RMON の概要
RMON は、各種ネットワーク エージェントおよびコンソール システムがネットワーク モニタリング データを交換できるようにする、Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)Internet Engineering Task Force(IETF; インターネット技術特別調査委員会)の標準モニタリング仕様です。Cisco NX-OS は Cisco NX-OS デバイスを監視できるように、RMON アラーム、イベント、およびログをサポートします。
RMON アラームは、指定されたインターバルで特定の Management Information Base(MIB; 管理情報ベース)オブジェクトを監視し、指定されたしきい値になるとアラームを発生させ、次のしきい値でアラームをリセットします。RMON イベントでアラームを使用すると、RMON アラームの発生時に、ログ エントリまたは SNMP 通知を生成できます。
RMON はデフォルトでディセーブルであり、Cisco NX-OS ではイベントもアラームも設定されません。RMON アラームおよびイベントを設定するには、CLI または SNMP 互換ネットワーク管理ステーションを使用します。
ここでは、次の内容について説明します。
• 「RMON アラーム」
• 「RMON イベント」
• 「ハイ アベイラビリティ」
• 「仮想化サポート」
RMON アラーム
SNMP INTEGER タイプとして解決される MIB オブジェクトであれば、任意の MIB オブジェクトにアラームを設定できます。指定するオブジェクトは、標準のドット付き表記で表した既存の SNMP MIB オブジェクトでなければなりません(たとえば、1.3.6.1.2.1.2.2.1.14 は ifInOctets.14 を表します)。
アラームを作成する場合は、次のパラメータを指定します。
• モニタする MIB オブジェクト
• サンプリング インターバル:MIB オブジェクトのサンプル値を収集するために Cisco NX-OS が使用するインターバル。
• サンプル タイプ:絶対サンプルでは、MIB オブジェクト値の現在のスナップショットを使用します。デルタ サンプルでは、2 つの連続するサンプルを使用し、その差を計算します。
• 上限しきい値:Cisco NX-OS が上限アラームを発生させるか、下限アラームをリセットする値。
• 下限しきい値:Cisco NX-OS が下限アラームを発生させるか、上限アラームをリセットする値。
• イベント:アラーム(上限または下限)発生時に Cisco NX-OS が開始するアクション。
(注) 64 ビット整数 MIB オブジェクトにアラームを設定するには、hcalarms オプションを使用します。
たとえば、エラー カウンタ MIB オブジェクトにデルタ タイプの上限アラームを設定できます。エラー カウンタ デルタがこの値を超えると、SNMP 通知を送信するイベントを発生させ、上限アラーム イベントを記録できます。この上限アラームは、エラー カウンタのデルタ サンプルが下限しきい値を下回らないかぎり、再び発生することはありません。
(注) 下限しきい値は上限しきい値未満でなければなりません。
RMON イベント
RMON アラームごとに特定のイベントを関連付けることができます。RMON がサポートするイベント タイプは、次のとおりです。
• SNMP 通知:関連付けられたアラームの発生時に、SNMP risingAlarm または fallingAlarm 通知を送信します。
• ログ:関連付けられたアラームの発生時に、RMON ログ テーブルにエントリを追加します。
• 両方:関連付けられたアラームの発生時に、SNMP 通知を送信し、RMON ログ テーブルにエントリを追加します。
下限アラームと上限アラームとで異なるイベントを指定できます。
ハイ アベイラビリティ
Cisco NX-OS は、RMON のステートレス リスタートをサポートします。リブートまたはスーパーバイザ スイッチオーバー後に、Cisco NX-OS は実行コンフィギュレーションを適用します。
仮想化サポート
Cisco NX-OS は、Virtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)ごとに RMON インスタンスを 1 つずつサポートします。デフォルトでは、Cisco NX-OS はデフォルトの VDC が使用されるようにします。次の URL にアクセスして、『 Cisco NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/switches/datacenter/sw/4_1/nx-os/interfaces/configuration/guide/if_nxos_book.html
RMON は Virtual Routing and Forwarding(VRF)を認識します。特定の VRF を使用して RMON SMTP サーバに接続するように RMON を設定できます。
RMON のライセンス要件
RMON にはライセンスは不要です。ライセンス パッケージに含まれていない機能は、Cisco NX-OS システム イメージにバンドルされて提供されます。追加料金は発生しません。NX-OS ライセンス方式の詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Licensing Guide, Release 4.1 』を参照してください。
RMON の前提条件
RMON の前提条件は、次のとおりです。
VDC を設定する場合は、Advanced Services ライセンスをインストールし、所定の VDC を開始する必要があります。次の URL にアクセスし、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide, Release 4.1 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/switches/datacenter/sw/4_1/nx-os/interfaces/configuration/guide/if_nxos_book.html
注意事項および制約事項
RMON に関する設定時の注意事項および制約事項は、次のとおりです。
• SNMP 通知イベント タイプを使用するには、SNMP ユーザおよび通知レシーバを設定する必要があります。
• RMON アラームを設定できるのは、整数として解決される MIB オブジェクトに限られます。
RMON の設定
ここでは、次の内容について説明します。
• 「RMON アラームの設定」
• 「RMON イベントの設定」
(注) この機能の Cisco NX-OS コマンドは、Cisco IOS のコマンドとは異なる場合があるので注意してください。
RMON アラームの設定
RMON アラームは、整数ベースのあらゆる SNMP MIB オブジェクトに設定できます。
任意で次のパラメータを指定できます。
• 上限または下限しきい値が指定限度を超えた場合に発生させるイベント番号。
• アラームのオーナー。
操作の前に
SNMP ユーザを設定し、SNMP 通知をイネーブルにしてあることを確認します(「SNMP の設定」を参照)。
• 正しい VDC を使用していることを確認します。VDC の変更は switchto vdc コマンドを使用します。
手順概要
1. config t
2. rmon alarm index mib-object sample-interval { absolute | delta } rising-threshold value [ event-index ] f alling-threshold value [ event-index ] [ owner name ]
または
