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この章の内容は、次のとおりです。
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、1 つのインターフェイスがもう一方のバックアップとして機能するように設定されています。この機能は、スパニングツリー プロトコル(STP)の代替ソリューションです。STP をディセーブルにしても、基本的リンク冗長性を保つことができます。Flex Link は、通常、お客様がスイッチで STP を実行しない場合のサービス プロバイダーまたは企業ネットワークに設定されます。スイッチが STP を実行中の場合は、STP がすでにリンクレベルの冗長性またはバックアップを提供しているため、Flex Link は不要です。
別のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、1 つのレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定します。Flex Link インターフェイスは、同じスイッチ上に設定できます。リンクの 1 つがアップでトラフィックを転送しているときは、もう一方のリンクがスタンバイ モードで、このリンクがシャット ダウンした場合にトラフィックの転送を開始できるように準備しています。どの時点でも、1 つのインターフェイスのみがリンクアップ ステートでトラフィックを転送しています。プライマリ リンクがシャットダウンされると、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクがアップに戻った場合はスタンバイ モードになり、トラフィックが転送されません。デフォルトでは、Flex Link は設定されておらず、バックアップ インターフェイスは定義されていません。STP は Flex Link インターフェイスでディセーブルです。
Flex Link の設定例では、スイッチ A のポート 1 と 2 がアップリンク スイッチ B と C に接続されています。これらのスイッチは Flex Link として設定されているため、どちらかのインターフェイスのみがトラフィックを転送し、もう一方のインターフェイスはスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクである場合、ポート 1 とスイッチ B との間でトラフィックの転送が開始され、ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C との間のリンクでは、トラフィックは転送されません。ポート 1 がダウンすると、ポート 2 がアップ状態になってスイッチ C へのトラフィックの転送を開始します。ポート 1 が再びアップ状態に戻ってもスタンバイ モードになり、トラフィックを転送しません。ポート 2 がトラフィック転送を続けます。
Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルだけでサポートされ、VLAN またはレイヤ 3 ポートではサポートされません。
必要に応じて、プリエンプション メカニズムを設定し、優先してトラフィックの転送に使用するポートを指定できます。たとえば、Flex Link ペアをプリエンプション モードで設定することにより、ピア ポートより帯域幅の大きいポートが動作を再開した後、ポートが 35 秒後(デフォルトのプリエンプション遅延)に転送を開始し、ピア ポートがスタンバイとなります。これを行うには、preemption mode bandwidth および delay コマンドを入力します。
プライマリ(転送)リンクがダウンすると、トラップによってネットワーク管理ステーションが通知を受けます。スタンバイ リンクがダウンすると、トラップによってユーザが通知を受けます。
また、別のインターフェイスに代わって現用インターフェイスをプリエンプションする前に、プリエンプション遅延を指定した時間(秒単位)で設定することもできます。これにより、スイッチの切り替え前にアップストリーム スイッチの対応スイッチが STP フォワーディング ステートに移行されます。
Flex Link インターフェイスが mrouter ポートとして学習されると、リンクアップしている場合、スタンバイ(非転送)インターフェイスも mrouter ポートとして相互学習されます。この相互学習は、内部ソフトウェアのステート メンテナンス用であり、マルチキャスト高速コンバージェンスがイネーブルでない限り、IGMP 動作またはハードウェア転送に対して関連性はありません。マルチキャスト高速コンバージェンスを設定すると、相互学習された mrouter ポートがただちにハードウェアに追加されます。Flex Link では、IPv4 IGMP のマルチキャスト高速コンバージェンスをサポートしています。
Flex Link を設定する場合は、次の注意事項および制約事項を考慮してください。
任意のアクティブ リンクに対して設定可能な Flex Link バックアップ リンクは 1 つだけで、アクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスでなければなりません。
インターフェイスが所属できる Flex Link ペアは 1 つだけです。つまり、インターフェイスは 1 つのアクティブ リンクに対してだけ、バックアップ リンクになることができます。
どちらのリンクも、EtherChannel に属するポートには設定できません。ただし、2 つのポート チャネル(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として設定でき、ポート チャネルおよび物理インターフェイスを Flex Link として設定して、ポート チャネルか物理インターフェイスのどちらかをアクティブ リンクにすることができます。
STP は Flex Link ポートでディセーブルです。ポート上にある VLAN が STP 用に設定されている場合でも、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合は、設定されているトポロジでループが発生しないようにしてください。
Flex Link ポート、またはそのリンクの接続先ポートでは、STP 機能(PortFast、BPDU ガードなど)を設定しないでください。
vPC はサポートされていません。Flex Link は、設定の簡素化が求められ、アクティブ-アクティブ冗長の必要性がない vPC の代わりに使用されます。
Flex Link ポートでの MVR の設定はサポートされません。
Flex Link は、次のインターフェイス タイプで設定できません。
パラメータ | 定義 |
---|---|
マルチキャスト高速コンバージェンス |
ディセーブル |
プリエンプション モード |
消灯 |
プリエンプション遅延 |
