Cisco Nexus 3500 シリーズ NX-OS ソフトウェアのアップグレードまたはダウングレード

この章では、Cisco NX-OS ソフトウェアのアップグレードまたはダウングレードの方法について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。

ソフトウェア イメージについて

各デバイスには、Cisco NX-OS ソフトウェアが同梱されます。Cisco NX-OS ソフトウェアは、1 つの NXOS ソフトウェア イメージで構成されています。Cisco NX-OS オペレーティング システムをロードするために必要なのは、このイメージだけです。このイメージは、すべての Cisco Nexus 3500 シリーズ スイッチで実行されます。


(注)  


バイナリ ファイルのもう 1 つのタイプは、ソフトウェア メンテナンス アップグレード(SMU)パッケージ ファイルです。SMU には、特定の不具合に対する修正プログラムが含まれています。これらは、直近の不具合に対処するために作成されたものであり、新しい機能は含まれていません。SMU パッケージ ファイルは、Cisco.com からダウンロードできます。通常、解決された不具合の ID 番号がファイル名に含まれています。SMU の詳細については、『Cisco Nexus 3500 Series NX-OS System Management Configuration Guide』を参照してください。


Cisco NX-OS ソフトウェアのアップレードの推奨事項

Cisco では、アップグレードを実行する前に、Nexus Health and Configuration Check を実行することを推奨します。利点には、潜在的な問題の特定、影響を受けやすいフィールド通知とセキュリティの脆弱性、推奨される設定の欠落などがあります。手順の詳細については、 「Nexus の正常性と設定のチェックを実行する」を参照してください。

Cisco NX-OS ソフトウェア アップグレードの前提条件

Cisco NX-OS ソフトウェアのアップグレードには、次の前提条件があります。

  • デバイスまたはネットワークにアクセス可能などのユーザも、スケジュールされた時間にはデバイスまたはネットワークを設定しないでください。アップグレード中はデバイスを設定できません。show configuration session summary を使用します コマンドを使用して、アクティブなコンフィギュレーション セッションがないことを確認してください。

  • デバイスで Cisco NX-OS ソフトウェア イメージをアップグレードまたはダウングレードする前に、アクティブなすべてのコンフィギュレーション セッションを保存、送信、または破棄します。デュアル スーパーバイザを搭載したデバイスでは、アクティブなコンフィギュレーション セッションがある場合、Cisco NX-OS ソフトウェアのアップグレード中にアクティブ スーパーバイザ モジュールをスタンバイ スーパーバイザ モジュールに切り替えられません。

  • デバイスからリモート サーバへのルートを確保します。サブネット間のトラフィックをルーティングするルータがない場合は、デバイスとリモート サーバが同じサブネットワーク内に存在する必要があります。リモート サーバへの接続を確認するには、ping コマンドを使用します。
    switch# ping 172.18.217.1 vrf management
    PING 172.18.217.1 (172.18.217.1): 56 data bytes
    64 bytes from 172.18.217.1: icmp_seq=0 ttl=239 time=106.647 ms
    64 bytes from 172.18.217.1: icmp_seq=1 ttl=239 time=76.807 ms
    64 bytes from 172.18.217.1: icmp_seq=2 ttl=239 time=76.593 ms
    64 bytes from 172.18.217.1: icmp_seq=3 ttl=239 time=81.679 ms
    64 bytes from 172.18.217.1: icmp_seq=4 ttl=239 time=76.5 ms
    
    --- 172.18.217.1 ping statistics ---
    5 packets transmitted, 5 packets received, 0.00% packet loss
    round-trip min/avg/max = 76.5/83.645/106.647 ms
    
    

コンフィギュレーション セッションの詳細については、『Cisco Nexus 3500 Series NX-OS System Management Configuration Guide』を参照してください。

Cisco NX-OS ソフトウェア ダウングレードの前提条件

Cisco NX-OS ソフトウェアのダウングレードには、次の前提条件があります。

  • show incompatibility system bootflash:filename コマンドを使用して、ソフトウェアの互換性を確認します。非互換な部分が存在する場合は、ソフトウェアをダウングレードする前に、ダウングレード イメージと互換性がない機能をすべて無効化してください。

Cisco NX-OS ソフトウェア アップグレードの注意事項


(注)  


Cisco Nexus 3500 Series NX-OS Release Notes』には、各リリース固有のアップグレードの注意事項が含まれています。アップグレードを開始する前に、アップグレード先となるリリースのリリース ノートを参照してください。 Cisco Nexus 9000 および 3000 ISSU サポート マトリックスに は、現在のリリースからターゲットリリースへのアップグレードの推奨パスについて記載されています。


ソフトウェア イメージのアップグレードを試行する前に、次の注意事項に従ってください。

  • Cisco Nexus 3500 ファミリスイッチは 32 ビットイメージをサポートします。

  • Cisco NX-OSリリース 10.1(1) へのアップグレードは、Cisco Nexus C3548P-XL スイッチでのみサポートされます。

  • アップグレードは、ネットワークが安定しているときにスケジュールします。

  • ソフトウェア イメージの破損につながるため、インストール手順の実行中の電源中断は回避してください。

  • ソフトウェアのアップグレード中に切り替えが発生した場合でも接続を維持するため、スーパーバイザ モジュールはコンソール ポートに接続している必要があります。使用しているシャーシの『Hardware Installation Guide』を参照してください。

  • 以前のリリースから Cisco NX-OS リリース 10.1(1) へのアップグレードでは、次のアップグレード パスがサポートされています。

    • 9.2(4) 以降→10.1(1)

    • 9.3(6) →10.1(1)

    Cisco NX-OS リリース 9.2(4) 以降からアップグレードするには、install all コマンドを使用することを推奨します。Cisco NX-OS リリース 9.3(6) からアップグレードするには、実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーして、デバイスをリロードする必要があります。

  • Cisco Nexus 3500 ファミリ スイッチは 32 ビット イメージをサポートします。

  • DC デバイスでは、超低電力モードはサポートされていません。

  • Cisco NX-OS リリース 10.3(3)F 以降では、Cisco Nexus 3548-XL スイッチで Openflow の代替である IP ポート ACL での Wideflow IFACL リダイレクトがサポートされています。詳細については、次のリンクを参照してください:

Cisco NX-OS ソフトウェア ダウングレードの注意事項

以前のソフトウェア リリースへのダウングレードを試行する前に、次の注意事項に従ってください。

  • ソフトウェアのダウングレード中に切り替えが発生した場合でも接続を維持するため、スーパーバイザ モジュールはコンソール ポートに接続している必要があります。使用しているシャーシの『ハードウェア設置ガイド』を参照してください。

  • Cisco NX-OS は、デフォルトで自動的にゲスト シェルのインストールおよび有効化を行います。ただし、ゲスト シェルをサポートしない Cisco NX-OS イメージでデバイスがリロードされる場合、既存のゲスト シェルが自動的に削除され、%VMAN-2-INVALID_PACKAGE メッセージが発行されます。ベスト プラクティスとして、以前の Cisco NX-OS イメージへのダウングレードを実施する前に guestshell destroy コマンドでゲスト シェルを削除してください。

  • install all コマンドを使用して、スイッチ ソフトウェアを Cisco NX-OS リリース10.1(1) からCisco NX-OSリリース9.2(4) 以降に、または9.3(6) にダウングレードできます。

スイッチを USBから起動する

オプションで、ローダ プロンプトで外部フラッシュ メモリ ドライブからスイッチを起動することもできます。Cisco Nexus C3548P-XL スイッチでサポートされている BIOS バージョンは 5.4.1 です。次に、外部フラッシュ メモリ ドライブからイメージをロードするためのさまざまなオプションを示します。

  • USB1 スロットが占有されている場合、または両方の USB スロットが占有されている場合には、USB1 からイメージをロードできます。
    Loader> boot usb1: <image>
  • USB2 スロットが使用されている場合にのみ、USB2 からイメージをロードできます。
    Loader> boot usb2: <image>
  • 両方の USB スロットが使用されている場合、USB2 からイメージをロードできます。
    Loader> boot usb2: <image>
  • USB1 スロットだけが占有されている場合、または両方の USB スロットが占有されている場合は、USB1からイメージをロードできます。

  • USB2 スロットのみが使用されている場合は、USB2か らイメージをロードできます。

  • 両方の USB スロットが使用されている場合、USB2 からイメージをロードできます。

Cisco NX-OS ソフトウェアのアップレード


(注)  


Cisco NX-OS リリース 9.2(4) 以降からアップグレードするには、install all コマンドを使用することを推奨します。Cisco NX-OS リリース 9.3(6) からアップグレードするには、実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーして、デバイスをリロードする必要があります。



(注)  


アップグレード中にエラー メッセージが表示された場合、アップグレードは失敗し、その理由が表示されます。

手順の概要

  1. このアップグレード手順の例外については、ソフトウェア イメージ ファイルに関するリリース ノートを参照してください。Cisco Nexus 3500 Series NX-OS Release Notes』を参照してください。
  2. コンソール ポート接続のデバイスにログインします。
  3. イメージ ファイルをコピーするために必要なスペースがあることを確認します。
  4. デバイスにさらに多くのスペースが必要な場合、不要なファイルを削除して使用できるスペースを作ります。
  5. Cisco NX-OS ソフトウェアを新しい Cisco NX-OS リリースにアップグレードします。
  6. 転送プロトコルを使用して、ソフトウェア イメージをデバイスにコピーします。FTP、TFTP、SCP、SFTP を使用できます。
  7. 実際にアップグレードを実行する前に、ソフトウェアのアップグレードの影響を確認します。
  8. 実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションに保存します。
  9. install all nxos bootflash:filename [no-reload | non-interruptive | serial] コマンドを使用して Cisco NX-OS ソフトウェアをアップグレードします。
  10. (任意) ログインし、必要なソフトウェア バージョンがデバイスで実行されていることを確認します。
  11. (任意) アップグレード プロセスの確認
  12. (任意) 必要に応じて、任意のライセンスをインストールし、必要な機能がデバイスで使用できるようにします。『Cisco NX-OS ライセンシング ガイド』を参照してください。

手順の詳細


ステップ 1

このアップグレード手順の例外については、ソフトウェア イメージ ファイルに関するリリース ノートを参照してください。Cisco Nexus 3500 Series NX-OS Release Notes』を参照してください。

ステップ 2

コンソール ポート接続のデバイスにログインします。

ステップ 3

イメージ ファイルをコピーするために必要なスペースがあることを確認します。

switch# dir bootflash:

(注)  

 

デバイスには、新しいイメージ ファイルのロードが成功しない場合に使用できるよう、少なくとも 1 つ前のリリースの Cisco NX-OS ソフトウェアのイメージ ファイルをダウンロードすることを推奨します。

ステップ 4

デバイスにさらに多くのスペースが必要な場合、不要なファイルを削除して使用できるスペースを作ります。

ステップ 5

Cisco NX-OS ソフトウェアを新しい Cisco NX-OS リリースにアップグレードします。

ステップ 6

転送プロトコルを使用して、ソフトウェア イメージをデバイスにコピーします。FTP、TFTP、SCP、SFTP を使用できます。

switch# copy scp://user@server-ip/image-path/ bootflash: vrf management

switch# copy scp://user@scpserver.cisco.com//download/nxos.10.1.1.bin bootflash: vrf management

ステップ 7

実際にアップグレードを実行する前に、ソフトウェアのアップグレードの影響を確認します。

switch# show install all impact nxos bootflash:nxos.10.1.1.bin


ステップ 8

実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションに保存します。

switch# copy running-config startup-config

ステップ 9

install all nxos bootflash:filename [no-reload | non-interruptive | serial] コマンドを使用して Cisco NX-OS ソフトウェアをアップグレードします。

switch# install all nxos bootflash:nxos.10.1.1.bin
 

 

(注)  

 
ファイル名を指定しないで install all コマンドを入力した場合は、コマンドにより互換性チェックが実行され、アップグレードされるモジュールが通知されます。さらに、インストールを続行するかどうかの確認が求められます。続行を選択すると、スイッチで現在実行されている NXOS ソフトウェア イメージがインストールされ、必要に応じて、実行中のイメージのさまざまなモジュールの BIOS がアップグレードされます。

ステップ 10

(任意) ログインし、必要なソフトウェア バージョンがデバイスで実行されていることを確認します。

switch# show version

ステップ 11

(任意) アップグレード プロセスの確認

switch# show install all status

ステップ 12

(任意) 必要に応じて、任意のライセンスをインストールし、必要な機能がデバイスで使用できるようにします。『Cisco NX-OS ライセンシング ガイド』を参照してください。


NX-OS アップグレード履歴

Cisco Nexus 3548 スイッチの耐用期間中は、多くのアップグレード手順を実行できます。メンテナンス目的で実行する場合や、オペレーティング システムを更新して新しい機能を取得する場合にアップグレードが発生します。時間の経過とともに、スイッチは何度も更新される可能性があります。アップグレードのタイプと発生時刻を表示すると、問題のトラブルシューティングやスイッチの履歴の把握に役立ちます。

Cisco NX-OS リリース 9.3(5) 以降、Cisco Nexus 9000 スイッチは、時間の経過とともに実行されたすべてのアップグレード アクティビティをログに記録し、これらのイベントの包括的な履歴を提供します。保存されているアップグレード履歴タイプは次のとおりです。