rmon hcalarm index mib-object sample-interval { absolute | delta } rising-threshold-high value rising-threshold-low value [ event-index ] falling-threshold-high value falling-threshold-low value [ event-index ] [ owner name ] [ storagetype type ]
3. show rmon [ alarms | hcalarms ]
4. copy running-config startup-config
手順詳細
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ステップ 1 |
config t 例: switch# config t Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
rmon alarm index mib-object sample-interval { absolute | delta } rising-threshold value [ event-index ] f alling-threshold value [ event-index ] [ owner name ] 例: switch(config)# rmon alarm 20 1.3.6.1.2.1.2.2.1.14 2900 delta rising-threshold 1500 1 falling-threshold 0 owner test |
RMON アラームを作成します。値の範囲は -2147483647 ~ 2147483647 です。オーナー名は任意の英数字ストリングにできます。 |
rmon hcalarm index mib-object sample-interval { absolute | delta } rising-threshold-high value rising-threshold-low value [ event-index ] falling-threshold-high value falling-threshold-low value [ event-index ] [ owner name ] [ storagetype type] 例: switch(config)# rmon alarm 20 1.3.6.1.2.1.2.2.1.14.16777216 2900 delta rising-threshold-high 15 rising-threshold-low 151 falling-threshold-high 0 falling-threshold-low 0 owner test |
RMON 大容量アラームを作成します。値の範囲は -2147483647 ~ 2147483647 です。オーナー名は任意の英数字ストリングにできます。 ストレージ タイプの範囲は 1 ~ 5 です。 |
ステップ 3 |
show rmon { alarms | hcalarms } 例: switch(config)# show rmon alarms |
(任意)RMON アラームまたは大容量アラームに関する情報を表示します。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config 例: switch(config)# copy running-config startup-config |
(任意)このコンフィギュレーションの変更を保存します。 |
RMON イベントの設定
RMON アラームと関連付ける RMON イベントを設定できます。複数の RMON アラームで同じイベントを再使用できます。
操作の前に
SNMP ユーザを設定し、SNMP 通知をイネーブルにしてあることを確認します(「SNMP の設定」を参照)。
• 正しい VDC を使用していることを確認します。VDC の変更は switchto vdc コマンドを使用します。
手順概要
1. config t
2. rmon event index [ description string ] [ log ] [ trap ] [ owner name ]
3. show rmon events
4. copy running-config startup-config
手順詳細
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ステップ 1 |
config t 例: switch# config t Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
rmon event index [ description string ] [ log ] [ trap ] [ owner name ] 例: switch(config)# rmon event 1 trap |
RMON イベントを設定します。説明のストリングおよびオーナー名には、任意の英数字を使用できます。 |
ステップ 3 |
show rmon events 例: switch(config)# show rmon events |
(任意)RMON イベントに関する情報を表示します。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config 例: switch(config)# copy running-config startup-config |
(任意)このコンフィギュレーションの変更を保存します。 |
RMON コンフィギュレーションの確認
RMON のコンフィギュレーション情報を表示するには、次の作業のいずれかを行います。
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show rmon alarms |
RMON アラーム情報を表示します。 |
show rmon events |
RMON イベント情報を表示します。 |
show rmon hcalarms |
RMON hcalarm 情報を表示します。 |
show rmon logs |
RMON ログ情報を表示します。 |
RMON のコンフィギュレーション例
ifInOctets.14 にデルタ上限アラームを作成し、このアラームに通知イベントを関連付ける例を示します。
config t
rmon alarm 20 1.3.6.1.2.1.2.2.1.14 2900 delta rising-threshold 1500 1 falling-threshold 0 owner test
rmon event 1 trap
デフォルト設定
表 11-1 に、RMON パラメータのデフォルト設定を示します。
表 11-1 デフォルトの RMON パラメータ
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アラーム |
未設定 |
イベント |
未設定 |
その他の関連資料
RMON の実装に関する詳細情報については、次の項を参照してください。
• 「関連資料」
• 「規格」
• 「MIB」
規格
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この機能がサポートする新しい規格または変更された規格はありません。また、この機能で変更された既存規格のサポートはありません。 |
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MIB
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• RMON-MIB |
MIB を見つけてダウンロードするには、次の URL を参照してください。 http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml |