NTP の概要
ここでは、次の内容について説明します。
• 「NTP の概要」
• 「ハイ アベイラビリティ」
• 「仮想化サポート」
NTP の概要
NTP は、分散している一連のタイム サーバとクライアント間で 1 日の時間を同期させ、複数のネットワーク デバイスから受信するシステム ログや時間関連のイベントを相互に関連付けられるようにします。NTP は、User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)をトランスポート プロトコルとして、標準 Universal Time Coordinated(UTC: 協定世界時)を使用します。
NTP サーバは通常、タイム サーバに接続されたラジオ クロックやアトミック クロックなどのソースから時刻を受信し、ネットワークを介してこの時刻を配信します。NTP はきわめて効率的です。毎分 1 パケットだけで、2 台のマシンが相互に 1 ミリ秒以内で同期します。
NTP では層(stratum)を使用して、ネットワーク デバイスと正規の時刻源の距離を表します。
• Stratum 1 タイム サーバは正規の時刻源(アトミック クロックなど)に直接接続されています。
• Stratum 2 NTP サーバは、Stratum 1 NTP サーバから NTP を使用して時刻を受信します。
同期の前に、NTP は複数のネットワーク サービスが報告した時刻を比較し、1 つの時刻が著しく異なる場合は、それが Stratum 1 であっても、同期しません。
Cisco NX-OS は、ラジオクロックまたはアトミック クロックに接続できず、Stratum 1 サーバとして動作することはできないため、インターネット上で利用できるパブリック NTP サーバを使用することを推奨します。
ネットワークがインターネットから切り離されている場合、Cisco NX-OS では、NTP によって時刻が同期されていなくても、NTP で同期されているものとして時刻を設定できます。その後、NTP を使用して、そのデバイスに他のネットワーク デバイスを同期させることができます。
(注) NTP ピア関係を作成して、サーバで障害が発生した場合に、ネットワーク デバイスを同期させて、正確な時刻を維持するための時刻提供ホストを指定できます。
注意事項および制約事項
NTP に関する設定時の注意事項および制約事項は、次のとおりです。
• 別のデバイスとの間にピア アソシエーションを設定できるのは、使用するクロックの信頼性が確実な場合(信頼できる NTP サーバのクライアントである場合)に限られます。
• 単独で設定したピアは、サーバの役割を担いますが、バックアップとして使用する必要があります。サーバが 2 台ある場合、いくつかのデバイスが一方のサーバに接続し、残りのデバイスが他方のサーバに接続するように設定できます。その後、2 台のサーバ間にピア アソシエーションを設定すると、信頼性の高い NTP 構成になります。
• サーバが 1 台だけの場合は、すべてのデバイスをそのサーバのクライアントとして設定する必要があります。
• 設定できる NTP エンティティ(サーバおよびピア)は、最大 64 です。
NTP の設定
ここでは、次の内容について説明します。
• 「NTP プロトコルのイネーブルまたはディセーブル」
• 「NTP プロトコルのイネーブルまたはディセーブル」
• 「NTP サーバおよびピアの設定」
(注) この機能の Cisco NX-OS コマンドは、Cisco IOS のコマンドとは異なる場合があるので注意してください。
NTP プロトコルのイネーブルまたはディセーブル
NTP をイネーブルまたはディセーブルにできます。NTP はデフォルトでイネーブルです。NTP をディセーブルにしてから、もう一度イネーブルにできます。
操作の前に
正しい VDC を使用していることを確認します。VDC の変更は switchto vdc コマンドを使用します。
手順概要
1. config t
2. [no] ntp enable
3. show ntp status
4. copy running-config startup-config
手順詳細
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ステップ 1 |
config t 例: switch# config t Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
[no] ntp enable 例: switch(config)# ntp enable |
デバイス全体で NTP プロトコルをイネーブルまたはディセーブルにします。NTP はデフォルトでイネーブルです。 |
ステップ 3 |
show ntp status 例: switch(config)# show ntp status Distribution : Enabled Last operational state: Fabric Locked |
(任意)NTP アプリケーションのステータスを表示します。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config 例:
switch(config)# copy running-config startup-config
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(任意)リブートおよびリスタート時に実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーして、変更を継続的に保存します。 |
NTP プロトコルをディセーブルにする例を示します。
switch# config t
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
switch(config)# no ntp enable
NTP サーバおよびピアの設定
NTP サーバおよびピアを設定できます。NTP サーバとそのピアの IP アドレスまたは DNS 名が必要です。
操作の前に
正しい VDC を使用していることを確認します。VDC の変更は switchto vdc コマンドを使用します。
手順概要
1. config t
2. ntp server { ip-address | ipv6-address | dns-name }
3. ntp peer { ip-address | ipv6-address | dns-name }
4. show ntp peers
5. copy running-config startup-config
手順詳細
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ステップ 1 |
config t 例: switch# config t Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ntp server {ip-address | ipv6-address | dns-name} 例: switch(config)# ntp server 192.0.2.10 |
サーバとのアソシエーションを作成します。 |
ステップ 3 |
ntp peer {ip-address | ipv6-address | dns-name} switch(config)# ntp peer 2001:0db8::4101 |
ピアとのアソシエーションを作成します。複数のピア アソシエーションを指定できます。 |
ステップ 4 |
show ntp peers 例: switch(config)# show ntp peers |
(任意)設定済みのサーバおよびピアを表示します。 (注) ドメイン名が解決されるのは、DNS サーバが設定されている場合だけです。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config 例:
switch(config)# copy running-config startup-config
|
(任意)リブートおよびリスタート時に実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーして、変更を継続的に保存します。 |
「NTP サーバおよびピアの設定」で説明しているように、NTP サーバおよびピアを設定する例を示します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
switch(config)# ntp server 192.0.2.105
switch(config)# ntp peer 2001:0db8::4101
switch(config)# show ntp peers
--------------------------------------------------
Peer IP Address Serv/Peer
--------------------------------------------------
2001:db8::4101 Peer (configured)
192.0.2.105 Server (configured)
switch(config)# copy running-config startup-config
[########################################] 100%
NTP コンフィギュレーションの確認
NTP のコンフィギュレーション情報を表示するには、次の作業のいずれかを行います。
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show ntp peer-status |
すべての NTP サーバおよびピアのステータスを表示します。 |
show ntp peers |
すべての NTP ピアを表示します。 |
show ntp statistics { io | local | memory | peer { ipaddr { ipv4_addr | ipv6_addr } | name peer_name}} |
NTP 統計情報を表示します。 |
NTP 統計情報を消去するには、 clear ntp statistics コマンドを使用します。
NTP のコンフィギュレーション例
NTP サーバおよびピアを設定し、その設定をスタートアップに保存し、リブートとリスタートを通して保存されるようにする例を示します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
switch(config)# ntp server 192.0.2.105
switch(config)# ntp peer 2001:0db8::4101
switch(config)# show ntp peers
--------------------------------------------------
Peer IP Address Serv/Peer
--------------------------------------------------
2001:db8::4101 Peer (configured)
192.0.2.105 Server (configured)
switch(config)# copy running-config startup-config
[########################################] 100%
デフォルト設定
表 3-1 に、NTP パラメータのデフォルト設定を示します。
表 3-1 デフォルトの NTP パラメータ
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NTP |
ディセーブル |
その他の関連資料
NTP の実装に関する詳細情報については、次の項を参照してください。
• 「関連資料」
• 「MIB」
NTP 機能の履歴
表 3-2 に、この機能のリリース履歴を示します。