  • Cisco NX-OS システムのアップグレード

  • 9Electronic Programmable Logic Device (EPLD) アップグレード

  • Software Maintenance Upgrade (SMU) インストール

show upgrade history コマンドを入力して、Cisco NX-OS のアップグレード履歴を表示します。出力には、以前にスイッチで発生したアップグレード アクティビティが表示され、各イベントの開始時刻と終了時刻が定義されます。show upgrade history コマンドの出力例を次に示します。

switch# show upgrade history
switch# show upgrade history
TYPE              VERSION DATE                 STATUS
NXOS system image 9.3(6)  29 Jan 2021 05:41:11 Installation started
NXOS system image 9.3(6)  29 Jan 2021 05:55:13 Installation End
NXOS system image 10.1(1) 29 Jan 2021 05:56:06 Installation started
NXOS system image 10.1(1) 29 Jan 2021 14:59:05 Installation End

以前のソフトウェア リリースへのダウングレード


(注)  


ダウングレード中にエラー メッセージが表示された場合、ダウングレードは失敗し、その理由が表示されます。

手順の概要

  1. このダウングレード手順の例外については、ソフトウェア イメージ ファイルに関するリリース ノートを参照してください。Cisco Nexus 3500 Series NX-OS Release Notes』を参照してください。
  2. コンソール ポート接続のデバイスにログインします。
  3. ダウングレードのためのイメージ ファイルがデバイスのブートフラッシュ内に存在していることを確認します。
  4. ソフトウェア イメージ ファイルがない場合は、Cisco.com にログインし、使用しているデバイスのソフトウェア イメージ ファイルを次の URL から選択して、ファイル サーバにダウンロードします。http://software.cisco.com/download/navigator.html
  5. 転送プロトコルを使用して、ソフトウェア イメージをデバイスにコピーします。FTP、TFTP、SCP、SFTP を使用できます。
  6. ソフトウェアの非互換性に関してチェックします。
  7. ダウングレード イメージと互換性のない機能をすべて無効化します。
  8. 実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションに保存します。
  9. Cisco NX-OS ソフトウェアをダウングレードします。
  10. (任意) ログインし、必要なソフトウェア バージョンがデバイスで実行されていることを確認します。
  11. (任意) ダウングレード プロセス全体を表示します。

手順の詳細


ステップ 1

このダウングレード手順の例外については、ソフトウェア イメージ ファイルに関するリリース ノートを参照してください。Cisco Nexus 3500 Series NX-OS Release Notes』を参照してください。

ステップ 2

コンソール ポート接続のデバイスにログインします。

ステップ 3

ダウングレードのためのイメージ ファイルがデバイスのブートフラッシュ内に存在していることを確認します。

switch# dir bootflash:
...

ステップ 4

ソフトウェア イメージ ファイルがない場合は、Cisco.com にログインし、使用しているデバイスのソフトウェア イメージ ファイルを次の URL から選択して、ファイル サーバにダウンロードします。http://software.cisco.com/download/navigator.html

(注)  

 

デバイスのブートフラッシュ内にさらに多くのスペースが必要な場合には、delete コマンドを使用して不要なファイルを削除します。

ステップ 5

転送プロトコルを使用して、ソフトウェア イメージをデバイスにコピーします。FTP、TFTP、SCP、SFTP を使用できます。

switch# copy scp://user@server-ip/image-path bootflash: vrf management

switch# copy scp://user@scpserver.cisco.com//download/nxos.9.2.4.bin bootflash: vrf management

ステップ 6

ソフトウェアの非互換性に関してチェックします。

switch# show incompatibility nxos bootflash:nxos.9.2.4.bin
Checking incompatible configuration(s) 
No incompatible configurations

結果の出力に非互換性と解決策が表示されます。

ステップ 7

ダウングレード イメージと互換性のない機能をすべて無効化します。

ステップ 8

実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションに保存します。

switch# copy running-config startup-config

ステップ 9

Cisco NX-OS ソフトウェアをダウングレードします。

switch# install all nxos bootflash:nxos.9.2.4.bin

(注)  

 
ファイル名を指定しないで install all コマンドを入力した場合は、コマンドにより互換性チェックが実行され、アップグレードされるモジュールが通知されます。さらに、インストールを続行するかどうかの確認が求められます。続行を選択すると、スイッチで現在実行されている NXOS ソフトウェア イメージがインストールされ、必要に応じて、実行中のイメージのさまざまなモジュールの BIOS がアップグレードされます。

ステップ 10

(任意) ログインし、必要なソフトウェア バージョンがデバイスで実行されていることを確認します。

switch# show version

ステップ 11

(任意) ダウングレード プロセス全体を表示します。

例:

switch# show install all status