仮想ドライブ状態とは、仮想ドライブのステータスを示すプロパティです。 表 1-3 では、仮想ドライブ状態について説明します。
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RAID 6 仮想ドライブの動作状態が最適ではありません。設定されたドライブのいずれかに障害が発生したか、オフラインの状態です。RAID 6 は、最大 2 つのドライブ障害を許容できます。 |
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MegaRAID コントローラは、RAID レベル 0、00、1、5、6、10、50、および 60 をサポートします。また、独立したドライブ(RAID 0 および RAID 00 として設定されている)もサポートします。次の項では、サポートされる RAID レベルの要約を示します。
• RAID 0 は、ストライピングを使用して、特に耐障害性を必要としない環境にある大規模なファイルに対して、高いデータ スループットを提供します。
• RAID 1 ではミラーリングを使用して、あるドライブに書き込まれたデータが、必要容量は小さいけれども完全なデータ冗長性を必要とする小規模なデータベースやその他のアプリケーションに適した別のドライブに、同時に書き込まれるようにします。
• RAID 5 では、すべてのドライブにまたがるディスク ストライピングとパリティ データ(分散パリティ)を使用して、特に小規模のランダム アクセスに高いデータ スループットを提供します。
• RAID 6 では、1 つのストライプに 2 つの独立したパリティ ブロックを使用する分散パリティと、ディスク ストライピングを使用します。RAID 6 仮想ドライブは、データを失うことなく、2 つのドライブの損失に対処できます。最低 3 つのドライブを必要とする RAID 6 ドライブ グループは、RAID 5 ドライブ グループに似ています。データ ブロックおよびパリティ情報は、すべてのドライブにまたがって書き込まれます。ドライブ グループ内の 1 つまたは 2 つのドライブに障害が発生すると、パリティ情報を使用してデータが修復されます。
• RAID 00 ドライブ グループは、一連の RAID 0 ドライブ グループからストライピングされたセットを作成する、スパンされたドライブ グループです。
• RAID 0 と RAID 1 の組み合わせである RAID 10 は、ミラーリングされたスパンにまたがってストライピングされたデータで構成されます。RAID 10 ドライブ グループは、ミラーリングされた一連のドライブからストライピングされたセットを作成する、スパンされたドライブ グループです。RAID 10 では、最大 8 つのスパンを使用できます。スパンに含まれる各 RAID 仮想ドライブには、偶数のドライブを使用する必要があります。RAID 1 仮想ドライブは、ストライプ サイズが同一である必要があります。RAID 10 は、高いデータ スループットと完全なデータ冗長性を提供しますが、使用するスパンの数は多くなります。
• RAID 0 と RAID 5 の組み合わせである RAID 50 では、分散パリティとディスク ストライピングを使用します。RAID 50 ドライブ グループは、スパンされたドライブ グループであり、このグループ内のデータは複数の RAID 5 ドライブ グループにまたがってストライピングされます。RAID 50 は、高い信頼性、高い要求レート、高いデータ転送、および中規模から大規模の容量を必要とするデータの使用に最も適しています。
(注) 同じドライブ グループ内に、RAID 0 と RAID 5 などの異なる RAID レベルの仮想ドライブを含めることはできません。たとえば、既存の RAID 5 仮想ドライブがアレイ内の一部のスペースから作成されている場合、アレイ内の次の仮想ドライブも RAID 5 である必要があります。
• RAID 0 と RAID 6 の組み合わせである RAID 60 では、各 RAID セット内の 1 つのストライプあたりに 2 つの独立したパリティ ブロックを持つ分散パリティと、ディスク ストライピングを使用します。RAID 60 仮想ドライブは、データを失うことなく、各 RAID 6 セットの 2 つのドライブの損失に対処できます。RAID 60 は、高い信頼性、高い要求レート、高いデータ転送、および中規模から大規模の容量を必要とするデータの使用に最も適しています。
RAID 0 は、RAID ドライブ グループ内のすべてのドライブにまたがるディスク ストライピングを提供します。RAID 0 では、データの冗長性は提供されませんが、RAID レベルの中で最良のパフォーマンスを実現します。RAID 0 は、データをさらに小さいセグメントに分割し、ドライブ グループ内の各ドライブにデータ セグメントをストライピングします。各データ セグメントのサイズは、ストライプ サイズによって決定します。RAID 0 は、高帯域幅を提供します。
(注) RAID レベル 0 はフォールト トレラントではありません。RAID 0 ドライブ グループのドライブに障害が発生すると、仮想ドライブ全体(仮想ドライブに関連付けられたすべてのドライブ)に障害が発生します。
