イーサネット経由の給電

イーサネット経由の給電

Power over Ethernet(PoE)は、銅線イーサネットケーブルを介して機器に DC 電源を供給する技術です。これにより、電源やコンセントを個別に用意する必要がなくなります。PoE を使用すると、イーサネット端末機器の配置における柔軟性が向上し、電気配線の設置にかかる時間とコストを削減することができます。

PoE は、Cisco IOS XE 17.15.x リリース以降の 2 つの Cisco Catalyst IE3100 高耐久性シリーズ スイッチモデル(IE-3100-4P2S-E および IE-3100-8P2C-E)でサポートされています。

PoE のサポートの詳細については、このガイドのCisco Catalyst IE3100 高耐久性シリーズ スイッチの PoE のサポートを参照してください。

IE3100 PoE 対応スイッチポートは、接続された次のいずれかの機器の回路に給電されていないことをスイッチが検出した場合に、電力を自動的に供給します。

  • IEEE 標準規格の受電機器(新しい Cisco IP Phone など)。

  • 最大 15.4 W の DC 電力を受電できる、IEEE 802.3af 準拠の受電機器

  • 最大 30 W の DC 電力を受電できる、IEEE 802.3at 準拠の受電機器

Cisco Catalyst IE3100 高耐久性シリーズ スイッチの PoE のサポート

次の表に、PoE 用にサポートされている Cisco Catalyst IE3100 高耐久性シリーズ スイッチ を示します。

スイッチ モデル

サポートされるポート

PoE バジェット

IE-3100-4P2S-E

4 つのダウンリンクポートで最大 30 W の PoE+ 出力

120 W

IE-3100-8P2C-E

8 つのダウンリンクポートで最大 30 W の PoE+ 出力

240 W

これらのスイッチは、Cisco IOS XE 17.15.x リリースで次の PoE 機能をサポートしています。

  • PoE 電力制限:電力制限が有効になっている場合、スイッチはリアルタイムの消費電力を機器に割り当てられた最大電力と比較して、消費電力を制限します。

    詳細については、「電力監視および電力制限」の項を参照してください。

  • 無停止型 PoE:無停止型 PoE は、給電機器スイッチが起動処理中であっても、接続されている受電機器へ中断なく給電します。

    詳細については、「無停止型 PoE および高速 POE の設定」の項を参照してください。

  • 高速 PoE:高速 PoE は、システムの電力損失と復旧の後に、PoE 電力のクイックスタートを可能にします。高速 PoE を有効にすると、PoE ポートのステータスがフラッシュメモリに保存されるため、電力損失と復旧が発生した場合に可能な限り迅速にポートの電源を投入することができます。

    詳細については、無停止型 PoE および高速 PoE の設定を参照してください。

  • PoE フォールバック:PoE フォールバックは、プライマリ電源に障害が発生し、引き継ぐスタンバイ電源の VDC がプライマリ電源よりも低い場合に、システムが PoE 機器をシャットダウンするプロセスです。スタンバイ電源が提供する VDC が低いために入力 VDC が減少すると、PoE バジェットが減少します。この状況が発生した場合、スイッチはまず低優先の機器をシャットダウンします。

    それでもスイッチの電力が不足している場合は、ポート番号の降順で高優先の機器がシャットダウンされます。power inline port priority CLI コマンドを使用して、ポートの優先度を設定できます。

    詳細については、PoE フォールドバックおよびポート優先度の設定を参照してください。

  • PoE ブースト:IE3200、IE3300、および IE3400 DIN レールプラットフォームでは、PoE 動作のために外部 54V DC 電源が必要です。IE3100 PoE は、PoE アプリケーション用に 12V または 24V から 54V を生成するブースト電源を内蔵します。IE3100 は、9.6 ~ 60V の電源から PoE 給電できます。

    詳細については、PoE ブーストを参照してください。

受電機器の検出と初期電力割り当て

スイッチは、PoE 対応ポートがシャットダウン状態ではなく、PoE が有効になっていて(デフォルト)、接続された機器が AC アダプタから給電されていない場合、IEEE 準拠の受電機器を検出します。