35 秒 |
レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアを、1 つのインターフェイスがもう一方のバックアップとして機能するように設定されている Flex Link インターフェイスとして設定できます。
1. switch# configure terminal
2. switch(config) # feature flexlink
3. switch(config) # interface {ethernet slot/port | port-channel channel-no }
4. switch(config-if) # switchport backup interface {ethernet slot/port | port-channel channel-no } [ multicast fast-convergence | preemption { delay delay-time | mode [ bandwidth | forced | off ] }]
5. (任意) switch(config-if) # end
6. (任意) switch# show interface interface-id switchport backup
7. (任意) switch# copy running-config startup-config
次の例は、イーサネット スイッチポート バックアップのペア(イーサネット 1/1 がアクティブなインターフェイスであり、イーサネット 1/2 がバックアップ インターフェイスである)を設定する方法を示しています。
switch(config)# feature flexlink switch(config)# interface ethernet1/1 switch(config-if)# switchport backup interface ethernet2/1 switch(config-if) # exit switch(config)# interface po300 Switch(config-if)# switchport backup interface po301 switch# show ip igmp snooping mrouter Type: S - Static, D - Dynamic, V - vPC Peer Link, I - Internal, C - Co-learned Vlan Router-port Type Uptime Expires 4 Po300 D 00:00:12 00:04:50 4 Po301 DC 00:00:12 00:04:50
Flex Link のペアにプリエンプション方式を設定できます。
Flex Link 機能をイネーブルにします。
1. switch# configure terminal
2. switch(config) # interface ethernet 1/48 slot/port
3. switch(config-if) # switchport backup interface ethernet slot/port
4. switch(config-if) # switchport backup interface ethernet slot/port preemption mode [ bandwidth | forced | off ]
5. switch(config-if) # switchport backup interface ethernet slot/port preemption delay delay-time
6.
(任意) switch(config-if) # end
7.
(任意) switch# show interface interface-id switchport backup
8. (任意) switch# copy running-config startup-config
次に、プリエンプション モードを強制に設定し、遅延時間を 50 に設定し、設定を確認する方法の例を示します。
Switch# configure terminal switch(conf)# interface ethernet0/1 switch(conf-if)#switchport backup interface ethernet0/2 preemption mode forced switch(conf-if)#switchport backup interface ethernet0/2 preemption delay 50 switch(conf-if)# end switch# show interface switchport backup detail Active Interface Backup Interface State ------------------------------------------------------------------------ Ethernet0/21 Ethernet0/2 Active Up/Backup Standby Interface Pair : Gi0/1, Gi0/2 Preemption Mode : forced Preemption Delay : 50 seconds Bandwidth : 100000 Kbit (Gi0/1), 100000 Kbit (Gi0/2) Mac Address Move Update Vlan : auto
次のコマンドを使用すると、Flex Link の設定情報を表示することができます。
コマンド | 目的 |
---|---|
show interface switchport backup |
スイッチ ポートのすべての Flex Link インターフェイスに関する情報を表示します。 |
show interface switchport backup detail |
スイッチ ポートのすべての Flex Link インターフェイスに関する詳細情報を表示します。 |
show running-config backup show startup-config backup |
バックアップ インターフェイスの実行コンフィギュレーション ファイルまたはスタートアップ コンフィギュレーションを表示します。 |
show running-config flexlink show startup-config flexlink |
Flex Link インターフェイスの実行コンフィギュレーション ファイルまたはスタートアップ コンフィギュレーションを表示します。 |
次の例は、強制プリエンプションを使用してポート チャネル スイッチポート バックアップのペアを設定する方法を示しています。アクティブな interface port-channel10 が優先転送インターフェイスです。
