First Abu Dhabi Bank

Cisco FSO による、顧客向けアプリケーションの可用性とパフォーマンスの向上

First Abu Dhabi Bank

アラブ首長国連邦の最大手銀行であり、世界で最も安全な金融機関の 1 つである FAB は、差別化、俊敏性、イノベーションによって、従業員、顧客、株主、コミュニティに価値をもたらしています。

業種: 金融サービス
所在地:アラブ首長国連邦、アブダビ
従業員数: 5,000 人
ウェブサイト: bankfab.com

パートナー: Perform IT

サマリー

課題

  • サービス可用性、平均解決時間(MTTR)、ビジネストランザクションの正常性など主要な KPI の可視性が向上
  • パフォーマンスに関するインサイトを利用して、データのサイロ化を解消し、顧客体験を管理

結果

  • 180 のアプリケーションのパフォーマンスを最適化し、顧客サービスの可用性を改善
  • 優先度 1 のインシデントとダウンタイムを削減し、主要なビジネスアプリケーションで 99.92% の可用性を実現
  • ワークロードとビジネストランザクションを AppDynamics でモニタリングし MTTR を削減

First Abu Dhabi Bank(FAB)は、アラブ首長国連邦の最大手銀行ですが、それ以上の役割を果たしています。国内で最も顧客を重視する機関の 1 つである同行は、法人および個人の顧客により良いサービスを提供するために、金融関連のソリューション、製品、サービスからなる広範なポートフォリオで常にサービス改善を目指しています。FAB は進歩を牽引する存在でもあります。2030 年にかけて持続可能なイニシアチブに 750 億米ドル以上を投資したり、Visa と提携して女性起業家を積極的に支援したりするなど、経済的にも社会的にも尽力し UAE を健全な未来へと導いています。

顧客の成功と進歩を目指すこうした姿勢は、FAB 内のデジタル トランスフォーメーションを加速させています。2018 年以降、顧客向けアプリケーションのモニタリングとパフォーマンスにますますプロアクティブなアプローチを取ることで、サービスの品質と信頼性を劇的に向上させました。

顧客のニーズを早期に予測

デジタル トランスフォーメーションを進める中、FAB の事業、開発、IT 運用の各チームでは、多数のアプリケーションについて一貫したパフォーマンスデータを収集し始めました。これによって、サービスの可用性、平均市場投入時間(MTTM)、ビジネストランザクションの正常性といった、主な重要業績評価指標を詳細に可視化しようとしたのです。

こうしたチームでは、インフラストラクチャのパフォーマンスに関する優れたインサイトの取得や、サイロ化のないパフォーマンスモニタリングが求められていました。また、FAB の顧客サービスで生じている非効率性とダウンタイムをなくすことで、競争力を維持すると同時に質の高い顧客体験を提供し続けることが特に重視されていました。

「問題の発見を顧客に頼るわけにはいきません。それはあってはならないことです」。FAB でテクノロジーサービス管理責任者を務める Emma Lewis 氏はそう話します。「アプリケーションで発生しているあらゆることをすべて可視化する必要があります。そうすれば、パフォーマンスの問題を顧客より先に特定しそれらに対処できます」

それを達成すべく、FAB では監査を行い、データのサイロ化を解消し顧客体験を効果的に管理するには何に IT 投資を集中すべきかを判断しました。その結果、投資効果を期待できたのは、アプリケーション パフォーマンス管理を改善する必要性でした。

180 を超えるアプリケーションの可用性

そこで、AppDynamics の Titan パートナーである Perform IT を通じて、以前のモニタリングツールを Cisco AppDynamics に置き換えました。これによって FAB はアプリケーション管理に俊敏な統合アプローチを取れるようになりました。プロアクティブなアラート送信と動的な基準値設定により、今では顧客に影響が及ぶ前にパフォーマンスの問題をすばやく発見し、それらに対処できています。さらに、アプリケーションシステム全体を包括的に可視化したことで、表面的な修復ではなく、パフォーマンスの問題の根本原因を把握し、それに基づいてトリアージを行うことができています。「アプリケーションとパフォーマンスをモニタリングする、Cisco AppDynamics のような次世代ソフトウェアを導入する場合、そのソリューションを最大限に活用したいと考えます」。Perform IT の最高情報責任者、Stanislav Ivanov 氏はそう話します。「AppDynamics を効果的に導入するという観点で言えば、当社は、ベストプラクティスと相互運用性という価値を提供しています。FAB の現地担当チームは、導入準備を標準化してアプリケーションチームが AppDynamics を適切に利用できるように努めていますが、当社では、その取り組みを支援しています」

AppDynamics と ThousandEyes を組み合わせることで、デジタルサプライチェーン全体を詳細に可視化できるようになります。フルスタック オブザーバビリティの実現を目指すことで、素晴らしい顧客体験を提供できるのです