スイッチは、機器を検出後、機器のタイプに応じて電力要件を判断します。

  • 初期電力割り当ては、受電機器が要求する最大電力です。スイッチは、受電機器を検出および給電する場合、この電力を最初に割り当てます。スイッチが受電機器から Cisco Discovery Protocol メッセージを受信し、受電機器が Cisco Discovery Protocol 電力ネゴシエーションメッセージを通じてスイッチと電力レベルをネゴシエートした場合、初期電力割り当てが調整される場合があります。

  • スイッチは検出した IEEE 機器を消費電力クラス内で分類します。スイッチは、電力バジェットから使用可能な電力に基づいて、ポートに通電できるかどうかを決定します。次の表に、電力レベルを示します。

    表 1. 消費電力クラスと電力レベル

    消費電力クラス

    機器から要求される最大電力レベル

    0(クラス ステータスは不明)

    15.4 W

    1

    4 W

    2

    7 W

    3

    15.4 W

    4

    30 W

    IE-3100-4P2S-E および IE-3100-8P2C-E は、消費電力クラス 1 ~ 4(4 ~ 30 W)をサポートしています。

1 イベント分類

PoE+ 標準規格(802.3at)では 2 イベント分類が使用されます。これにより、PD は自身を分類し、リンクがアップ状態になる前でも、アドバタイズされたクラスに基づいて最大 30W を受電することができます。デフォルトでは、すべてのインターフェイスで 2 イベント分類が有効になっています。

PoE 標準規格(802.3af)では 1 イベント分類が使用されます。PD が 1 イベント分類のみをサポートしている場合は、PD が接続されているインターフェイスを 1 イベント分類用に明示的に設定する必要があります。インターフェイスが 1 イベント分類で設定されていて、PD がクラス 1、2、または 3 の値を返す場合、スイッチはそれぞれクラス 1、2、または 3 で給電します。PD がクラス 4 の値を返す場合は、最初にクラス 3 で給電されます(起動時に 15.4W が PD に割り当てられ、PD は CDP/LLDP を介して追加の電力を再ネゴシエートできます)。

1 イベント分類を設定するには、power inline port 1-event コマンドを使用します。次に例を示します。

IE3100-8P2C#configure terminal
IE3100-8P2C(config)#interface gigabitEthernet 1/3
IE3100-8P2C(config-if)#power inline port 1-event
IE3100-8P2C(config-if)#

電力バジェット

スイッチは電力要求を監視および追跡して必要な場合にだけ給電を許可します。スイッチは電力バジェット(機器が PoE で使用可能な電力の大きさ)を追跡します。スイッチは、ポートへの給電が許可または拒否されると、割り当て中の電力の計算も実行して、電力バジェットを最新に保ちます。

電力がポートに投入された後に、スイッチが Cisco Discovery Protocol を使用して、接続されたシスコ受電機器の Cisco Discovery Protocol 固有の消費電力要件を調べます。この要件は、Cisco Discovery Protocol メッセージに基づいて割り当てられる電力の大きさです。これに従って、スイッチは電力バジェットを調整します。Cisco Discovery Protocol はサードパーティ製の PoE 機器には適用されません。スイッチは要求を処理して、給電を許可したり、拒否したりします。要求が許可されると、スイッチは電力バジェットを更新します。要求が拒否された場合は、スイッチはポートの電力がオフに切り替わっていることを確認し、syslog メッセージを生成して LED を更新します。受電機器はより多くの電力を得るために、スイッチとのネゴシエーションを行うこともできます。


(注)  


Cisco Catalyst スイッチのソフトウェア設定ガイドおよびコマンドリファレンスでは、Cisco Discovery Protocol 固有の消費電力要件を実消費電力要件と呼んでいます。


PoE+ では、最大 30 W の電力をネゴシエートするために、受電機器は IEEE 802.3bt と Link Layer Discovery Protocol(LLDP)のメディア依存インターフェイス(MDI)タイプ、長さ、および値の説明(TLV)による電力、および Power-via-MDI TLV とともに使用します。シスコの IEEE 受電機器は CDP または IEEE 802.3at Power-via-MDI 電力ネゴシエーションメカニズムを使用して最大 30 W の電力レベルを要求できます。

