OSPF の設定

OSPF に関する情報

OSPF は IP ネットワーク専用の IGP で、IP サブネット化、および外部から取得したルーティング情報のタグ付けをサポートしています。OSPF を使用するとパケット認証も可能になり、パケットを送受信するときに IP マルチキャストが使用されます。シスコの実装では、RFC1253 の OSPF 管理情報ベース(MIB)がサポートされています。

シスコの実装は、次の主要機能を含む OSPF バージョン 2 仕様に準拠します。

  • スタブ エリアの定義がサポートされています。

  • 任意の IP ルーティング プロトコルによって取得されたルートは、別の IP ルーティング プロトコルに再配信されます。つまり、ドメイン内レベルで、OSPF は EIGRP および RIP によって取得したルートを取り込むことができます。OSPF ルートを RIP に伝達することもできます。

  • エリア内の隣接ルータ間でのプレーン テキスト認証および MD5 認証がサポートされています。

  • 設定可能なルーティング インターフェイス パラメータには、インターフェイス出力コスト、再送信インターバル、インターフェイス送信遅延、ルータ プライオリティ、ルータのデッド インターバルと hello インターバル、認証キーなどがあります。

  • 仮想リンクがサポートされています。

  • RFC 1587 に基づく Not-So-Stubby-Area(NSSA)がサポートされています。

通常、OSPF を使用するには、多くの内部ルータ、複数のエリアに接続された Area Border Router(ABR; エリア境界ルータ)、および自律システム境界ルータ(ASBR)間で調整する必要があります。最小設定では、すべてのデフォルト パラメータ値、エリアに割り当てられたインターフェイスが使用され、認証は行われません。環境をカスタマイズする場合は、すべてのルータの設定を調整する必要があります。

OSPF for IPv6

スイッチは、IP のリンクステート プロトコルの 1 つである、IPv6 の Open Shortest Path First(OSPF)をサポートしています。


(注)  


Network Essentials ライセンスでは、1000 のルートの設定のみが許可されます。1000 を超えるルートを設定するには、Network Advantage ライセンスが必要です。


IPv6 用の OSPF の設定については、「IPv6 用の OSPF の設定」を参照してください。

詳細については、Cisco.com の『Cisco IOS IPv6 Configuration Library』を参照してください。

OSPF NSF

スイッチまたはスイッチ スタックは、次の 2 つのレベルの NSF をサポートします。

OSPF NSF 認識

隣接ルータが NSF 対応である場合、レイヤ 3 デバイスでは、ルータに障害(クラッシュ)が発生してプライマリルートプロセッサ(RP)がバックアップ RP によって引き継がれる間、または処理を中断させずにソフトウェアアップグレードを行うためにプライマリ RP を手動でリロードしている間、隣接ルータからパケットを転送し続けます。

この機能をディセーブルにできません。

OSPF NSF 対応


(注)  


OSPF NSF では、すべてのネイバー ネットワーク デバイスが NSF 認識である必要があります。ネットワーク セグメント上に非 NSF 認識ネイバーが検出された場合、NSF 対応ルータはそのセグメントに対する NSF 機能をディセーブルにします。すべてのデバイスが NSF 認識または NSF 対応デバイスとなっているその他のネットワーク セグメントでは、NSF 対応機能が継続して提供されます。


OSPF NSF ルーティングを有効にするには、nsf OSPF ルーティング コンフィギュレーション コマンドを使用します。OSPF NSF ルーティングが有効になっていることを確認するには、show ip ospf 特権 EXEC コマンドを使用します。

OSPF エリア パラメータ

複数の OSPF エリア パラメータを設定することもできます。設定できるパラメータには、エリア、スタブ エリア、および NSSA への無許可アクセスをパスワードによって阻止する認証用パラメータがあります。スタブ エリアは、外部ルートの情報が送信されないエリアです。が、代わりに、自律システム(AS)外の宛先に対するデフォルトの外部ルートが、ABR によって生成されます。NSSA ではコアからそのエリアへ向かう LSA の一部がフラッディングされませんが、再配信することによって、エリア内の AS 外部ルートをインポートできます。