テクノロジーサービス管理責任者, Emma Lewis 氏

FAB は当初、60 のビジネスアプリケーションを AppDynamics で利用できるように導入準備しましたが、大きな成果と、従業員からの肯定的なフィードバックを得たことで、その数は稼働開始からわずか 1 年の間に 120 にまで増加しました。今では AppDynamics によって 180 を超えるアプリケーションがモニタリングされ、組織の各チームがその価値を享受できています。FAB の現地担当チームは、導入準備を標準化してアプリケーションチームが AppDynamics を適切に利用できるように努めていて、Perform IT は、その取り組みを支援しています。

「AppDynamics の効果はすぐに実感できました。新規アプリケーションをソリューションに導入する準備を迅速に行えるという点で、AppDynamics は、その価値を証明しています」。FAB でエンタープライズツールおよび自動化を担当するバイスプレジデントの Navid Thakur 氏はそう話します。「これは、当行の従業員が継続的なサービス改善に努めることの証でもあります」

フルスタック オブザーバビリティの実現が進む中、AppDynamics は広範囲に効果をもたらしており、事業、IT 運用、開発とテストを担当する FAB の各チームではパフォーマンスが向上しています。とりわけ重要なのは、こうした部門間のサイロ化が解消し、部門連携によって、パフォーマンスの問題を記録的な速さで検出、警告、解決できるようになったことです。

「Cisco AppDynamics を導入してフルスタック オブザーバビリティの実現に取り組み、アプリケーション パフォーマンスをプロアクティブに管理したことで、ビジネス全体で明らかな価値を得られています。今では 180 を超えるアプリケーションが稼働するようになり、インシデントの減少と可用性の向上も見られています。つまり、各チームの負担を減らすと同時に、優れた顧客体験を提供できているのです」と Thakur 氏は話しています。

DevOps の考え方を取り入れる

AppDynamics は、UAE の銀行間で IT への新しいアプローチを開拓するという、FAB の取り組みもサポートしています。FAB は、オンプレミスの IT アプリケーションをクラウド技術である Software as a Service(SaaS)に移行した国内最初の銀行の 1 つですが、こうしたサービス全体を常に可視化しています。Perform IT は、AppDynamics とクラウドネイティブ アプリケーションの専門知識を活かして、FAB とそのデジタル トランスフォーメーションへの取り組みを適切に支援しています。

そうした変革と平行して、同行は、アプリケーションの管理と開発に DevOps の考え方を取り入れようとしています。準備ができ次第アプリケーションを本番環境に移すという純粋なプロジェクトデリバリではなく、各チームが構築し最適化した新規サービスのアプリケーションを引き続き担当チームで所有し管理することを勧めています。こうすることで、その顧客体験の品質をさらに高めようとしているのです。

「私たちの目標は、FAB の全サービス担当チームで AppDynamics を日常的に利用してもらうことです。パフォーマンスの問題に対処し、事業運営を継続するためだけではありません。システムの動作を深く理解したり、アプリケーションの性能を高める新たな方法を発見したりすることにも活用できます」。Lewis 氏はそのように話し、こう続けます。「どうすれば対応時間を短縮できるでしょうか。どうすれば中断やサービスに関わる問題をピーク時になくせるでしょうか。どうすれば顧客体験を改善できるでしょうか。業務の進め方や市場でのサービスの提供方法を大きく変えるには、こうした質問に答える必要があります。その答えを見つけてくれるソリューションが手に入ったのです」

FAB は、アプリケーション開発をクラウドのマイクロサービスを利用して行い、Kubernetes で管理しデプロイするという長期計画も立てています。新しい環境では、アプリケーション パフォーマンスの可視化が不可欠です。同行が IT 運用のモダナイズを目指して AppDynamics を導入した理由は他にもあります。

AppDynamics と Perform IT との連携による、さらなる改善

アプリケーション パフォーマンス モニタリング ソリューションでよく課題となるのは、可視化を行えないことです。FAB では、AppDynamics を利用すると同時に、システム統合の信頼できる専門知識を Perform IT から提供してもらい、典型的な分散型ビジネスフローの影響を最小限に抑えることができています。

AppDynamics では、サードパーティツールとの統合によって、システムからのデータ取り出しと、システムへのデータ取り込みを行えます。FAB では、こうしたデータ移動が日常的な業務になりつつあります。AppDynamics が同行のモニタリングツールスイートの中でも集中的に使用されるようになったからです。DevOps ではデリバリの期限を守るためにスプリントの設定が厳しくなりがちです。しかし、そのようにすぐに統合に対応できる点が DevOps の考え方に適していることがこれで明らかになりました。

モニタリング機能の利用拡大を狙って FAB の担当チームが立てた戦略では、エージェントの展開の自動化が重視されています。FAB では、AppDynamics と Perform IT との緊密な連携によって、同行の環境内で機能する自動化機会を発見し、その実装を実現しています。