PD が LLDP をサポートしていない場合、static または 2 イベント分類を設定して、PD 仕様に従って必要な電力を受け取ることができます。

スイッチは、電圧不足、過電圧、過熱、発振器故障、または短絡状態による障害を検出した場合、ポートへの給電をオフにし、syslog メッセージを生成して、電力バジェットと LED を更新します。

電力管理モード

DIN レールスイッチの全体的な PoE バジェットを設定するには、グローバル コンフィギュレーション コマンド power inline wattage max <watts for primary PSU> <watts for secondary PSU> を使用します。PoE バジェットを制限すると、電力が過剰に消費されて電源の容量を超過することを防止できます。

power inline wattage max <watts for primary PSU> および power inline wattage max <watts for secondary PSU> の範囲は、次の表に示すように、プライマリおよびセカンダリの PSU の電圧に依存しています。

表 2. 入力電圧範囲および最大ワット数

入力電圧範囲

PoE の最大バジェット範囲

PoE の合計バジェット既定値

9.6V < 入力電圧 <= 18V

4 〜 31W

4W

18V < 入力電圧 <= 44V

4 〜 90W

31 W

44V < 入力電圧 <= 52.5V

4 〜 120W

120 W

52.5V < 入力電圧 <= 60V

4 ~ 120W(IE3100-4P2S)/240W(IE3100-8P2C)

120W(IE3100-4P2S)/125W(IE3100-8P2C)


(注)  


スイッチにも電力が必要なため、スイッチ用に 20 ワットを確保することをお勧めします。これにより、PoE の電力バジェットは、PSU の合計電力から 20 ワットを引いた値になります。たとえば、PSU が 170W を給電できる場合、設定する最大 PoE バジェットは 150W になります。

スイッチ動作のための IE3100 の実際の消費電力については、データシートを参照してください。ここで言及されている 20W は一例にすぎません。



(注)  


VDC が 18 ~ 44V の範囲にある場合、IE3100 は容量が 50W の PSU を想定します。PoE バジェットは約 20W で、50W 未満です。シスコでは、容量 50W、出力 24VDC の PSU を販売しています。


PoE には次の電源管理モードがあります。

  • Auto:auto モードがデフォルト設定です。接続された機器で電力が必要であるかどうか、スイッチが自動的に検出します。ポートに接続されている受電機器をスイッチが検出し、そのスイッチに十分な電力がある場合は、電力を供給して電力バジェットを更新し、先着順でポートの給電をオンに切り替え、LED を更新します。LED の情報については、『Cisco Catalyst IE3100 Rugged Series Switches Hardware Installation Guide』を参照してください。

    すべての受電機器用としてスイッチに十分な電力がある場合は、すべての受電機器が起動します。スイッチに接続された受電機器すべてに対し十分な電力がある場合、すべての機器に給電されます。使用可能な PoE が十分でない場合、または他に給電待ちをしている機器がある中で、ある機器のが切断再接続された場合、電力を供給または拒否する機器をどれにすべきか判断できなくなります。

    必要な電力がシステムの電力バジェットを超えている場合、スイッチは給電を拒否し、ポートへの給電をオフにして、syslog メッセージを生成し、LED を更新します。スイッチは、給電を拒否した後、定期的に電力バジェットを再確認し、継続的に電力要求の許可を試みます。

    スイッチにより給電されている機器が、さらに AC 電源に接続されている場合、スイッチは機器に給電し続ける場合があります。このとき、機器がスイッチから受電しているか、AC 電源から受電しているかに関係なく、スイッチは引き続きその機器に給電していると報告し続ける場合があります。

    受電機器が取り外された場合、スイッチは切断を自動的に検出し、ポートへの給電を止めます。非受電機器を接続してもその機器を損傷することはありません。

    ポートで許可される最大ワット数を指定できます。受電機器の IEEE クラス最大ワット数が設定されている最大値より大きい場合、スイッチはそのポートに給電しません。スイッチが受電機器に給電する場合でも、受電機器が設定された最大値を超える電力を Cisco Discovery Protocol または LLDP メッセージを通じて後から要求すると、スイッチはポートへの給電を止めます。その受電機器に割り当てられていた電力は、グローバルの電力バジェットに戻されます。ワット数を指定しない場合、スイッチは最大値の電力を供給します。任意の PoE ポートで auto 設定を使用してください。