大きいファイルをより小さいセグメントに分割することで、RAID コントローラは SAS ドライブと SATA ドライブの両方を使用してファイルの読み取りまたは書き込みを高速化することができます。RAID 0 は、書き込み動作を複雑にするパリティ計算を伴わないので、高帯域幅を必要とするものの、耐障害性を必要としないアプリケーションに適しています。表 1-4 に、RAID 0 の概要を示します。図 1-5 に、RAID 0 ドライブ グループの利点の例を示します。
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RAID 1 では、RAID コントローラが、ドライブ グループ内のあるドライブから 2 番目のドライブにすべてのデータを複製します。RAID 1 は、1 つのスパンで 2 ~ 32 までの偶数のドライブをサポートします。RAID 1 は、完全なデータ冗長性を提供しますが、必要なデータ ストレージ容量を倍にするコストが掛かります。表 1-5 に、RAID 1 の概要を示します。図 1-6 に、RAID 1 ドライブ グループの例を示します。
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RAID 5 には、ブロック レベルおよびパリティでのディスク ストライピングが含まれます。パリティとは、奇数または偶数になるデータのプロパティであり、パリティ チェックを使用してデータ内のエラーが検出されます。RAID 5 では、パリティ情報がすべてのドライブに書き込まれます。RAID 5 は、多数の小さい入出力(I/O)トランザクションを同時に実行するネットワークに最適です。RAID 5 は、ほとんどの環境にデータの冗長性、高い読み取りレート、および良好なパフォーマンスを提供します。また、容量損失の最も低い冗長性を実現します。
さらに、RAID 5 は、読み取り要求レートは高く、書き込み要求レートは低いアプリケーションに適しています。
RAID 5 は、ランダムな I/O 動作の輻輳問題に対処します。各ドライブにはデータとパリティの両方が含まれるので、多数の書き込みが同時に実行される可能性があります。
表 1-6 に、RAID 5 の概要を示します。図 1-7 に、RAID 5 ドライブ グループの例を示します。
(注) パリティは、ドライブ グループ内のすべてのドライブに分散されます。
RAID 6 は、1 つのストライプに 1 つのパリティ ブロックではなく、2 つのパリティ ブロックが存在する点を除き、RAID 5 と似ています(ディスク ストライピングおよび分散パリティ)。独立した 2 つのパリティ ブロックを使用する RAID 6 は、データを失うことなく、仮想ドライブ内の 2 つのドライブ損失に対処できます。RAID 6 では、各ストライプの 2 番目のパリティ ブロックを使用することで、高いレベルのデータ保護が実現します。非常に高いレベルの損失保護を必要とするデータには、RAID 6 を使用します。
RAID 6 は、多数の小さい入出力(I/O)トランザクションを同時に実行するネットワークに最適です。ほとんどの環境にデータの冗長性、高い読み取りレート、および良好なパフォーマンスを提供します。
仮想ドライブの 1 つまたは 2 つのドライブに障害が発生すると、RAID コントローラはパリティ ブロックを使用して、欠落しているすべての情報を再作成します。RAID 6 仮想ドライブの 2 つのドライブに障害が発生すると、各ドライブに 1 回ずつ、2 回のドライブ再構築が必要になります。これらの再構築は同時に行われません。コントローラは、障害の発生した 1 つのドライブを再構築してから、障害の発生したもう 1 つのドライブを再構築します。
表 1-7 に、RAID 6 ドライブ グループの概要を示します。図 1-8 に、RAID 6 データ レイアウトを示します。パリティ ドライブの 2 番目のセットは、Q で表されています。P ドライブは、RAID 5 パリティ スキームに従います。
(注) パリティは、ドライブ グループ内のすべてのドライブに分散されます。
RAID 00 ドライブ グループは、一連の RAID 0 ドライブ グループからストライピングされたセットを作成する、スパンされたドライブ グループです。RAID 00 は、データの冗長性を提供しませんが、RAID 0 とともに、RAID レベルの中で最良のパフォーマンスを実現します。RAID 00 は、データをさらに小さいセグメントに分割し、ドライブ グループ内の各ドライブにデータ セグメントをストライピングします。各データ セグメントのサイズは、ストライプ サイズによって決定します。RAID 00 は、高帯域幅を提供します。
(注) RAID レベル 00 はフォールト トレラントではありません。RAID 0 ドライブ グループのドライブに障害が発生すると、仮想ドライブ全体(仮想ドライブに関連付けられたすべてのドライブ)に障害が発生します。
大きいファイルをより小さいセグメントに分割することで、RAID コントローラは SAS ドライブと SATA ドライブの両方を使用してファイルの読み取りまたは書き込みを高速化することができます。RAID 00 は、書き込み動作を複雑にするパリティ計算を伴わないので、高帯域幅を必要とするものの、耐障害性を必要としないアプリケーションに適しています。 表 1-8 に、RAID 00 の概要を示します。図 1-9 に、RAID 00 ドライブ グループの例を示します。