経路集約は、アドバタイズされたアドレスを、他のエリアでアドバタイズされる単一のサマリー ルートに統合することです。ネットワーク番号が連続する場合は、area range ルータ コンフィギュレーション コマンドを使用し、範囲内のすべてのネットワークを対象とするサマリールートをアドバタイズするように ABR を設定できます。

その他の OSPF パラメータ

ルータ コンフィギュレーション モードで、その他の OSPF パラメータを設定することもできます。

  • ルート集約:他のプロトコルからルートを再配信すると、各ルートは外部 LSA 内で個別にアドバタイズされます。OSPF リンクステートデータベースのサイズを小さくするには、 summary-address ルータ コンフィギュレーション コマンドを使用し、指定されたネットワークアドレスおよびマスクに含まれる、再配信されたすべてのルートを単一のルータにアドバタイズします。

  • 仮想リンク:OSPF では、すべてのエリアがバックボーン エリアに接続されている必要があります。バックボーンが不連続である場合に仮想リンクを確立するには、2 つの ABR を仮想リンクのエンドポイントとして設定します。設定情報には、他の仮想エンドポイント(他の ABR)の ID、および 2 つのルータに共通する非バックボーン リンク(通過エリア)などがあります。仮想リンクをスタブ エリアから設定できません。

  • デフォルト ルート:OSPF ルーティング ドメイン内へのルート再配信を設定すると、ルータは自動的に自律システム境界ルータ(ASBR)になります。ASBR を設定し、強制的に OSPF ルーティング ドメインにデフォルト ルートを生成できます。

  • すべての OSPF show 特権 EXEC コマンドでの表示にドメインネームサーバー(DNS)名を使用すると、ルータ ID やネイバー ID を指定して表示する場合に比べ、ルータを簡単に特定できます。

  • デフォルト メトリック:OSPF は、インターフェイスの帯域幅に従ってインターフェイスの OSPF メトリックを計算します。メトリックは、帯域幅で分割された ref-bw として計算されます。ここでの ref のデフォルト値は 10 で、帯域幅(bw )は bandwidth インターフェイス コンフィギュレーション コマンドによって指定されます。大きな帯域幅を持つ複数のリンクの場合は、大きな数値を指定し、これらのリンクのコストを区別できます。

  • アドミニストレーティブ ディスタンスは、ルーティング情報送信元の信頼性を表す数値です。0 ~ 255 の整数を指定でき、値が大きいほど信頼性は低下します。アドミニストレーティブ ディスタンスが 255 の場合はルーティング情報の送信元をまったく信頼できないため、無視する必要があります。OSPF では、エリア内のルート(エリア内)、別のエリアへのルート(エリア間)、および再配信によって学習した別のルーティング ドメインからのルート(外部)の 3 つの異なるアドミニストレーティブ ディスタンスが使用されます。どのアドミニストレーティブ ディスタンスの値でも変更できます。

  • 受動インターフェイス:イーサネット上の 2 つのデバイス間のインターフェイスは 1 つのネットワーク セグメントしか表しません。このため、OSPF が送信側インターフェイスに hello パケットを送信しないようにするには、送信側デバイスを受動インターフェイスに設定する必要があります。両方のデバイスは受信側インターフェイス宛ての hello パケットを使用することで、相互の識別を可能にします。

  • ルート計算タイマー:OSPF がトポロジ変更を受信してから SPF 計算を開始するまでの遅延時間、および 2 つの SPF 計算の間のホールド タイムを設定できます。

  • ネイバー変更ログ:OSPF ネイバー ステートが変更されたときに Syslog メッセージを送信するようにルータを設定し、ルータの変更を詳細に表示できます。

LSA グループ ペーシング

OSPF LSA グループ ペーシング機能を使用すると、OSPF LSA をグループ化し、リフレッシュ、チェックサム、エージング機能の同期を取って、ルータをより効率的に使用できるようになります。デフォルトでこの機能はイネーブルとなっています。デフォルトのペーシング インターバルは 4 分間です。通常は、このパラメータを変更する必要はありません。最適なグループ ペーシング インターバルは、ルータがリフレッシュ、チェックサム、エージングを行う LSA 数に反比例します。たとえば、データベース内に約 10000 個の LSA が格納されている場合は、ペーシング インターバルを短くすると便利です。小さなデータベース(40 ~ 100 LSA)を使用する場合は、ペーシング インターバルを長くし、10 ~ 20 分に設定してください。