  • Static:スイッチは、受電機器が接続されていない場合でも、ポートに電力をあらかじめ割り当て、そのポートで電力が使用できることを保証します。スイッチは、ポートに設定された最大ワット数を割り当てます。その値は、IEEE クラスまたは受電機器からの Cisco Discovery Protocol メッセージによって調節されることはありません。これは、電力があらかじめ割り当てられていることから、最大ワット数以下の電力を使用するどのような受電機器が static ポートに接続された場合でも電力が保証されるためです。ポートはもはや先着順給電方式の枠外となります。

    ただし、受電機器の IEEE クラスが最大ワット数を超えると、スイッチは機器に給電しません。受電機器が最大ワット数を超える電力を消費していることを Cisco Discovery Protocol メッセージによって知ると、スイッチは受電機器をシャットダウンします。

    ワット数を指定しない場合、スイッチは最大数をあらかじめ割り当てます。スイッチは、受電機器を検出した場合に限り、ポートに給電します。

  • Never:スイッチは受電機器の検出を無効にして、給電されていない機器が接続されても、PoE ポートに給電しません。PoE 対応ポートに電力を絶対に適用せず、そのポートをデータ専用ポートにする場合に限り、このモードを使用してください。

ほとんどの場合、デフォルトの設定(auto モード)の動作は適切に行われ、プラグアンドプレイ動作が提供されます。それ以上の設定は必要ありません。ただし、PoE ポートを設定してより高い優先度を指定したり、PoE ポートをデータ専用にしたり、最大ワット数を指定して高電力受電機器をポートで禁止したりできます。

電力監視および電力制限

リアルタイムの消費電力の制限を有効にした場合、受電機器が最大割り当て量(カットオフ電力値)以上の電力を消費すると、スイッチはアクションを開始します。

PoE が有効になっている場合、スイッチは接続されている受電機器のリアルタイムの消費電力を検知して監視します。この機能は、電力監視または電力検知と呼ばれています。また、スイッチは電力制限機能を使用して電力消費を制限します。

電力監視は、シスコのインテリジェントな電力管理および CDP ベースの消費電力に対して後方互換性があります。電力監視はこれらの機能とともに動作して、PoE ポートが受電機器に給電できるようにします。

スイッチは次のようにして、接続されている機器のリアルタイム消費電力を検知します。

  1. スイッチは、個々のポートでリアルタイムの消費電力を監視します。

  2. スイッチは、消費電力(ピーク時の消費電力を含む)を記録し、CISCO-POWER-ETHERNET-EXT-MIB を介してこの情報を報告します。

  3. 電力制限が有効になっている場合、スイッチはリアルタイムの消費電力を受電機器に割り当てられた最大電力と比較して、消費電力を制限します。最大消費電力は、PoE ポートでカットオフ電力とも呼ばれます。

    スイッチは、最大電力割り当て量を超える電力が受電機器のポートで使用された場合、スイッチの設定に基づいてそのポートへの給電をオフにしたり、機器に給電しながら syslog メッセージを生成したりできます。デフォルトでは、すべての PoE ポートで消費電力の制限は無効になっています。

    PoE の errdisable 状態からのエラー回復が有効な場合、指定の時間の経過後、スイッチは PoE ポートを errdisable 状態から自動的に回復させます。

    エラー回復が無効になっている場合、shutdown および no shutdown インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、手動で PoE ポートを有効にできます。

  4. 制限が無効になっている場合、受電機器が PoE ポートに割り当てられた最大電力より多くの量を消費しても対処されないため、スイッチに悪影響を与える場合があります。

    制限が無効になっている場合、受電機器が消費できる最大電力はスイッチによって割り当てられた電力までです。受電機器が割り当てられた量を超える電力を消費すると、ポートは Imax エラーになり、障害状態になります。

消費電力値

ポートの初期電力割り当ておよび最大電力割り当てを設定することができます。ただし、これらの値は、スイッチが PoE ポートの給電をオンまたはオフにするタイミングを決定するために設定する値です。最大電力割り当ては、受電機器の実際の消費電力と同じではありません。スイッチによって電力制限に使用される実際のカットオフ電力値は、設定済みの電力値と同等ではありません。

