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この章では、Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システム 16 スロット ラインカード シャーシの概要を説明します。この章にはシャーシの前面および背面の説明図があり、各ハードウェア コンポーネントの概要も記載されています。ここで紹介している各サブシステムの詳細については、『 Cisco CRS-1 Carrier Routing System 16-Slot Line Card Chassis System Description 』を参照してください。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシは、ラインカードとも呼ばれる Modular Services Card(MSC; モジュラ サービス カード)、MSC に対応する Physical Layer Interface Module(PLIM; 物理レイヤ インターフェイス モジュール)、および一部のスイッチ ファブリック カードを格納する筐体です。Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシには、独自の電源システムと冷却システムが組み込まれています。16 スロット識別子は、MSC とこれに対応する PLIM のためのカード ケージ スロットのことを指します。
他のスロットは Route Processor(RP; ルート プロセッサ)カード、ファン コントローラ カード、およびスイッチ ファブリック カード(スイッチ モジュール)専用であり、16 スロットの中には含めません。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシは床に固定され、前面および背面ドアにはロック機能があります(前面ドアはシャーシに標準装備されていますが、背面ドアはオプションの背面外装キットに含まれます)。Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシはキャビネット内に完全なラック型で格納されるため、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの取り付けの際に外付けラックを用意する必要はありません。
(注) 安全のため、シャーシは建造物に固定する必要があります。
ここでは、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの主要コンポーネントについて説明します。主に Field-Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)とされるコンポーネントを取り上げますが、詳細情報が役立つと思われる場合は、FRU ではないサブアセンブリについても説明します。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの構成を次に示します。
• 最大 16 の MSC とそれぞれに対応する PLIM。MSC および PLIM は、ペアのカードとして、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシのミッドプレーンを介して接続します。MSC は、システムを介してスイッチングされるユーザ データのレイヤ 3 ルーティング用に転送エンジンを提供し、PLIM はユーザ データ用の物理インターフェイスとコネクタを提供します。
MSC は、インターフェイス速度とテクノロジーの異なる数種類の PLIM と対応付けることができます。利用可能な PLIM には次のものがあります。
–16 ポート OC-48c/STM-16c Packet-over-SONET(PoS):Long Reach(LR; 長距離)および Short Reach(SR; 短距離)オプションがあります。16 ポートの OC-48c/STM-16c PoS PLIM は、Small Form-Factor Pluggable(SFP; 着脱可能小型フォーム ファクタ)光ファイバをサポートします。
–4 ポート OC-192c/STM-64c PoS:Intermediate Reach(IR; 中距離)、SR、および Very Short Reach(VSR; 超短距離)オプションがあります。
利用可能な PLIM の詳細については、シスコの営業担当者にお問い合せください。
• シャーシ ミッドプレーン。ミッドプレーンは、対応している MSC と PLIM を接続します。このミッドプレーンは、対応する PLIM に接続されたケーブルを切り離さなくても、シャーシから MSC を取り外せる設計になっています。ミッドプレーンはさらに配電を行い、Switch Fabric Card(SFC; スイッチ ファブリック カード)に MSC を接続し、コントロール プレーンの相互接続を提供します。ミッドプレーンは現地交換可能ではありません。
• RP カード× 2。RP は Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシのシステム コントローラとして機能することにより、システムのインテリジェンスを提供します。
• ファン コントローラ カード× 2。このカードは、ファン トレイの高速ファンの速度を変化させることにより、周囲の状況に合わせて空気流を調整します。
• 上下のファン トレイ。このトレイがシャーシの吸気/排気を行います。着脱可能なエアー フィルタは、下部ファン トレイの上にあります。
• SFC × 8。シングル シャーシ システムには 8 個の SFC が格納されます。
• アラーム モジュール× 2。アラーム モジュールは、外部アラーム システムに接続します。アラーム モジュールは、AC または DC 電源シェルフに搭載されています。
• AC 電源シェルフ× 2 または DC 電源シェルフ× 2、および AC 整流器または DC Power Entry Module(PEM; 電源入力モジュール)。電源シェルフと AC 整流器、または DC PEM は、シャーシに 13.2 kW の冗長電力を供給します。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシは前面(PLIM 側)から冷気を吸気して、背面(MSC 側)から暖気を排気します。ユーザ データ ケーブルと PLIM の接続も前面で行います。このため PLIM 側が Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの前面になります。MSC 側がシャーシの背面になります。
図1-1 に Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの前面図、図1-2 に背面図を示します。
ここでは、シャーシに取り付ける主要なカードとモジュール(主に FRU)の場所とスロット番号について説明します。
PLIM 側の Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシ スロット番号については、図1-3 を参照してください。
図1-3 ラインカード シャーシの前面(PLIM 側)スロット番号
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図1-3 に示すように、シャーシの前面(PLIM 側)には次のコンポーネントがあります。
• 電源シェルフ 0(PS0):対応する電源モジュール スロット A0、A1、A2、およびアラーム モジュール スロット(AM0)
• 電源シェルフ 1(PS1):対応する電源モジュール スロット B0、B1、B2、およびアラーム モジュール スロット(AM1)
• 上部 PLIM カード ケージ:8 つの PLIM スロット(左から右に 0、1、2、3 . . . 4、5、6、7)、および左側と右側の PLIM スロットの間にある 2 つの倍幅ファン コントローラ カード スロット FC0、FC1(幅の広いスロットには 2 個のファン コントローラのみ取り付け可能)
• 下部 PLIM カード ケージ:8 つの PLIM スロット(左から右に 8、9、10、11 . . . 12、13、14、15)および 2 つの倍幅 RP カード スロット RP0 および RP1(幅の広いスロットには RP のみ取り付け可能)
シャーシの背面(MSC 側)の Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシ スロット番号については、図1-4 を参照してください。
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図1-4 に示すように、シャーシの背面(MSC 側)には次のコンポーネントがあります。
• 上部カード ケージ:8 つの MSC スロット(左から右に 7、6、5、4 .. . 3、2、1、0)および左側と右側の MSC スロットの間にある 4 つのスイッチ ファブリック カード スロット(SM0、SM1、SM2、SM3)
• 下部カード ケージ:8 つの MSC スロット(左から右に 15、14、13、12 .. . 11、10、9、8)および左側と右側の MSC スロットの間にある 4 つのスイッチ モジュール スロット(SM4、SM5、SM6、SM7)
MSC スロット番号はシャーシの反対側にある PLIM スロットの番号と逆になっています。MSC は PLIM と対応し、実際にミッドプレーン経由で PLIM に接続されているため、0 番の MSC スロットは背面(MSC 側)から見ると一番右にあり、0 番の PLIM スロットは前面(PLIM 側)から見ると一番左にあります。0 番の MSC スロットと 0 番の PLIM スロットだけでなく、他のすべての MSC スロットと PLIM スロット(2 番から 15 番)がミッドプレーン経由で互いに接続されています。
シスコでは設置場所ごとに 1 つずつ、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの床面をかたどったアルミ製のドリル テンプレートを提供し、ドリルで床に穴を開けるときに必要な穴の位置がわかるようにしています。
また、シスコでは、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシのドアの開閉やコンポーネントの取り外し/取り付け時に必要なスペースを含めた透明の設置用テンプレートも提供しています。これは、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの設置やメンテナンス時に必要な通路のスペースの計画に利用できます。
図1-5 は、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの設置面積を上から見た図です(オプションの前面および背面外装を取り付けた状態)。
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図1-5 に示す寸法の意味は次のとおりです。
• ドアを取り付けて閉じた状態の Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの奥行は 40.236 インチ(102.199 cm)です。
• ドアを除いた、前面ケーブル管理システムから背面ケーブル管理システムまでの奥行は 38.264 インチ(97.191 cm)です。
• ケーブル管理システムとドアを除いた、シャーシの前面から背面までの距離は 32.766 インチ(83.226 cm)です。
• シャーシの幅は 23.546 インチ(59.807 cm)です。
(注) 単一の Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシ システムでは、外部のスイッチ ファブリックの相互接続用ケーブルを使用しないので、背面ドアは取り付けなくてもかまいません。
(注) 装置間の通路には、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシを引き出したり、向きを変えたり、所定の位置まで移動したりできるだけの幅が必要です。通路でシャーシの向きを変えるために必要なおおよその通路幅は、次のとおりです。
50 インチ(127 cm) ― 外装コンポーネントもドアも取り付けていないシャーシの場合(移動用キャスターもなし)
60 インチ(152.4 cm) ― 移動用キャスターを取り付けた状態のシャーシの場合
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシには、シャーシの前面(PLIM 側)と背面(MSC 側)の両側にケーブル管理機構があります。PLIM 側には両方のカード ケージの上に水平なケーブル管理機構があります。水平のケーブル管理トレイは特殊な伸縮式になっていて、シャーシのカードをより高密度なものにアップグレードした場合に引き伸ばすことができます。この引き伸ばし機能はケーブルをシャーシに取り付ける際にも便利です。