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大きいファイルに対しては特に、高いデータ スループットを提供します。耐障害性を必要としない環境では、RAID 00 を使用します。 |
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大きいファイルに対するデータ スループットが向上します。RAID 00 には、パリティのための容量損失ペナルティがありません。 |
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図 1-9 2 つのドライブを使用する RAID 00 ドライブ グループの例
RAID 10 は、RAID 0 と RAID 1 の組み合わせであり、ミラーリングされたドライブにまたがるストライプで構成されます。RAID は、データをさらに小さいブロックに分割し、そのデータ ブロックを各 RAID 1 ドライブ グループにミラーリングします。次に、各ドライブ グループの最初の RAID 1 ドライブが、そのデータを 2 番目のドライブに複製します。各ブロックのサイズは、RAID セットの作成時に設定されるストライプ サイズ パラメータによって決定します。RAID 1 仮想ドライブは、ストライプ サイズが同一である必要があります。
複数のドライブ グループ間に 1 つの仮想ドライブが定義されるため、スパニングが使用されます。複数の RAID 1 レベル ドライブ グループ間に定義された仮想ドライブは、RAID レベル 10、(1+0)と呼ばれます。データはドライブ グループにまたがってストライピングされ、複数のドライブ グループへの同時アクセスが可能になるため、パフォーマンスが向上します。
スパンされた各 RAID 10 仮想ドライブは、各障害が別個のドライブ グループ内である限り、複数のドライブ障害に耐えることができます。ドライブ障害が発生した場合は、使用可能なドライブ容量が合計よりも少なくなります。
コントローラに対してサポートされる最大デバイス数まで、連続する 2 つの RAID 1 仮想ドライブをスパンすることによって RAID 10 を設定します。RAID 10 は、最大 8 つのスパンと、1 つのスパンあたりに最大 32 のドライブをサポートします。スパンに含まれる各 RAID 10 仮想ドライブには、偶数のドライブを使用する必要があります。
(注) コントローラの種類など、その他の要因によって、RAID 10 仮想ドライブでサポートされるドライブの数が制限される場合があります。
表 1-9 に、RAID 10 の概要を示します。図 1-10 では、4 つの RAID 1 ドライブ グループにデータを分散させることによって(ドライブ グループ 0 ~ 3)、仮想ドライブ 0 が作成されています。
RAID 50 は、RAID 0 と RAID 5 の両方の機能を備えています。RAID 50 には、複数のドライブ グループにまたがるパリティおよびディスク ストライピングの両方が含まれます。RAID 50 は、2 つの RAID 5 ドライブ グループで最適に実装され、データは両方のドライブ グループにストライピングされます。
RAID 50 は、データをさらに小さいブロックに分割し、そのデータ ブロックを各 RAID 5 ディスク セットにストライピングします。RAID 5 は、データをさらに小さいブロックに分割し、パリティを計算し、ドライブ グループ内の各ドライブにデータ ブロックとパリティを書き込みます。各ブロックのサイズは、RAID セットの作成時に設定されるストライプ サイズ パラメータによって決定します。
RAID レベル 50 は、使用可能な容量が合計よりも少なくなりますが、最大 8 つのスパンをサポートし、最大 8 つのドライブ障害に耐えることができます。複数のドライブ障害に耐えることができますが、各 RAID 5 レベル ドライブ グループで耐えることのできるドライブ障害は 1 つだけです。
表 1-10 に、RAID 50 の概要を示します。図 1-11 では、2 つの RAID 5 ドライブ グループにデータを分散させることによって、仮想ドライブ 0 が作成されています。
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それぞれ 3 ~ 32 のドライブを含む、RAID 5 ドライブ グループからなる 8 つのスパン(コントローラでサポートされるデバイスの最大数によって制限されます)。 |
RAID 60 は、RAID 0 と RAID 6 の両方の機能を備えています。RAID 60 には、複数のドライブ グループにまたがるパリティとディスク ストライピングの両方が含まれます。RAID 6 は、1 つのストライプごとに独立した 2 つのパリティ ブロックをサポートします。RAID 60 仮想ドライブは、データを失うことなく、各 RAID 6 セットの 2 つのドライブの損失に対処できます。RAID 60 は、2 つの RAID 6 ドライブ グループで最適に実装され、データは両方のドライブ グループにストライピングされます。
RAID 60 は、データをさらに小さいブロックに分割し、そのデータ ブロックを各 RAID 6 ディスク セットにストライピングします。RAID 6 は、データをさらに小さいブロックに分割し、パリティを計算し、ドライブ グループ内の各ドライブにデータ ブロックとパリティを書き込みます。各ブロックのサイズは、RAID セットの作成時に設定されるストライプ サイズ パラメータによって決定します。