switch(config)# interface port-channel10 switch(config-if)# switchport backup interface port-channel20 preemption mode forced switch(config-if)# switchport backup interface port-channel20 preemption delay 35
次の例は、マルチキャスト高速コンバージェンスを使用した、ポート チャネル スイッチポート バックアップのペアを設定する方法を示しています。
switch(config)# interface port-channel10 switch(config-if)# switchport backup interface port-channel20 multicast fast-convergence
次の例は、Flex Link インターフェイス(po300 と po301)のマルチキャスト コンバージェンスの例を示します。po300 で一般クエリーを受信すると、mrouter ポートと po301 が相互学習されます。
switch(config)# interface po300 Switch(config-if)# switchport backup interface po301 switch# show ip igmp snooping mrouter Type: S - Static, D - Dynamic, V - vPC Peer Link, I - Internal, C - Co-learned Vlan Router-port Type Uptime Expires 4 Po300 D 00:00:12 00:04:50 4 Po301 DC 00:00:12 00:04:50
次の例は、po300 と po301 を mrouter ポート(po301 が相互学習される)として示します。これは、マルチキャスト高速コンバージェンスがディセーブルの場合、ハードウェア テーブルに追加されません。
switch# show ip igmp snooping groups vlan 4 Type: S - Static, D - Dynamic, R - Router port Vlan Group Address Ver Type Port list 4 */* - R Po300 Po301 224.1.1.1 v2 D Eth1/31 switch# show platform fwm info hw-stm | grep 0100.5e01.0101 1.4 0100.5e01.0101 midx 36 1:2849:0 0:0:1:0 1.0.0.0.0.24 (e:0) switch# show platform fwm info oifl 36 oifl 36 vdc 1 oifl 36: vdc 1 gpinif 0, mcast idx 36(alt:0), oifl_type 2 oifl 36 vdc 1 oifl 36: oifl iods 8,44 oifl 36 vdc 1 oifl 36: max_iod 8192, ref count 1000 num_oifs 2, seq_num 33 oifl 36 vdc 1 oifl 36: hw pgmd: 1 msg present: 0 oifl 36 vdc 1 oifl 36: l2_bum_ref_cnt 0, l3_macg_ref_cnt 1000 oifl 36 vdc 1 oifl 36: if_indexs - Po300 Eth1/31
次の例は、マルチキャスト高速コンバージェンスがイネーブルの場合に、相互学習された po301 がハードウェアに追加されることを示しています。
switch(config)# interface po300 Switch(config-if)# switchport backup interface po301 multicast fast-convergence switch# show platform fwm info hw-stm | grep 0100.5e01.0101 1.4 0100.5e01.0101 midx 38 1:2849:0 0:0:1:0 1.0.0.0.0.26 (e:0) switch# show platform fwm info oifl 38 oifl 38 vdc 1 oifl 38: vdc 1 gpinif 0, mcast idx 38(alt:0), oifl_type 2 oifl 38 vdc 1 oifl 38: oifl iods 8-9,44 oifl 38 vdc 1 oifl 38: max_iod 8192, ref count 1000 num_oifs 3, seq_num 35 oifl 38 vdc 1 oifl 38: hw pgmd: 1 msg present: 0 oifl 38 vdc 1 oifl 38: l2_bum_ref_cnt 0, l3_macg_ref_cnt 1000 oifl 38 vdc 1 oifl 38: if_indexs - Po300 Po301 Eth1/31
次の例は、Flex Link の実行コンフィギュレーションを示しています。
switch# show running-config flexlink !Command: show running-config flexlink !Time: Thu Jan 1 03:21:12 2011 version 5.0(3)N2(1) feature flexlink logging level Flexlink 5 interface port-channel500 switchport backup interface port-channel501 preemption delay 36 switchport backup interface port-channel501 multicast fast-convergence interface Ethernet2/2 switchport backup interface port-channel507 preemption mode forced
次の例は、Flex Link インターフェイスの詳細を示します。(scheduled) が表示されるため、強制プリエンプションが実行されようとしています。
switch# show interface switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
port-channel300 port-channel301 Active Down/Backup Up
Preemption Mode : forced
Preemption Delay : 35 seconds (default) (scheduled)
Multicast Fast Convergence : Off
Bandwidth : 20000000 Kbit (port-channel300), 10000000 Kbit (port-channel301)