電力制限が有効になっていて、消費電力が機器からの要求を超えている場合、スイッチはスイッチポートで電力の使用を制限します。最大電力割り当てを手動で設定する場合、スイッチ ポートと受電機器間のケーブルでの電力損失を考慮する必要があります。カットオフ電力とは、受電機器の定格消費電力とケーブル上での最悪時の電力損失を合計したものです。

スイッチの PoE が有効になっている場合、電力制限を有効にすることを推奨します。たとえば、クラス 1 機器の場合、制限が無効になっており、power inline auto max 6300 インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してカットオフ電力値を設定すると、PoE ポートに設定される最大電力割り当ては 6.3 W(6300 mW)になります。ポートに接続された機器の必要とする電力が最大でも 6.3 W の場合、スイッチはその機器に給電します。CDP による電力ネゴシエーション実施後の値または IEEE 分類値が設定されたカットオフ値を超える場合、スイッチは接続された機器へ給電しません。スイッチは PoE ポートで給電をオンにした後、受電機器のリアルタイム消費電力の制限をしないため、受電機器は最大割り当て量を超えて電力を消費でき、スイッチと、他の PoE ポートに接続されている受電機器に悪影響を及ぼすことがあります。

電力ステータスの監視

PoE 設定を監視および確認するには、次の show コマンドを使用します。

表 3. 電力ステータスの show コマンド

コマンド

説明

show power inline interface-id detail

インターフェイスの詳細な PoE 出力を表示します。

show power inline consumption

インターフェイスに接続された機器に割り当てられている PoE 電力を示します。

show power inline police interface-id detail

インターフェイスの詳細な PoE 制限情報を表示します。

show power inline priority

インターフェイスに設定されている PoE の優先度レベルを表示します。

次に、show power inline の出力例を示します。

IE3100_POE_4P2S#show power inline 

Available:120.0(w)  Used:76.2(w)  Remaining:43.8(w)

Interface Admin  Oper       Power   Device              Class Max
                            (Watts)                            
--------- ------ ---------- ------- ------------------- ----- ----
Gi1/3     auto   on         15.4    Ieee PD             3     30.0 
Gi1/4     static on         30.0    Ieee PD             3     30.0 
Gi1/5     auto   on         15.4    Ieee PD             3     30.0 
Gi1/6     auto   on         15.4    Ieee PD             3     30.0 
--------- ------ ---------- ---------- ---------- ------ ----- 
Totals:          4    on    76.2      

IE3100_POE_4P2S#

IE3100_POE_4P2S#show power inline consumption 

Interface  Consumption      Admin             
           Configured    Consumption (Watts)  
---------- -----------  -------------------   

Gi1/3         YES                15.4
Gi1/4          NO                 0.0
Gi1/5          NO                 0.0
Gi1/6          NO                 0.0
IE3100_POE_4P2S#
IE3100_POE_4P2S#

IE3100_POE_4P2S#show power inline police 

Available:120.0(w)  Used:76.2(w)  Remaining:43.8(w)

Interface Admin  Oper       Admin      Oper       Cutoff Oper  
          State  State      Police     Police     Power  Power 
--------- ------ ---------- ---------- ---------- ------ ----- 
Gi1/3     auto   on         none       n/a        n/a    13.2  
Gi1/4     static on         none       n/a        n/a    13.0  
Gi1/5     auto   on         none       n/a        n/a    13.2  
Gi1/6     auto   on         none       n/a        n/a    13.0  
--------- ------ ---------- ---------- ---------- ------ ----- 
Totals:                                                  52.4      

IE3100_POE_4P2S#

IE3100_POE_4P2S#show power inline police gigabitEthernet 1/3

Available:120.0(w)  Used:76.2(w)  Remaining:43.8(w)

Interface Admin  Oper       Admin      Oper       Cutoff Oper  
          State  State      Police     Police     Power  Power 
--------- ------ ---------- ---------- ---------- ------ ----- 
Gi1/3     auto   on         none       n/a        n/a    13.2  
IE3100_POE_4P2S#

IE3100_POE_4P2S#show power inline priority 

Interface  Admin  Oper       Admin
           State  State      Priority
---------- ------ ---------- ----------

Gi1/3      auto   on         low       
Gi1/4      static on         high      
Gi1/5      auto   on         low       
Gi1/6      auto   on         low       
IE3100_POE_4P2S#