RAID 60 は、使用可能な容量が合計よりも少なくなりますが、最大 8 つのスパンをサポートし、最大 16 のドライブ障害に耐えることができます。RAID 6 レベルのドライブ グループではそれぞれ、2 つのドライブ障害に耐えることができます。
表 1-11 に、RAID 60 の概要を示します。図 1-12 に、RAID 6 データ レイアウトを示します。パリティ ドライブの 2 番目のセットは、Q で表されています。P ドライブは、RAID 5 パリティ スキームに従います。
(注) パリティは、ドライブ グループ内のすべてのドライブに分散されます。
耐障害性とは、データ整合性や処理能力を損なうことなく、ドライブ障害に耐えることのできる、サブシステムの能力です。RAID コントローラは、RAID レベル 1、5、6、10、50、および 60 の冗長ドライブ グループを通じて、このサポートを提供します。システムは、ドライブ グループにドライブ障害が発生しても正常に動作しますが、パフォーマンスはある程度低下する場合があります。
• RAID 1 ドライブ グループには 2 つのドライブが含まれ、1 つのドライブ障害に耐えることができます。
• RAID 5 ドライブ グループは、各 RAID 5 ドライブ グループ内の 1 つのドライブ障害に耐えることができます。
• RAID 6 ドライブ グループは、最大 2 つのドライブ障害に耐えることができます。
• スパニングされた各 RAID 10 仮想ドライブは、各障害が別個のドライブ グループ内である限り、複数のドライブ障害に耐えることができます。
• RAID 50 仮想ドライブは、各障害が別個のドライブ グループ内である限り、2 つのドライブ障害に耐えることができます。
• RAID 60 ドライブ グループは、各ドライブ グループ内の最大 2 つのドライブ障害に耐えることができます。
(注) RAID レベル 0 はフォールト トレラントではありません。RAID 0 ドライブ グループのドライブに障害が発生すると、仮想ドライブ全体(仮想ドライブに関連付けられたすべてのドライブ)に障害が発生します。
耐障害性は、それによって障害発生時にもシステムを使用可能にできることから、多くの場合はシステムの可用性に関連付けられます。ただし、問題の修復時にシステムを使用できることも重要です。
ホット スペアは、耐障害性において重要です。詳細については、「ホット スペア」を参照してください。
自動再構築では、同じドライブ ベイ内でドライブをホットスワップすることによって、障害の発生したドライブが交換され、データが自動的に再構築されます。詳細については、「ホットスワップ」を参照してください。RAID ドライブ グループは、再構築中も要求の処理を継続します。
(注) B シリーズのブレード サーバが示されていますが、機械的な機能(リリース ボタン、イジェクト レバー)はほとんどの B シリーズおよび C シリーズ サーバで同じです。
ステップ 1 ボタンを押してイジェクタを解除し、イジェクト レバーをいっぱいに広げて、ハード ドライブをスロットから引き出します。図 1-13 を参照してください。
ステップ 2 取り外したハード ドライブをすぐに別のブレード サーバに取り付け直さない場合は、静電気防止用マットまたは静電気防止用フォームの上にハード ドライブを置きます。
ステップ 3 スロットを空のままにする場合は、サーバにほこりが入らないようにブランクの前面プレート(N20-BBLKD)を取り付けます。
ステップ 1 ハード ドライブ レバーの解除ボタンを押してレバーを開きます(図 1-14 を参照)。
図 1-14 ブレード サーバへのハード ドライブの取り付け
ステップ 2 ブレード サーバの開口部にハード ドライブを差し込んでゆっくりと押し込み、ハード ドライブを装着します。
RAID クラスタを移動する必要があるときは、『 Cisco UCS Troubleshooting Guide 』にある「Troubleshooting Server Hardware」の「Moving a RAID Cluster」の項を参照してください。
ソフトウェア設定ガイド、ハードウェアの取り付けおよびサービス ガイド、ならびにトラブルシューティング ガイドに以前記載されていた B シリーズの RAID およびサポートされているドライブ情報が、このガイドでも繰り返されています。すべての B シリーズ サーバがオンボードの RAID コントローラを搭載しており、取り外したり、アップグレードしたりすることはできません。サーバのコントローラに適したソフトウェア設定およびドライブ操作のみが可能です。
すべてのモデルにサポートされている RAID コントローラは、「UCS サーバ内の RAID コントローラ」に記載されています。
C シリーズの各ハードウェア取り付けガイドには付録「RAID Considerations」があり、サポートされている RAID コントローラおよびケーブルの情報と、各サーバ モデルに固有のケーブル接続手順が記載されています。必要に応じて、次の URL にあるドキュメンテーションを参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/ps10493/prod_installation_guides_list.html