シャーシの MSC 側には下部カード ケージ(シャーシ中央)の上にケーブル管理システムがあります。管理の対象となるケーブルの数はあらかじめ決められているため、ここにあるケーブル管理トレイは伸縮式にはなっていません。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシには前面および背面のロック式ドアとベゼル、側面パネルもあります。スタンドアロン システムの場合、背面ドアはオプションです。外装コンポーネントは別パッケージで出荷されるので、システム設置時に Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシに取り付ける必要があります。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの冷却システムには、外気をシステムに取り込んで熱を放出することによりシステムが所定の温度範囲内で動作するようにするためのコンポーネントと制御システムが含まれています。フル装備の Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの冷却システムには次のものが含まれています。
• シャーシ内のカードとモジュール上に配置された温度センサー
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシのエアーフローは、吸気/排気構造によって制御されます。図1-6 に示すように、空気は Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの前面(PLIM 側)最下部から取り込まれ、カード ケージを上昇して背面(MSC 側)最上部から排気されます。最下部のファン トレイは、シャーシの前面最下部から空気を取り込みます。最上部のファン トレイは、シャーシの背面から暖気を排出します。電源シェルフの電源モジュールには、専用の冷却ファンが内蔵されています。
交換可能なエアー フィルタは、下部ファン トレイの上にあります。エアー フィルタの交換頻度は、設置環境によって異なります。埃の多い環境、または温度アラームが頻繁に作動する環境では、吸気グリルの埃をこまめに点検し、エアー フィルタの交換が必要かどうかも点検する必要があります。
エアー フィルタを取り外して交換する前に、スペアのフィルタを手元に用意してください。汚れたフィルタを取り外し、スペアのフィルタをシャーシに取り付けます。
図1-6 Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシのエアーフロー
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの最大エアーフロー量は、2,050 立方フィート(58,050 リットル)/分です。
Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの電源は AC 電源(3 相スター 200 ~ 240/346 ~ 415 VAC または 3 相デルタ 200 ~ 240 VAC)または DC 電源(-48 または -60 VDC)です。シャーシの電源システムは設備電源を取り込み、シャーシ コンポーネントの給電に必要な DC 電圧に変換します。完全な冗長電源システムは次のコンポーネントで構成されます。
このマニュアルに記載されている作業を開始する前に、人身事故または機器の損傷を防ぐために、ここで説明する安全に関する注意事項を確認してください。
人身事故または機器の損傷を防ぐために、次の注意事項に従ってください。これらの注意事項は、危険な状況をすべて網羅しているとは限らないので、作業に際しては十分に注意してください。
(注) カードの取り付け、設定、または取り付けたカードのトラブルシューティングを行う前に、『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco CRS-1 Carrier Routing System』に記載されている安全上の警告を確認してください。
• 重すぎて一人で持ち上げられない機器は、一人で持ち上げようとしないでください。
• 取り付け作業中および取り付け作業後は、作業領域をきれいな状態に保ち、埃などがないようにしてください。レーザーを使用するコンポーネントに埃やゴミが入らないようにしてください。
• 工具およびルータのコンポーネントは、通路に置かないようにしてください。
• MSC、PLIM、およびその関連コンポーネントを扱う際には、たるみの多い衣服やアクセサリーなど、ルータに引っかかる恐れのあるものを身に着けないでください。
• シスコ製装置は、その製品の仕様および取り扱いに関する指示に従ってご使用ください。
• 取り付けは、設置国および地域の電気規約に従う必要があります。米国では、National Fire
Protection Association(NFPA; 米国防火協会)70 の「United States National Electrical Code」、カナダでは、Canadian Electrical Code の part I、「CSA C22.1」、その他の国については、国際電気標準会議(IEC)60364 の part 1 ~ part 7 に従ってください。
• FCC DC 入力電源システムに接続できるのは、UL/CSA/IEC/EN 60950-1 および AS/NZS 60590 の Safety Extra-Low Voltage(SELV; 安全超低電圧)要件に準拠した DC 電源だけです。
• FCC DC 入力電源システムの固定配線には、常に使用可能な二極切断装置が組み込まれている必要があります。
• FCC システムが設置される建物には、短絡(過電流)保護が施されている必要があります。
• Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシは、短絡(過電流)保護が施されている建物内に設置してください。
ESD により、装置や電子回路が損傷を受けることがあります(静電破壊)。静電破壊は電子部品の取り扱いが不適切な場合に発生し、故障または間欠的な障害をもたらします。ネットワーク装置やそのコンポーネントを取り扱う際は、常に静電気防止用ストラップを使用することを推奨します。
• 静電気防止用リストまたはアンクル ストラップを肌に密着させて着用してください。接続コードの装置側を、ルータの ESD 接続ソケット、またはシャーシの塗装されていない金属面に接続します。
• カードを取り扱うときは、イジェクト レバー(使用可能であれば)、または金属製フレームだけを持ってください。基板またはコネクタ ピンには手を触れないようにしてください。
• 取り外したラインカードは、基板側を上向きにして、静電気防止シートに置くか、静電気防止用袋に収めます。コンポーネントを返却する場合は、取り外したあと、ただちに静電気防止用袋に入れてください。
• モジュールと衣服が接触しないように注意してください。リスト ストラップは身体の静電気から基板を保護するだけです。衣服の静電気が、静電破損の原因になることがあります。