PoE フォールドバック

プライマリ電源に障害が発生し、スタンバイ電源が提供する VDC 入力がプライマリよりも少ない場合、Cisco Catalyst IE3100 高耐久性シリーズ スイッチはポートの優先度に基づいて PoE 機器をシャットダウンします。このプロセスは PoE フォールバックと呼ばれ、外部接続電源のワット数を設定すると有効になります。power inline wattage max <watts for primary PSU> <watts for secondary PSU> コマンドを使用して、プライマリおよびセカンダリの電源のワット数を設定します。このコマンドの詳細については、電力管理モードを参照してください。


(注)  


電源の電圧が同じである場合は、電力定格も同じである必要があります。両方の電源の電圧と電力定格が同じである場合は、両方の PSU がスイッチの電力を冗長的に処理できるため、PoE フォールバックは必要ありません。ただし、2 台の PSU の電圧が同じで電力定格が異なる場合は、PoE フォールバックが発動せず、スイッチがリロードされることがあります。この場合、スイッチは入力電圧の変化に基づいて電源のスイッチオーバーを検出します。電圧が同じであるため、電源は同じワット数であると想定されます。電圧が同じでワット数が異なる PSU はサポートされていないことに注意してください。


PoE フォールバックが有効になっている場合、上位の電源からの電力に障害が発生すると、スイッチは低優先ポートへの電力をシャットダウンします。それでもスイッチの電力が不足している場合は、ポート番号の降順で高優先ポートがシャットダウンされます。電力消費が通常に戻るまで、この処理が行われます。

デフォルトでは、すべての受電機器が低優先ですが、power inline port priority CLI コマンドを使用して、高優先ポートに設定することができます。ただし、ポートの電源をオンにする前に優先度を変更する必要があります。ポートの電源がオンになっている場合は、オフに切り替えて、優先度を変更してから、ポートをオンに戻す必要があります。

電力が復旧した場合、または新しい電源モジュールが追加された場合、スイッチは先着順で機器に給電します。

詳細については、ポート優先度の設定を参照してください。

PoE+ の設定

この項では、Cisco Catalyst IE3100 高耐久性シリーズ スイッチ での PoE+ の設定手順について説明します。

PoE ポートの電源管理モードの設定

PoE 設定を変更するとき、設定中のポートでは電力が停止します。新しい設定、その他の PoE ポートの状態、および電力バジェットの状態によっては、そのポートの電力は再び供給されない場合があります。たとえば、ポート 1 が auto かつオンの状態になっていて、そのポートを static モードに設定するとします。スイッチはポート 1 へ給電を止め、受電機器を検出してポートに再給電します。ポート 1 が auto かつオンの状態になっており、最大ワット数を 10 W に設定した場合、 スイッチはポートへの給電を止め、受電機器を再び検出します。スイッチは、受電機器がクラス 1 またはクラス 2 の場合にのみ、ポートに再給電します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal 

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interface interface-id

例:

Device(config)# interface gigabitethernet1/3 

設定する物理ポートを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

power inline {auto [max max-wattage] | consumption wattage | never | static [max max-wattage] }

例:

Device(config-if)# power inline static 

ポートの PoE モードを設定します。キーワードは次のとおりです。

  • auto :受電機器の検出を有効にします。十分な電力がある場合は、機器の検出後に PoE ポートに電力を自動的に割り当てます。これがデフォルト設定です。

  • consumption wattage :機器の IEEE 分類で指定された電力の大きさを上書きする PoE 消費電力(ミリワット単位)を設定します。

  • max max-wattage :ポートで許可される電力を制限します。値を指定しない場合は、最大電力が供給されます。

  • never :機器検出とポートへの給電を無効にします。

  • static :受電機器の検出を有効にします。スイッチが受電機器を検出する前に、ポートへの電力を事前に割り当てます(確保します)。スイッチは、機器が接続されていなくてもこのポートへの電力を確保し、機器の検出時に給電されることを保証します。

スイッチは、auto モードに設定されたポートに電力を割り当てる前に、static モードに設定されたポートに電力を割り当てます。

(注)  