ループバック インターフェイス

OSPF は、インターフェイスに設定されている最大の IP アドレスをルータ ID として使用します。このインターフェイスがダウンした場合、または削除された場合、OSPF プロセスは新しいルータ ID を再計算し、すべてのルーティング情報をそのルータのインターフェイスから再送信します。ループバック インターフェイスが IP アドレスによって設定されている場合、他のインターフェイスにより大きな IP アドレスがある場合でも、OSPF はこの IP アドレスをルータ ID として使用します。ループバック インターフェイスに障害は発生しないため、安定性は増大します。OSPF は他のインターフェイスよりもループバック インターフェイスを自動的に優先し、すべてのループバック インターフェイスの中で最大の IP アドレスを選択します。

OSPF の設定方法

OSPF のデフォルト設定

表 1. OSPF のデフォルト設定

機能

デフォルト設定

インターフェイス パラメータ

コスト:

再送信インターバル:5 秒

送信遅延:1 秒

プライオリティ:1

hello インターバル:10 秒

デッド インターバル:hello インターバルの 4 倍

認証なし

パスワードの指定なし

MD5 認証はディセーブル

エリア

認証タイプ:0(認証なし)

デフォルト コスト:1

範囲:ディセーブル

スタブ:スタブ エリアは未定義

NSSA:NSSA エリアは未定義

自動コスト

100 Mb/s

デフォルト情報送信元

ディセーブル。イネーブルの場合、デフォルトのメトリック設定は 10 で、外部ルート タイプのデフォルトはタイプ 2 です。

デフォルト メトリック

各ルーティング プロトコルに適切な、組み込みの自動メトリック変換

距離 OSPF

dist1(エリア内のすべてのルート):110。 dist2(エリア間のすべてのルート):110。 および dist3(他のルーティング ドメインからのルート):110。

OSPF データベース フィルタ

ディセーブル。すべての発信 LSA がインターフェイスにフラッディングされます。

IP OSPF 名検索

ディセーブル。

隣接関係変更ログ

イネーブル。

ネイバー

指定なし

ネイバー データベース フィルタ

ディセーブル。すべての発信 LSA はネイバーにフラッディングされます。

ネットワーク エリア

ディセーブル。

ルータ ID

OSPF ルーティング プロセスは未定義

サマリー アドレス

ディセーブル。

タイマー LSA グループのペーシング

240 秒

タイマー Shortest Path First(SPF)

spf 遅延:50 ミリ秒、spf ホールド時間:200 ミリ秒

仮想リンク

エリア ID またはルータ ID は未定義

hello インターバル:10 秒

再送信インターバル:5 秒

送信遅延:1 秒

デッド インターバル:40 秒

認証キー:キーは未定義

メッセージ ダイジェスト キー(MD5):キーは未定義

基本的な OSPF パラメータの設定

OSPF をイネーブルにするには、OSPF ルーティング プロセスを作成し、そのルーティング プロセスに関連付けられる IP アドレスの範囲を指定し、その範囲に関連付けられるエリア ID を割り当てます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router ospf process-id

例:


Device(config)#router ospf 15

OSPF ルーティングをイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。プロセス ID はローカルに割り当てられ、内部で使用される識別パラメータで、任意の正の整数を指定できます。各 OSPF ルーティング プロセスには一意の値があります。

(注)  

 

OSPF for Routed Access は、OSPFv2 インスタンスと OSPFv3 インスタンスをそれぞれ 1 つずつと、最大 1000 のダイナミックに学習されるルートをサポートします。

ステップ 4

network address wildcard-mask area area-id

例:


Device(config)#network 10.1.1.1 255.240.0.0 area 20

OSPF が動作するインターフェイス、およびそのインターフェイスのエリア ID を定義します。単一のコマンドにワイルドカードマスクを指定し、特定の OSPF エリアに関連付けるインターフェイスを 1 つまたは複数定義できます。エリア ID には 10 進数または IP アドレスを指定できます。

ステップ 5

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 6

show ip protocols

例:


Device#show ip protocols

入力を確認します。

ステップ 7

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

IPv6 OSPF の設定

IPv6 の OSPF ルーティングの設定の詳細については、Cisco.com で『Cisco IOS IPv6 Configuration Library』の「Implementing OSPF for IPv6」の章を参照してください。

IPv6 の OSPF ルーティングを設定するには、次の手順を実行します。

始める前に

ネットワークでは、IPv6 の OSPF をカスタマイズできます。ただし、IPv6 の OSPF のデフォルト設定は、ほとんどのお客様および機能の要件を満たします。

次の注意事項に従ってください。

  • IPv6 コマンドのデフォルト設定を変更する場合は注意してください。デフォルト設定を変更すると、IPv6 ネットワークの OSPF に悪影響が及ぶことがあります。

  • インターフェイスで IPv6 OSPF を有効にする前に、グローバル コンフィギュレーション モードで ip routing コマンドを使用してルーティングを有効にし、グローバル コンフィギュレーション モードで ipv6 unicast-routing コマンドを使用して IPv6 パケットの転送を有効にし、IPv6 OSPF を有効にするレイヤ 3 インターフェイスで IPv6 を有効にする必要があります。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable 

特権 EXEC モードを有効にします。

パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

ipv6 router ospf process-id

例:

Device(config)# ipv6 router ospf 21

プロセスに対して OSPF ルータ コンフィギュレーション モードを有効にします。プロセス ID は、IPv6 OSPF ルーティング プロセスを有効にする場合に管理上割り当てられる番号です。この ID はローカルに割り当てられ、1 ~ 65535 の正の整数を指定できます。

ステップ 4

area area-id range {ipv6-prefix/prefix length} [advertise | not-advertise] [ cost cost]

例:

Device(config)# area .3 range 2001:0DB8::/32 not-advertise

(任意)エリア境界でルートを統合および集約します。

  • area-id :ルートをサマライズするエリアの ID。10 進数または IPv6 プレフィックスのどちらかを指定できます。

  • ipv6-prefix/prefix length :宛先 IPv6 ネットワーク、およびプレフィックス(アドレスのネットワーク部分)を構成するアドレスの上位連続ビット数を示す 10 進数。10 進値の前にスラッシュ(/)を付加する必要があります。

  • advertise :(任意)アドバタイズするアドレス範囲ステータスを設定し、タイプ 3 のサマリー リンクステート アドバタイズメント(LSA)を生成します。

  • not-advertise :(任意)アドレス範囲ステータスを DoNotAdvertise に設定します。Type3 サマリー LSA は抑制され、コンポーネント ネットワークは他のネットワークから隠された状態のままです。

  • cost cost :(任意)現在のサマリー ルートのメトリックまたはコストを設定します。宛先への最短パスを判別する場合に、OSPF SPF 計算で使用します。指定できる値は 0 ~ 16777215 です。

ステップ 5

maximum paths number-paths

例:

Device(config)# maximum paths 16

(任意)IPv6 OSPF がルーティング テーブルに入力する必要がある、同じ宛先への等コスト ルートの最大数を定義します。指定できる範囲は 1 ~ 32 で、デフォルトは 16 です。

ステップ 6

exit

例:

Device(config-if)# exit

グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。

ステップ 7

interface interface-id

例:

Device(config)# interface gigabitethernet 1/0/1

インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ 3 インターフェイスを指定します。

ステップ 8

ipv6 ospf process-id area area-id [ instance instance-id]

例:

Device(config-if)# ipv6 ospf 21 area .3

インターフェイスで IPv6 の OSPF を有効にします。

  • instance instance-id :(任意)インスタンス ID

ステップ 9

end

例:

Device(config-if)# end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 10

次のいずれかを使用します。

  • show ipv6 ospf [ process-id ] [ area-id ] interface [ interface-id ]
  • show ipv6 ospf [ process-id ] [ area-id ]

例:

Device# show ipv6 ospf 21 interface gigabitethernet2/0/1

または

Device# show ipv6 ospf 21
  • OSPF インターフェイスに関する情報を表示します。

  • OSPF ルーティング プロセスに関する一般情報を表示します。

ステップ 11

copy running-config startup-config

例:

Device# copy running-config startup-config

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

OSPF インターフェイスの設定

ip ospf インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、インターフェイス固有の OSPF パラメータを変更できます。これらのパラメータを変更する必要はありませんが、一部のインターフェイス パラメータ(hello インターバル、デッド インターバル、認証キーなど)については、接続されたネットワーク内のすべてのルータで統一性を維持する必要があります。これらのパラメータを変更した場合は、ネットワーク内のすべてのルータの値も同様に変更してください。


(注)  


ip ospf インターフェイス コンフィギュレーション コマンドはすべてオプションです。


手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interface interface-id

例:


Device(config)#interface gigabitethernet 1/0/1

インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ 3 インターフェイスを指定します。

ステップ 4

ip ospf cost cost

例:


Device(config-if)#ip ospf cost 8

(任意)インターフェイスでパケットを送信するコストを明示的に指定します。

ステップ 5

ip ospf retransmit-interval seconds

例:


Device(config-if)#ip ospf transmit-interval 10

(任意)LSA 送信間隔を秒数で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 秒です。デフォルト値は 5 秒です。

ステップ 6

ip ospf transmit-delay seconds

例:


Device(config-if)#ip ospf transmit-delay 2

(任意)リンク ステート アップデート パケットを送信するまでの予測待機時間を秒数で設定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 秒です。デフォルト値は 1 秒です。

ステップ 7

ip ospf priority number

例:


Device(config-if)#ip ospf priority 5

(任意)ネットワークに対して、OSPF で指定されたルータを検索するときに役立つプライオリティを設定します。有効な範囲は 0 ~ 255 です。デフォルトは 1 です。

ステップ 8

ip ospf hello-interval seconds

例:


Device(config-if)#ip ospf hello-interval 12

(任意)OSPF インターフェイスで hello パケットの送信間隔を秒数で設定します。ネットワークのすべてのノードで同じ値を指定する必要があります。指定できる範囲は 1 ~ 65535 秒です。デフォルトは 10 秒です。

ステップ 9

ip ospf dead-interval seconds

例:


Device(config-if)#ip ospf dead-interval 8

(任意)最後のデバイスで hello パケットが確認されてから、OSPF ルータがダウンしていることがネイバーによって宣言されるまでの時間を秒数で設定します。ネットワークのすべてのノードで同じ値を指定する必要があります。指定できる範囲は 1 ~ 65535 秒です。デフォルト値は hello インターバルの 4 倍です。

ステップ 10

ip ospf authentication-key key

例:


Device(config-if)#ip ospf authentication-key password

(任意)隣接 OSPF ルータで使用されるパスワードを割り当てます。パスワードには、キーボードから入力した任意の文字列(最大 8 バイト長)を指定できます。同じネットワーク上のすべての隣接ルータには、OSPF 情報を交換するため、同じパスワードを設定する必要があります。

ステップ 11

ip ospf message digest-key keyid md5 key

例:


Device(config-if)#ip ospf message digest-key 16 md5 your1pass

(任意)MDS 認証をイネーブルにします。

  • keyid :1 ~ 255 の ID。

  • key :最大 16 バイトの英数字パスワード

ステップ 12

ip ospf database-filter all out

例:


Device(config-if)#ip ospf database-filter all out

(任意)インターフェイスへの OSPF LSA パケットのフラッディングを阻止します。デフォルトでは、OSPF は、LSA が到着したインターフェイスを除き、同じエリア内のすべてのインターフェイスで新しい LSA をフラッドします。

ステップ 13

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 14

show ip ospf interface [interface-name]

例:


Device#show ip ospf interface

OSPF に関連するインターフェイス情報を表示します。

ステップ 15

show ip ospf neighbor detail

例:


Device#show ip ospf neighbor detail

ネイバー スイッチの NSF 認証ステータスを表示します。出力には、次のいずれかが表示されます。

  • Options is 0x52

    LLS Options is 0x1 (LR)

    これらの行の両方が表示される場合、ネイバー スイッチが NSF 認識です。

  • Options is 0x42 :ネイバー スイッチが NSF 認識でないことを示します。

ステップ 16

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

OSPF エリア パラメータの設定

始める前に


(注)  


OSPF area ルータ コンフィギュレーション コマンドはすべて任意です。


手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router ospf process-id

例:


Device(config)#router ospf 109

OSPF ルーティングをイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

area area-id authentication

例:


Device(config-router)#area 1 authentication

(任意)特定のエリアへの無許可アクセスに対して、パスワードベースの保護を可能にします。ID には 10 進数または IP アドレスのいずれかを指定できます。

ステップ 5

area area-id authentication message-digest

例:


Device(config-router)#area 1 authentication message-digest

(任意)エリアに関して MD5 認証を有効にします。

ステップ 6

area area-id stub [no-summary]

例:


Device(config-router)#area 1 stub

(任意)エリアをスタブ エリアとして定義します。no-summary キーワードを指定すると、ABR はサマリー リンク アドバタイズメントをスタブエリアに送信できなくなります。

ステップ 7

area area-id nssa [no-redistribution] [default-information-originate] [no-summary]

例:


Device(config-router)#area 1 nssa default-information-originate

(任意)エリアを NSSA として定義します。同じエリア内のすべてのルータは、エリアが NSSA であることを認識する必要があります。次のキーワードのいずれかを選択します。

  • no-redistribution :ルータが NSSA ABR の場合、redistribute コマンドを使用して、ルートを NSSA エリアでなく通常のエリアに取り込む場合に使用します。

  • default-information-originate :LSA タイプ 7 を NSSA に取り込めるようにする場合に、ABR で選択します。

  • no-redistribution :サマリー LSA を NSSA に送信しない場合に選択します。

ステップ 8

area area-id range address mask

例:


Device(config-router)#area 1 range 255.240.0.0

(任意)単一のルートをアドバタイズするアドレス範囲を指定します。このコマンドは、ABR に対してだけ使用します。

ステップ 9

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 10

show ip ospf [process-id]

例:


Device#show ip ospf

設定を確認するため、一般的な OSPF ルーティング プロセスまたは特定のプロセス ID に関する情報を表示します。

ステップ 11

show ip ospf [process-id [area-id]] database

例:


Device#show ip osfp database

特定のルータの OSPF データベースに関連する情報のリストを表示します。

ステップ 12

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

その他の OSPF パラメータの設定

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router ospf process-id

例:


Device(config)#router ospf 10

OSPF ルーティングをイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

summary-address address mask

例:


Device(config)#summary-address 10.1.1.1 255.255.255.0

(任意)1 つのサマリー ルートだけがアドバタイズされるように、再配信されたルートのアドレスおよび IP サブネット マスクを指定します。

ステップ 5

area area-id virtual-link router-id [hello-interval seconds] [retransmit-interval seconds] [trans] [[authentication-key key] | message-digest-key keyid md5 key]]

例:


Device(config)#area 2 virtual-link 192.168.255.1 hello-interval 5

(任意)仮想リンクを確立し、パラメータを設定します。

ステップ 6

default-information originate [always] [ metric metric-value] [ metric-type type-value] [ route-map map-name]

例:


Device(config)#default-information originate metric 100 metric-type 1

(任意)強制的に OSPF ルーティング ドメインにデフォルト ルートを生成するように ASBR を設定します。パラメータはすべて任意です。

ステップ 7

ip ospf name-lookup

例:


Device(config)#ip ospf name-lookup

(任意)DNS 名検索を設定します。デフォルトでは無効になっています。

ステップ 8

ip auto-cost reference-bandwidth ref-bw

例:


Device(config)#ip auto-cost reference-bandwidth 5

(任意)単一のルートをアドバタイズするアドレス範囲を指定します。このコマンドは、ABR に対してだけ使用します。

ステップ 9

distance ospf {[ inter-area dist1] [ inter-area dist2] [ external dist3]}

例:


Device(config)#distance ospf inter-area 150

(任意)OSPF の距離の値を変更します。各タイプのルートのデフォルト距離は 110 です。有効値は 1 ~ 255 です。

ステップ 10

passive-interface type number

例:


Device(config)#passive-interface gigabitethernet 1/0/6

(任意)指定されたインターフェイス経由の hello パケットの送信を抑制します。

ステップ 11

timers throttle spf spf-delay spf-holdtime spf-wait

例:


Device(config)#timers throttle spf 200 100 100

(任意)ルート計算タイマーを設定します。

  • spf-delay :SPF 計算の変更を受信する間の遅延。指定できる範囲は 1 ~ 600000 ミリ秒です。

  • spf-holdtime :最初と 2 番目の SPF 計算の間の遅延。指定できる範囲は 1 ~ 600000 ミリ秒です。

  • spf-wait :SPF 計算の最大待機時間(ミリ秒)。指定できる範囲は 1 ~ 600000 ミリ秒です。

ステップ 12

ospf log-adj-changes

例:


Device(config)#ospf log-adj-changes

(任意)ネイバー ステートが変更されたとき、syslog メッセージを送信します。

ステップ 13

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 14

show ip ospf [process-id [area-id]] database

例:


Device#show ip ospf database

特定のルータの OSPF データベースに関連する情報のリストを表示します。

ステップ 15

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

LSA グループ ペーシングの変更

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router ospf process-id

例:


Device(config)#router ospf 25

OSPF ルーティングをイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

timers lsa-group-pacing seconds

例:


Device(config-router)#timers lsa-group-pacing 15

LSA の グループ ペーシングを変更します。

ステップ 5

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 6

show running-config

例:


Device#show running-config 

入力を確認します。

ステップ 7

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

ループバック インターフェイスの設定

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interface loopback 0

例:


Device(config)#interface loopback 0

ループバック インターフェイスを作成し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

ip address address mask

例:


Device(config-if)#ip address 10.1.1.5 255.255.240.0

このインターフェイスに IP アドレスを割り当てます。

ステップ 5

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 6

show ip interface

例:


Device#show ip interface

入力を確認します。

ステップ 7

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

OSPF のモニタリング

IP ルーティング テーブルの内容、キャッシュの内容、およびデータベースの内容など、特定の統計情報を表示できます。

表 2. IP OSPF 統計情報の表示コマンド

コマンド

目的

show ip ospf [process-id]

OSPF ルーティング プロセスに関する一般情報を表示します。

show ip ospf [process-id] database [router] [link-state-id]

show ip ospf [process-id] database [router] [self-originate]

show ip ospf [process-id] database [router] [adv-router [ip-address]]

show ip ospf [process-id] database [network] [link-state-id]

show ip ospf [process-id] database [summary] [link-state-id]

show ip ospf [process-id] database [asbr-summary] [link-state-id]

show ip ospf [process-id] database [external] [link-state-id]

show ip ospf [process-id area-id] database [database-summary]

OSPF データベースに関連する情報のリストを表示します。

show ip ospf border-routes

内部の OSPF ルーティング ABR および ASBR テーブル エントリを表示します。

show ip ospf interface [interface-name]

OSPF に関連するインターフェイス情報を表示します。

show ip ospf neighbor [interface-name] [neighbor-id] detail

OSPF インターフェイス ネイバー情報を表示します。

show ip ospf virtual-links

OSPF に関連する仮想リンク情報を表示します。

OSPF の設定例

例:基本的な OSPF パラメータの設定

次に、OSPF ルーティング プロセスを設定し、プロセス番号 109 を割り当てる例を示します。


Device(config)#router ospf 109
Device(config-router)#network 131.108.0.0 255.255.255.0 area 24

OSPF の機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

表 3. OSPF の機能情報

リリース

機能情報

Cisco IOS XE Fuji 16.9.2

この機能が導入されました