顧客にも従業員にも優れたエクスペリエンスを提供する先駆者

FAB の取り組みは、アプリケーション ポートフォリオ全体でのダウンタイムとパフォーマンス関連インシデントの削減を目指したものでしたが、その第 1 フェーズは大成功を収めました。また、メリットを実感してもらうために最近実施した演習の後には、AppDynamics でアプリケーション パフォーマンスをモニタリングし管理したことで稼働時間の向上と迅速な問題解決を実現できたとの声が、何十人もの従業員から寄せられました。

次のような効果がありました。

  • POS と統合セルフサービスバンキングを提供するビジネスクリティカルなサービスのダウンタイムを 61% 削減
  •  インターネットバンキングとモバイルバンキングのダウンタイムを 87% 削減
  •  複数通貨の銀行口座サービスのダウンタイムを 98% と大幅に削減

FAB で与信を即時に判断するエンジンを担当しているチームも、ビジネス関係者の要望への対応が可能になり、パフォーマンスの問題の根本原因を迅速に特定できるようになったと報告しています。今ではレスポンスが 120 ミリ秒から 70 ミリ秒に短縮され、42% 向上しました。

迅速さと同様に Thakur 氏が重要と感じるのは、担当チームが FAB のパフォーマンスについてきわめて詳細なインサイトを新たに得られるようになったことです。DevOps チームとサポートチームでは、AppDynamics ダッシュボードを確認することで、以前のモニタリングソリューションでは検出されなかった異常を認識してプロアクティブに対処し、重大なインシデントを防止できています。

「業務の進め方が大きく変わりました。そのどれもが AppDynamics よる可視化から始まったのです」と Thakur 氏は話します。「アプリケーション パフォーマンスをリアルタイムに把握して、プロアクティブに対処し、提供中のサービスで常に先手を打っています。これにより、検出と分析を迅速化して、さまざまなシナリオで根本原因の予測と正確な特定を行えています」

Thakur 氏はこう続けます。「製品ベンダーである Cisco AppDynamics と、プラットフォームへのサービスの実装と導入準備を行うパートナーである Perform IT とのパートナーシップのおかげで、大きな価値を得られました。こうした高度な技術の運用には、適切なスキルの習得が必要ですが、当行にとって、Perform IT は、AppDynamics 製品導入の取り組みを加速してくれる適切なパートナーでした」

プロアクティブな文化の形成

パフォーマンス最適化の他に、FAB が現在重視しているのは、従業員のトレーニングです。これを通じて、従業員が AppDynamics を最大限活用し、独自のレポートとダッシュボードを作成すること、さらには、新たなインサイトを取得して最良の顧客体験を提供できることを目指しています。

プロアクティブな対応は、同行の IT チームにとって新しい標準となりました。今では、システムやアプリケーションコードを非常に積極的にモニタリングしています。AppDynamics を利用すると、改善を行う上でのギャップや機会を簡単に特定できるようになり、FAB のテクノロジー変革に伴う文化的な移行も促進されます。支払いシステムで生じた 5 秒の遅延を確認し迅速に解決するときも、コーディングエラーを修正するときも、AppDynamics なら、ビジネスに大きな影響が及ぶ前に問題に対処する手段を得られます。

 

たとえば、FAB のモバイル バンキング アプリケーションでは、担当チームはサービスの品質低下に関する通知を受けてすぐに問題に対処し、顧客への影響を未然に防止できました。AppDynamics はまた、異常を検出するとその通知を担当チームにプロアクティブに送信するため、チームは根本原因をすばやく特定し、潜在的な問題を数分で修正することもできます。

「当行では、チームの改善とエンパワーメントに尽力し、業績管理の方法を大きく変化させています」。Lewis 氏はそう話します。「AppDynamics を利用すれば、アプリケーションオーナーであるチームのモチベーションを高め、あるべき姿を認識してもらえます。当行のビジネスと顧客とを結ぶ先駆者であることを常に意識できるのです」

フルスタックのオブザーバビリティを見据えて

FAB は、顧客体験をさらに最適化できるソリューションを探求し続けています。最近では、Cisco ThousandEyes をテックスタックに追加して、デジタルエクスペリエンスを包括的にモニタリングしています。

Lewis 氏は、最後にこう話しました。「AppDynamics と ThousandEyes を組み合わせることで、デジタルサプライチェーン全体を詳細に可視化できるようになります。フルスタック オブザーバビリティの実現を目指すことで、素晴らしい顧客体験を提供できるのです」

こちらもご覧ください

テクノロジーは私たちの生活と働き方を変えました

多くのお客様が、コネクト、セキュリティ、そして変革のためにシスコのソリューションを活用しています。

 

業界独自の課題があります

各業界ごとに、独自の課題があり、カスタマイズされたソリューションを必要としています。

 

変化をリードする皆様へ

シスコは御社のストーリーの共有をお手伝いします。御社の事例制作にご興味があればこちらをご覧ください。