 

power inline static max コマンドは、接続されている受電機器(PD)が LLDP/CDP によるレイヤ 1 分類をサポートしておらず、手動で電力を増やす必要がある場合に、ポートのカットオフ電力を調整するためにのみ使用します。

power inline static max の値が 30W よりも高く設定されている場合、ポートに接続されている PD が IEEE 802.3AT/AF 準拠であっても、スペアペアセットが有効になります。この設定は、Cisco UPOE をサポートするために必要です。ただし、IE3100 シリーズは Cisco UPOE をサポートしていないため、IEEE 802.3AT/AF PD の static max の値を 30W よりも高く設定することは推奨しません。IEEE 802.3BT 準拠のデュアルシグネチャ PD またはクラス 5(以上)のシングルシグネチャ PD がポートに接続されている場合にのみ、power inline static max の値が 30W を超えるようにする必要があります。

ステップ 5

exit

例:

Device(config-if)# exit

インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 6

show power inline [interface-id ] [detail] ]

例:

Device# show power inline 

スイッチの指定したインターフェイスの PoE ステータスを表示します。

ステップ 7

copy running-config startup-config

例:

Device# copy running-config startup-config

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

電力制限の設定

デフォルトでは、スイッチは接続されている受電機器の消費電力をリアルタイムで監視します。電力使用の制限を行うようにスイッチを設定できます。デフォルトでは制限は無効です。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal 

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interface interface-id

例:

Device(config)# interface gigabitethernet1/3

設定する物理ポートを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

power inline police [action{log | errdisable}]

例:

Device(config-if)# power inline police 

ポートのリアルタイム消費電力が最大電力割り当てを超える場合、次のいずれかのアクションを実行するようにスイッチを設定します。

  • power inline police :PoE ポートをシャットダウンし、ポートへの給電をオフにし、PoE ポートを error-disabled 状態に移行します。

(注)  

 

errdisable detect cause inline-power グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、PoE error-disabled 状態のエラー検出を有効にできます。errdisable recovery cause inline-power interval interval グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、PoE error-disabled 状態から回復するためのタイマーを有効にすることもできます。

  • power inline police action errdisable :リアルタイムの消費電力がポートの最大電力割り当てを超過した場合、ポートへの給電をオフにします。

  • power inline police action log :ポートへの給電を継続し、syslog メッセージを生成します。

action log キーワードを入力しない場合、既定動作によりポートがシャットダウンされ、error-disabled 状態になります。

ステップ 5

exit

例:

Device(config-if)# exit

インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。

ステップ 6

次のいずれかを使用します。

  • errdisable detect cause inline-power
  • errdisable recovery cause inline-power
  • errdisable recovery interval interval

例:

Device(config)# errdisable detect cause inline-power
Device(config)# errdisable recovery cause inline-power
Device(config)# errdisable recovery interval 100

(任意)PoE error-disabled 状態からのエラー回復を有効にし、PoE 回復メカニズム変数を設定します。

デフォルトでは、回復間隔は 300 秒です。

interval interval :error-disabled 状態から回復する時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 30 ~ 86400 です。

ステップ 7

end

例:

Device(config)# end

グローバル コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 8

次のいずれかを使用します。

  • show power inline police
  • show errdisable recovery

例:

Device# show power inline police
Device# show errdisable recovery

電力監視ステータスを表示し、エラー回復設定を確認します。

ステップ 9

copy running-config startup-config

例:

Device# copy running-config startup-config

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

ポート優先度の設定

デフォルトでは、スイッチ上のすべてのポートが低優先になっています。低優先ポートは、PoE フォールバック(電力バジェットが少ない場合、または電源が機能しなくなった場合にスイッチがポートをシャットダウンするプロセス)で最初にシャットダウンされます。

ただし、ポートを高優先に設定することができます。重要な受電機器に割り当てられたポートに対してこれを行うことができます。Static として設定されたポートは、PoE フォールバックで高優先として扱われます。高優先ポートを低優先ポートに設定することもできます。


(注)  


システムは、static として設定されたポートを高優先として扱います。


ポートの優先度レベルを設定するには、次の手順を実行します。

始める前に

設定するポートがオフになっていることを確認します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。

ステップ 2

power inline port priority {low | high}

例:

Device# power inline port priority high

ポートの優先度レベルを設定します。