MSDP についての情報
MSDP を使用すると、複数のボーダ ゲートウェイ プロトコル(BGP)対応 Protocol Independent Multicast(PIM)スパース モード ドメイン間で、マルチキャスト送信元情報を交換できます。PIM に関する詳細は、「 PIM の設定 」を参照してください。BGP に関する詳細は、「Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS ユニキャスト ルーティング構成ガイド」を参照してください。
受信者が要求するグループが別のドメイン内の送信元から送信されたグループと一致した場合、ランデブー ポイント(RP)は送信元方向に PIM Join メッセージを送信して、最短パス ツリーを構築します。指定ルータ(DR)は、送信元ドメイン内の送信元ツリーにパケットを転送します。これらのパケットは、必要に応じて送信元ドメイン内の RP を経由し、送信元ツリーの各ブランチを通って他のドメインへと送信されます。受信者を含むドメインでは、対象のドメインの RP が送信元ツリー上に配置されている場合があります。ピアリング関係は転送制御プロトコル(TCP)接続を介して構築されます。
図 1 に、4 つの PIM ドメインを示します。接続された各 RP(ルータ)は、独自にマルチキャスト送信元のセットを保持しているため、RP は MSDP ピアと呼ばれます。送信元ホスト 1 はグループ 224.1.1.1 にマルチキャスト データを送信します。MSDP プロセスでは、RP 6 上で PIM Register メッセージを介して送信元に関する情報を学習すると、ドメイン内の送信元に関する情報が、Source-Active(SA)メッセージの一部として MSDP ピアに送信されます。SA メッセージを受信した RP 3 および RP 5 は、MSDP ピアに SA メッセージを転送します。RP 5 は、ホスト 2 から 224.1.1.1 のマルチキャスト データに対する要求を受信すると、192.1.1.1 のホスト 1 方向に PIM Join メッセージを送信して、送信元への最短パス ツリーを構築します。
各 RP 間で MSDP ピアリング設定を行うには、フル メッシュを作成します。一般的な MSDP フル メッシュは、RP 1、RP 2、RP 3 のように自律システム内に作成され、自律システム間には作成されません。ループ抑制および MSDP ピア Reverse Path Forwarding(RPF)により、SA メッセージのループを防止するには、BGP を使用します。メッシュ グループの詳細については、「MSDP メッシュ グループ」セクションを参照してください。
(注) |
PIM ドメイン内で Anycast RP(ロード バランシングおよびフェールオーバーを実行するための RP のセット)を使用する場合、MSDP を設定する必要はありません。詳細については、「PIM Anycast-RP セットの構成」セクションを参照してください。 |
MSDP の詳細については、RFC 3618 を参照してください。
SA メッセージおよびキャッシング
MSDP ピアによる Source-Active(SA)メッセージの交換を通じて、MSDP ソフトウェアは、アクティブな送信元に関する情報を伝播させます。SA メッセージには、次の情報が格納されています。
-
データ送信元の送信元アドレス
-
データ送信元で使用されるグループ アドレス
-
RP の IP アドレスまたは設定済みの送信元 ID
PIM Register メッセージによって新しい送信元がアドバタイズされると、MSDP プロセスはそのメッセージを再カプセル化して SA メッセージに格納し、即座にすべての MSDP ピアに転送します。
SA キャッシュには、SA メッセージを介して学習したすべての送信元情報が保持されます。キャッシングを使用すると、既知のグループの情報がすべてキャッシュに格納されるため、新たな受信者を迅速にグループに加入させることができます。キャッシュに格納する送信元エントリ数を制限するには、SA 制限ピア パラメータを設定します。特定のグループ プレフィックスに対してキャッシュに格納する送信元エントリ数を制限するには、グループ制限グローバル パラメータを設定します。
MSDP ソフトウェアは 60 秒おきに、または SA インターバルのグローバル パラメータの設定に従って、SA キャッシュ内の各グループに SA メッセージを送信します。対象の送信元およびグループに関する SA メッセージが、SA インターバルから 3 秒以内に受信されなかった場合、SA キャッシュ内のエントリは削除されます。
MSDP ピア RPF 転送
MSDP ピアは、発信元 RP から離れた場所で SA メッセージを受信し、そのメッセージの転送を行います。このアクションは、ピア RPF フラッディングと呼ばれます。このルータは BGP ルーティング テーブルを調べ、SA メッセージの発信元 RP 方向にあるネクスト ホップ ピアを特定します。このピアを Reverse Path Forwarding(RPF)ピアと呼びます。
MSDP ピアは、非 RPF ピアから送信元 RP へ向かう同じ SA メッセージを受信すると、そのメッセージをドロップします。それ以外の場合、すべての MSDP ピアにメッセージが転送されます。
MSDP メッシュ グループ
MSDP メッシュ グループを使用すると、ピア RPF フラッディングで生成される SA メッセージ数を抑えることができます。図 6-1 で、RPs 1、2 および 3 は RP 6 から SA メッセージを受信します。メッシュ内のすべてのルータ間にピアリング関係を設定してから、これらのルータのメッシュ グループを作成すると、あるピアから発信される SA メッセージが他のすべてのピアに送信されます。メッシュ内のピアが受信した SA メッセージは転送されません。RP 3 が発信する SA メッセージは、RP 1 および RP 2 に転送されますが、これらの RP は受信したメッセージをメッシュ内のその他の RP には転送しません。
ルータは複数のメッシュ グループに参加できます。デフォルトでは、メッシュ グループは設定されていません。
仮想化のサポート
複数の仮想ルーティングおよびフォワーディング(VRF)インスタンスを定義することができます。MSDP 設定を選択された VRF に適用します。
show コマンドに VRF 引数を指定して実行すると、表示される情報のコンテキストを確認できます。VRF 引数を指定しない場合は、デフォルト VRF が使用されます。
VRF の構成に関する詳細は、『Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS ユニキャスト ルーティング構成ガイド』を参照してください。